Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・既存の朝ルルとは違います
・朝ルル+生徒会
・河口湖+ナリタ事変は回避!
・シリアス&ギャグ
・生徒会メンバー(スザ除く)はルルの味方
・ルルが幸せならなんでもOK!
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「皆に、紹介したい人がいるんだ・・・。」
まるで、娘が父親に恋人を紹介するようなフレーズを、照れくさそうに言ったルルーシュを見て、生徒会メンバー(スザクは例によって例の如く軍務でいない)は、雷に打たれたようなショックを受けた。
「・・・る、ルル?紹介したいって・・・だ、誰?」
シャーリーが首を傾げると、ルルーシュはもじもじとしだす。
「昔、世話になった人なんだ。・・・その・・・日本人で・・・。」
「い、イレブン?」
怯えたように言うニーナに、ルルーシュはニコリと笑う。
「怖い人じゃないよ、ニーナ。それに、イレブンって言うのは蔑称だから、言わないでほしいな。」
「ルルーシュが・・・そう、言うなら・・・。」
頷くニーナにホッとして、それから、ルルーシュはミレイを見つめる。
「7年前、理事長に拾って貰う前に、お世話になったんだ。」
「・・・ということは、スザク君も知ってるの?」
それなりに事情を知っているミレイも初耳といわんばかりに目を丸くして訊ねる。
「知ってる。・・・でも、ちょっと、問題があって・・・スザクには会わせられないんだ。」
「・・・な、なぁ、それってさ・・・もしかして、黒の騎士団関係者・・・とか?」
リヴァルが問えば、その隣で黙りこくっていたカレンがギョッとする。
「・・・そう、なるかな。・・・でも、さっきも言ったけど、悪い人じゃないんだ。ただ、日本を取り戻したいだけなんだよ、あの人達は。」
「・・・そうだよなぁ。俺らはこうしてさ、普通に暮らしてるつもりでも、やっぱ、ここは元は日本の土地だったんだもんなぁ。」
はぁ、と溜め息をつくリヴァルに、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「まあ、それは極論だけどな。戦争に負けた時点で、日本がブリタニアに占領されるのはきまりきっていた。でも、それが正しいことだとは、俺は思えない。」
「・・・そ、そう、だよね。・・・もし、逆の立場だったらって思ったら・・・。」
「ニーナの言う通りだね。もし逆の立場だったらって考えたら、すっごく嫌だもん。」
ニーナに同意してシャーリーが言えば、リヴァルもうんうん、と頷く。
「で、スザクには会わせないようにってことは、スザクが軍務の時に連れてくるってことだよな?」
「そうなるな。・・・こっちから会いに行くのは危険だから、駄目と言われてしまったんだ。」
リヴァルに問われ、ルルーシュが頷くと、ミレイがはーい!と元気よく手をあげた。
「なら、私に考えがあるわ!!スザク君が来て騒ぎにならないような方法!!」
「・・・そ、そんな方法があるんですか?」
不審げに問うカレンに、ミレイはうんうん、と頷く。
「もっちろーん。・・・ね、ルルちゃん。ルルちゃんもあそこを使おうと思ってたんじゃないの?」
「・・・わかりましたか。さすがですね、会長。」
いたずらっぽく笑って、ルルーシュは肩を竦めた。
「ね、ねぇ、あそこって???」
話についていけない面子を代表して、シャーリーが訊ねると、ミレイがふっふ~ん、と胸を張った。
「我がアッシュフォードが、腕によりをかけて制作した、地下基地よ!!」
「「「「ち、地下基地ぃ~!?」」」」
ミレイとルルーシュを除いた全員が声を揃えて叫んだ。
「おほほほっ!万が一の時の為に作っておいたのよん☆」
「・・・万が一って・・・何っスか・・・。」
「・・・あ~・・・えっと・・・ルルちゃんとナナちゃんの為、としか言えないわ。ごめんなさいね。」
ニコリと笑うミレイの表情は、これ以上は本当に口を割るつもりは無いように見えた。だから、リヴァルは問い質すのを止め、ルルーシュに向き直る。
「で、いつにするんだよ?」
「ナナリーがスザクから聞き出したところによると、ここ2、3日は軍務が入ってるらしいから・・・明日、来て貰うようになってる。今日はとりあえず、皆に説明だけはしたくて・・・。でも、どうしても、皆には知っていて欲しいんだ。・・・皆は、俺の大切な友人だから。」
その言葉に、ミレイとリヴァルとシャーリー、そして、ニーナの表情が緩む。しかし、1人難しい顔をしたカレンがそわそわと落ち着かなさげにしているのを見て、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「カレンさん。」
「な、何?」
ビクリと肩を跳ねさせたカレンに、ルルーシュはゆっくりと近寄り、そして、困ったように眉根を寄せた。
「・・・もし、まだ、このままでいたいなら、知らないフリをするように言っておくよ?」
ポソリ、と耳元で囁かれ、カレンはギョッとして身を引いた。
「・・・カレンさん?」
首を傾げるルルーシュに、カレンは戸惑いの視線を向ける。
「いつから・・・。」
その言葉を発した後に、他の生徒会メンバーがいることを思い出し、カレンは動揺して、視線を彷徨わせた。このまま、カミングアウトしても良いものなのだろうかと、迷ったのだ。
「ずっと・・・前から。でも、まだ、俺はここに未練があったから、今まで言いだせなかったんだ。」
カレンの呟きを誤魔化してくれたルルーシュに、苦笑をうかべたカレンは、肩の力を抜いた。
「いいわ。・・・私も、そろそろ限界かなって思ってたから。・・・同じだったってワケね、貴方も。」
2人の会話に、首を傾げていた生徒会メンバーだったが、次のカレンの言葉に、またも仰天した。
「で・・・貴方が紹介したいって言う人が黒の騎士団関係者なら、私のことも聞いていたんでしょ?だって、私は、黒の騎士団のエースパイロットだもの。」
「「「「え・・・えぇぇぇぇっ!?」」」」
「ああ。聞いていたよ。というか、俺は結成当初から、黒の騎士団に関わっていたけれど。」
「!?」
ギョッとするカレンに、ルルーシュはにっこりと笑んで見せた。
「学生の身では、何も出来ない。・・・だから、俺は・・・いや“私”はこの方法を取らざるを得なかった。」
その一言で、カレンは全てを理解した。
「・・・なるほど・・・騙されたわ。・・・貴方、役者になれるわよ。」
「・・・ふ。俺は、目立つわけにはいかないから、無理だな。」
くつくつと笑うルルーシュに、カレンは溜め息を漏らす。
「・・・で、会長は知ってたんですか?」
ニヤニヤと笑っていたミレイを視界に捉えたカレンは、軽く睨んで訊ねた。
「あは。だって、ルルちゃんてば、わかりやすいんだもの。あんなこと言ったら、誰だって、ルルちゃんがゼロだってわかるわよ。」
ね、皆?と聞かれれば、生徒会メンバーが皆頷く。さすがのルルーシュもリヴァル達にまで気づかれているとは知らなかった為、驚いたように目を丸くした。
「・・・し、知っていたのか。」
「そりゃ、わかるだろ~。お前と何年、つるんでると思ってんだよ。」
「カレンはさすがにわからなかったけど、ルルのことは、すぐわかったよ。」
「・・・弱者の味方って、ルルーシュらしい、よね。それに、この付近には近寄らない方が良いって、ルルーシュが言う時って、決まって、その付近で、黒の騎士団とブリタニア軍の戦闘があったもの。」
リヴァルが肩を竦め、シャーリがニコリと笑い、ニーナが苦笑をうかべる。
「・・・あ。」
口元を押さえ、ルルーシュは顔を顰めた。
「おかげで、お父さんは無事だったんだ。・・・ナリタ付近に家族が行ったりしないかってルルが訊くから、私、慌ててお父さんとお母さんに連絡取ったんだよ。もし、ルルが訊いてくれなかったら、私、お父さんを亡くすところだった。」
「・・・生徒会の慰安旅行も、河口湖には行かない方が良いってルルーシュ、言ったよね。別の方面に行く方が良いって。あんまりにもルルーシュが反対するから、私達、結局、慰安旅行を取りやめたんだもん。」
ルルーシュの言葉の端々から、黒の騎士団の動向が漏らされるので、スザクにバレやしないかと、ハラハラしていたのだと口をそろえて言われれば、ルルーシュは苦笑するしかない。
「・・・はは、気をつけていたつもりなんだけどな。」
「生徒会室にいると、気が緩むんじゃない?・・・スザク君や、カレンがいる時はちょっと緊張してたみたいだけど。」
ミレイに言われれば、ルルーシュも肯定するしかない。
「そうだな。・・・みんなを巻き込みたくないと思ったから・・・。だって、これは、俺の私憤でもあるわけだし。」
「私憤?」
今度は、カレンが首を傾げる。
「どういうコト?・・・貴方がブリタニア軍とか貴族とかに良い感情を抱いてないのは知ってるけど・・・。」
「・・・それは、生い立ちのこともあるから・・・ちょっと、簡単には言えないんだけどな。」
クス、と笑い、ルルーシュは肩を竦めた。
「じゃあ、明日・・・地下基地へのルートは、会長が知ってるから。・・・俺と・・・カレンもかな、明日は学校を休むよ。」
ルルーシュの言葉に、生徒会メンバーは頷き、そして、その場は一度解散した。
― 夜・黒の騎士団基地
「・・・で、貴方の紹介したい人って、誰なの?」
ゼロの部屋で、ルルーシュが着替え終わるのを待ちながら、カレンが奥の方にいるルルーシュに話しかける。
ゼロの仮面を脇に抱え、奥の方から出てきたルルーシュはカレンの座っているソファーとは反対側のソファーに腰を下ろす。
「・・・今、ここで言わなきゃダメか?」
困った様子を見せるルルーシュに、カレンは今更でしょ、と呆れる。
「だって、明日には皆に会わせるんでしょ?・・・なら、良いじゃない。」
「・・・う。」
複雑な表情をうかべて言葉を詰まらせるルルーシュに、カレンは首を傾げた。
「そんなに意外な人なわけ?」
「・・・たぶん、普段から接してるカレンから見れば、かなり意外だと思う・・・かな。」
ぼそぼそと言う姿に、カレンの知っているゼロの威厳もルルーシュの尊大さも感じられず、カレンはクツクツと笑う。
「やだわ、貴方のイメージが変わっちゃうじゃない。・・・で、その人は、貴方がゼロって知ってるの?」
「ああ、それはもちろん。ちゃんと理由も話せって言うものだから・・・全部白状させられたよ。」
はぁ、と溜め息をつくものの、どこか幸せそうなルルーシュに、カレンの表情が緩む。
「そう。良かったわね。」
「まあ、今じゃそう思えるけどな。・・・でも、最初は大変だったんだぞ・・・。」
「・・・最初?」
「俺がゼロだってバレた時、さんざん怒られたんだ。・・・スザクのことで動揺していたからって、迂闊だった。」
「・・・じゃあ、相手にバレた時って、スザクが白兜のパイロットだって知った後のことなの?」
「ああ。・・・その直後だよ。」
カレンに答えたルルーシュは、仮面を被り立ち上がる。
「いつまでも顔を出さないと怪しまれるしな。・・・ラウンジに行くぞ、カレン。」
「・・・はい。ゼロ。」
仮面を被れば、もう、ルルーシュではなくゼロ。その切り替えがあっさりとできた自分を褒めながら、カレンはルルーシュの後に続いて、ラウンジに向かった。
― 幹部達のラウンジ
カレンを伴ってやって来たゼロに、幹部達の視線が集中する。
「あれ、カレン、来てたのか?」
まず、扇がカレンに声をかける。
「あ、はい。・・・直接、ゼロのところに。」
「そ、そうか。・・・ゼロ、今日は、何を話し合うんだ?」
「・・・ああ、今日は・・・そうだな、黒の騎士団の今後を話し合おうか。」
「「「「???」」」」
扇の問いに答えたゼロの言葉に、幹部全員が首を傾げる。
「・・・それって、どういうコト?」
心底不思議そうに訊ねたのは朝比奈。スッとそちらを向いたゼロは、ひょい、と肩を竦めた。
「・・・このまま、ブリタニア軍とちまちま戦っても、埒が明かないということだ。だから、もう少し、大規模に動きたい。」
「大規模というのは?」
藤堂もゼロの真意を捉えかねて、眉根を寄せる。
「・・・そろそろ、最後の切り札を使おうと思ってな。こちらもあちらも譲れないのだから、この際、使えるものは何でも使う。」
「・・・ちょ、ちょっと待った、それって・・・。」
なぜか慌てたのは、朝比奈だった。ゼロの言う最後の切り札が何か気付いたためだ。
「そう。・・・恐らく、お前の考えている通り。・・・それが有効な一手であることは、C.C.に確認済みだ。」
自信たっぷりに言うゼロに、朝比奈は更におろおろしだす。
「ま、待ってよ!・・・もしかして、それで、明日なわけ!?明日で仮初の平和を捨てるつもり!?」
「捨てる訳じゃない。」
ゼロが反論するのと同時に、朝比奈の“明日”という言葉に、カレンがあっと声をあげる。
「カレン?」
カレンの隣に来ていた井上がどうしたの、と訊ねると、カレンはビシッと朝比奈を指差した。
「ありえない!・・・あ、朝比奈さんだったの!?」
その叫びに、朝比奈は一瞬ギクッとしてから、ゼロの様子を窺い、小さく頷いたのを見て、肩を落とした。
「・・・そうだけど~・・・紅月さん、何にも聞いてなかったの?」
「だって、聞き出そうとしても、話、誤魔化すんですよ、こいつ!!」
カレンがゼロを“こいつ”呼ばわりして指差したものだから、話についていけていなかった幹部達が全員ギョッとする。
「か、カレンッ!」
心酔まではしていなくても、それなりに敬意を払っていたゼロに対しての態度ではないカレンの言動に、井上は慌ててその肩を掴む。
「成程・・・まあ、でも、そうだよねぇ・・・完全に接点が無いように思えるし、あり得ないもんね。」
1人納得した朝比奈は、ゼロに視線を向ける。
「まあ、いいや・・・もしかしなくても、今日、その仮面を取るつもりなんでしょ?」
「ああ。」
「「「「えぇぇぇっ!?」」」」
全員の驚きの声に、ゼロは肩を竦めた。
「そんなに驚くことではないだろう?お前達だって、常日頃、素顔くらい見せろと言っているじゃないか。」
「そ、そりゃ、そうだけどよ・・・。」
幹部の中でも、最も咬みついていた玉城が動揺したように呟く。
「・・・つまりだ、私の素顔が最後の切り札になる。・・・だから、今まで隠していた、と言えば良いか?」
「さ、最後の切り札が、ゼロの素顔?」
まだ、話についていけていないのか、扇が混乱した様子で訊ねる。すると、ゼロはコクン、と頷いてから、ただし、と言い添える。
「・・・これで、本国までもが動き出すことは間違いない。私の存在は、それくらい、ブリタニアにとっては拙い存在だからだ。」
「ええ!?・・・それって、こっちが不利になるんじゃないのか?」
扇が慌てると、ゼロは泰然として答える。
「大丈夫だ。その辺りの根回しはすでに終えている。」
「終えてって・・・いつ、そんなことしてたのさ。」
初耳だと言わんばかりに、朝比奈が訊けば、ゼロはクスと笑った。
「ここ数日の間に。・・・黒の騎士団を作る前から計画だけはあったんだ。だが、まだ、それを実行するだけの覚悟がなかったんだ・・・。」
「ふーん・・・俺達に相談無しで、ね。」
ぼそ、と呟いた朝比奈に皆の視線が向くが、本人は嫌そうに眉を顰めるだけ。
「・・・拗ねるなよ、朝比奈。」
二ヤリと笑った卜部が言えば、朝比奈がウッと詰まる。
「そうだぞ、大人げない。」
「まったくだ。」
仙波と千葉までそう言い、藤堂も是と頷く。話についていけてない、旧扇グループの幹部達は首を傾げるばかりだ。
「ふーん・・・朝比奈さんだけじゃなくて、藤堂さんや四聖剣まで、ゼロの正体をすでに知ってたってことね。・・・完っっっ全に騙されたわ!」
唯一全てを悟ったカレンがぎろりと四聖剣と藤堂を見やってから、ゼロに視線を向けた。
「しょうがないだろう?・・・頼むから察してくれ。」
溜息をつきつつ、ゼロは仮面に手を伸ばし、あっさりとその仮面を外した。
「「「「っ!!?」」」」
さらりと落ちたその艶やかな黒髪と、白磁のように白い素肌。そして、整った顔立ちに紫電の瞳。パーツ一つ一つが美しく、そして、それらが一つも互いの邪魔をすることなく、完璧な美しさを作り出している。
その美しさに、幹部達が見惚れていると、カレンが呆れたように言った。
「・・・ルルーシュって、ホントにタラシね。」
「・・・そのつもりは無いんだが。」
「・・・で、藤堂さんや四聖剣とはどういう知り合いだったワケ?・・・もう、教えてくれるんでしょう?」
未だ呆然としている扇達を放っておき、カレンはルルーシュに訊ねる。
「7年前、俺が枢木家に世話になっていた時に、桐原公に紹介してもらった。・・・少しの間、護衛兼監視役として、俺の傍にいたんだ。」
「・・・スザクと幼馴染っていうのは聞いてたけど、まさか、そういう関係だったとはね。・・・でも、7年前って、開戦直前よね?どうして、日本にいたのよ。ブリタニア人はほとんど本国に帰っていたはずだけど。」
首を傾げるカレンに、ルルーシュは眉を顰めた。
「話せば長くなる。・・・覚悟して聞いてくれ。」
ルルーシュは包み隠さず、全てを打ち明けた。最初は呆然としていた幹部達も、ルルーシュの本名を聞いた瞬間仰天し、そして、マリアンヌ暗殺の事件や日本に送られるまでの経緯を聞いて、自分のことのように怒った。挙句には、それを知りつつ黙っていた藤堂や四聖剣にズルイと詰るような視線を向け始める。
「・・・うわぁ、全員味方なハズなのに、俺、今、すっごいアウェイな気分なんだけど。」
特に、朝比奈へ向けられる視線は、嫉妬も込められていた。ルルーシュを小さい時から構い倒し、ちゃっかり恋人の座についていたのだから、当然と言えば当然なのだが。それに関しては、藤堂も他の四聖剣もフォローする様子は見せない。
「まあ、抜け駆けした朝比奈が悪いな。任務外でもルルーシュとナナリーに会いに行って、2人を手懐けちまうんだもんなぁ。・・・しかも、当時10歳のルルーシュに手ぇ出したんだぞ?」
「「「「「何ィっっ!!?」」」」」
卜部の爆弾発言に、幹部全員が朝比奈に詰め寄った。
「おまっ、何考えてんだよ!!犯罪だぞ犯罪!!」
「そうよ!10歳の子供に何してんのよ!!」
「恥ずかしいと思わないのか!!」
「お前には理性というものが無いのかよ!!」
「最っっ低!!」
壁際まで追い詰められた朝比奈は、卜部に向かって叫ぶ。
「ちょっと、卜部さん!!誤解を招くようなこと言わないで!!俺、ルルーシュに手なんて出してないですって!!」
「おいおい、しらばっくれたら駄目だぜぇ?・・・お前、ルルーシュにふざけ半分で“俺のモノ~っ”とか言って、首元にキスマークつけただろうが。」
「あ、それは、確かに。」
あっさり認めた朝比奈に唖然とした幹部達は、次の瞬間、ハッとしてルルーシュを振り返る。と、そこには、顔を真っ赤に染めて俯き、フルフルと震える姿があって。
「る、ルルーシュ?」
カレンが恐る恐るルルーシュに声をかけると、バッとルルーシュが顔をあげる。その顔は羞恥で真っ赤になり、涙で潤んだ目で朝比奈を睨み、次の瞬間、ルルーシュは叫ぶ。
「・・・ご、の・・・省吾のッ、馬鹿ぁぁあっっ!!!」
「ええ!俺!?・・・ちょっと待って、ルルーシュ!!バラしたの卜部さんだから!俺じゃないから!!ちょっと!?待ってってば!!」
叫んだ瞬間、ラウンジから飛び出してしまったルルーシュを、朝比奈が慌てて追いかけていく。
「・・・ありゃ、しばらくかかるな~。」
ニヤニヤと笑い、見送る卜部は確信犯である。
「卜部さん・・・あれは、卜部さんが悪いですよ。」
じと目の千葉に、卜部はしれっと答える。
「でも、ルルーシュは俺には怒んねーんだよな。・・・昔っからよ。」
「役得だな・・・お前の場合、朝比奈の暴走を良く止めていたから、ルルーシュ君の中では、兄貴分的な存在なんだろう。」
藤堂も苦笑をうかべる。その様子で、ルルーシュと藤堂や四聖剣との関係を察してしまった幹部達は、朝比奈に対し、嫉妬半分同情半分で応援を送った。
―・・・ファイトだ、朝比奈!
「あれで、明日、大丈夫なのかしら・・・。」
1人、生徒会のメンバーとの約束を心配したカレンが、ボソ、と呟く。
「大丈夫だろう。・・・朝比奈はルルーシュの機嫌を直すのは得意だから。」
その呟きを耳にした千葉がクス、と笑い答える。
「・・・なら、良いんですけど。・・・明日は、藤堂さん達も来るんですか?」
「いや。・・・恐らく、朝比奈だけを連れて行くつもりだろう。紅月君、すまないが、もし、朝比奈が暴走したら、止める役目を引き受けてくれるか?・・・ルルーシュ君では、止められないだろうからな。」
首を横に振った藤堂に頷き、カレンはガッツポーズを決めた。
「任せて下さい!・・・ぶん殴ってでも止めますから。」
「・・・カレン・・・結構、朝比奈がルルーシュに手を出したこと、怒ってるんだな。」
扇のその呟きをカレンは黙殺した。
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・既存の朝ルルとは違います
・朝ルル+生徒会
・河口湖+ナリタ事変は回避!
・シリアス&ギャグ
・生徒会メンバー(スザ除く)はルルの味方
・ルルが幸せならなんでもOK!
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
「皆に、紹介したい人がいるんだ・・・。」
まるで、娘が父親に恋人を紹介するようなフレーズを、照れくさそうに言ったルルーシュを見て、生徒会メンバー(スザクは例によって例の如く軍務でいない)は、雷に打たれたようなショックを受けた。
「・・・る、ルル?紹介したいって・・・だ、誰?」
シャーリーが首を傾げると、ルルーシュはもじもじとしだす。
「昔、世話になった人なんだ。・・・その・・・日本人で・・・。」
「い、イレブン?」
怯えたように言うニーナに、ルルーシュはニコリと笑う。
「怖い人じゃないよ、ニーナ。それに、イレブンって言うのは蔑称だから、言わないでほしいな。」
「ルルーシュが・・・そう、言うなら・・・。」
頷くニーナにホッとして、それから、ルルーシュはミレイを見つめる。
「7年前、理事長に拾って貰う前に、お世話になったんだ。」
「・・・ということは、スザク君も知ってるの?」
それなりに事情を知っているミレイも初耳といわんばかりに目を丸くして訊ねる。
「知ってる。・・・でも、ちょっと、問題があって・・・スザクには会わせられないんだ。」
「・・・な、なぁ、それってさ・・・もしかして、黒の騎士団関係者・・・とか?」
リヴァルが問えば、その隣で黙りこくっていたカレンがギョッとする。
「・・・そう、なるかな。・・・でも、さっきも言ったけど、悪い人じゃないんだ。ただ、日本を取り戻したいだけなんだよ、あの人達は。」
「・・・そうだよなぁ。俺らはこうしてさ、普通に暮らしてるつもりでも、やっぱ、ここは元は日本の土地だったんだもんなぁ。」
はぁ、と溜め息をつくリヴァルに、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「まあ、それは極論だけどな。戦争に負けた時点で、日本がブリタニアに占領されるのはきまりきっていた。でも、それが正しいことだとは、俺は思えない。」
「・・・そ、そう、だよね。・・・もし、逆の立場だったらって思ったら・・・。」
「ニーナの言う通りだね。もし逆の立場だったらって考えたら、すっごく嫌だもん。」
ニーナに同意してシャーリーが言えば、リヴァルもうんうん、と頷く。
「で、スザクには会わせないようにってことは、スザクが軍務の時に連れてくるってことだよな?」
「そうなるな。・・・こっちから会いに行くのは危険だから、駄目と言われてしまったんだ。」
リヴァルに問われ、ルルーシュが頷くと、ミレイがはーい!と元気よく手をあげた。
「なら、私に考えがあるわ!!スザク君が来て騒ぎにならないような方法!!」
「・・・そ、そんな方法があるんですか?」
不審げに問うカレンに、ミレイはうんうん、と頷く。
「もっちろーん。・・・ね、ルルちゃん。ルルちゃんもあそこを使おうと思ってたんじゃないの?」
「・・・わかりましたか。さすがですね、会長。」
いたずらっぽく笑って、ルルーシュは肩を竦めた。
「ね、ねぇ、あそこって???」
話についていけない面子を代表して、シャーリーが訊ねると、ミレイがふっふ~ん、と胸を張った。
「我がアッシュフォードが、腕によりをかけて制作した、地下基地よ!!」
「「「「ち、地下基地ぃ~!?」」」」
ミレイとルルーシュを除いた全員が声を揃えて叫んだ。
「おほほほっ!万が一の時の為に作っておいたのよん☆」
「・・・万が一って・・・何っスか・・・。」
「・・・あ~・・・えっと・・・ルルちゃんとナナちゃんの為、としか言えないわ。ごめんなさいね。」
ニコリと笑うミレイの表情は、これ以上は本当に口を割るつもりは無いように見えた。だから、リヴァルは問い質すのを止め、ルルーシュに向き直る。
「で、いつにするんだよ?」
「ナナリーがスザクから聞き出したところによると、ここ2、3日は軍務が入ってるらしいから・・・明日、来て貰うようになってる。今日はとりあえず、皆に説明だけはしたくて・・・。でも、どうしても、皆には知っていて欲しいんだ。・・・皆は、俺の大切な友人だから。」
その言葉に、ミレイとリヴァルとシャーリー、そして、ニーナの表情が緩む。しかし、1人難しい顔をしたカレンがそわそわと落ち着かなさげにしているのを見て、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「カレンさん。」
「な、何?」
ビクリと肩を跳ねさせたカレンに、ルルーシュはゆっくりと近寄り、そして、困ったように眉根を寄せた。
「・・・もし、まだ、このままでいたいなら、知らないフリをするように言っておくよ?」
ポソリ、と耳元で囁かれ、カレンはギョッとして身を引いた。
「・・・カレンさん?」
首を傾げるルルーシュに、カレンは戸惑いの視線を向ける。
「いつから・・・。」
その言葉を発した後に、他の生徒会メンバーがいることを思い出し、カレンは動揺して、視線を彷徨わせた。このまま、カミングアウトしても良いものなのだろうかと、迷ったのだ。
「ずっと・・・前から。でも、まだ、俺はここに未練があったから、今まで言いだせなかったんだ。」
カレンの呟きを誤魔化してくれたルルーシュに、苦笑をうかべたカレンは、肩の力を抜いた。
「いいわ。・・・私も、そろそろ限界かなって思ってたから。・・・同じだったってワケね、貴方も。」
2人の会話に、首を傾げていた生徒会メンバーだったが、次のカレンの言葉に、またも仰天した。
「で・・・貴方が紹介したいって言う人が黒の騎士団関係者なら、私のことも聞いていたんでしょ?だって、私は、黒の騎士団のエースパイロットだもの。」
「「「「え・・・えぇぇぇぇっ!?」」」」
「ああ。聞いていたよ。というか、俺は結成当初から、黒の騎士団に関わっていたけれど。」
「!?」
ギョッとするカレンに、ルルーシュはにっこりと笑んで見せた。
「学生の身では、何も出来ない。・・・だから、俺は・・・いや“私”はこの方法を取らざるを得なかった。」
その一言で、カレンは全てを理解した。
「・・・なるほど・・・騙されたわ。・・・貴方、役者になれるわよ。」
「・・・ふ。俺は、目立つわけにはいかないから、無理だな。」
くつくつと笑うルルーシュに、カレンは溜め息を漏らす。
「・・・で、会長は知ってたんですか?」
ニヤニヤと笑っていたミレイを視界に捉えたカレンは、軽く睨んで訊ねた。
「あは。だって、ルルちゃんてば、わかりやすいんだもの。あんなこと言ったら、誰だって、ルルちゃんがゼロだってわかるわよ。」
ね、皆?と聞かれれば、生徒会メンバーが皆頷く。さすがのルルーシュもリヴァル達にまで気づかれているとは知らなかった為、驚いたように目を丸くした。
「・・・し、知っていたのか。」
「そりゃ、わかるだろ~。お前と何年、つるんでると思ってんだよ。」
「カレンはさすがにわからなかったけど、ルルのことは、すぐわかったよ。」
「・・・弱者の味方って、ルルーシュらしい、よね。それに、この付近には近寄らない方が良いって、ルルーシュが言う時って、決まって、その付近で、黒の騎士団とブリタニア軍の戦闘があったもの。」
リヴァルが肩を竦め、シャーリがニコリと笑い、ニーナが苦笑をうかべる。
「・・・あ。」
口元を押さえ、ルルーシュは顔を顰めた。
「おかげで、お父さんは無事だったんだ。・・・ナリタ付近に家族が行ったりしないかってルルが訊くから、私、慌ててお父さんとお母さんに連絡取ったんだよ。もし、ルルが訊いてくれなかったら、私、お父さんを亡くすところだった。」
「・・・生徒会の慰安旅行も、河口湖には行かない方が良いってルルーシュ、言ったよね。別の方面に行く方が良いって。あんまりにもルルーシュが反対するから、私達、結局、慰安旅行を取りやめたんだもん。」
ルルーシュの言葉の端々から、黒の騎士団の動向が漏らされるので、スザクにバレやしないかと、ハラハラしていたのだと口をそろえて言われれば、ルルーシュは苦笑するしかない。
「・・・はは、気をつけていたつもりなんだけどな。」
「生徒会室にいると、気が緩むんじゃない?・・・スザク君や、カレンがいる時はちょっと緊張してたみたいだけど。」
ミレイに言われれば、ルルーシュも肯定するしかない。
「そうだな。・・・みんなを巻き込みたくないと思ったから・・・。だって、これは、俺の私憤でもあるわけだし。」
「私憤?」
今度は、カレンが首を傾げる。
「どういうコト?・・・貴方がブリタニア軍とか貴族とかに良い感情を抱いてないのは知ってるけど・・・。」
「・・・それは、生い立ちのこともあるから・・・ちょっと、簡単には言えないんだけどな。」
クス、と笑い、ルルーシュは肩を竦めた。
「じゃあ、明日・・・地下基地へのルートは、会長が知ってるから。・・・俺と・・・カレンもかな、明日は学校を休むよ。」
ルルーシュの言葉に、生徒会メンバーは頷き、そして、その場は一度解散した。
― 夜・黒の騎士団基地
「・・・で、貴方の紹介したい人って、誰なの?」
ゼロの部屋で、ルルーシュが着替え終わるのを待ちながら、カレンが奥の方にいるルルーシュに話しかける。
ゼロの仮面を脇に抱え、奥の方から出てきたルルーシュはカレンの座っているソファーとは反対側のソファーに腰を下ろす。
「・・・今、ここで言わなきゃダメか?」
困った様子を見せるルルーシュに、カレンは今更でしょ、と呆れる。
「だって、明日には皆に会わせるんでしょ?・・・なら、良いじゃない。」
「・・・う。」
複雑な表情をうかべて言葉を詰まらせるルルーシュに、カレンは首を傾げた。
「そんなに意外な人なわけ?」
「・・・たぶん、普段から接してるカレンから見れば、かなり意外だと思う・・・かな。」
ぼそぼそと言う姿に、カレンの知っているゼロの威厳もルルーシュの尊大さも感じられず、カレンはクツクツと笑う。
「やだわ、貴方のイメージが変わっちゃうじゃない。・・・で、その人は、貴方がゼロって知ってるの?」
「ああ、それはもちろん。ちゃんと理由も話せって言うものだから・・・全部白状させられたよ。」
はぁ、と溜め息をつくものの、どこか幸せそうなルルーシュに、カレンの表情が緩む。
「そう。良かったわね。」
「まあ、今じゃそう思えるけどな。・・・でも、最初は大変だったんだぞ・・・。」
「・・・最初?」
「俺がゼロだってバレた時、さんざん怒られたんだ。・・・スザクのことで動揺していたからって、迂闊だった。」
「・・・じゃあ、相手にバレた時って、スザクが白兜のパイロットだって知った後のことなの?」
「ああ。・・・その直後だよ。」
カレンに答えたルルーシュは、仮面を被り立ち上がる。
「いつまでも顔を出さないと怪しまれるしな。・・・ラウンジに行くぞ、カレン。」
「・・・はい。ゼロ。」
仮面を被れば、もう、ルルーシュではなくゼロ。その切り替えがあっさりとできた自分を褒めながら、カレンはルルーシュの後に続いて、ラウンジに向かった。
― 幹部達のラウンジ
カレンを伴ってやって来たゼロに、幹部達の視線が集中する。
「あれ、カレン、来てたのか?」
まず、扇がカレンに声をかける。
「あ、はい。・・・直接、ゼロのところに。」
「そ、そうか。・・・ゼロ、今日は、何を話し合うんだ?」
「・・・ああ、今日は・・・そうだな、黒の騎士団の今後を話し合おうか。」
「「「「???」」」」
扇の問いに答えたゼロの言葉に、幹部全員が首を傾げる。
「・・・それって、どういうコト?」
心底不思議そうに訊ねたのは朝比奈。スッとそちらを向いたゼロは、ひょい、と肩を竦めた。
「・・・このまま、ブリタニア軍とちまちま戦っても、埒が明かないということだ。だから、もう少し、大規模に動きたい。」
「大規模というのは?」
藤堂もゼロの真意を捉えかねて、眉根を寄せる。
「・・・そろそろ、最後の切り札を使おうと思ってな。こちらもあちらも譲れないのだから、この際、使えるものは何でも使う。」
「・・・ちょ、ちょっと待った、それって・・・。」
なぜか慌てたのは、朝比奈だった。ゼロの言う最後の切り札が何か気付いたためだ。
「そう。・・・恐らく、お前の考えている通り。・・・それが有効な一手であることは、C.C.に確認済みだ。」
自信たっぷりに言うゼロに、朝比奈は更におろおろしだす。
「ま、待ってよ!・・・もしかして、それで、明日なわけ!?明日で仮初の平和を捨てるつもり!?」
「捨てる訳じゃない。」
ゼロが反論するのと同時に、朝比奈の“明日”という言葉に、カレンがあっと声をあげる。
「カレン?」
カレンの隣に来ていた井上がどうしたの、と訊ねると、カレンはビシッと朝比奈を指差した。
「ありえない!・・・あ、朝比奈さんだったの!?」
その叫びに、朝比奈は一瞬ギクッとしてから、ゼロの様子を窺い、小さく頷いたのを見て、肩を落とした。
「・・・そうだけど~・・・紅月さん、何にも聞いてなかったの?」
「だって、聞き出そうとしても、話、誤魔化すんですよ、こいつ!!」
カレンがゼロを“こいつ”呼ばわりして指差したものだから、話についていけていなかった幹部達が全員ギョッとする。
「か、カレンッ!」
心酔まではしていなくても、それなりに敬意を払っていたゼロに対しての態度ではないカレンの言動に、井上は慌ててその肩を掴む。
「成程・・・まあ、でも、そうだよねぇ・・・完全に接点が無いように思えるし、あり得ないもんね。」
1人納得した朝比奈は、ゼロに視線を向ける。
「まあ、いいや・・・もしかしなくても、今日、その仮面を取るつもりなんでしょ?」
「ああ。」
「「「「えぇぇぇっ!?」」」」
全員の驚きの声に、ゼロは肩を竦めた。
「そんなに驚くことではないだろう?お前達だって、常日頃、素顔くらい見せろと言っているじゃないか。」
「そ、そりゃ、そうだけどよ・・・。」
幹部の中でも、最も咬みついていた玉城が動揺したように呟く。
「・・・つまりだ、私の素顔が最後の切り札になる。・・・だから、今まで隠していた、と言えば良いか?」
「さ、最後の切り札が、ゼロの素顔?」
まだ、話についていけていないのか、扇が混乱した様子で訊ねる。すると、ゼロはコクン、と頷いてから、ただし、と言い添える。
「・・・これで、本国までもが動き出すことは間違いない。私の存在は、それくらい、ブリタニアにとっては拙い存在だからだ。」
「ええ!?・・・それって、こっちが不利になるんじゃないのか?」
扇が慌てると、ゼロは泰然として答える。
「大丈夫だ。その辺りの根回しはすでに終えている。」
「終えてって・・・いつ、そんなことしてたのさ。」
初耳だと言わんばかりに、朝比奈が訊けば、ゼロはクスと笑った。
「ここ数日の間に。・・・黒の騎士団を作る前から計画だけはあったんだ。だが、まだ、それを実行するだけの覚悟がなかったんだ・・・。」
「ふーん・・・俺達に相談無しで、ね。」
ぼそ、と呟いた朝比奈に皆の視線が向くが、本人は嫌そうに眉を顰めるだけ。
「・・・拗ねるなよ、朝比奈。」
二ヤリと笑った卜部が言えば、朝比奈がウッと詰まる。
「そうだぞ、大人げない。」
「まったくだ。」
仙波と千葉までそう言い、藤堂も是と頷く。話についていけてない、旧扇グループの幹部達は首を傾げるばかりだ。
「ふーん・・・朝比奈さんだけじゃなくて、藤堂さんや四聖剣まで、ゼロの正体をすでに知ってたってことね。・・・完っっっ全に騙されたわ!」
唯一全てを悟ったカレンがぎろりと四聖剣と藤堂を見やってから、ゼロに視線を向けた。
「しょうがないだろう?・・・頼むから察してくれ。」
溜息をつきつつ、ゼロは仮面に手を伸ばし、あっさりとその仮面を外した。
「「「「っ!!?」」」」
さらりと落ちたその艶やかな黒髪と、白磁のように白い素肌。そして、整った顔立ちに紫電の瞳。パーツ一つ一つが美しく、そして、それらが一つも互いの邪魔をすることなく、完璧な美しさを作り出している。
その美しさに、幹部達が見惚れていると、カレンが呆れたように言った。
「・・・ルルーシュって、ホントにタラシね。」
「・・・そのつもりは無いんだが。」
「・・・で、藤堂さんや四聖剣とはどういう知り合いだったワケ?・・・もう、教えてくれるんでしょう?」
未だ呆然としている扇達を放っておき、カレンはルルーシュに訊ねる。
「7年前、俺が枢木家に世話になっていた時に、桐原公に紹介してもらった。・・・少しの間、護衛兼監視役として、俺の傍にいたんだ。」
「・・・スザクと幼馴染っていうのは聞いてたけど、まさか、そういう関係だったとはね。・・・でも、7年前って、開戦直前よね?どうして、日本にいたのよ。ブリタニア人はほとんど本国に帰っていたはずだけど。」
首を傾げるカレンに、ルルーシュは眉を顰めた。
「話せば長くなる。・・・覚悟して聞いてくれ。」
ルルーシュは包み隠さず、全てを打ち明けた。最初は呆然としていた幹部達も、ルルーシュの本名を聞いた瞬間仰天し、そして、マリアンヌ暗殺の事件や日本に送られるまでの経緯を聞いて、自分のことのように怒った。挙句には、それを知りつつ黙っていた藤堂や四聖剣にズルイと詰るような視線を向け始める。
「・・・うわぁ、全員味方なハズなのに、俺、今、すっごいアウェイな気分なんだけど。」
特に、朝比奈へ向けられる視線は、嫉妬も込められていた。ルルーシュを小さい時から構い倒し、ちゃっかり恋人の座についていたのだから、当然と言えば当然なのだが。それに関しては、藤堂も他の四聖剣もフォローする様子は見せない。
「まあ、抜け駆けした朝比奈が悪いな。任務外でもルルーシュとナナリーに会いに行って、2人を手懐けちまうんだもんなぁ。・・・しかも、当時10歳のルルーシュに手ぇ出したんだぞ?」
「「「「「何ィっっ!!?」」」」」
卜部の爆弾発言に、幹部全員が朝比奈に詰め寄った。
「おまっ、何考えてんだよ!!犯罪だぞ犯罪!!」
「そうよ!10歳の子供に何してんのよ!!」
「恥ずかしいと思わないのか!!」
「お前には理性というものが無いのかよ!!」
「最っっ低!!」
壁際まで追い詰められた朝比奈は、卜部に向かって叫ぶ。
「ちょっと、卜部さん!!誤解を招くようなこと言わないで!!俺、ルルーシュに手なんて出してないですって!!」
「おいおい、しらばっくれたら駄目だぜぇ?・・・お前、ルルーシュにふざけ半分で“俺のモノ~っ”とか言って、首元にキスマークつけただろうが。」
「あ、それは、確かに。」
あっさり認めた朝比奈に唖然とした幹部達は、次の瞬間、ハッとしてルルーシュを振り返る。と、そこには、顔を真っ赤に染めて俯き、フルフルと震える姿があって。
「る、ルルーシュ?」
カレンが恐る恐るルルーシュに声をかけると、バッとルルーシュが顔をあげる。その顔は羞恥で真っ赤になり、涙で潤んだ目で朝比奈を睨み、次の瞬間、ルルーシュは叫ぶ。
「・・・ご、の・・・省吾のッ、馬鹿ぁぁあっっ!!!」
「ええ!俺!?・・・ちょっと待って、ルルーシュ!!バラしたの卜部さんだから!俺じゃないから!!ちょっと!?待ってってば!!」
叫んだ瞬間、ラウンジから飛び出してしまったルルーシュを、朝比奈が慌てて追いかけていく。
「・・・ありゃ、しばらくかかるな~。」
ニヤニヤと笑い、見送る卜部は確信犯である。
「卜部さん・・・あれは、卜部さんが悪いですよ。」
じと目の千葉に、卜部はしれっと答える。
「でも、ルルーシュは俺には怒んねーんだよな。・・・昔っからよ。」
「役得だな・・・お前の場合、朝比奈の暴走を良く止めていたから、ルルーシュ君の中では、兄貴分的な存在なんだろう。」
藤堂も苦笑をうかべる。その様子で、ルルーシュと藤堂や四聖剣との関係を察してしまった幹部達は、朝比奈に対し、嫉妬半分同情半分で応援を送った。
―・・・ファイトだ、朝比奈!
「あれで、明日、大丈夫なのかしら・・・。」
1人、生徒会のメンバーとの約束を心配したカレンが、ボソ、と呟く。
「大丈夫だろう。・・・朝比奈はルルーシュの機嫌を直すのは得意だから。」
その呟きを耳にした千葉がクス、と笑い答える。
「・・・なら、良いんですけど。・・・明日は、藤堂さん達も来るんですか?」
「いや。・・・恐らく、朝比奈だけを連れて行くつもりだろう。紅月君、すまないが、もし、朝比奈が暴走したら、止める役目を引き受けてくれるか?・・・ルルーシュ君では、止められないだろうからな。」
首を横に振った藤堂に頷き、カレンはガッツポーズを決めた。
「任せて下さい!・・・ぶん殴ってでも止めますから。」
「・・・カレン・・・結構、朝比奈がルルーシュに手を出したこと、怒ってるんだな。」
扇のその呟きをカレンは黙殺した。
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