Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・にょたルルです
・ルル姫はみんなに愛されていますw
・ギャグですww
・いろいろ矛盾がありますが、敢えては書きませんのであしからずw
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
研究棟にやってきた一同は、黒の騎士団の団員達に出迎えられた。
「元気そうだな・・・」
扇がホッとしながら呟く。
「最初は混乱してたの・・・でも、私の事情を理解してくれたら協力するって言ってくれて」
嬉しそうに答えるルルーシュに、扇は溜息をついた。
「・・・最初からそう言ってくれれば・・・」
あんなにも疑心暗鬼になることは無かったのに。そう言葉にしかけて飲み込んだ。
事情が事情だ。あの時点でいきなりカミングアウトされても受け入れられたかどうかわからない。
「ごめん、さっきのは忘れてくれ」
「・・・別に、謝らなくても良いのに。悪いのは黙っていた私よ?」
苦笑をうかべたルルーシュに、扇は首を振る。
「・・・いや、今更だろ?こうして理解したんだし」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
「おーい、姫さーん!」
メイン研究ルームの方から声がかかる。
「ビスマルク、皆をよろしくね?」
「イエス・ユア・ハイネス」
ビスマルクが頷くと、ルルーシュはV.V.を連れてメイン研究ルームに入っていく。
「・・・さて、コイツ等はゲストルームに連れて行くぞ、ビスマルク」
「ああ、そうだな」
C.C.とビスマルクに先導されてゲストルームに向かうことになった一同。
その途中で思わぬ人物とバッタリ行き合うことになった。
「!・・・シュナイゼル殿下!!」
一番早く反応したのはスザクだ。
「・・・やぁ、スザク君。君もルルーシュに真実を教えてもらったんだねェ」
いつもの胡散臭い笑みをうかべたシュナイゼルに、スザクはコクリと頷いた。
「はい、ルルーシュ殿下に対する大きな誤解があったこと・・・それを知らずに責めてしまったことを後悔しています」
「うん、そこまでの気持ちがあるなら大丈夫じゃないかな?」
「・・・何がでしょうか?」
「ん?わかっていてここに来たんじゃないのかい?」
シュナイゼルが首を傾げる。
「C.C.、ビスマルク・・・違う?」
「いや、シュナイゼルの考えている通りだ。・・・スザク、お前はここからコイツ等と別行動だ」
C.C.ががっしりとスザクの腕を掴む。
「・・・ま、待って・・・C.C.・・・こ、心の準備がッ!!」
ここがどこだかようやく理解したらしいスザクは思わずダッシュで逃げ出そうとする。
「まぁまぁ・・・大人しくユーフェミアに怒られるがいいさ」
C.C.がそう言いながら思いの外強い力で部屋の中に引きずり込んでいく。
最後の抵抗とばかりに足を踏ん張っていると、部屋の中からヨロリ、とコーネリアが出てきた。
ギロリ、と血走った目でスザクを睨むように見たコーネリアはドスの利いた声で告げる。
「・・・枢木、行って来い」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえす・ゆあ・はいねす・・・」
ガクリと肩を落としたスザクは、そのままC.C.に部屋の中へと連れ込まれて行ってしまった。
「・・・まぁ、コーネリアのように反論さえしなければ大丈夫だと思うんだけどねェ」
「・・・・・・うぅ・・・ユフィが・・・ユフィがぁ・・・」
ブリタニアの魔女は、未だに復活できないでいたらしい。のほほんと呟きながらスザクを見送ったシュナイゼルの脇で、壁にぴっとりとくっついて嘆いている。
「ところで、ルルーシュはどこだい?」
その場に残った面子を見まわし、シュナイゼルがビスマルクに視線を向けた。
「・・・メイン研究ルームにいらっしゃいます」
「あぁ、伯父上が接続とやらが終わったと言っていたからねェ」
うんうん、と頷いたシュナイゼルの視線が今度は桐原に向けられた。
「・・・キョウト六家のキリハラさん、だね?・・・異母妹が大変世話になったようだ」
「いや・・・ワシはルルーシュ姫を旗頭に使いたかった。ルルーシュ姫がそれを理解したうえでキョウト六家を使ったに過ぎんよ」
「・・・ルルーシュには幼い頃から私が直接戦略を叩き込んだ。あの子がキョウト六家は使えると判断し、実際にキョウト六家はあの子の期待に応えた・・・その事実だけで充分に世話になったと言えるだろう」
敵国の皇女とわかっていて支援をしたのだ。感謝してもしきれない。
「随分と、妹達に対する態度が違うのだな?」
桐原はチラリとコーネリアに視線を向けてからシュナイゼルを見つめる。
「あぁ・・・あの子が一番優秀だったからね。ずっと気にかけてきたんだよ」
実際にはそれだけではないが、ルルーシュの優秀さと負けん気を好ましく思っていたのは事実だ。
ほとんどの兄弟姉妹がシュナイゼルの優秀さに打ちのめされて卑屈になったり憧れの視線を向ける中、ルルーシュだけが次こそは勝つと何度も挑んできたのだ。シュナイゼルにとってそれは新鮮な反応だった。
「父上だってルルーシュが一番のお気に入りだった。クロヴィスもコーネリアもユーフェミアもルルーシュとは仲の良かった兄弟姉妹だからねェ。父上もあの子が生存しているとわかっていたから彼らをエリア11へと向かわせたのだろう・・・まったく、愛情表現が歪んでいるというかなんというか・・・」
ふぅ、と憂い顔で溜息を漏らすシュナイゼル。
―――お前にだけは言われたくない!
当の本人がこの場にいればそうツッコミを入れていたかもしれない。
「シュナイゼル殿下、コーネリア殿下。お二方はこれからどちらに?」
ビスマルクが話題をすりかえる。
「ん?・・・ああ、これからゲストルームに帰ろうと思っていたところなんだよ。彼らも連れて行くのかい?」
「はい」
「では一緒に行こうか。・・・さぁ、コーネリア。行くよ?」
「・・・・・・はい、異母兄上・・・」
笑顔のシュナイゼルと、顔色も悪くヨロヨロとしているコーネリア。対照的な二人が妙に印象深かったと後に黒の騎士団幹部は語ることになる。
ゲストルームに着くと、シュナイゼルはコーネリアを奥の個室に放り込んだ。
「少し休んでいなさい。ルルーシュが戻って来るまでは、やることもないだろう?」
「・・・はい・・・」
全く慰める様子も見せないシュナイゼルに、コーネリアはのろのろと頷いた。
「・・・よろしいのですか?慰めなくても」
皆の元に戻ってきたシュナイゼルにビスマルクが訊ねる。
「なぜ、私がコーネリアを慰めなければならないんだい?」
心底不思議そうに問い返してきたシュナイゼルに、ビスマルクは緩く首を振った。
「清々しいまでのえこ贔屓ですね、見習わせていただきます」
―――見習わんでいい!!
とツッコミを入れたかったが、この場の空気がそれを許さなかったので黒の騎士団の面々はグッと堪えた。
「それにしても、ゼロがルルーシュとはねェ・・・男だという固定観念があったせいかな?私が叩き込んだ戦略も所々で使っていたようなのに、もしやとも思わなかった」
「ルルーシュ姫は演技が得意なようですからな」
桐原が言えば、シュナイゼルは頷く。
「そう、仮面の使い方は私が徹底的に叩き込んだ。あの子達の場合は母親の身分が低かったし、後ろ盾もろくになかったからね。自分の身を守るためには絶対にボロを出すわけにはいかなかったんだよ」
10にも満たない子どもの失態であっても、皇宮では命取りになる。
実際には彼女達の命を狙う者が多い皇宮、ひいてはブリタニアから遠ざけるためだったとはいえ、ルルーシュの発言で皇帝が彼女達を日本への人質にしてしまったことに疑問を抱いた貴族はいなかった。それが皇帝へ暴言を吐いた皇女への罰としては当然のものだと捉えたからだ。
母を失い絶望の淵にあって、父からも見放されるようなことを言われて、それでも冷静でいろという方が難しい。だが、彼女は皇女だったのだ。絶対に何があっても冷静さを失ってはいけなかった。
しかし、それを自業自得と片付ける程、シュナイゼルはルルーシュに冷たくはない。
何を措いても助けに行かなかったのは皇宮内の不穏な空気に気付いていたからだ。あのまま皇宮にいればルルーシュ達の身も危ないと思った。日本に送られたのは丁度良いとさえ考えたのだ。
彼女達が死んだ―――そう聞かされるまでは。
「あの時ほど残念に思ったことはなかったよ。どうして戦争が始まった瞬間に助けに行かなかったのか、とね。・・・父上の動向を見る限りでは危険はないと思っていたんだ・・・実際はそうだったようだけど」
シュナイゼルの話に耳を傾けていたカレンが首を傾げる。
「ちょっと待って・・・じゃあ、アッシュフォードがルルーシュ達をかくまったのは、皇帝の命令?」
「いや、あの子達に命の危険がないように見張っていたのも、キリハラさんと取引をしたのも自発的なもののようだよ。・・・父上があの子の護衛にと派遣したのはC.C.だったそうだ」
「C.C.!?」
「・・・どうやらCの世界とやらで見えるのはそれぞれ違うようだね。私があの世界を通った時はその様子がしっかりと見えたよ。マリアンヌ様がC.C.と連絡を取り合って、ルルーシュを見守るように頼んでいたところがね」
「・・・そんなの見なかったわ」
「Cの世界は、とりとめもなく映し出す中でその人物に必要な情報を見せます。・・・その真実に気付くかどうかは見る者次第ですが」
ビスマルクの補足に、シュナイゼルはふむ、と呟く。
「必要な情報、か。確かにそうなのかもしれないねェ・・・」
「・・・殿下、ただいま戻りました」
そこにカノンがやって来る。
「ああ、カノン。お帰り。・・・紹介しよう、私の副官のカノン・マルディーニだよ」
「・・・黒の騎士団の皆さんですね?お話はかねがね伺っておりますわ。どうぞよろしく」
ニッコリと微笑んだカノンに、黒の騎士団の面々は首を傾げた。
―――あれ?女?男?
「・・・あぁ、何だか君達の考えていることがわかったよ。カノンは男だ。ちょっとばかり女らしいけれどね」
「殿下、ハッキリ仰ってくださって構いませんわよ?」
「ん?でも優秀な副官なのは変わりがないからねェ。オカマです、なんて言えないだろう?」
「・・・・・・・・・言ってますわ、殿下」
「おや、すまない。つい口が滑ったようだ」
「・・・・・・・・・ええ、そう言われる方だとわかっておりますとも」
つい、と視線を逸らしたカノンに、黒の騎士団の面々から同情の視線が送られた。
「・・・コホン、マルディーニ伯は今までどちらに?」
ビスマルクが空気を読んで話題をすりかえる。
「あ、ええ・・・殿下に頼まれて、姫様・・・ルルーシュ様への貢も・・・プレゼントを取りに皇宮へ」
カミカミで答えるカノン。少し動揺しているらしい。
「・・・姫殿下のご機嫌とりですか?・・・一体何をなさったんです、シュナイゼル殿下」
じろり、とビスマルクがシュナイゼルを睨む。
「悪いことなんてしてないよ。・・・ただ、ちょっと・・・伯父上と契約しただけだ」
「・・・・・・つまり、ギアスを得た、と?」
ビスマルクの眉間にしわが寄る。それがただ単に興味からの所業ならば許してはおけない。ルルーシュがどれ程に悲しむと思っているのか。
「・・・興味があったっていうのも本音なんだけどね。でも、ルルーシュの力になれるんじゃないかと思ったんだよ。ギアスは・・・得る人間の性質を表すという・・・なら、私が得るギアスはなんとなくわかる。私はね、意外と賭けに強いんだ」
目を細めて笑うシュナイゼルに、ビスマルクは溜息をついた。
「それで・・・どのようなギアスを手に入れられたのですか?」
「ふふ・・・内緒だよ」
「・・・それはもう、えげつないギアスでしたわ」
「おやおや、根に持つね?カノン」
「・・・・・・あんなギアスだとは思いもしませんでしたわ。命令型というよりも暗示型に近いものを感じました」
「うん、どっちなんだろうねェ?」
ニコニコと笑いながら応じるシュナイゼルに、カノンは深い溜息をついた。
「・・・殿下、最近意地悪ですわ・・・」
「そうかい?・・・元からだと思うけどねェ」
聖人君子のような顔をしておいて、かなりイイ性格をしている。
黒の騎士団の面々の中で、シュナイゼルのイメージが180℃変わった瞬間だった。
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研究棟にやってきた一同は、黒の騎士団の団員達に出迎えられた。
「元気そうだな・・・」
扇がホッとしながら呟く。
「最初は混乱してたの・・・でも、私の事情を理解してくれたら協力するって言ってくれて」
嬉しそうに答えるルルーシュに、扇は溜息をついた。
「・・・最初からそう言ってくれれば・・・」
あんなにも疑心暗鬼になることは無かったのに。そう言葉にしかけて飲み込んだ。
事情が事情だ。あの時点でいきなりカミングアウトされても受け入れられたかどうかわからない。
「ごめん、さっきのは忘れてくれ」
「・・・別に、謝らなくても良いのに。悪いのは黙っていた私よ?」
苦笑をうかべたルルーシュに、扇は首を振る。
「・・・いや、今更だろ?こうして理解したんだし」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
「おーい、姫さーん!」
メイン研究ルームの方から声がかかる。
「ビスマルク、皆をよろしくね?」
「イエス・ユア・ハイネス」
ビスマルクが頷くと、ルルーシュはV.V.を連れてメイン研究ルームに入っていく。
「・・・さて、コイツ等はゲストルームに連れて行くぞ、ビスマルク」
「ああ、そうだな」
C.C.とビスマルクに先導されてゲストルームに向かうことになった一同。
その途中で思わぬ人物とバッタリ行き合うことになった。
「!・・・シュナイゼル殿下!!」
一番早く反応したのはスザクだ。
「・・・やぁ、スザク君。君もルルーシュに真実を教えてもらったんだねェ」
いつもの胡散臭い笑みをうかべたシュナイゼルに、スザクはコクリと頷いた。
「はい、ルルーシュ殿下に対する大きな誤解があったこと・・・それを知らずに責めてしまったことを後悔しています」
「うん、そこまでの気持ちがあるなら大丈夫じゃないかな?」
「・・・何がでしょうか?」
「ん?わかっていてここに来たんじゃないのかい?」
シュナイゼルが首を傾げる。
「C.C.、ビスマルク・・・違う?」
「いや、シュナイゼルの考えている通りだ。・・・スザク、お前はここからコイツ等と別行動だ」
C.C.ががっしりとスザクの腕を掴む。
「・・・ま、待って・・・C.C.・・・こ、心の準備がッ!!」
ここがどこだかようやく理解したらしいスザクは思わずダッシュで逃げ出そうとする。
「まぁまぁ・・・大人しくユーフェミアに怒られるがいいさ」
C.C.がそう言いながら思いの外強い力で部屋の中に引きずり込んでいく。
最後の抵抗とばかりに足を踏ん張っていると、部屋の中からヨロリ、とコーネリアが出てきた。
ギロリ、と血走った目でスザクを睨むように見たコーネリアはドスの利いた声で告げる。
「・・・枢木、行って来い」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえす・ゆあ・はいねす・・・」
ガクリと肩を落としたスザクは、そのままC.C.に部屋の中へと連れ込まれて行ってしまった。
「・・・まぁ、コーネリアのように反論さえしなければ大丈夫だと思うんだけどねェ」
「・・・・・・うぅ・・・ユフィが・・・ユフィがぁ・・・」
ブリタニアの魔女は、未だに復活できないでいたらしい。のほほんと呟きながらスザクを見送ったシュナイゼルの脇で、壁にぴっとりとくっついて嘆いている。
「ところで、ルルーシュはどこだい?」
その場に残った面子を見まわし、シュナイゼルがビスマルクに視線を向けた。
「・・・メイン研究ルームにいらっしゃいます」
「あぁ、伯父上が接続とやらが終わったと言っていたからねェ」
うんうん、と頷いたシュナイゼルの視線が今度は桐原に向けられた。
「・・・キョウト六家のキリハラさん、だね?・・・異母妹が大変世話になったようだ」
「いや・・・ワシはルルーシュ姫を旗頭に使いたかった。ルルーシュ姫がそれを理解したうえでキョウト六家を使ったに過ぎんよ」
「・・・ルルーシュには幼い頃から私が直接戦略を叩き込んだ。あの子がキョウト六家は使えると判断し、実際にキョウト六家はあの子の期待に応えた・・・その事実だけで充分に世話になったと言えるだろう」
敵国の皇女とわかっていて支援をしたのだ。感謝してもしきれない。
「随分と、妹達に対する態度が違うのだな?」
桐原はチラリとコーネリアに視線を向けてからシュナイゼルを見つめる。
「あぁ・・・あの子が一番優秀だったからね。ずっと気にかけてきたんだよ」
実際にはそれだけではないが、ルルーシュの優秀さと負けん気を好ましく思っていたのは事実だ。
ほとんどの兄弟姉妹がシュナイゼルの優秀さに打ちのめされて卑屈になったり憧れの視線を向ける中、ルルーシュだけが次こそは勝つと何度も挑んできたのだ。シュナイゼルにとってそれは新鮮な反応だった。
「父上だってルルーシュが一番のお気に入りだった。クロヴィスもコーネリアもユーフェミアもルルーシュとは仲の良かった兄弟姉妹だからねェ。父上もあの子が生存しているとわかっていたから彼らをエリア11へと向かわせたのだろう・・・まったく、愛情表現が歪んでいるというかなんというか・・・」
ふぅ、と憂い顔で溜息を漏らすシュナイゼル。
―――お前にだけは言われたくない!
当の本人がこの場にいればそうツッコミを入れていたかもしれない。
「シュナイゼル殿下、コーネリア殿下。お二方はこれからどちらに?」
ビスマルクが話題をすりかえる。
「ん?・・・ああ、これからゲストルームに帰ろうと思っていたところなんだよ。彼らも連れて行くのかい?」
「はい」
「では一緒に行こうか。・・・さぁ、コーネリア。行くよ?」
「・・・・・・はい、異母兄上・・・」
笑顔のシュナイゼルと、顔色も悪くヨロヨロとしているコーネリア。対照的な二人が妙に印象深かったと後に黒の騎士団幹部は語ることになる。
ゲストルームに着くと、シュナイゼルはコーネリアを奥の個室に放り込んだ。
「少し休んでいなさい。ルルーシュが戻って来るまでは、やることもないだろう?」
「・・・はい・・・」
全く慰める様子も見せないシュナイゼルに、コーネリアはのろのろと頷いた。
「・・・よろしいのですか?慰めなくても」
皆の元に戻ってきたシュナイゼルにビスマルクが訊ねる。
「なぜ、私がコーネリアを慰めなければならないんだい?」
心底不思議そうに問い返してきたシュナイゼルに、ビスマルクは緩く首を振った。
「清々しいまでのえこ贔屓ですね、見習わせていただきます」
―――見習わんでいい!!
とツッコミを入れたかったが、この場の空気がそれを許さなかったので黒の騎士団の面々はグッと堪えた。
「それにしても、ゼロがルルーシュとはねェ・・・男だという固定観念があったせいかな?私が叩き込んだ戦略も所々で使っていたようなのに、もしやとも思わなかった」
「ルルーシュ姫は演技が得意なようですからな」
桐原が言えば、シュナイゼルは頷く。
「そう、仮面の使い方は私が徹底的に叩き込んだ。あの子達の場合は母親の身分が低かったし、後ろ盾もろくになかったからね。自分の身を守るためには絶対にボロを出すわけにはいかなかったんだよ」
10にも満たない子どもの失態であっても、皇宮では命取りになる。
実際には彼女達の命を狙う者が多い皇宮、ひいてはブリタニアから遠ざけるためだったとはいえ、ルルーシュの発言で皇帝が彼女達を日本への人質にしてしまったことに疑問を抱いた貴族はいなかった。それが皇帝へ暴言を吐いた皇女への罰としては当然のものだと捉えたからだ。
母を失い絶望の淵にあって、父からも見放されるようなことを言われて、それでも冷静でいろという方が難しい。だが、彼女は皇女だったのだ。絶対に何があっても冷静さを失ってはいけなかった。
しかし、それを自業自得と片付ける程、シュナイゼルはルルーシュに冷たくはない。
何を措いても助けに行かなかったのは皇宮内の不穏な空気に気付いていたからだ。あのまま皇宮にいればルルーシュ達の身も危ないと思った。日本に送られたのは丁度良いとさえ考えたのだ。
彼女達が死んだ―――そう聞かされるまでは。
「あの時ほど残念に思ったことはなかったよ。どうして戦争が始まった瞬間に助けに行かなかったのか、とね。・・・父上の動向を見る限りでは危険はないと思っていたんだ・・・実際はそうだったようだけど」
シュナイゼルの話に耳を傾けていたカレンが首を傾げる。
「ちょっと待って・・・じゃあ、アッシュフォードがルルーシュ達をかくまったのは、皇帝の命令?」
「いや、あの子達に命の危険がないように見張っていたのも、キリハラさんと取引をしたのも自発的なもののようだよ。・・・父上があの子の護衛にと派遣したのはC.C.だったそうだ」
「C.C.!?」
「・・・どうやらCの世界とやらで見えるのはそれぞれ違うようだね。私があの世界を通った時はその様子がしっかりと見えたよ。マリアンヌ様がC.C.と連絡を取り合って、ルルーシュを見守るように頼んでいたところがね」
「・・・そんなの見なかったわ」
「Cの世界は、とりとめもなく映し出す中でその人物に必要な情報を見せます。・・・その真実に気付くかどうかは見る者次第ですが」
ビスマルクの補足に、シュナイゼルはふむ、と呟く。
「必要な情報、か。確かにそうなのかもしれないねェ・・・」
「・・・殿下、ただいま戻りました」
そこにカノンがやって来る。
「ああ、カノン。お帰り。・・・紹介しよう、私の副官のカノン・マルディーニだよ」
「・・・黒の騎士団の皆さんですね?お話はかねがね伺っておりますわ。どうぞよろしく」
ニッコリと微笑んだカノンに、黒の騎士団の面々は首を傾げた。
―――あれ?女?男?
「・・・あぁ、何だか君達の考えていることがわかったよ。カノンは男だ。ちょっとばかり女らしいけれどね」
「殿下、ハッキリ仰ってくださって構いませんわよ?」
「ん?でも優秀な副官なのは変わりがないからねェ。オカマです、なんて言えないだろう?」
「・・・・・・・・・言ってますわ、殿下」
「おや、すまない。つい口が滑ったようだ」
「・・・・・・・・・ええ、そう言われる方だとわかっておりますとも」
つい、と視線を逸らしたカノンに、黒の騎士団の面々から同情の視線が送られた。
「・・・コホン、マルディーニ伯は今までどちらに?」
ビスマルクが空気を読んで話題をすりかえる。
「あ、ええ・・・殿下に頼まれて、姫様・・・ルルーシュ様への貢も・・・プレゼントを取りに皇宮へ」
カミカミで答えるカノン。少し動揺しているらしい。
「・・・姫殿下のご機嫌とりですか?・・・一体何をなさったんです、シュナイゼル殿下」
じろり、とビスマルクがシュナイゼルを睨む。
「悪いことなんてしてないよ。・・・ただ、ちょっと・・・伯父上と契約しただけだ」
「・・・・・・つまり、ギアスを得た、と?」
ビスマルクの眉間にしわが寄る。それがただ単に興味からの所業ならば許してはおけない。ルルーシュがどれ程に悲しむと思っているのか。
「・・・興味があったっていうのも本音なんだけどね。でも、ルルーシュの力になれるんじゃないかと思ったんだよ。ギアスは・・・得る人間の性質を表すという・・・なら、私が得るギアスはなんとなくわかる。私はね、意外と賭けに強いんだ」
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「それで・・・どのようなギアスを手に入れられたのですか?」
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