Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
※藤堂さんにのみゼロバレ済み。
※甘い藤ルルです。
※藤堂さんが大人の余裕でルルを籠絡中。
※捏造は当然です!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
いつものように生徒会の仕事を終え、ナナリーを咲世子に任せ、ルルーシュは騎士団へと足を向けていた。
「はぁ・・・今日は何も問題が起きてなければいいが・・・。」
そう言って溜め息をつく。行く度行く度に、玉城がまた無駄遣いをしただの、ナイトメアの調整がうまくいかないだの、団員同士でケンカしただの、と問題を起こされていては、オチオチ作戦を練られないというものだ。
「・・・というより、自分達で解決できるものは解決しておいて、事後報告でもすれば良いものを、何故、全て俺に解決させようとするんだか・・・。」
はぁぁぁぁ。と深い溜め息をついて、ルルーシュはトレーラーの反対側から回り込んで、誰にも見つからないようにトレーラーに入り込む。そこは、ゼロの部屋に直結している通路の入口で、C.C.と藤堂の2人を除き、団員達にも教えていない秘密の通路だった。
「・・・おかえり。」
通路に入ってすぐ、この秘密の通路を知っている者の1人が壁にもたれかかって待っていた。
「・・・ただいま、戻りました・・・。」
呆然と返し、それから、ルルーシュはボッと顔を赤らめる。
「・・・ルルーシュ?」
低音の声が名を呼び、ルルーシュはますます頬が熱くなるのを感じる。
「な、何でも、ない、です・・・藤堂さん。」
「そんな顔をして何でもないわけはないだろう?」
ん?と顔をのぞきこまれれば、ルルーシュはとっさに顔を逸らす。
「・・・ルルーシュ。」
くつり、と笑った藤堂はルルーシュの顔を両手で包み、無理やりに自分の方へと向かせる。
「照れたのか?」
「・・・・・・確信犯のくせに。」
ボソ、と呟くのは負け惜しみだとわかっているので、藤堂は余計に肩を揺らす。
「それはそうだが・・・そんなに反応されると面白くてつい、な。」
大人の余裕を見せて、藤堂はルルーシュの手を掴む。
「行こう。皆が待ってる。」
「・・・また、問題でも?」
「問題、というより、無理難題、だな。・・・俺達ではどうにもならなかった。すまないが、君の知恵が欲しい。」
「・・・はぁ・・・。問題だろうが無理難題だろうが、結局俺に回ってくるんですね。」
溜め息をつくルルーシュを見て、藤堂は密かに眉を顰めた。見た目はそうでもないが、だいぶストレスと疲れを溜めこんでいるようだと思う。
「簡単なものは自分達だけで処理するように伝えよう。はっきり言わないと、わからない連中だからな。」
「・・・でも、そう言うと、今度は玉城辺りがまた騒ぐんですよね・・・。」
それも鬱陶しい、とルルーシュは更に深い溜め息をつく。これは重症と判断した藤堂は、少し休ませてやらないと、と考える。
「・・・まあ、その辺りは俺が黙らせる。嫌なことはさっさと終わらせてしまうに限る。そうだろう?」
「そう・・・ですね。」
肩を落とすルルーシュを宥めながら、藤堂は部屋の中に身体を滑り込ませた。
騎士団幹部のラウンジ
いつになくピリピリとした空気が支配する中、オロオロと扇が一通の手紙を渡してくる。
「・・・ぜ、ゼロ・・・その・・・。」
手紙を受け取ったゼロは、その内容に目を通した瞬間、ブルブルと震えだした。
「・・・何なんだ?これは。」
怒りを抑えこんだ声音は、怒鳴られるより怖い。ひぃ、と身を竦ませた面子の中で、藤堂が溜め息をついた。
「その内容の通りだ。情報源はキョウトの桐原翁・・・今の最大反抗勢力は黒の騎士団だが、解放戦線や、旧日本軍の生き残りも多い。だから、こういうことになるのだが・・・。」
「藤堂の奇跡に魅入られた連中、というわけか。」
ボソ、と呟いた言葉に、四聖剣が反応する。
「ちょっと、ゼロ。それって遠まわしに藤堂さんのせいって言ってる!?」
「今の言葉は聞き捨てならないな。」
「・・・あ~、ゼロ、今の発言は俺もあんま良くないと思うが。」
「明らかな失言であろう。訂正を求める。」
それに慌てたのは、古参の面子だったが、ゼロと藤堂は同時に首を傾げた。
「ゼロはそんなつもりで言ったわけじゃないぞ?」
「言い方が悪かったか?・・・藤堂のように奇跡を起こせると妄信した愚か者、という意味だったんだが。」
2人に冷静にそう言われ、四聖剣も古参の面子もポカン、とする。どうやら、当人同士では会話というか意味は通じていたらしいとわかると、四聖剣はおずおずと謝った。
「あ・・・その、じゃあ、ごめん。」
「我等が勘違いしたのだな。すまない。」
「・・・わりぃ。」
「すみませぬ。」
「・・・いや、私も藤堂に通じてさえいれば良いと思って発言してしまった。許せ。・・・では、この勝手に動き回る旧日本軍やら、解放戦線の生き残りをどう処理するかという話なんだな?」
ゼロはたいして気にした様子も無く謝罪を受け取ると、確認のために扇を見る。
「あ、ああ。」
「そうか。これは、確かに私の領分だな。・・・しかし、騎士団が直接手を下すわけにも行くまい・・・彼らの目的もまた、日本の奪還。ナリタの件はブリタニア軍を介在していたからキョウトも暗躍が出来ただけのこと。・・・日本のトップが日本を取り戻そうとする組織を堂々と切り捨てることは認められない。」
ゼロの言葉に、幹部達はビクリと肩を揺らした。“キョウトの暗躍”それはキョウトの意に沿わなければ、ブリタニアに売られる危険を示していた。
「ゼロ・・・。」
眉を顰めた藤堂に、ルルーシュは仮面の下で溜め息をついた。
「藤堂。わかっていたはずだ。キョウトは・・・いや、桐原はそういう人間だ。」
「・・・ああ。わかっていた。解放戦線はすでにキョウトのコントロールの下にはなかった。だから・・・。」
「ブリタニアに売られた。まあ、そこを騎士団は利用してしまったわけだが・・・。」
ゼロの言葉に少しの自嘲が含まれていることに藤堂だけが気付く。
「ゼロ、ナリタのことは・・・。」
「期せずして民間にも多くの犠牲を出した・・・騎士団を正義と認めない者も増えた。だが、我々はここで立ち止まるわけにはいかない。犠牲になった者達のためにも。・・・と、なれば、キョウトの期待に応えるしかないのだが。」
ゼロは藤堂の気遣いを感じて、話を無理やりに戻した。それには大多数の幹部が気付いたが、何も言わずゼロを見つめる。
「どうしたものか。仲間に引き入れることも無理そうだしな。・・・そもそも、藤堂達が騎士団に参入したとわかった時に、共に来なかった時点で、道は違ったと思って良いだろう。」
それには四聖剣もうんうん、と頷く。
「さて、藤堂。お前ならどうする?」
「・・・武力では不可能となると、俺の出る幕では無いな。俺はあくまで戦闘を目的とした指揮しか執ったことがない。」
「そこを承知で聞いている。私も事実、実際に指揮を執ったのは“ゼロ”になってからだ。それまではチェスや戦略書などで知識を得ていただけだからな。」
その事実を初めて聞いた面子はギョッとする。知識だけであんな指揮を執れるゼロに畏怖したのだ。
「そうだな・・・今の解放戦線に有能な将はいない。とすれば、旧日本軍や枢木政権の生き残りが吸収する可能性があるな。」
「ああ、それで?」
藤堂が少し考えながら答えると、ゼロは小さく頷いて先を促す。
「・・・だとするなら、旧日本軍と枢木政権の生き残りを押さえることを勧める。・・・やり方までは考え付かないが。」
「構わない。そこから先は私が考えよう。・・・他の者も今の意見で良いな?」
ゼロが見回せば、幹部達もうんうんと頷く。それ以上の策など出るわけもないと言わんばかりだ。
「・・・今までワンマンで指揮をしていたことを思えば、私が言えた義理ではないのだが、これだけは言わせてもらう。・・・何でもかんでも私に回してくるのはどうかと思うぞ。この件については私の領分であることは認めるし、お前達で手の回らぬこともあるだろう。だが、少しくらい自分の頭で考えても良いのではないか?」
ゼロの苦言に耳が痛い思いをした数名がバツの悪い表情を浮かべ、逆に、ムッとしたのが数名。
「なんでぇ、ゼロが“言うことを聞け”って言うから、従ってやってんじゃねぇかよ。」
そんなことを言い出したのは、やはりというか、玉城だ。
「それは戦場でだ。・・・私は私の戦略に自信を持っている。だが、先程も言ったように実戦で指揮を執ったのは“ゼロ”になってからで、応用は出来るが突発的事項に弱い。いきなり作戦と違う動きをされてもフォローしきれないということだ。・・・だが、それと、ケンカの仲裁やら無駄遣いの尻拭いやらは別次元の話だろう?」
然り、と頷いたのは四聖剣と数人の幹部。
「でも・・・だってよう・・・。」
「・・・そのほとんどに、お前が関わっているように思うが?」
「うぐっ・・・。」
ゼロの言葉に、文句を続けようとした玉城が撃沈する。
「すまない、ゼロ。・・・俺達は何でも君に頼り過ぎていたらしい。これからは俺達で出来ることは俺達でやるよ・・・もちろん、報告は怠らないようにする。」
撃沈した玉城を憐れむように見やりながら、扇が真面目くさって言った。
「そうしてくれ。・・・手に負えないようならいくらでも力を貸そう。」
「ああ。ありがとう!ゼロ!」
扇は笑顔で頷く。それを見ていた藤堂は、ホッと息をついた。これで少しはルルーシュの負担が減るというものだ。
言わなければわからないというのも問題だが、それは、おいおい変わっていけば良いこと。そこまで高望みをしてはいけないと自らを律し、藤堂は立ち上がる。
「では、会議は終了で良いな?・・・ゼロ、少し話がある。」
「ああ。・・・では解散。」
藤堂に視線で促され、ゼロは解散を告げると藤堂と共にトレーラーの奥に引っ込んでしまった。
「・・・あー。藤堂さん、今日は随分とゼロの肩を持ってたなぁ。」
2人が見えなくなってしまうと、朝比奈が呟く。
「確かにな。・・・しかし、ゼロの言うことも尤もだったと思うが?」
「そうなんですけど・・・。なんっか、いつもと違いましたよねぇ、最後に話がある~なんてゼロと一緒に消えちゃうとか、変でしょ?」
「お前の気のせいだ。・・・中佐とてご自分のお考えを持っているのだし、常に我ら四聖剣と共にいられるわけでもないだろう。騎士団の軍事責任者でもあるのだから。」
朝比奈の言葉に、千葉と仙波が反論し、朝比奈はなおもぶつぶつと言っていたが、諦めたのか、月下の様子を見てきますと、ラウンジを後にする。
「・・・逃げたな。」
卜部が苦笑し、千葉も仙波もわかっていたかのように笑みを浮かべる。
「まあ、朝比奈ではないが、確かに今日の中佐は随分とゼロに気を使っておられたようだ。」
「ええ・・・。」
「まぁな・・・どうかしたんだろうか?」
仙波が告げると、卜部も千葉も頷き、2人が消えたドアを心配そうに見つめた。
ゼロの自室に戻って来た藤堂とルルーシュを見て、C.C.はクツリと笑った。
「会議は無事終わったか?」
「ああ。・・・だが、キョウトも無理を言ってくれる。」
「試されているんでしょう。・・・どこまで、俺が本気か・・・。」
藤堂がキョウトに憤りを見せると、ルルーシュは肩を竦めた。
「本気、か。まあ、桐原以外のお前の素性を知る者にとっては、疑わざるを得ないだろうな。」
「そう、だな。」
C.C.に言われ、ルルーシュはこくりと頷いた。桐原に関しては“修羅の道を行くか”と当人が言ったようにルルーシュの心情についてよく知っているから、疑ってはいないだろうとわかるが、他のキョウトの面子はどうかと言われれば、わからない、と言うしかない。
「・・・まあ、深く考えても仕方がないだろう。・・・我等は示されたものを完遂するまで。」
藤堂はそう言って、C.C.に視線を向ける。それを受けたC.C.はやれやれと立ち上がった。
「どうした、C.C.?」
ルルーシュが首を傾げると、C.C.は薄く笑う。
「何、ただ、暇だから散歩をしてくるだけだ。・・・疲れているんだろう?ルルーシュ。お前は少し休め。」
そう言って、部屋をさっさと出て行くC.C.を見送り、ルルーシュは苦笑した。
「気を・・・使ったのか?あいつが。」
「折角の気遣いだ。・・・ゆっくり休むとしよう。」
藤堂はルルーシュをソファーへと導く。
「・・・藤堂さん。・・・さっきは絡んですみませんでした。」
「ああ、いや。ルルーシュの考えていることはわかったからな。・・・幹部達に苦言を言う前に、俺に意見を言わせておけば、俺まで非難することにならないから、だろう?」
クツクツと笑い、藤堂はソファーに座り、ルルーシュの肩に腕をまわした。それに合わせるようにルルーシュは藤堂の肩に頭を乗せる。
「・・・予防線は張っておこうかと思って。」
「玉城対策か?」
「・・・変な所で鋭いんですよ、あいつ。」
溜め息をつくルルーシュに、藤堂は、クツクツと笑う。
「そうか。変な所で、な。・・・そういえば、俺達が参入する前はどうやって不満などは処理していたんだ?」
「嫌なら抜けろ、とか。俺を撃って誰かがゼロになるか?とか・・・まあ、脅しですね、ほとんど。」
ルルーシュは投げやりに答え、藤堂の腕に自分の腕を絡ませる。こういう時は随分と大胆なのだと知ったのはつい最近で、最初のうちは誘っているのかと思って、どぎまぎしていたのだが、ただ単に甘えたいだけなのだとわかり、好きなようにさせることにした、藤堂である。
「随分と危険な真似を。・・・しかし、君がいないと拙いということはさすがにわかっていたらしいな。」
「の、ようですね。俺がこうしてここにいるんですから。」
すりすりと藤堂の肩に頬を擦り寄せ、ルルーシュは藤堂の腕を抱き込むようにして、更にくっつく。
「・・・今日は随分と疲れていたようだが、どうかしたのか?」
「・・・まあ、表でもいろいろあったので・・・。」
ルルーシュはすでに半分以上夢の中のような心地で答えている。それがわかっているので、藤堂は深くは問い詰めず、ルルーシュを完全に腕の中に納めて、その頭をゆっくりと撫でた。
「そうか。・・・ルルーシュ、このまま少し眠ると良い。君は元々体力が無いのだから・・・。」
「・・・ん・・・。」
藤堂の体温を感じて、ルルーシュは目を細めその胸に顔を押し付ける。
「・・・おやすみ、ルルーシュ。」
ふ、と笑い、藤堂は頭を撫でていた手を背中に移し、ポンポン、とあやすように叩く。そのゆっくりとしたテンポに合わせるように、ルルーシュの寝息が聞こえてくる。
「・・・寝たか?」
「ああ。」
突如背後から声をかけられるが、たいして驚いた様子も無く藤堂は応じた。扉の前でC.C.が様子を窺っていたのは知っていたからだ。
「・・・今日は珍しくぐずったな。」
「ああ。・・・随分とこぼしていたから、おそらくスザク君だろうな。」
「まったく、辛いなら会わなければ良いものを。」
「・・・そうもいかないんだろう。」
ブツブツというC.C.を見て苦笑し、藤堂は愛おしげにルルーシュを見つめる。
「まあ、お前がいるから、多少の無茶もするんだろう。・・・私ではこうやって甘えさせることはできないからな。」
C.C.はそう言って藤堂に背を向ける。
「どこに行く?」
「散歩だ。・・・そう言ったろう?」
クス、と笑ってC.C.は部屋を出て行く。今度は本当に気配が遠ざかっていくのを感じ、藤堂は、フッと息をつく。
「・・・俺がいるから・・・か。」
嬉しそうに呟き、ルルーシュの体勢を変えないようにして深く深く抱き込んだ。
「俺も、君がいるから頑張れる。・・・共に、日本を取り戻そう・・・ルルーシュ、君の望む優しい世界の構築のために・・・。」
おしまい
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※藤堂さんにのみゼロバレ済み。
※甘い藤ルルです。
※藤堂さんが大人の余裕でルルを籠絡中。
※捏造は当然です!
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
いつものように生徒会の仕事を終え、ナナリーを咲世子に任せ、ルルーシュは騎士団へと足を向けていた。
「はぁ・・・今日は何も問題が起きてなければいいが・・・。」
そう言って溜め息をつく。行く度行く度に、玉城がまた無駄遣いをしただの、ナイトメアの調整がうまくいかないだの、団員同士でケンカしただの、と問題を起こされていては、オチオチ作戦を練られないというものだ。
「・・・というより、自分達で解決できるものは解決しておいて、事後報告でもすれば良いものを、何故、全て俺に解決させようとするんだか・・・。」
はぁぁぁぁ。と深い溜め息をついて、ルルーシュはトレーラーの反対側から回り込んで、誰にも見つからないようにトレーラーに入り込む。そこは、ゼロの部屋に直結している通路の入口で、C.C.と藤堂の2人を除き、団員達にも教えていない秘密の通路だった。
「・・・おかえり。」
通路に入ってすぐ、この秘密の通路を知っている者の1人が壁にもたれかかって待っていた。
「・・・ただいま、戻りました・・・。」
呆然と返し、それから、ルルーシュはボッと顔を赤らめる。
「・・・ルルーシュ?」
低音の声が名を呼び、ルルーシュはますます頬が熱くなるのを感じる。
「な、何でも、ない、です・・・藤堂さん。」
「そんな顔をして何でもないわけはないだろう?」
ん?と顔をのぞきこまれれば、ルルーシュはとっさに顔を逸らす。
「・・・ルルーシュ。」
くつり、と笑った藤堂はルルーシュの顔を両手で包み、無理やりに自分の方へと向かせる。
「照れたのか?」
「・・・・・・確信犯のくせに。」
ボソ、と呟くのは負け惜しみだとわかっているので、藤堂は余計に肩を揺らす。
「それはそうだが・・・そんなに反応されると面白くてつい、な。」
大人の余裕を見せて、藤堂はルルーシュの手を掴む。
「行こう。皆が待ってる。」
「・・・また、問題でも?」
「問題、というより、無理難題、だな。・・・俺達ではどうにもならなかった。すまないが、君の知恵が欲しい。」
「・・・はぁ・・・。問題だろうが無理難題だろうが、結局俺に回ってくるんですね。」
溜め息をつくルルーシュを見て、藤堂は密かに眉を顰めた。見た目はそうでもないが、だいぶストレスと疲れを溜めこんでいるようだと思う。
「簡単なものは自分達だけで処理するように伝えよう。はっきり言わないと、わからない連中だからな。」
「・・・でも、そう言うと、今度は玉城辺りがまた騒ぐんですよね・・・。」
それも鬱陶しい、とルルーシュは更に深い溜め息をつく。これは重症と判断した藤堂は、少し休ませてやらないと、と考える。
「・・・まあ、その辺りは俺が黙らせる。嫌なことはさっさと終わらせてしまうに限る。そうだろう?」
「そう・・・ですね。」
肩を落とすルルーシュを宥めながら、藤堂は部屋の中に身体を滑り込ませた。
騎士団幹部のラウンジ
いつになくピリピリとした空気が支配する中、オロオロと扇が一通の手紙を渡してくる。
「・・・ぜ、ゼロ・・・その・・・。」
手紙を受け取ったゼロは、その内容に目を通した瞬間、ブルブルと震えだした。
「・・・何なんだ?これは。」
怒りを抑えこんだ声音は、怒鳴られるより怖い。ひぃ、と身を竦ませた面子の中で、藤堂が溜め息をついた。
「その内容の通りだ。情報源はキョウトの桐原翁・・・今の最大反抗勢力は黒の騎士団だが、解放戦線や、旧日本軍の生き残りも多い。だから、こういうことになるのだが・・・。」
「藤堂の奇跡に魅入られた連中、というわけか。」
ボソ、と呟いた言葉に、四聖剣が反応する。
「ちょっと、ゼロ。それって遠まわしに藤堂さんのせいって言ってる!?」
「今の言葉は聞き捨てならないな。」
「・・・あ~、ゼロ、今の発言は俺もあんま良くないと思うが。」
「明らかな失言であろう。訂正を求める。」
それに慌てたのは、古参の面子だったが、ゼロと藤堂は同時に首を傾げた。
「ゼロはそんなつもりで言ったわけじゃないぞ?」
「言い方が悪かったか?・・・藤堂のように奇跡を起こせると妄信した愚か者、という意味だったんだが。」
2人に冷静にそう言われ、四聖剣も古参の面子もポカン、とする。どうやら、当人同士では会話というか意味は通じていたらしいとわかると、四聖剣はおずおずと謝った。
「あ・・・その、じゃあ、ごめん。」
「我等が勘違いしたのだな。すまない。」
「・・・わりぃ。」
「すみませぬ。」
「・・・いや、私も藤堂に通じてさえいれば良いと思って発言してしまった。許せ。・・・では、この勝手に動き回る旧日本軍やら、解放戦線の生き残りをどう処理するかという話なんだな?」
ゼロはたいして気にした様子も無く謝罪を受け取ると、確認のために扇を見る。
「あ、ああ。」
「そうか。これは、確かに私の領分だな。・・・しかし、騎士団が直接手を下すわけにも行くまい・・・彼らの目的もまた、日本の奪還。ナリタの件はブリタニア軍を介在していたからキョウトも暗躍が出来ただけのこと。・・・日本のトップが日本を取り戻そうとする組織を堂々と切り捨てることは認められない。」
ゼロの言葉に、幹部達はビクリと肩を揺らした。“キョウトの暗躍”それはキョウトの意に沿わなければ、ブリタニアに売られる危険を示していた。
「ゼロ・・・。」
眉を顰めた藤堂に、ルルーシュは仮面の下で溜め息をついた。
「藤堂。わかっていたはずだ。キョウトは・・・いや、桐原はそういう人間だ。」
「・・・ああ。わかっていた。解放戦線はすでにキョウトのコントロールの下にはなかった。だから・・・。」
「ブリタニアに売られた。まあ、そこを騎士団は利用してしまったわけだが・・・。」
ゼロの言葉に少しの自嘲が含まれていることに藤堂だけが気付く。
「ゼロ、ナリタのことは・・・。」
「期せずして民間にも多くの犠牲を出した・・・騎士団を正義と認めない者も増えた。だが、我々はここで立ち止まるわけにはいかない。犠牲になった者達のためにも。・・・と、なれば、キョウトの期待に応えるしかないのだが。」
ゼロは藤堂の気遣いを感じて、話を無理やりに戻した。それには大多数の幹部が気付いたが、何も言わずゼロを見つめる。
「どうしたものか。仲間に引き入れることも無理そうだしな。・・・そもそも、藤堂達が騎士団に参入したとわかった時に、共に来なかった時点で、道は違ったと思って良いだろう。」
それには四聖剣もうんうん、と頷く。
「さて、藤堂。お前ならどうする?」
「・・・武力では不可能となると、俺の出る幕では無いな。俺はあくまで戦闘を目的とした指揮しか執ったことがない。」
「そこを承知で聞いている。私も事実、実際に指揮を執ったのは“ゼロ”になってからだ。それまではチェスや戦略書などで知識を得ていただけだからな。」
その事実を初めて聞いた面子はギョッとする。知識だけであんな指揮を執れるゼロに畏怖したのだ。
「そうだな・・・今の解放戦線に有能な将はいない。とすれば、旧日本軍や枢木政権の生き残りが吸収する可能性があるな。」
「ああ、それで?」
藤堂が少し考えながら答えると、ゼロは小さく頷いて先を促す。
「・・・だとするなら、旧日本軍と枢木政権の生き残りを押さえることを勧める。・・・やり方までは考え付かないが。」
「構わない。そこから先は私が考えよう。・・・他の者も今の意見で良いな?」
ゼロが見回せば、幹部達もうんうんと頷く。それ以上の策など出るわけもないと言わんばかりだ。
「・・・今までワンマンで指揮をしていたことを思えば、私が言えた義理ではないのだが、これだけは言わせてもらう。・・・何でもかんでも私に回してくるのはどうかと思うぞ。この件については私の領分であることは認めるし、お前達で手の回らぬこともあるだろう。だが、少しくらい自分の頭で考えても良いのではないか?」
ゼロの苦言に耳が痛い思いをした数名がバツの悪い表情を浮かべ、逆に、ムッとしたのが数名。
「なんでぇ、ゼロが“言うことを聞け”って言うから、従ってやってんじゃねぇかよ。」
そんなことを言い出したのは、やはりというか、玉城だ。
「それは戦場でだ。・・・私は私の戦略に自信を持っている。だが、先程も言ったように実戦で指揮を執ったのは“ゼロ”になってからで、応用は出来るが突発的事項に弱い。いきなり作戦と違う動きをされてもフォローしきれないということだ。・・・だが、それと、ケンカの仲裁やら無駄遣いの尻拭いやらは別次元の話だろう?」
然り、と頷いたのは四聖剣と数人の幹部。
「でも・・・だってよう・・・。」
「・・・そのほとんどに、お前が関わっているように思うが?」
「うぐっ・・・。」
ゼロの言葉に、文句を続けようとした玉城が撃沈する。
「すまない、ゼロ。・・・俺達は何でも君に頼り過ぎていたらしい。これからは俺達で出来ることは俺達でやるよ・・・もちろん、報告は怠らないようにする。」
撃沈した玉城を憐れむように見やりながら、扇が真面目くさって言った。
「そうしてくれ。・・・手に負えないようならいくらでも力を貸そう。」
「ああ。ありがとう!ゼロ!」
扇は笑顔で頷く。それを見ていた藤堂は、ホッと息をついた。これで少しはルルーシュの負担が減るというものだ。
言わなければわからないというのも問題だが、それは、おいおい変わっていけば良いこと。そこまで高望みをしてはいけないと自らを律し、藤堂は立ち上がる。
「では、会議は終了で良いな?・・・ゼロ、少し話がある。」
「ああ。・・・では解散。」
藤堂に視線で促され、ゼロは解散を告げると藤堂と共にトレーラーの奥に引っ込んでしまった。
「・・・あー。藤堂さん、今日は随分とゼロの肩を持ってたなぁ。」
2人が見えなくなってしまうと、朝比奈が呟く。
「確かにな。・・・しかし、ゼロの言うことも尤もだったと思うが?」
「そうなんですけど・・・。なんっか、いつもと違いましたよねぇ、最後に話がある~なんてゼロと一緒に消えちゃうとか、変でしょ?」
「お前の気のせいだ。・・・中佐とてご自分のお考えを持っているのだし、常に我ら四聖剣と共にいられるわけでもないだろう。騎士団の軍事責任者でもあるのだから。」
朝比奈の言葉に、千葉と仙波が反論し、朝比奈はなおもぶつぶつと言っていたが、諦めたのか、月下の様子を見てきますと、ラウンジを後にする。
「・・・逃げたな。」
卜部が苦笑し、千葉も仙波もわかっていたかのように笑みを浮かべる。
「まあ、朝比奈ではないが、確かに今日の中佐は随分とゼロに気を使っておられたようだ。」
「ええ・・・。」
「まぁな・・・どうかしたんだろうか?」
仙波が告げると、卜部も千葉も頷き、2人が消えたドアを心配そうに見つめた。
ゼロの自室に戻って来た藤堂とルルーシュを見て、C.C.はクツリと笑った。
「会議は無事終わったか?」
「ああ。・・・だが、キョウトも無理を言ってくれる。」
「試されているんでしょう。・・・どこまで、俺が本気か・・・。」
藤堂がキョウトに憤りを見せると、ルルーシュは肩を竦めた。
「本気、か。まあ、桐原以外のお前の素性を知る者にとっては、疑わざるを得ないだろうな。」
「そう、だな。」
C.C.に言われ、ルルーシュはこくりと頷いた。桐原に関しては“修羅の道を行くか”と当人が言ったようにルルーシュの心情についてよく知っているから、疑ってはいないだろうとわかるが、他のキョウトの面子はどうかと言われれば、わからない、と言うしかない。
「・・・まあ、深く考えても仕方がないだろう。・・・我等は示されたものを完遂するまで。」
藤堂はそう言って、C.C.に視線を向ける。それを受けたC.C.はやれやれと立ち上がった。
「どうした、C.C.?」
ルルーシュが首を傾げると、C.C.は薄く笑う。
「何、ただ、暇だから散歩をしてくるだけだ。・・・疲れているんだろう?ルルーシュ。お前は少し休め。」
そう言って、部屋をさっさと出て行くC.C.を見送り、ルルーシュは苦笑した。
「気を・・・使ったのか?あいつが。」
「折角の気遣いだ。・・・ゆっくり休むとしよう。」
藤堂はルルーシュをソファーへと導く。
「・・・藤堂さん。・・・さっきは絡んですみませんでした。」
「ああ、いや。ルルーシュの考えていることはわかったからな。・・・幹部達に苦言を言う前に、俺に意見を言わせておけば、俺まで非難することにならないから、だろう?」
クツクツと笑い、藤堂はソファーに座り、ルルーシュの肩に腕をまわした。それに合わせるようにルルーシュは藤堂の肩に頭を乗せる。
「・・・予防線は張っておこうかと思って。」
「玉城対策か?」
「・・・変な所で鋭いんですよ、あいつ。」
溜め息をつくルルーシュに、藤堂は、クツクツと笑う。
「そうか。変な所で、な。・・・そういえば、俺達が参入する前はどうやって不満などは処理していたんだ?」
「嫌なら抜けろ、とか。俺を撃って誰かがゼロになるか?とか・・・まあ、脅しですね、ほとんど。」
ルルーシュは投げやりに答え、藤堂の腕に自分の腕を絡ませる。こういう時は随分と大胆なのだと知ったのはつい最近で、最初のうちは誘っているのかと思って、どぎまぎしていたのだが、ただ単に甘えたいだけなのだとわかり、好きなようにさせることにした、藤堂である。
「随分と危険な真似を。・・・しかし、君がいないと拙いということはさすがにわかっていたらしいな。」
「の、ようですね。俺がこうしてここにいるんですから。」
すりすりと藤堂の肩に頬を擦り寄せ、ルルーシュは藤堂の腕を抱き込むようにして、更にくっつく。
「・・・今日は随分と疲れていたようだが、どうかしたのか?」
「・・・まあ、表でもいろいろあったので・・・。」
ルルーシュはすでに半分以上夢の中のような心地で答えている。それがわかっているので、藤堂は深くは問い詰めず、ルルーシュを完全に腕の中に納めて、その頭をゆっくりと撫でた。
「そうか。・・・ルルーシュ、このまま少し眠ると良い。君は元々体力が無いのだから・・・。」
「・・・ん・・・。」
藤堂の体温を感じて、ルルーシュは目を細めその胸に顔を押し付ける。
「・・・おやすみ、ルルーシュ。」
ふ、と笑い、藤堂は頭を撫でていた手を背中に移し、ポンポン、とあやすように叩く。そのゆっくりとしたテンポに合わせるように、ルルーシュの寝息が聞こえてくる。
「・・・寝たか?」
「ああ。」
突如背後から声をかけられるが、たいして驚いた様子も無く藤堂は応じた。扉の前でC.C.が様子を窺っていたのは知っていたからだ。
「・・・今日は珍しくぐずったな。」
「ああ。・・・随分とこぼしていたから、おそらくスザク君だろうな。」
「まったく、辛いなら会わなければ良いものを。」
「・・・そうもいかないんだろう。」
ブツブツというC.C.を見て苦笑し、藤堂は愛おしげにルルーシュを見つめる。
「まあ、お前がいるから、多少の無茶もするんだろう。・・・私ではこうやって甘えさせることはできないからな。」
C.C.はそう言って藤堂に背を向ける。
「どこに行く?」
「散歩だ。・・・そう言ったろう?」
クス、と笑ってC.C.は部屋を出て行く。今度は本当に気配が遠ざかっていくのを感じ、藤堂は、フッと息をつく。
「・・・俺がいるから・・・か。」
嬉しそうに呟き、ルルーシュの体勢を変えないようにして深く深く抱き込んだ。
「俺も、君がいるから頑張れる。・・・共に、日本を取り戻そう・・・ルルーシュ、君の望む優しい世界の構築のために・・・。」
おしまい
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