Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
注意
・ルル←ゼロレク組+アニャ
・なぜかルルは死んでなかった!(ご都合主義)
・ナナに厳しい表現あり
・ルルが幸せなら、なんでもあり!
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
世界の為に死ぬなんて、そんな結果を求めるなんて、自分でも思ってはいなかった。
確かに、優しい世界が出来た時、その場に自分のいる場所は無いのではないかと、思っていたのは確かだけれど。
だからなのだろうか。
唯一の親友の手で逝けたと思った時、走馬灯のように、今までの思い出(けして良い思い出ばかりではなかったけれど)が脳裏を駆け巡ったとき、それでも、幸せだと感じてしまった。この世に未練はなかった。
どうせ、自分は世界中から憎まれている。そう自分が仕組んだのだから。
ああ、でも、聡いあの子には気付かれてしまった。
敢えて、感情を、心を読まれないように不用意に近づくことはしなかったのだが、最後の最後で、やはり、あの子の下でと思ってしまった。目の前で肉親に死なれる様子を、もう2度と見せるつもりなど無かったのに・・・。
声が、聞こえた。あの子の泣き叫ぶ声。
「私はッ!お兄様さえいてくだされば、それで良かったのにッッ!!!」
ああ、俺も、そう思っていたよ。でも、もう良いんだ。お前達に、世界中の人に、優しい世界をプレゼントするよ・・・。
そこで、ルルーシュの意識は完全に途絶えた。
悪逆皇帝が英雄ゼロによってこの世を去ってから1年が経った。全てが順調とは言わないが、各国は2度とあのような独裁者が現れないように、と互いに監視し合い、武力よりも対話を。そういう考えを持つようになってきていた。
「ゼロ・・・世界は平和と言えるのでしょうか?」
実兄よりもほんの少し薄い、紫の瞳でヒタと見据えられて“ゼロ”は一瞬たじろいだ。
「・・・いいえ。まだまだ、平和とは言い切れないでしょうね。ナナリー代表もそうお思いだからこそ、そうお尋ねになったのでしょう?」
ほんの一瞬の間を置いて“ゼロ”はナナリーの問いに答えた。
「そう、ですね。・・・たった1人の犠牲の上に成り立った平和なんて・・・脆いもの。私達が、もっと頑張らないと、いけないんですね。基盤ができていても、それをちゃんと活かせないと意味が無い。・・・幸い、ゼロがいてくださいますから、監視体制が整っていますが・・・でも、ゼロがいなくなってしまったら、この世界はどうなるのでしょうか。」
「・・・さぁ、未来に生きる者達次第なのではありませんか?・・・“私”はそこまでは責任は持てませんし、持つ気もありませんよ。」
“ゼロ”の発言があまりにも冷たいので、ナナリーはビクリと身体を震わせた。
「ゼロ・・・?」
「“私”は世界にこの身を捧げると誓いました。ですから“私”がいる間は、争いを起こさせるつもりは毛頭ありません。・・・でも“私”が死んだ後まで、責任を持てと言われても困ります。」
「・・・はい。」
「・・・・・・“彼”がどこまで想定していたのか“私”でさえも知りえないことです。・・・ですから、早く、力をつけてください。いつまでも“私”やシュナイゼルがいるわけではないのですから。」
「・・・・・・はい。」
頷くナナリーを残し、“ゼロ”はナナリーの執務室を出て行く。
「・・・貴方は、お兄様を奪った今の世界を許せないのですね・・・スザクさん。」
それを見送ったナナリーは、悪逆皇帝の騎士として死んだ彼の名を呟き、盛大に溜め息をついた。
「・・・少し、言い過ぎたかな?」
自室へ帰って来た“ゼロ”ことスザクは仮面を脱いで、はぁと溜め息をついた。あまりの多忙さに苛立っていて、ナナリーに当たってしまった感がある。
「悪い癖だ。・・・直さないと。」
そう言いながら、自室のPCの電源を入れると、1件の匿名メールが届いているのに気づいた。
また、各国の首脳からの依頼なのか、と疲労を覚えながらもそのメールを開き、文面を目で追ううちに、スザクの表情が見る間に喜色に染まる。
「やっぱり、君は、奇跡を起こす男だったね。」
そう小さく呟くと、スザクは1日留守にすることを各位に連絡すると、出掛けるための変装を始めた。
爽やかな風が通り過ぎる、オレンジ農園。オレンジの世話をしながら汗をぬぐい、奇妙な仮面で顔半分を覆った男は、後ろでオレンジのできを確認している少女を振り返る。
「そろそろ、休憩にしよう、アーニャ。」
「・・・わかった。」
アーニャと呼ばれた少女は立ち上がって、パンパン、と足元を叩く。
「今年も豊作だな。」
満足げに言った男に、アーニャはこくりと頷く。
「・・・ジェレミア、色々と世話の仕方を勉強してたから。」
「うむ。努力がこうやって形となって報われると、救われた思いになるな。」
うんうん、と頷くと、ジェレミアはアーニャの頭をぽんぽんと軽く叩く。
「もちろん、アーニャが手伝ってくれているおかげでもあるぞ?」
「・・・。」
アーニャは一瞬、目を真ん丸くした後、照れた様子で視線を逸らす。それを見て、苦笑をうかべたジェレミアは、そのアーニャを促し、自宅へと戻る。
自宅の前まで来ると、扉の前に1人の女性が立っているのが見えた。特徴的なその緑髪を見て、ジェレミアは何かあったのだと直感した。
「・・・C.C.、お前がここに来るなど珍しい。何かあったのだな?」
「ああ。ここではあまり話せないな。中に。」
そう言ったC.C.をアーニャと共に自宅の中に引きずり込むようにして入ると、ジェレミアはドアに鍵をかけて、C.C.に向き直る。
「・・・それで?」
「・・・ああ。あいつが目を覚ましたよ。」
「そうか!!」
名を言わなくてもわかった。それは、隣にいたアーニャも同じだったようで、目を丸くした。
「だって、あの時・・・。」
「ああ。あいつは一度死んだ。だが、なぜかはわからないが遺体を静かな場所に運んだ後、コードが宿ってる様子もないのに、傷が塞がって心臓が動き出した。ただ、植物状態で目を覚ますことも無かった。事情が事情だからな。顔を見ないという条件で医者にも見せたが、手の施しようがなくて・・・後は、本人次第と言われたんだ。」
「・・・ジェレミアは、知ってたの?」
「ああ。ゼロレクイエムに関わった人間はすべて知っているぞ。」
「ロイド達には連絡した。ニーナと咲世子にはそこから連絡が行くだろ。」
「・・・スザクは・・・?」
アーニャの問いに、C.C.は苦笑をうかべる。
「まあ、一部の連中には、バレバレだったがその名はあまり口にしない方がいいぞ?“あいつ”の名もそうだけどな?」
「・・・わかった。じゃあ“ゼロ”には連絡したの?」
「ああ。メールは入れておいた。来るか来ないかは、あいつ次第だが。」
肩を竦めるC.C.に、アーニャは納得したように頷いた。
「・・・私も、行ってイイの?」
「駄目だったら、お前の前で話したりしないさ。・・・ジェレミア、すぐに発てるか?」
「もちろん。大丈夫だ。」
即答して頷くジェレミアに、C.C.はクツリと笑った。
「1年経っても、ちっとも変わらないな。」
「無論、我が主は、敬愛するあの方ただお1人と定めたからな。」
「・・・そうか。」
柔らかな笑みをうかべ、C.C.が微笑む。
「あいつにも言ってやれ。他のことには聡いくせに、自分に向けられる好意には無頓着で、言われなきゃ気付かないからな。」
「・・・ああ。」
つられるようにして笑みをうかべたジェレミアの表情は、いつになく優しげなものだった。
ここにはブリタニアで最も美しいと言われた庭があった。皇妃マリアンヌとその子供達が暮らした場所。今はもう、その面影はない。荒れ果てた、庭、宮殿。
「お前が、一番乗りか。・・・スザク。」
ジェレミア達を伴ったC.C.が、彼の姿を認め、そう声をかけた。
「・・・ブリタニアの中心地にいたから。離宮までは大した距離じゃない。」
そう言って振り返ったスザクは、ほんの少し、頬がこけていた。
「すこし、痩せたな?」
「そう?・・・あぁ、そうかもしれないな、あんまり、食事をとってる暇が無いんだ。」
「あっはぁ~・・・仮面つけてるしねぇ~、人前で食事とれないって、辛いよねぇぇ?」
妙なトーンで話す声に、スザクは表情を和ませた。
「ロイドさん、セシルさん、咲世子さん・・・それに、ニーナまで。」
「久しぶりだねぇ、スザク君。・・・ホント、見ないうちに、少し痩せたねぇ?」
「ちゃんと、休憩を取らせてもらえてるの?」
「お久しぶりです、スザクさん。」
「久しぶり、スザク。・・・本当に、痩せたね。」
まともに他人と顔を合わせるのは1年ぶり。スザクは、ホッと息をついた。
「最近、忙しさが増したので・・・。」
「僕らの目から見ても、忙しそうだもんねぇ~・・・。」
「まぁ、体力だけは有り余ってますから。・・・ご心配なく。」
苦笑をうかべて、スザクはC.C.を振り返る。
「皆揃ったみたいだけど、ルルーシュは?」
「・・・この奥だ。」
短く答えると、C.C.は皆の先頭に立ち案内し始める。それについて行こうと歩を進めたスザクの隣に、アーニャが並ぶ。
「・・・出てきて大丈夫だったの?」
「・・・うん。まぁ、少しくらいはね。・・・また、明日からが大変そうだけど。」
「そう。」
「・・・まさか、君まで来るとは思わなかった。」
「私は、ジェレミアのとこにいるから。・・・それに、記憶が戻ったの。」
「ああ、そういうことか・・・。事実を知ってしまったんだな。」
「うん。・・・シャルル陛下とマリアンヌ様の計画・・・ルルーシュ様のこと、ナナリー様のこと・・・。」
アーニャは少し淋しそうに微笑んだ。
「私も・・・できることなら、ゼロレクイエムの施行者でありたかった。」
「・・・アーニャ。」
スザクが困ったように己の名を呼ぶので、アーニャはクツリと笑った。
「ただの願望。気にしないで。」
「・・・ああ。」
そんな2人を眺めつつ、ロイドはへにゃりと笑った。
「陛下がさぁ・・・死ななかったのって、何でかなぁ?」
「・・・科学者としては気になるか?」
ジェレミアが眉を寄せると、ロイドはふるりと首を振った。
「ん~・・・まだまだ、陛下が望む、優しい世界になってないのかなぁって・・・だから、不甲斐ない僕達の為に、戻って来られた・・・そう思ったんだけどねぇ。」
「・・・そうかもしれんな。」
ロイドの言葉に頷き、ジェレミアは深い溜め息をついた。
「我々は、あの方の想定通りに動けているのだろうか・・・?」
「・・・それを訊くために、これから陛下のところへ向かうんですよ、ジェレミアさん。」
セシルが言えば、それもそうか、とジェレミアは表情を引き締めた。
「ルルーシュ、混乱してなければ良いんだけど・・・。」
「そうですね・・・突発的なことには弱くていらっしゃいましたから・・・。」
ニーナの呟きに、咲世子が同意すると、ロイドもジェレミアもセシルもその様子を思い浮かべて、苦笑した。
薔薇で作られたメイズの名残、それを見渡せる広場。そこに、1組の白いテーブルと椅子が置いてあり、そこから少し離れた場所に、1人の青年が立っていた。
「・・・ルルーシュ。」
C.C.は、その青年の名をそっと声に乗せ、その背後に近付く。
「・・・おかえり。」
くるりと振り向いたルルーシュに、全員がホッと安堵の息をついた。彼が、穏やかな笑みをうかべていたからだ。
「・・・久しぶり、ルルーシュ。」
スザクが言えば、他の者達も口を揃えてルルーシュに言葉を投げかける。
「・・・ああ。久しぶりだな、皆。・・・スザクは少し、痩せたか。」
「はは。皆に言われたよ、それ。」
「忙しいんだろうな・・・。」
目を細めるルルーシュに、スザクは苦笑して肩を竦める。そんなスザクから視線を外し、その隣にいるアーニャを見つめる。
「・・・アーニャ、父母に代わって詫びさせてほしい。・・・本当にすまなかった。いくら事情があったとはいえ、君の身体に宿るだけでなく、度々、その身体を勝手に使っていたというのは、到底、許されることではない。」
「・・・良い。ジェレミアにギアスを解いてもらったから。」
気にするなというアーニャに、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「そうか・・・そう言ってくれると助かる。」
微笑むルルーシュの前にロイドが進み出る。
「・・・この世界は、陛下の想定通り、優しい世界になったのでしょうか?」
珍しく生真面目な表情を作ったロイドに、ルルーシュは一瞬目を瞠るが、すぐに口元に笑みをうかべた。
「俺は、その土台を作った。優しい世界、明日を望む皆の為に。・・・今、皆はそれを実現する為に一生懸命になっているんだろう?・・・なら、それは俺の想定通りだよ。・・・出来上がったものの上に乗っかるだけだったなら、崩れるのも早いものだ。自分達が努力して作り上げるからこそ、長続きをさせよう、と思うんじゃないのか?」
「・・・ああ、そうか・・・そういう、ことだったんだ・・・。」
思わずスザクが納得の声をあげる。
「陛下は、後に残った僕達のことを信じてくれたんですねぇ~。絶対に、優しい世界を構築するだろうって。」
ロイドが呟けば、ルルーシュはふんわりと笑みをうかべた。
「ああ。皆のことを信じていたよ。・・・きっと、この世界を良い方向に持って行ってくれると。」
「・・・ルルーシュ様。・・・お身体は大丈夫なのですか?」
あまりにも儚げな様子に、咲世子が心配そうに口を出す。すると、ルルーシュはこくん、と頷く。
「ああ・・・どこにも変わった様子はない。コードかと思ったんだが、そうでもないらしい。試してみたから間違いないぞ。」
「た、試したって、まさか・・・。」
ニーナが顔を青褪めさせると、ルルーシュは苦笑した。
「大丈夫だよ、ニーナ。ちょっと、指先を針で突いただけだ。・・・コードなら、すぐにでも傷が塞がるはずだが、ほら、ご覧の通りだ。」
絆創膏を貼った指を見せ、肩を竦める。
「私も、理由はよくわからない。・・・ただ、ルルーシュが“神”に明日が欲しいと願ったから・・・その影響で、ということかもしれん。」
C.C.も曖昧にそういうばかりで、明確な答えを持つ者はいない。
「・・・良いじゃないですか。理由なんて。・・・陛下が生きていらした。それだけで。」
そう呟くセシルに、そうだそうだと皆が頷く。
「・・・あー・・・さっきから気になっていたんだが、陛下と呼ぶのは止せ。もう、皇帝では無いのだし。」
困ったようにルルーシュが言うと、皆が、あ、という顔をする。
「でもぉ~、僕にとって、陛下は陛下だけなんですよぉ・・・皇帝ちゃんも、ナナリー代表も、陛下って感じじゃないんですよねぇ~。」
しかし、ロイドが駄々をこねるように言えば、ルルーシュは更に困ったような表情をうかべる。
「ロイド・・・。」
「私も、主はルルーシュ様ただお1人と、そう思っております。」
「・・・ジェレミア、お前まで・・・。」
「俺も。・・・最後に仕えたのは君だからね・・・。」
スザクが言い出せば、ルルーシュはギョッとしてスザクを見つめる。
「そんな、驚かないでよ。・・・リセットしよう?ルルーシュ。・・・君は1度死んだ。それで、償いは充分じゃないか。」
「でも・・・。」
「スザクの言う通りだよ、ルルーシュだって、明日が欲しかったんでしょう?・・・幸せになったって、良いんだよ。」
ニーナが穏やかに笑みをうかべて諭せば、ルルーシュは息を呑んだ。
ニーナは特に、ユーフェミアの件を赦してはいないのだから、生き返ったルルーシュに複雑な思いを抱えているのではと思っていたからだ。
「・・・赦さないって、言ったよ?でも・・・頭を冷やして、この1年間考えたの。ユーフェミア様ならどう言ったかなって。・・・ねぇ、赦さないって、ユーフェミア様は、ルルーシュに言ったと思う?」
「・・・いや・・・彼女は優しいから・・・。」
ルルーシュが首を振れば、ニーナは満足げに微笑む。
「うん。そうだよね。・・・だから、私もそうすることにした。だって、ルルーシュはちゃんと罰は受けたもの。・・・ね?」
ニーナの言葉に、ルルーシュははにかんだ笑みをうかべた。
「・・・ありがとう、ニーナ。」
「・・・たとえ、世界中の人間がお前を悪逆皇帝だと罵っても、ここにいる者達は、お前の味方だ。」
C.C.が言えば、ルルーシュはうっすらと涙ぐみながら頷く。
「・・・ああ。」
「・・・ところで、ルルーシュ様。こちらに住まわれる予定なのですか?」
ジェレミアが訊ねる。
「・・・ああ。ここは放逐されているからな。それに、帝都とは目と鼻の先だが、灯台もと暗しで、見つかる心配も少ない。」
「だから、こいつの身体もここに置いておけたんだ。」
ルルーシュが答えると、C.Cがそれを補足する。
「・・・まぁ、万が一のことがあっても“ゼロ”の権限を使えば良いしね。」
「スザク、それ、職権乱用。」
アーニャが言うと、スザクはしれっと答える。
「良いさ。少しくらい。」
「そうそう~。ちょっとくらい良いよねぇ~?身を粉にして頑張ってるんだしぃ~。その為の“ゼロ”だもんねぇ~?」
ロイドも楽しそうに手を叩いてスザクに同意するので、セシルや咲世子やニーナは苦笑をうかべる。
「・・・ならばルルーシュ様、もし、お許しいただけるのであれば、週に1度で構いません、拝謁に伺っても宜しいでしょうか?」
ジェレミアが本題を口にすれば、ロイドもはいはい~と手をあげる。
「僕も~、僕も、会いに来たいです~~。」
「それなら、私もロイドさんの面倒を見ながら、一緒に。」
「あ・・・私も、研究の成果とか、見てもらいたいな。」
セシルやニーナまで言いだして、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「良いが、見つからないようにな?」
「「「「了解(です)!!」」」」
4人が声を揃える。
「じゃあ、俺も、会いに来るね。仕事があるし、なかなか来れないとは思うけど。」
「ああ。わかったよ、スザク。」
「・・・私はルルーシュとここに住むぞ。こいつを1人にしておくとろくなことを考えないからな。」
「あ~~~ッ、ずるいよ~!!C.C.!!」
ロイドが地団太を踏むと、C.C.はフフン、と鼻で笑う。
「私は今のところ、フリーだからな。居場所も得に特定しているわけでは無いし。」
「・・・では、私も、ご一緒にさせて頂きます。・・・世話役が1人いた方がよろしいでしょう?」
「ああ~~~!咲世子君まで!?良いなぁぁぁ!!」
C.C.だけに良い思いをさせるかとばかりに咲世子が名乗り出れば、ロイドは更に悔しがった。
「・・・私はオレンジ農園があるからな・・・新鮮なオレンジを届けさせていただきます。ルルーシュ様。」
ジェレミアは諦めの境地でそう言って、アーニャに視線を向ける。
「・・・私も、ジェレミアのオレンジ農園があるから、無理。・・・ちょっと、残念。」
残念そうに言いながらも、オレンジ農園を辞めると言わないアーニャに、ジェレミアは思わず笑みをうかべる。
「・・・ありがとう・・・俺は、幸せ者だな・・・。」
ふふ、と笑って、ルルーシュは目を細める。こんな未来を誰が予想できただろうか。当のルルーシュでさえ、こんな穏やかな日々を迎えられるとは思っていなかったのだ。
「そうだぞ、ルルーシュ。お前は愛されてるんだ。」
C.C.が胸を張って自信たっぷりに言う。
「愛って・・・///」
頬をほんのりと赤く染めたルルーシュに、皆がクスクスと笑う。
1度は諦めた“幸せな明日”。
それが、こんなにも簡単に手に入ったことに、ほんの少し恐怖を覚えたのは、今までこんなに幸せだと思えたことが無かったから。
生きたかった。幸せになりたかった。優しい世界が欲しかった。
“幸せになっても良い”そう言って貰えただけで、嬉しかった。
心から、幸せだと思う。
そして、願う。世界が優しくありますように、と。
おしまい
目次へ戻る →
・ルル←ゼロレク組+アニャ
・なぜかルルは死んでなかった!(ご都合主義)
・ナナに厳しい表現あり
・ルルが幸せなら、なんでもあり!
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
世界の為に死ぬなんて、そんな結果を求めるなんて、自分でも思ってはいなかった。
確かに、優しい世界が出来た時、その場に自分のいる場所は無いのではないかと、思っていたのは確かだけれど。
だからなのだろうか。
唯一の親友の手で逝けたと思った時、走馬灯のように、今までの思い出(けして良い思い出ばかりではなかったけれど)が脳裏を駆け巡ったとき、それでも、幸せだと感じてしまった。この世に未練はなかった。
どうせ、自分は世界中から憎まれている。そう自分が仕組んだのだから。
ああ、でも、聡いあの子には気付かれてしまった。
敢えて、感情を、心を読まれないように不用意に近づくことはしなかったのだが、最後の最後で、やはり、あの子の下でと思ってしまった。目の前で肉親に死なれる様子を、もう2度と見せるつもりなど無かったのに・・・。
声が、聞こえた。あの子の泣き叫ぶ声。
「私はッ!お兄様さえいてくだされば、それで良かったのにッッ!!!」
ああ、俺も、そう思っていたよ。でも、もう良いんだ。お前達に、世界中の人に、優しい世界をプレゼントするよ・・・。
そこで、ルルーシュの意識は完全に途絶えた。
悪逆皇帝が英雄ゼロによってこの世を去ってから1年が経った。全てが順調とは言わないが、各国は2度とあのような独裁者が現れないように、と互いに監視し合い、武力よりも対話を。そういう考えを持つようになってきていた。
「ゼロ・・・世界は平和と言えるのでしょうか?」
実兄よりもほんの少し薄い、紫の瞳でヒタと見据えられて“ゼロ”は一瞬たじろいだ。
「・・・いいえ。まだまだ、平和とは言い切れないでしょうね。ナナリー代表もそうお思いだからこそ、そうお尋ねになったのでしょう?」
ほんの一瞬の間を置いて“ゼロ”はナナリーの問いに答えた。
「そう、ですね。・・・たった1人の犠牲の上に成り立った平和なんて・・・脆いもの。私達が、もっと頑張らないと、いけないんですね。基盤ができていても、それをちゃんと活かせないと意味が無い。・・・幸い、ゼロがいてくださいますから、監視体制が整っていますが・・・でも、ゼロがいなくなってしまったら、この世界はどうなるのでしょうか。」
「・・・さぁ、未来に生きる者達次第なのではありませんか?・・・“私”はそこまでは責任は持てませんし、持つ気もありませんよ。」
“ゼロ”の発言があまりにも冷たいので、ナナリーはビクリと身体を震わせた。
「ゼロ・・・?」
「“私”は世界にこの身を捧げると誓いました。ですから“私”がいる間は、争いを起こさせるつもりは毛頭ありません。・・・でも“私”が死んだ後まで、責任を持てと言われても困ります。」
「・・・はい。」
「・・・・・・“彼”がどこまで想定していたのか“私”でさえも知りえないことです。・・・ですから、早く、力をつけてください。いつまでも“私”やシュナイゼルがいるわけではないのですから。」
「・・・・・・はい。」
頷くナナリーを残し、“ゼロ”はナナリーの執務室を出て行く。
「・・・貴方は、お兄様を奪った今の世界を許せないのですね・・・スザクさん。」
それを見送ったナナリーは、悪逆皇帝の騎士として死んだ彼の名を呟き、盛大に溜め息をついた。
「・・・少し、言い過ぎたかな?」
自室へ帰って来た“ゼロ”ことスザクは仮面を脱いで、はぁと溜め息をついた。あまりの多忙さに苛立っていて、ナナリーに当たってしまった感がある。
「悪い癖だ。・・・直さないと。」
そう言いながら、自室のPCの電源を入れると、1件の匿名メールが届いているのに気づいた。
また、各国の首脳からの依頼なのか、と疲労を覚えながらもそのメールを開き、文面を目で追ううちに、スザクの表情が見る間に喜色に染まる。
「やっぱり、君は、奇跡を起こす男だったね。」
そう小さく呟くと、スザクは1日留守にすることを各位に連絡すると、出掛けるための変装を始めた。
爽やかな風が通り過ぎる、オレンジ農園。オレンジの世話をしながら汗をぬぐい、奇妙な仮面で顔半分を覆った男は、後ろでオレンジのできを確認している少女を振り返る。
「そろそろ、休憩にしよう、アーニャ。」
「・・・わかった。」
アーニャと呼ばれた少女は立ち上がって、パンパン、と足元を叩く。
「今年も豊作だな。」
満足げに言った男に、アーニャはこくりと頷く。
「・・・ジェレミア、色々と世話の仕方を勉強してたから。」
「うむ。努力がこうやって形となって報われると、救われた思いになるな。」
うんうん、と頷くと、ジェレミアはアーニャの頭をぽんぽんと軽く叩く。
「もちろん、アーニャが手伝ってくれているおかげでもあるぞ?」
「・・・。」
アーニャは一瞬、目を真ん丸くした後、照れた様子で視線を逸らす。それを見て、苦笑をうかべたジェレミアは、そのアーニャを促し、自宅へと戻る。
自宅の前まで来ると、扉の前に1人の女性が立っているのが見えた。特徴的なその緑髪を見て、ジェレミアは何かあったのだと直感した。
「・・・C.C.、お前がここに来るなど珍しい。何かあったのだな?」
「ああ。ここではあまり話せないな。中に。」
そう言ったC.C.をアーニャと共に自宅の中に引きずり込むようにして入ると、ジェレミアはドアに鍵をかけて、C.C.に向き直る。
「・・・それで?」
「・・・ああ。あいつが目を覚ましたよ。」
「そうか!!」
名を言わなくてもわかった。それは、隣にいたアーニャも同じだったようで、目を丸くした。
「だって、あの時・・・。」
「ああ。あいつは一度死んだ。だが、なぜかはわからないが遺体を静かな場所に運んだ後、コードが宿ってる様子もないのに、傷が塞がって心臓が動き出した。ただ、植物状態で目を覚ますことも無かった。事情が事情だからな。顔を見ないという条件で医者にも見せたが、手の施しようがなくて・・・後は、本人次第と言われたんだ。」
「・・・ジェレミアは、知ってたの?」
「ああ。ゼロレクイエムに関わった人間はすべて知っているぞ。」
「ロイド達には連絡した。ニーナと咲世子にはそこから連絡が行くだろ。」
「・・・スザクは・・・?」
アーニャの問いに、C.C.は苦笑をうかべる。
「まあ、一部の連中には、バレバレだったがその名はあまり口にしない方がいいぞ?“あいつ”の名もそうだけどな?」
「・・・わかった。じゃあ“ゼロ”には連絡したの?」
「ああ。メールは入れておいた。来るか来ないかは、あいつ次第だが。」
肩を竦めるC.C.に、アーニャは納得したように頷いた。
「・・・私も、行ってイイの?」
「駄目だったら、お前の前で話したりしないさ。・・・ジェレミア、すぐに発てるか?」
「もちろん。大丈夫だ。」
即答して頷くジェレミアに、C.C.はクツリと笑った。
「1年経っても、ちっとも変わらないな。」
「無論、我が主は、敬愛するあの方ただお1人と定めたからな。」
「・・・そうか。」
柔らかな笑みをうかべ、C.C.が微笑む。
「あいつにも言ってやれ。他のことには聡いくせに、自分に向けられる好意には無頓着で、言われなきゃ気付かないからな。」
「・・・ああ。」
つられるようにして笑みをうかべたジェレミアの表情は、いつになく優しげなものだった。
ここにはブリタニアで最も美しいと言われた庭があった。皇妃マリアンヌとその子供達が暮らした場所。今はもう、その面影はない。荒れ果てた、庭、宮殿。
「お前が、一番乗りか。・・・スザク。」
ジェレミア達を伴ったC.C.が、彼の姿を認め、そう声をかけた。
「・・・ブリタニアの中心地にいたから。離宮までは大した距離じゃない。」
そう言って振り返ったスザクは、ほんの少し、頬がこけていた。
「すこし、痩せたな?」
「そう?・・・あぁ、そうかもしれないな、あんまり、食事をとってる暇が無いんだ。」
「あっはぁ~・・・仮面つけてるしねぇ~、人前で食事とれないって、辛いよねぇぇ?」
妙なトーンで話す声に、スザクは表情を和ませた。
「ロイドさん、セシルさん、咲世子さん・・・それに、ニーナまで。」
「久しぶりだねぇ、スザク君。・・・ホント、見ないうちに、少し痩せたねぇ?」
「ちゃんと、休憩を取らせてもらえてるの?」
「お久しぶりです、スザクさん。」
「久しぶり、スザク。・・・本当に、痩せたね。」
まともに他人と顔を合わせるのは1年ぶり。スザクは、ホッと息をついた。
「最近、忙しさが増したので・・・。」
「僕らの目から見ても、忙しそうだもんねぇ~・・・。」
「まぁ、体力だけは有り余ってますから。・・・ご心配なく。」
苦笑をうかべて、スザクはC.C.を振り返る。
「皆揃ったみたいだけど、ルルーシュは?」
「・・・この奥だ。」
短く答えると、C.C.は皆の先頭に立ち案内し始める。それについて行こうと歩を進めたスザクの隣に、アーニャが並ぶ。
「・・・出てきて大丈夫だったの?」
「・・・うん。まぁ、少しくらいはね。・・・また、明日からが大変そうだけど。」
「そう。」
「・・・まさか、君まで来るとは思わなかった。」
「私は、ジェレミアのとこにいるから。・・・それに、記憶が戻ったの。」
「ああ、そういうことか・・・。事実を知ってしまったんだな。」
「うん。・・・シャルル陛下とマリアンヌ様の計画・・・ルルーシュ様のこと、ナナリー様のこと・・・。」
アーニャは少し淋しそうに微笑んだ。
「私も・・・できることなら、ゼロレクイエムの施行者でありたかった。」
「・・・アーニャ。」
スザクが困ったように己の名を呼ぶので、アーニャはクツリと笑った。
「ただの願望。気にしないで。」
「・・・ああ。」
そんな2人を眺めつつ、ロイドはへにゃりと笑った。
「陛下がさぁ・・・死ななかったのって、何でかなぁ?」
「・・・科学者としては気になるか?」
ジェレミアが眉を寄せると、ロイドはふるりと首を振った。
「ん~・・・まだまだ、陛下が望む、優しい世界になってないのかなぁって・・・だから、不甲斐ない僕達の為に、戻って来られた・・・そう思ったんだけどねぇ。」
「・・・そうかもしれんな。」
ロイドの言葉に頷き、ジェレミアは深い溜め息をついた。
「我々は、あの方の想定通りに動けているのだろうか・・・?」
「・・・それを訊くために、これから陛下のところへ向かうんですよ、ジェレミアさん。」
セシルが言えば、それもそうか、とジェレミアは表情を引き締めた。
「ルルーシュ、混乱してなければ良いんだけど・・・。」
「そうですね・・・突発的なことには弱くていらっしゃいましたから・・・。」
ニーナの呟きに、咲世子が同意すると、ロイドもジェレミアもセシルもその様子を思い浮かべて、苦笑した。
薔薇で作られたメイズの名残、それを見渡せる広場。そこに、1組の白いテーブルと椅子が置いてあり、そこから少し離れた場所に、1人の青年が立っていた。
「・・・ルルーシュ。」
C.C.は、その青年の名をそっと声に乗せ、その背後に近付く。
「・・・おかえり。」
くるりと振り向いたルルーシュに、全員がホッと安堵の息をついた。彼が、穏やかな笑みをうかべていたからだ。
「・・・久しぶり、ルルーシュ。」
スザクが言えば、他の者達も口を揃えてルルーシュに言葉を投げかける。
「・・・ああ。久しぶりだな、皆。・・・スザクは少し、痩せたか。」
「はは。皆に言われたよ、それ。」
「忙しいんだろうな・・・。」
目を細めるルルーシュに、スザクは苦笑して肩を竦める。そんなスザクから視線を外し、その隣にいるアーニャを見つめる。
「・・・アーニャ、父母に代わって詫びさせてほしい。・・・本当にすまなかった。いくら事情があったとはいえ、君の身体に宿るだけでなく、度々、その身体を勝手に使っていたというのは、到底、許されることではない。」
「・・・良い。ジェレミアにギアスを解いてもらったから。」
気にするなというアーニャに、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「そうか・・・そう言ってくれると助かる。」
微笑むルルーシュの前にロイドが進み出る。
「・・・この世界は、陛下の想定通り、優しい世界になったのでしょうか?」
珍しく生真面目な表情を作ったロイドに、ルルーシュは一瞬目を瞠るが、すぐに口元に笑みをうかべた。
「俺は、その土台を作った。優しい世界、明日を望む皆の為に。・・・今、皆はそれを実現する為に一生懸命になっているんだろう?・・・なら、それは俺の想定通りだよ。・・・出来上がったものの上に乗っかるだけだったなら、崩れるのも早いものだ。自分達が努力して作り上げるからこそ、長続きをさせよう、と思うんじゃないのか?」
「・・・ああ、そうか・・・そういう、ことだったんだ・・・。」
思わずスザクが納得の声をあげる。
「陛下は、後に残った僕達のことを信じてくれたんですねぇ~。絶対に、優しい世界を構築するだろうって。」
ロイドが呟けば、ルルーシュはふんわりと笑みをうかべた。
「ああ。皆のことを信じていたよ。・・・きっと、この世界を良い方向に持って行ってくれると。」
「・・・ルルーシュ様。・・・お身体は大丈夫なのですか?」
あまりにも儚げな様子に、咲世子が心配そうに口を出す。すると、ルルーシュはこくん、と頷く。
「ああ・・・どこにも変わった様子はない。コードかと思ったんだが、そうでもないらしい。試してみたから間違いないぞ。」
「た、試したって、まさか・・・。」
ニーナが顔を青褪めさせると、ルルーシュは苦笑した。
「大丈夫だよ、ニーナ。ちょっと、指先を針で突いただけだ。・・・コードなら、すぐにでも傷が塞がるはずだが、ほら、ご覧の通りだ。」
絆創膏を貼った指を見せ、肩を竦める。
「私も、理由はよくわからない。・・・ただ、ルルーシュが“神”に明日が欲しいと願ったから・・・その影響で、ということかもしれん。」
C.C.も曖昧にそういうばかりで、明確な答えを持つ者はいない。
「・・・良いじゃないですか。理由なんて。・・・陛下が生きていらした。それだけで。」
そう呟くセシルに、そうだそうだと皆が頷く。
「・・・あー・・・さっきから気になっていたんだが、陛下と呼ぶのは止せ。もう、皇帝では無いのだし。」
困ったようにルルーシュが言うと、皆が、あ、という顔をする。
「でもぉ~、僕にとって、陛下は陛下だけなんですよぉ・・・皇帝ちゃんも、ナナリー代表も、陛下って感じじゃないんですよねぇ~。」
しかし、ロイドが駄々をこねるように言えば、ルルーシュは更に困ったような表情をうかべる。
「ロイド・・・。」
「私も、主はルルーシュ様ただお1人と、そう思っております。」
「・・・ジェレミア、お前まで・・・。」
「俺も。・・・最後に仕えたのは君だからね・・・。」
スザクが言い出せば、ルルーシュはギョッとしてスザクを見つめる。
「そんな、驚かないでよ。・・・リセットしよう?ルルーシュ。・・・君は1度死んだ。それで、償いは充分じゃないか。」
「でも・・・。」
「スザクの言う通りだよ、ルルーシュだって、明日が欲しかったんでしょう?・・・幸せになったって、良いんだよ。」
ニーナが穏やかに笑みをうかべて諭せば、ルルーシュは息を呑んだ。
ニーナは特に、ユーフェミアの件を赦してはいないのだから、生き返ったルルーシュに複雑な思いを抱えているのではと思っていたからだ。
「・・・赦さないって、言ったよ?でも・・・頭を冷やして、この1年間考えたの。ユーフェミア様ならどう言ったかなって。・・・ねぇ、赦さないって、ユーフェミア様は、ルルーシュに言ったと思う?」
「・・・いや・・・彼女は優しいから・・・。」
ルルーシュが首を振れば、ニーナは満足げに微笑む。
「うん。そうだよね。・・・だから、私もそうすることにした。だって、ルルーシュはちゃんと罰は受けたもの。・・・ね?」
ニーナの言葉に、ルルーシュははにかんだ笑みをうかべた。
「・・・ありがとう、ニーナ。」
「・・・たとえ、世界中の人間がお前を悪逆皇帝だと罵っても、ここにいる者達は、お前の味方だ。」
C.C.が言えば、ルルーシュはうっすらと涙ぐみながら頷く。
「・・・ああ。」
「・・・ところで、ルルーシュ様。こちらに住まわれる予定なのですか?」
ジェレミアが訊ねる。
「・・・ああ。ここは放逐されているからな。それに、帝都とは目と鼻の先だが、灯台もと暗しで、見つかる心配も少ない。」
「だから、こいつの身体もここに置いておけたんだ。」
ルルーシュが答えると、C.Cがそれを補足する。
「・・・まぁ、万が一のことがあっても“ゼロ”の権限を使えば良いしね。」
「スザク、それ、職権乱用。」
アーニャが言うと、スザクはしれっと答える。
「良いさ。少しくらい。」
「そうそう~。ちょっとくらい良いよねぇ~?身を粉にして頑張ってるんだしぃ~。その為の“ゼロ”だもんねぇ~?」
ロイドも楽しそうに手を叩いてスザクに同意するので、セシルや咲世子やニーナは苦笑をうかべる。
「・・・ならばルルーシュ様、もし、お許しいただけるのであれば、週に1度で構いません、拝謁に伺っても宜しいでしょうか?」
ジェレミアが本題を口にすれば、ロイドもはいはい~と手をあげる。
「僕も~、僕も、会いに来たいです~~。」
「それなら、私もロイドさんの面倒を見ながら、一緒に。」
「あ・・・私も、研究の成果とか、見てもらいたいな。」
セシルやニーナまで言いだして、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「良いが、見つからないようにな?」
「「「「了解(です)!!」」」」
4人が声を揃える。
「じゃあ、俺も、会いに来るね。仕事があるし、なかなか来れないとは思うけど。」
「ああ。わかったよ、スザク。」
「・・・私はルルーシュとここに住むぞ。こいつを1人にしておくとろくなことを考えないからな。」
「あ~~~ッ、ずるいよ~!!C.C.!!」
ロイドが地団太を踏むと、C.C.はフフン、と鼻で笑う。
「私は今のところ、フリーだからな。居場所も得に特定しているわけでは無いし。」
「・・・では、私も、ご一緒にさせて頂きます。・・・世話役が1人いた方がよろしいでしょう?」
「ああ~~~!咲世子君まで!?良いなぁぁぁ!!」
C.C.だけに良い思いをさせるかとばかりに咲世子が名乗り出れば、ロイドは更に悔しがった。
「・・・私はオレンジ農園があるからな・・・新鮮なオレンジを届けさせていただきます。ルルーシュ様。」
ジェレミアは諦めの境地でそう言って、アーニャに視線を向ける。
「・・・私も、ジェレミアのオレンジ農園があるから、無理。・・・ちょっと、残念。」
残念そうに言いながらも、オレンジ農園を辞めると言わないアーニャに、ジェレミアは思わず笑みをうかべる。
「・・・ありがとう・・・俺は、幸せ者だな・・・。」
ふふ、と笑って、ルルーシュは目を細める。こんな未来を誰が予想できただろうか。当のルルーシュでさえ、こんな穏やかな日々を迎えられるとは思っていなかったのだ。
「そうだぞ、ルルーシュ。お前は愛されてるんだ。」
C.C.が胸を張って自信たっぷりに言う。
「愛って・・・///」
頬をほんのりと赤く染めたルルーシュに、皆がクスクスと笑う。
1度は諦めた“幸せな明日”。
それが、こんなにも簡単に手に入ったことに、ほんの少し恐怖を覚えたのは、今までこんなに幸せだと思えたことが無かったから。
生きたかった。幸せになりたかった。優しい世界が欲しかった。
“幸せになっても良い”そう言って貰えただけで、嬉しかった。
心から、幸せだと思う。
そして、願う。世界が優しくありますように、と。
おしまい
目次へ戻る →
PR
☆ 目次 ☆
PC・スマホ版目次
こちらから各ページに移動できます♪
TOP : 注意事項など
BLOG : 拍手お返事や創作日記など・・・不定期更新
☆ 感 想 ☆ : 感想書き込みコーナー
MAIN
☆コードギアス☆
*長編(シリーズもの)*
*短編*
☆コードギアス R2☆
*長編(シリーズもの)*
*短編*
☆NARUTO☆
*ここでの木ノ葉*
*長編(シリーズもの)*
*短編*
☆銀魂☆
*長編(シリーズもの)*
☆捧げ物(企画)☆
☆頂き物☆
★ただいまの拍手★
にょたルル(時間軸R2で皇族復帰ver)前提、第17話
CLAP : 拍手゚+。(o'д'ノノ゙☆パチパチパチ。+゚
LINK : 素敵なサイト様へ・・・
GO!!→→→
BLOG : 拍手お返事や創作日記など・・・不定期更新
☆ 感 想 ☆ : 感想書き込みコーナー
MAIN
☆コードギアス☆
*長編(シリーズもの)*
*短編*
☆コードギアス R2☆
*長編(シリーズもの)*
*短編*
☆NARUTO☆
*ここでの木ノ葉*
*長編(シリーズもの)*
*短編*
☆銀魂☆
*長編(シリーズもの)*
☆捧げ物(企画)☆
☆頂き物☆
★ただいまの拍手★
にょたルル(時間軸R2で皇族復帰ver)前提、第17話
CLAP : 拍手゚+。(o'д'ノノ゙☆パチパチパチ。+゚
LINK : 素敵なサイト様へ・・・
GO!!→→→