2012/07/08 (Sun) １．敗残者

注意
・Ｗ副長設定です！
・カップリングはありません
・完全捏造です
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください！

以上、同意できる方のみ↓へ・・・

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「あー・・・腹減った」

攘夷戦争は藩が幕府に頭を下げる形で終了した。

廃刀令などというふざけた下命があり、お国の為にと戦ってきた攘夷志士達は残党狩りに追われる羽目になった。

戦争終了の知らせを聞くのと同時に仲間達の前から姿を消すことに決めたのは残党狩りを怖れたわけではない。己の存在に希望を見出し、仲間達が嬉々として死地へと向かって行ってしまうのを怖れたのだ。

「・・・結局、俺は誰も救えなかった・・・」

ダラリ、と地面に片腕を降ろす。

自陣から逃げるようにして出奔し、できるだけ遠くへと走り続けてここまで来た。ここがどこなのかはいまいちよくわからなかったが、のどかな風景とちらほらと見える家々を見れば、戦火を逃れたのだということだけはわかった。

「アイツ等・・・怒ってんだろうなぁ・・・」

いきなりいなくなってしまったから・・・心配もしているだろうし、勝手に逃げたと腹を立てているだろうと苦笑する。

まぶたが重くなってくる。

起きなければ、そうは思うものの眠気は去ってくれない。

「寝たら死ぬぞー・・・は、雪山で遭難したときの常套文句か」

ははは、と乾いた笑いをもらす。独り言でも言っていないとそのまま寝てしまいそうだ。

「俺はただ、ダチを守りたかっただけだったのに・・・」

どうしてこんなことになってしまったのだろう。

「先生・・・ごめん・・・俺」

貴方の教えを守れなかった。

まぶたがスルスルと下りてくる。

「・・・おい！・・・しっかりしろ！！」

身体をガクガクと揺さぶられて閉じたまぶたをうっすらと開ける。目の前にいたのは同年代の青年だった。まっすぐな黒髪を高いところで結わえている。

「寝るな！！寝たら死ぬぞ！！」

それは雪山遭難時だろ、とツッコミを入れたかったが、激しい眠気に逆らえずにそのまま意識が薄れていった。


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