Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・カレルルでデート!
・デート中にディートとスザクの妨害が!
・ギャグ!
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「カレン・・・日曜日は、その・・・空いているか?」
「えっ・・・ええ。作戦が無いなら、大丈夫だけど・・・。」
廊下で擦れ違いざまにルルーシュに腕を掴まれて、階段の脇に連れて行かれたかと思ったら、そんなことを言われてカレンはドギマギとしながら答える。
「・・・じゃあ、一緒に出かけよう。」
ルルーシュは至って真面目に言っている。それがわかって、カレンはコクンと頷いた。
「・・・良かった。・・・じゃあ、日曜日朝10時に、校門前で。」
「ええ。」
嬉しそうに笑むルルーシュを見て、カレンも表情を和らげる。
「ルルーシュ~~~ッ(泣)」
遠くの方で、リヴァルが叫んでいる。それにハッとしたルルーシュが、バツの悪そうな顔をする。
「スザクの足止め頼んだんだ。・・・ごめん、じゃあ。」
「わかったわ。」
ルルーシュの背を見送ったカレンは、しばらく夢見心地の状態でそのまま突っ立っていたのだが、ふと我に返って、心の中で叫んだ。
「(これって、デートのお誘い!!?)」
そう気付いてしまったら、平常心ではいられなくなってしまい、ルルーシュのいる教室になど戻れるわけもなく。結局カレンは、そのまま仮病を使って早退をしてしまった。
黒の騎士団アジト・幹部達のラウンジ
「・・・ど、どうしようッ///」
昼前にアジトへやって来たカレンが、かなり動揺した様子だったので、旧扇グループの幹部達は色めきたった。
「・・・ど、どうした、カレン?」
「学校で何かあったのか?」
「カレン?」
口々に問う幹部達の前で、カレンはへなへなとその場に座り込んだ。
「・・・る、ルルーシュに、デートに誘われましたぁ~///」
その言葉に、幹部達はそうかそうか、デートか、と納得しかけて、ハッとする。
「「「「な、何~~~~っっっ!」」」」
― あの鈍感皇子が、カレンをデートに誘うなんて!!!
全員の心が一致した瞬間だった。
ようやく落ち着いた様子のカレンに飲み物を渡しつつ、井上は苦笑をうかべる。
「(デートに誘われて、こんなに動揺するなんて、本当に初心よねぇ♪)・・・さて。デートに誘われたって言ったけど、どこに行くの?」
「へっ・・・あ、その・・・学園の中だったからかな・・・どこに行くかは言わなかったんです///」
ほんのりと頬を紅潮させて、カレンは俯く。その姿を見て、井上はくつくつと肩を震わせて笑う。
「・・・そ。・・・じゃあ、当日はゼロにお任せってことね?」
「・・・は、はい///」
普段、黒の騎士団のエースとして、紅蓮弐式を駆っている時とは全く違う妹分の姿に、井上はついついお節介ながらも応援したくなってしまう。
「いつ行くかは決まってるんでしょ?着る服は決めた?」
「・・・はい。日曜日に・・・服は・・・い、井上さん、私、何着れば良いでしょうか?デートなんて、初めてで・・・。」
「そうね~・・・カレンの好きな服を着れば良いと思うわ。だって、ゼロはカレンがカレンだから好きでいてくれるんでしょ?なら、別人のようになる必要って、ないと思うの。」
こくん、とカレンは頷く。井上の言っていることは尤もだ、と思ったからだ。それに、ルルーシュにはカレンの色々な部分を見られている。今更取り繕ったって、彼の眼には異様にしか映らないだろう。
「・・・ありがとうございます。井上さん。」
「いいえ。・・・デート、頑張ってねv」
「~っ///・・・はいッ。」
井上に改めて言われて、ますます頬を紅潮させたカレンだったが、素直に頷き、ラウンジから出ていく。
それを見送ってから、井上はラウンジの後方を向いて叫んだ。
「・・・ええい!女々しい!!妹分の幸せをどうして喜べないのッ!!」
そう。ルルーシュとカレンがデートということで、かなり複雑な思いを抱いたらしい男共が、いじいじといじけていたのである。(カレンの視界には入っていなかったらしい;)
曰く。カレンのことは本当の妹みたいで可愛い。ルルーシュのこともあのほっとけない所がとっても可愛い。つまり、両方を可愛いと思っているわけだが、その2人が本気でくっついてしまうのも淋しいらしい。
「まったく、しょうもないわね。」
呆れる井上の声がラウンジに響く。だが、その場にいたのは何も旧扇グループだけではなかった。ラウンジを覗く影。それに井上が気付くことは最後まで無かった。
日曜日・アッシュフォード学園校門前
休みの日だからか、学園内は閑散としている。校門で1人待ちながら、カレンはそわそわと辺りを窺っていた。
「・・・会長達に見つかりでもしたら・・・絶対からかわれるッ。」
だからこそ、ルルーシュもこそこそと隠れるようにして、デートに誘ったのだろう。それがわかっているから、カレンもなるべく学園では平静を装うようにしていた。が、やはりルルーシュの傍に行けば、動きはぎくしゃくとしてしまう。ルルーシュの猫かぶりに慣れた生徒会の面々は、そんなカレンの様子に絶対気付いていたはずだ。
「でも、今日デートとか、絶対、わかんないだろうしッ・・・。」
「・・・何が?」
「○×▽□○×△ッッッッ~!!!?」
突如、背後から声をかけられて、カレンは声にならない悲鳴をあげて後ろを振り返る。
「・・・か、カレン?どうしたんだ?」
そんなカレンを見て、慌てたのは、声をかけてきた相手・・・ルルーシュだった。
「な・・・何でもないッ・・・ちょ、ちょっと驚いただけ・・・。」
胸のあたりを押さえてそう言ったカレンに、ルルーシュはほんの少し首を傾げて、そうか?と呟いた。
「・・・なら良いんだが。・・・あ、ええと、待たせてしまってすまない。」
不審そうにしながらも、律儀に謝ってくれるルルーシュが愛しい。
あのまま、ルルーシュの本当を知らないでいたら、こんなところもあるんだと知らないまま、嫌い続けていたのかもしれない。そう思うと、桐原のお節介にはいくら感謝しても足りないくらいだ。
もちろん、ルルーシュの可愛いうっかりにも感謝だ。そうでなかったら、今頃はまだ、ゼロとその親衛隊隊長、生徒会の仲間、それだけの関係だったのだから。
「ううん。全然・・・待ってないわ。」
そう言いつつ、カレンは何だか恋人みたい(実際恋人だが)と思う。
「ふふ・・・なんだか、今更だが、ようやく恋人らしいことをしているな。俺達は。」
ルルーシュもカレンと同様のことを思ったらしく、はにかんだ笑みでそう言ってくれる。
「そうね///」
急に気恥かしくなって、カレンはスッとルルーシュから目を逸らした。と、その時、カレンの目には見たくないものが映ってしまった。
「(でぃ・・・でぃーとはるとぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!?)」
物陰に隠れていたディートハルトとバッチリ目が合ってしまい、さぁ~っと顔を青褪めさせるカレンに、ルルーシュは首を捻る。
「どうしたんだ?」
「・・・い、いいえ!・・・い、行きましょ、ルルーシュ。」
「あ、ああ?」
グイッとルルーシュの腕に自分の腕をからめて、カレンは“それ”に背を向けて歩き出す。
「・・・で、どこに行くか、わかってるのか?」
「う・・・知らない。」
勢いに任せた行動だった為に、今更な質問をされて、カレンは呻く。
「・・・ふふ。しょうがないな。」
苦笑したルルーシュは、今度は自分が前に出て、カレンをエスコートし始める。さすが元皇族。レディの扱いはお手の物なのだろう、とカレンは変な感心をしてしまった。
そしてやって来た、租界のショッピングモール。何か買いたいものがあるのかと聞けば、ルルーシュはあっけらかんと答えた。
「デートと言えば、ショッピングなんだろう?」
どうやら、どこかで仕入れてきた情報を元に行動しているらしいとわかって、カレンは苦笑してしまう。ルルーシュは根っからのマニュアル人間のようだった。
「そうね。・・・じゃあ、ナナリーちゃんに何かお土産でも買っていきましょうか。今日は、お留守番してくれてるんでしょ?」
「!・・・ああ、そう、だな。」
ナナリーの名前を出せば、ほんの少し驚いた様子でカレンを見て、ルルーシュは優しい笑みをうかべる。
「・・・カレン。」
「ん~?」
ナナリーのお土産をと、品定めを始めたカレンに、ルルーシュは呟くように言う。
「・・・本当に、ありがとう。」
改めて礼を言われて、カレンは弾かれたようにルルーシュの方を向く。
「な、何?いきなり・・・。」
「・・・いや。だって、カレンはナナリーのことをいつだって気にかけてくれるだろう?」
「だって、ナナリーちゃんは、ルルーシュの大切な妹でしょう?私が貴方が、その“あの行動”を取るようになった理由を理解したのだって、それがナナリーちゃんの為って気付いたからなのよ?」
照れ隠しのせいか、少し怒ったように早口で言うと、カレンはさっさと近くにあった店の中に入り込んでしまった。
「・・・それでも、俺は、君の言葉に、こんなに救われてる・・・。」
ルルーシュはぽつりと呟いて、それから、店の外に陳列しているアクセサリー類に目をやる。
「・・・こういうの、あんまりつけてないけど・・・女の子だし、興味はあるよな・・・。」
いつだって、ルルーシュの事情を優先してくれるカレンに、たまには報いたい。そう思って勇気を出してデートに誘った。
だから、カレンが純粋に喜んでくれているようで、ルルーシュはそれだけで嬉しかった。それなのに、留守番をしているナナリーにまで気を配ってくれるカレンに、もう、涙を流して喜びたい気持ちに駆られていた。
ルルーシュは、アクセサリーを眺めながら、ある1つの髪飾りに視線が止まった。大きな翡翠色の石がはめられているシルバーの髪飾り。きっと、彼女の緋色の髪に映えるだろうと考え、ルルーシュは即決した。
「・・・すみません、これ、下さい。」
一方、店の中に入ったカレンは、はぁ~と溜め息をついた。
「・・・また、可愛気のない言い方しちゃった・・・もう、なんで、私はこうなのよ・・・。」
それに、店の外にルルーシュを置いてきぼりにしてしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいになりつつも、頭を冷やす意味で、ナナリーへのお土産を選ぼうと棚を見て回る。
「それにしても、デート中にナナリーの名前を持ち出すってどうなのかな。」
「っ!?」
何の気配も感じさせずに背後にいた者からの言葉に、カレンはギョッとして振り返る。
「・・・ね?カレン。そう思わなかった?」
「・・・スザク・・・あんたねぇ・・・。」
イラッとしたのは当然だと思って貰いたい。まさか、ディートハルトだけでなく、こいつまで邪魔しに来ているとは!!ディートハルトはとりあえず実害無しだが、こいつは実害ありまくりだ。
睨むカレンに、スザクはしれっとしている。
「・・・なに?デートの邪魔するなって?・・・冗談じゃない。このまま黒の騎士団に連れて行かれてもたまらないからね。監視だよ監視。」
スザクの言い様に、カレンは以前、スザクを挑発してしまったこと(※『親愛なる貴方』参照)を激しく後悔した。
「・・・ルルーシュに見つかれば、嫌われるわよ。」
「・・・・・・う。」
最後の手段とばかりに呟けば、スザクが呻く。
「安心しなさいよ。別に、ルルーシュを黒の騎士団に無理やり連れてくなんてしないから。(元々黒の騎士団はルルーシュのものだし。)だから、邪魔しないで。これはルルーシュの好意なの。私の我儘じゃないの。わかったら、さっさとどっか行ってよ。」
シッシッと犬でも追い払うようなカレンの仕草にムッとしつつも、ルルーシュに嫌われたくない一心で、スザクは姿を消す。
「・・・ったく、あれだけ気配に聡いルルーシュに気付かれずに私に近づくなんて、どんだけ人間離れしてるのよ。」
呆れたように呟いて、カレンは小さなオルゴールを手に取る。
「・・・これなら、音が出るし、ナナリーちゃんも楽しめるわよね。」
フッと口元を綻ばせる。デート中にナナリーの名を出したのはどうか、などとスザクは言っていたが、カレンはそうは思わなかった。だって、ナナリーがルルーシュの全てだから。
だから、ナナリーに留守番をさせてまでデートに誘ってくれたルルーシュのその気持ちが嬉しかったから。きっと、ルルーシュ自身にお礼を言ったって、意味が無いのだ。ナナリーを労うことこそが、ルルーシュにとって一番嬉しいことなのだから。
「すみませ~ん、これ、下さい!!」
カレンはそのオルゴールを握りしめて、レジへと向かった。
カレンが店の外に出ると、ルルーシュがにこやかに出迎えた。
「店の中はどうだった?」
「うん。(あの邪魔さえ入らなければ)いっぱいイイのがあったわよ。ルルーシュも入れば良かったのに。」
「ああ、俺は・・・外で売ってる物の方が良かったから・・・。」
見ると、ルルーシュの手には小さな紙袋が乗っていて。ナナリーに渡すのだろうかとカレンの表情が緩む。
「・・・ふぅん、何買ったの?」
「髪飾り・・・。」
ルルーシュの選択に、カレンはあれ?と思う。ナナリーへのお土産にしては、気配りが無い。どんなに美しいものでも、ナナリーには見えないのだ。だから、音色が楽しめたり、実用的な物だったりの方が、ナナリーは喜ぶ。
「・・・ルルーシュ・・・。」
不審げな表情をうかべたカレンに、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「君にだよ、カレン。」
「へッ!?」
思わず素っ頓狂な声をあげて、カレンはルルーシュを見上げる。
「君に・・・プレゼントのつもりなんだけど・・・。」
ルルーシュが差し出した紙袋を、カレンは震える手で受け取る。
「・・・中、見ても良い?」
「ああ。」
ルルーシュが頷くのを見て、カレンはその紙袋を裂かないように開ける。
「・・・わぁ・・・キレイ・・・。」
カレンが感嘆の声をあげる。
シルバーに翡翠色の石がはまった、美しい髪飾り。
「君の緋色の髪に、絶対似合うと思って。」
照れくさそうなルルーシュの言葉に、カレンは思いっきり感動してしまう。
「~~~~~~っ///あ、ありがとう~~!」
大きな瞳に涙をたくさん溜めてそう言うカレンに、ルルーシュはハンカチを渡す。
「何も泣かなくたって・・・。ほら、せっかくのショッピングモールだ。他にも何かイイ物がないか、見てみよう。」
受け取ったハンカチで涙を拭くカレンに、すらりとした綺麗な指の、大きな手が差し出される。
いつもは、ナナリーを守るこの手が、自分に向けられている。今、この瞬間だけ、ルルーシュはカレンの為だけにいる。それはとても貴重なことだった。カレンはにっこりと微笑んで、その手を取る。
「・・・デートは、やっぱり、手を握らないとな。」
ぽつり、と言ったルルーシュに苦笑が漏れるが、それでもカレンは構わなかった。カレンとのデートの為に、一生懸命調べてくれたのだろうから。
「ルルーシュ。」
「ん?」
名を呼べば、視線をこちらに向けてくるルルーシュに、カレンはとびっきりの笑顔を向けた。
「今日はありがとう!」
「・・・ふふ、いきなりなんだ?・・・デートはまだまだこれからだぞ?」
「わかってるわ。・・・ルルーシュ、バテないでね?」
「もちろん。その為にモール内は入念にチェック済みだ。」
「っぷ、あはは!やだ、もう!ルルーシュったらッ。」
「大真面目だぞ。俺は。」
「うんうん・・・わかってるってば。」
憮然とするルルーシュに、カレンの笑いが止まらない。最初は困ったようにしていたルルーシュだが、カレンが楽しそうなので良いか、と開き直り、一緒に笑いだす。
「ククク・・・。」
そんな2人が笑いながら進む様子を、ディートハルトが懸命にビデオに収めていた。
「・・・殿下ぁ・・・何と、楽しそうにぃぃぃ・・・紅月さん!羨ましすぎです!!」
呻くその怪しい人物が、一般客の目にとまれば、通報されること間違い無しだが、そこはジャーナリスト。何とも巧妙に隠れながら撮っているので、一般客に見つかることは無かった。
そして、もう1人の邪魔者は・・・。
「・・・何でカレン?どうしてカレン?・・・やだなー。腹立つなー。僕だって、ルルーシュのこと大好きなのにー・・・。」
店の陰から2人を覗き見ながら、ぼそぼそと呟く姿が、目撃されたが、彼の皇女の騎士だということがよく知られていたためか、皆、素知らぬふりをして通り過ぎていったのだった。
おしまい
長編目次に戻る→
・カレルルでデート!
・デート中にディートとスザクの妨害が!
・ギャグ!
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「カレン・・・日曜日は、その・・・空いているか?」
「えっ・・・ええ。作戦が無いなら、大丈夫だけど・・・。」
廊下で擦れ違いざまにルルーシュに腕を掴まれて、階段の脇に連れて行かれたかと思ったら、そんなことを言われてカレンはドギマギとしながら答える。
「・・・じゃあ、一緒に出かけよう。」
ルルーシュは至って真面目に言っている。それがわかって、カレンはコクンと頷いた。
「・・・良かった。・・・じゃあ、日曜日朝10時に、校門前で。」
「ええ。」
嬉しそうに笑むルルーシュを見て、カレンも表情を和らげる。
「ルルーシュ~~~ッ(泣)」
遠くの方で、リヴァルが叫んでいる。それにハッとしたルルーシュが、バツの悪そうな顔をする。
「スザクの足止め頼んだんだ。・・・ごめん、じゃあ。」
「わかったわ。」
ルルーシュの背を見送ったカレンは、しばらく夢見心地の状態でそのまま突っ立っていたのだが、ふと我に返って、心の中で叫んだ。
「(これって、デートのお誘い!!?)」
そう気付いてしまったら、平常心ではいられなくなってしまい、ルルーシュのいる教室になど戻れるわけもなく。結局カレンは、そのまま仮病を使って早退をしてしまった。
黒の騎士団アジト・幹部達のラウンジ
「・・・ど、どうしようッ///」
昼前にアジトへやって来たカレンが、かなり動揺した様子だったので、旧扇グループの幹部達は色めきたった。
「・・・ど、どうした、カレン?」
「学校で何かあったのか?」
「カレン?」
口々に問う幹部達の前で、カレンはへなへなとその場に座り込んだ。
「・・・る、ルルーシュに、デートに誘われましたぁ~///」
その言葉に、幹部達はそうかそうか、デートか、と納得しかけて、ハッとする。
「「「「な、何~~~~っっっ!」」」」
― あの鈍感皇子が、カレンをデートに誘うなんて!!!
全員の心が一致した瞬間だった。
ようやく落ち着いた様子のカレンに飲み物を渡しつつ、井上は苦笑をうかべる。
「(デートに誘われて、こんなに動揺するなんて、本当に初心よねぇ♪)・・・さて。デートに誘われたって言ったけど、どこに行くの?」
「へっ・・・あ、その・・・学園の中だったからかな・・・どこに行くかは言わなかったんです///」
ほんのりと頬を紅潮させて、カレンは俯く。その姿を見て、井上はくつくつと肩を震わせて笑う。
「・・・そ。・・・じゃあ、当日はゼロにお任せってことね?」
「・・・は、はい///」
普段、黒の騎士団のエースとして、紅蓮弐式を駆っている時とは全く違う妹分の姿に、井上はついついお節介ながらも応援したくなってしまう。
「いつ行くかは決まってるんでしょ?着る服は決めた?」
「・・・はい。日曜日に・・・服は・・・い、井上さん、私、何着れば良いでしょうか?デートなんて、初めてで・・・。」
「そうね~・・・カレンの好きな服を着れば良いと思うわ。だって、ゼロはカレンがカレンだから好きでいてくれるんでしょ?なら、別人のようになる必要って、ないと思うの。」
こくん、とカレンは頷く。井上の言っていることは尤もだ、と思ったからだ。それに、ルルーシュにはカレンの色々な部分を見られている。今更取り繕ったって、彼の眼には異様にしか映らないだろう。
「・・・ありがとうございます。井上さん。」
「いいえ。・・・デート、頑張ってねv」
「~っ///・・・はいッ。」
井上に改めて言われて、ますます頬を紅潮させたカレンだったが、素直に頷き、ラウンジから出ていく。
それを見送ってから、井上はラウンジの後方を向いて叫んだ。
「・・・ええい!女々しい!!妹分の幸せをどうして喜べないのッ!!」
そう。ルルーシュとカレンがデートということで、かなり複雑な思いを抱いたらしい男共が、いじいじといじけていたのである。(カレンの視界には入っていなかったらしい;)
曰く。カレンのことは本当の妹みたいで可愛い。ルルーシュのこともあのほっとけない所がとっても可愛い。つまり、両方を可愛いと思っているわけだが、その2人が本気でくっついてしまうのも淋しいらしい。
「まったく、しょうもないわね。」
呆れる井上の声がラウンジに響く。だが、その場にいたのは何も旧扇グループだけではなかった。ラウンジを覗く影。それに井上が気付くことは最後まで無かった。
日曜日・アッシュフォード学園校門前
休みの日だからか、学園内は閑散としている。校門で1人待ちながら、カレンはそわそわと辺りを窺っていた。
「・・・会長達に見つかりでもしたら・・・絶対からかわれるッ。」
だからこそ、ルルーシュもこそこそと隠れるようにして、デートに誘ったのだろう。それがわかっているから、カレンもなるべく学園では平静を装うようにしていた。が、やはりルルーシュの傍に行けば、動きはぎくしゃくとしてしまう。ルルーシュの猫かぶりに慣れた生徒会の面々は、そんなカレンの様子に絶対気付いていたはずだ。
「でも、今日デートとか、絶対、わかんないだろうしッ・・・。」
「・・・何が?」
「○×▽□○×△ッッッッ~!!!?」
突如、背後から声をかけられて、カレンは声にならない悲鳴をあげて後ろを振り返る。
「・・・か、カレン?どうしたんだ?」
そんなカレンを見て、慌てたのは、声をかけてきた相手・・・ルルーシュだった。
「な・・・何でもないッ・・・ちょ、ちょっと驚いただけ・・・。」
胸のあたりを押さえてそう言ったカレンに、ルルーシュはほんの少し首を傾げて、そうか?と呟いた。
「・・・なら良いんだが。・・・あ、ええと、待たせてしまってすまない。」
不審そうにしながらも、律儀に謝ってくれるルルーシュが愛しい。
あのまま、ルルーシュの本当を知らないでいたら、こんなところもあるんだと知らないまま、嫌い続けていたのかもしれない。そう思うと、桐原のお節介にはいくら感謝しても足りないくらいだ。
もちろん、ルルーシュの可愛いうっかりにも感謝だ。そうでなかったら、今頃はまだ、ゼロとその親衛隊隊長、生徒会の仲間、それだけの関係だったのだから。
「ううん。全然・・・待ってないわ。」
そう言いつつ、カレンは何だか恋人みたい(実際恋人だが)と思う。
「ふふ・・・なんだか、今更だが、ようやく恋人らしいことをしているな。俺達は。」
ルルーシュもカレンと同様のことを思ったらしく、はにかんだ笑みでそう言ってくれる。
「そうね///」
急に気恥かしくなって、カレンはスッとルルーシュから目を逸らした。と、その時、カレンの目には見たくないものが映ってしまった。
「(でぃ・・・でぃーとはるとぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!?)」
物陰に隠れていたディートハルトとバッチリ目が合ってしまい、さぁ~っと顔を青褪めさせるカレンに、ルルーシュは首を捻る。
「どうしたんだ?」
「・・・い、いいえ!・・・い、行きましょ、ルルーシュ。」
「あ、ああ?」
グイッとルルーシュの腕に自分の腕をからめて、カレンは“それ”に背を向けて歩き出す。
「・・・で、どこに行くか、わかってるのか?」
「う・・・知らない。」
勢いに任せた行動だった為に、今更な質問をされて、カレンは呻く。
「・・・ふふ。しょうがないな。」
苦笑したルルーシュは、今度は自分が前に出て、カレンをエスコートし始める。さすが元皇族。レディの扱いはお手の物なのだろう、とカレンは変な感心をしてしまった。
そしてやって来た、租界のショッピングモール。何か買いたいものがあるのかと聞けば、ルルーシュはあっけらかんと答えた。
「デートと言えば、ショッピングなんだろう?」
どうやら、どこかで仕入れてきた情報を元に行動しているらしいとわかって、カレンは苦笑してしまう。ルルーシュは根っからのマニュアル人間のようだった。
「そうね。・・・じゃあ、ナナリーちゃんに何かお土産でも買っていきましょうか。今日は、お留守番してくれてるんでしょ?」
「!・・・ああ、そう、だな。」
ナナリーの名前を出せば、ほんの少し驚いた様子でカレンを見て、ルルーシュは優しい笑みをうかべる。
「・・・カレン。」
「ん~?」
ナナリーのお土産をと、品定めを始めたカレンに、ルルーシュは呟くように言う。
「・・・本当に、ありがとう。」
改めて礼を言われて、カレンは弾かれたようにルルーシュの方を向く。
「な、何?いきなり・・・。」
「・・・いや。だって、カレンはナナリーのことをいつだって気にかけてくれるだろう?」
「だって、ナナリーちゃんは、ルルーシュの大切な妹でしょう?私が貴方が、その“あの行動”を取るようになった理由を理解したのだって、それがナナリーちゃんの為って気付いたからなのよ?」
照れ隠しのせいか、少し怒ったように早口で言うと、カレンはさっさと近くにあった店の中に入り込んでしまった。
「・・・それでも、俺は、君の言葉に、こんなに救われてる・・・。」
ルルーシュはぽつりと呟いて、それから、店の外に陳列しているアクセサリー類に目をやる。
「・・・こういうの、あんまりつけてないけど・・・女の子だし、興味はあるよな・・・。」
いつだって、ルルーシュの事情を優先してくれるカレンに、たまには報いたい。そう思って勇気を出してデートに誘った。
だから、カレンが純粋に喜んでくれているようで、ルルーシュはそれだけで嬉しかった。それなのに、留守番をしているナナリーにまで気を配ってくれるカレンに、もう、涙を流して喜びたい気持ちに駆られていた。
ルルーシュは、アクセサリーを眺めながら、ある1つの髪飾りに視線が止まった。大きな翡翠色の石がはめられているシルバーの髪飾り。きっと、彼女の緋色の髪に映えるだろうと考え、ルルーシュは即決した。
「・・・すみません、これ、下さい。」
一方、店の中に入ったカレンは、はぁ~と溜め息をついた。
「・・・また、可愛気のない言い方しちゃった・・・もう、なんで、私はこうなのよ・・・。」
それに、店の外にルルーシュを置いてきぼりにしてしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいになりつつも、頭を冷やす意味で、ナナリーへのお土産を選ぼうと棚を見て回る。
「それにしても、デート中にナナリーの名前を持ち出すってどうなのかな。」
「っ!?」
何の気配も感じさせずに背後にいた者からの言葉に、カレンはギョッとして振り返る。
「・・・ね?カレン。そう思わなかった?」
「・・・スザク・・・あんたねぇ・・・。」
イラッとしたのは当然だと思って貰いたい。まさか、ディートハルトだけでなく、こいつまで邪魔しに来ているとは!!ディートハルトはとりあえず実害無しだが、こいつは実害ありまくりだ。
睨むカレンに、スザクはしれっとしている。
「・・・なに?デートの邪魔するなって?・・・冗談じゃない。このまま黒の騎士団に連れて行かれてもたまらないからね。監視だよ監視。」
スザクの言い様に、カレンは以前、スザクを挑発してしまったこと(※『親愛なる貴方』参照)を激しく後悔した。
「・・・ルルーシュに見つかれば、嫌われるわよ。」
「・・・・・・う。」
最後の手段とばかりに呟けば、スザクが呻く。
「安心しなさいよ。別に、ルルーシュを黒の騎士団に無理やり連れてくなんてしないから。(元々黒の騎士団はルルーシュのものだし。)だから、邪魔しないで。これはルルーシュの好意なの。私の我儘じゃないの。わかったら、さっさとどっか行ってよ。」
シッシッと犬でも追い払うようなカレンの仕草にムッとしつつも、ルルーシュに嫌われたくない一心で、スザクは姿を消す。
「・・・ったく、あれだけ気配に聡いルルーシュに気付かれずに私に近づくなんて、どんだけ人間離れしてるのよ。」
呆れたように呟いて、カレンは小さなオルゴールを手に取る。
「・・・これなら、音が出るし、ナナリーちゃんも楽しめるわよね。」
フッと口元を綻ばせる。デート中にナナリーの名を出したのはどうか、などとスザクは言っていたが、カレンはそうは思わなかった。だって、ナナリーがルルーシュの全てだから。
だから、ナナリーに留守番をさせてまでデートに誘ってくれたルルーシュのその気持ちが嬉しかったから。きっと、ルルーシュ自身にお礼を言ったって、意味が無いのだ。ナナリーを労うことこそが、ルルーシュにとって一番嬉しいことなのだから。
「すみませ~ん、これ、下さい!!」
カレンはそのオルゴールを握りしめて、レジへと向かった。
カレンが店の外に出ると、ルルーシュがにこやかに出迎えた。
「店の中はどうだった?」
「うん。(あの邪魔さえ入らなければ)いっぱいイイのがあったわよ。ルルーシュも入れば良かったのに。」
「ああ、俺は・・・外で売ってる物の方が良かったから・・・。」
見ると、ルルーシュの手には小さな紙袋が乗っていて。ナナリーに渡すのだろうかとカレンの表情が緩む。
「・・・ふぅん、何買ったの?」
「髪飾り・・・。」
ルルーシュの選択に、カレンはあれ?と思う。ナナリーへのお土産にしては、気配りが無い。どんなに美しいものでも、ナナリーには見えないのだ。だから、音色が楽しめたり、実用的な物だったりの方が、ナナリーは喜ぶ。
「・・・ルルーシュ・・・。」
不審げな表情をうかべたカレンに、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「君にだよ、カレン。」
「へッ!?」
思わず素っ頓狂な声をあげて、カレンはルルーシュを見上げる。
「君に・・・プレゼントのつもりなんだけど・・・。」
ルルーシュが差し出した紙袋を、カレンは震える手で受け取る。
「・・・中、見ても良い?」
「ああ。」
ルルーシュが頷くのを見て、カレンはその紙袋を裂かないように開ける。
「・・・わぁ・・・キレイ・・・。」
カレンが感嘆の声をあげる。
シルバーに翡翠色の石がはまった、美しい髪飾り。
「君の緋色の髪に、絶対似合うと思って。」
照れくさそうなルルーシュの言葉に、カレンは思いっきり感動してしまう。
「~~~~~~っ///あ、ありがとう~~!」
大きな瞳に涙をたくさん溜めてそう言うカレンに、ルルーシュはハンカチを渡す。
「何も泣かなくたって・・・。ほら、せっかくのショッピングモールだ。他にも何かイイ物がないか、見てみよう。」
受け取ったハンカチで涙を拭くカレンに、すらりとした綺麗な指の、大きな手が差し出される。
いつもは、ナナリーを守るこの手が、自分に向けられている。今、この瞬間だけ、ルルーシュはカレンの為だけにいる。それはとても貴重なことだった。カレンはにっこりと微笑んで、その手を取る。
「・・・デートは、やっぱり、手を握らないとな。」
ぽつり、と言ったルルーシュに苦笑が漏れるが、それでもカレンは構わなかった。カレンとのデートの為に、一生懸命調べてくれたのだろうから。
「ルルーシュ。」
「ん?」
名を呼べば、視線をこちらに向けてくるルルーシュに、カレンはとびっきりの笑顔を向けた。
「今日はありがとう!」
「・・・ふふ、いきなりなんだ?・・・デートはまだまだこれからだぞ?」
「わかってるわ。・・・ルルーシュ、バテないでね?」
「もちろん。その為にモール内は入念にチェック済みだ。」
「っぷ、あはは!やだ、もう!ルルーシュったらッ。」
「大真面目だぞ。俺は。」
「うんうん・・・わかってるってば。」
憮然とするルルーシュに、カレンの笑いが止まらない。最初は困ったようにしていたルルーシュだが、カレンが楽しそうなので良いか、と開き直り、一緒に笑いだす。
「ククク・・・。」
そんな2人が笑いながら進む様子を、ディートハルトが懸命にビデオに収めていた。
「・・・殿下ぁ・・・何と、楽しそうにぃぃぃ・・・紅月さん!羨ましすぎです!!」
呻くその怪しい人物が、一般客の目にとまれば、通報されること間違い無しだが、そこはジャーナリスト。何とも巧妙に隠れながら撮っているので、一般客に見つかることは無かった。
そして、もう1人の邪魔者は・・・。
「・・・何でカレン?どうしてカレン?・・・やだなー。腹立つなー。僕だって、ルルーシュのこと大好きなのにー・・・。」
店の陰から2人を覗き見ながら、ぼそぼそと呟く姿が、目撃されたが、彼の皇女の騎士だということがよく知られていたためか、皆、素知らぬふりをして通り過ぎていったのだった。
おしまい
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