Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・ロイルル←シュナ
・皇子様なルル
・ルルは無茶苦茶皆から愛されています(笑)
・ギャグ?
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
― 貴方に一生の忠誠を
誓いの言葉を紡ぐ口元が、弧を描いた。
***
「あの~、シュナイゼル殿下ぁ?」
変わり者の学友の声に、シュナイゼルはフッと執務机から顔をあげる。
「なんだい?ロイド。」
「僕、ちょっと、欲しいものがあるんですよ~。」
「・・・私は君のお財布じゃないんだけれどねぇ?」
ヘラヘラと笑う学友に、シュナイゼルはそれでもにこやかに応じる。
「わかってますよぅ~、今回は、口利きだけで結構です~、後は、自分でやるんでぇ~。」
「・・・口利き?」
「良いですよねぇ~それくらい。僕、一応、貴方に無茶苦茶貢献してるつもりなんですけど~?」
確かに、この学友はとても優秀で、シュナイゼルがここまでのぼりつめるのに、随分と貢献してくれた。
「わかったわかった。・・・口利きくらいなら、いくらでもやってあげるよ。」
だから、シュナイゼルは、詳しい内容を聞きもせず、二つ返事で了承した。策略家として、とても優秀なハズのシュナイゼルにしては、とてもうっかりさんな発言だった。
「やったぁ~~~。ありがと~ございます~~~。」
ニヤリとロイドが笑ったのを見た瞬間、シュナイゼルはしまったと思ったが、時既に遅し。しっかり言質を取ったロイドに“撤回はナシですよ~”とダメ押しをされてしまった。
「・・・それで、何を口利きすれば良いんだい?」
諦めて訊ねたシュナイゼルに、ロイドは核弾頭的な発言をかましてくれた。
「・・・“紫電の君”の騎士に推薦してください。」
“紫電の君”その名を聞いた瞬間、シュナイゼルは、ガタン!とイスを蹴倒してその場から立ち上がった。
「ろ、ろろろろろっ、ろろろ、ろいど・・・?」
舌を噛みそうな勢いでどもり、シュナイゼルは学友の両肩をガシッと掴む。
「・・・もっももも、もう1回言ってくれるかな?」
「ですからぁ~・・・“紫電の君”の騎士に推薦してください。」
ロイドの真顔に、本気と悟ったシュナイゼルは、フッと気を飛ばして、そのまま後ろへと倒れた。
「「「「わぁぁぁッ!シュナイゼル殿下!!?」」」」
シュナイゼルの側近達が慌てて駆け寄り、シュナイゼルを抱き起こすと、完全に彼は白目を剥いてしまっていた。
「アスプルンド伯爵・・・オイタが過ぎますわ。」
じろり、とシュナイゼルの側近中の側近であるカノンに睨まれるが、ロイドは飄々と笑った。
「あはぁ~、だって、シュナイゼル殿下が良いって仰ったんだしぃ~?」
「・・・貴方だって、ご存知でしょ?殿下があの方を目の中に入れても痛くないほど可愛がっていらっしゃるの。」
「うん、知ってるよ~。だから、推薦してくださいって~、お願いしたんだよ~ぉ。」
どうやら、確信犯らしいとわかったカノンは、はぁ、と溜め息をついてシュナイゼルを自室へ運ぶように指示する。
「お可哀想な殿下。・・・最も愛していらっしゃるあの方の騎士に、アスプルンド伯を推薦しなければならないなんて。」
「ま、殿下が復活されるまでは、我慢だよねぇ~・・・うん。それまでに、根回しくらいはしとかないとねぇ。」
ヘラヘラと笑いながらシュナイゼルの執務室から出て行ったロイドを見送り、カノンは肩を落とした。
「一応、彼も爵位を持つ、ブリタニアの貴族だったのよね・・・すっかり、忘れていたわ。」
“能ある鷹は爪を隠す”遙か東の島国の言葉が脳裏を過る。が、カノンはとにかくシュナイゼルを復活させなければと、彼の離宮へと足を向けたのだった。
***
「・・・シュナイゼル兄上がお倒れになった?」
アリエス離宮の自室で読書をしていた美貌の少年が、カノンの言葉に眉を顰める。
「ええ。ショックな事を聞いてしまわれて。・・・申し訳ありませんが、殿下のお力をお借りしたくて。よろしいでしょうか?」
「私で良いなら・・・兄上がお倒れになるなんて、余程のことなのだろう?」
読んでいた本にしおりを挟み、少年は立ち上がる。
「よろしくお願い致しますね。ルルーシュ殿下。」
「わかったよ。マルディーニ伯爵。」
そう、今、カノンが対峙している少年こそ、シュナイゼルがこよなく愛し、ロイドが“紫電の君”と呼ぶ皇子、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア(御歳16)である。
ルルーシュは、とにかく皇室中のアイドルだった。父親や母親、その他大勢の皇妃達、そして、兄姉、弟妹、皇族全てがルルーシュを愛し、その、ブリタニア皇族の最も濃い血筋を受け継いだ純紫の瞳から“紫電の君”と呼ばれ、更に、数多くいる皇子達の中で、プリンス・オブ・ブリタニアと呼ばれるのもルルーシュだけの特権となっている。
そんなルルーシュの騎士に、あのお茶らけた人物を推さなければならなくなったシュナイゼルに、カノンは自分までも胸が痛くなる思いだった。
***
ルルーシュと雑談を交わしながらシュナイゼルの自室までやって来たカノンは、早速ルルーシュをその中に通し、周りに控えていた者達を全て下がらせる。
「・・・では、よろしくお願い致します。」
「ああ。」
頷くルルーシュに全てを任せ、カノンはシュナイゼルが残した仕事を片付けるために、執務室へと向かった。
そして、シュナイゼルが横たわるベットのサイドチェアーに座ったルルーシュは、溜め息をついて異母兄の手を握る。
「兄上、また、無茶な仕事の仕方をなさったのではありませんか?こんな風にお倒れになるなんて、滅多になかったでしょう?」
「・・・ルルーシュかい?」
のろのろと目を開け、その顔を見たシュナイゼルはホッと笑んで、それから、すぐに表情を歪ませた。
「・・・兄上?お加減が悪いのなら、医者を・・・。」
「いいや、大丈夫だよ。・・・体調が悪いんじゃない。」
心配するルルーシュに微笑んで見せ、シュナイゼルは律儀にも約束を守る為、嫌々ながらも倒れるきっかけとなった、ロイドの願いを口にした。
「・・・ルルーシュの騎士候補を、推薦したいんだけれどね。」
「・・・また、随分と唐突ですね?・・・僕はまだ騎士はいりませんよ?」
首を傾げるルルーシュに、シュナイゼルは最後まで聞きなさい、と窘める。
「・・・私の学友で、ロイドという男がいるんだけれどね。彼が是非、君の騎士に推薦してくれと、私に頼み込んで来てね。」
「それって・・・ロイド・アスプルンド伯爵ですか?」
ルルーシュの純紫の瞳がキラキラと輝くのを見て、シュナイゼルは嫌な予感に駆られる。
「・・・あ、ああ。そうだよ。」
「本当ですか!?・・・僕、アスプルンド伯のファンなんです!あの人の書いた論文はとても面白くて!1度会ってみたいと思っていたんです。そんな人が、僕の騎士だなんて!!なんて僕は幸せ者なんだろう!・・・兄上、ありがとうございます!!まさか、アスプルンド伯が兄上の学友だったなんて知らなかったから・・・僕の方こそお願いします!アスプルンド伯に紹介して下さい!」
ルルーシュの異常なまでのナイトメアへの興味は、ロイドの論文のせいらしい。
しかもファンだとか、幸せ者だとか。シュナイゼルはショックの為に気を遠くに飛ばしかけて、それでも、ルルーシュに感謝されているという幸せをかみしめながら、複雑な思いで、笑みをうかべた。
「もちろん・・・近日中に、ロイドを紹介するよ・・・。」
「ありがとうございます、兄上!愛してます!!」
ルルーシュが感極まってシュナイゼルに抱きつき、シュナイゼルはだらしないほど表情筋を緩めた。
誰かに見られたら、今まで作り上げてきたイメージがガラガラと崩れてしまうはずだ。
が、肝心のルルーシュは抱きついているし、カノンが気を利かせ、側近達も部屋の外に出されている。というわけで、いつもの凛々しさの欠片もない表情は誰にも見咎められずに済んだのだった。
***
― 1ヶ月後
「ロイド・アスプルンド。汝、ここに騎士の誓約を立て、ブリタニアの騎士として戦うことを願うか」
「イエス、ユア・ハイネス」
壇上のルルーシュの頬は興奮で紅潮し、それでも、作法に則ってかける言葉は落ち着いている。
そして、そのルルーシュの前に跪き、頭を垂れているロイドも、黒の布地に金の縁取りの騎士服を身にまとい、別人と見紛う程に堂々とし、落ち着いた態度で答えている。
「汝、我欲を捨て、大いなる正義のため、剣となり盾となることを望むか」
「イエス、ユア・ハイネス」
厳かな儀式。淡々と行われるそれを、誰もが納得できない、という思いで見つめていた。
「「・・・兄上・・・。」」
恨めしげなクロヴィスの視線と、コーネリアの射殺すような視線。その2つが言葉とともに同時にシュナイゼルに向けられる。
「・・・なんで、ロイド伯爵なんですか。」
「そうです、もっと、あの子にふさわしい人間がいたでしょうに。」
「・・・まったくだねぇ。」
すぐ下の弟と妹の言葉に被さるように、長兄の言葉が降ってくる。
「・・・我々に相談も無しに、さっさと決めてしまって・・・どういうことか、説明してくれるんだよねぇ、シュナイゼル?」
にこにこにこにこにこにこ・・・。
笑顔が非常に黒い。第一皇子は凡庸。そう言ったのは誰だったか。・・・とりあえず一発殴らせろ、とシュナイゼルは意識を違う方へと飛ばす。
と、その時、ざわりと周りの空気が揺れる。
視線をルルーシュ達の方へと向けると、ルルーシュがロイドを抱擁している姿が目に飛び込んできた。
「っ!?・・・ろ、ろいど・・・儀式のやり方は・・・剣を捧げる方でと言ったのに!!!!!」
あんぐりと口を開けている周囲など目には入らず、シュナイゼルは地団太を踏んで悔しがる。すわ、殿下御乱心、といったところだが、誰もそんなものは気にしていない。心の中でそれぞれが大絶叫しながら、ルルーシュがロイドを抱擁する光景を見ていたのだから。
「「「「「(ロイド・アスプルンド・・・後で絶対にシメる!!!!!)」」」」」
この場にいる全員が、気持ちを同じくした時、ルルーシュがロイドから離れ、凛とした姿でその言葉を口にした。
「私、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは汝、ロイド・アスプルンドを騎士として認める。」
「「「「「(認めたくねぇぇぇぇぇ!!!!!)」」」」」
またも、この場にいる全員が、気持ちを同じく、心の中で大絶叫した時、ロイドがすくりと立ち上がり、ルルーシュに背を向け、皆に向かって一礼し、
ニヤリ
と、笑った。
その場の人間を一斉に敵にまわしたロイドだったが、ルルーシュがその背後で、いつまでたっても起こらない拍手喝采を待っていることに気づいていたので、口元に笑みをうかべ、心にもないことを口にした。
「・・・たった今、ルルーシュ殿下の専任騎士を拝命仕りました、ロイド・アスプルンドです。ご列席の皆様におかれましても、ご承認戴ければと存じます。」
その言葉で、ハッと我に返ったのはシュナイゼルだった。ロイドが拍手を要求している、と理解したからだ。
拍手をするのは(もちろん)ロイドのためではない。愛しい、愛しい、愛しい、愛しい(×∞)ルルーシュのためである。(ついでに言うと、推薦した手前、承認の拍手をしなければ、ルルーシュに訝しまれるだろうから)
パチパチパチ・・・
表面上、にこやかな表情を作り、ルルーシュを祝福する拍手を送るシュナイゼル。その場の人間は渋々、そのシュナイゼルに倣い、拍手を送る。
それを確認したルルーシュがホッと安堵の表情をうかべたのを見て、ルルーシュが皆の拍手を待っていたのだと今更ながらに気づいた面々が、負けじと拍手を大きくしたので、騎士叙任式の場に拍手大喝采が響き渡ったのだった。
ルルーシュの自室
「殿下、ちょっと、緊張してましたぁ?」
にっこりと笑うロイドに、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「・・・ちょっとだけ、な。・・・でも、さすが、アスプルンド伯は落ち着いていたな。」
「・・・あ~、殿下ぁ?」
「うん?」
「・・・その呼び方、改めません~?」
「呼び方・・・?」
ことり、と首を傾げたルルーシュに、ロイドは苦笑した。
「僕は、殿下の騎士になったんですから~、ロイド、と名前で呼んで頂きたいんですけど。・・・アスプルンド伯、じゃぁ、他人行儀じゃないですか~。」
「・・・それも・・・そうか。じゃあ、ロイド。」
「はいは~い。」
「これから、よろしく頼むな?」
「イエス、ユア・ハイネス・・・ルルーシュ様、貴方に一生の忠誠を。」
誓いの言葉を紡ぎ、ロイドはルルーシュの前に跪く。
「・・・ロイド?」
「御手を・・・。」
ロイドに乞われるまま、ルルーシュはロイドに手を差し出す。その手を恭しく掴んだロイドの口元が弧を描く。
あ、とルルーシュが思った瞬間、ロイドはルルーシュの手に口づけをしていた。
「ろ・・・ロイ、ド///」
「僕は一生貴方のモノ。・・・そして、貴方も、一生、僕のモノです。」
皇族に対しての発言ではない。無礼と言われてもおかしくないのだが、純情なルルーシュはその言葉に、真っ赤になってしまった。
「・・・殿下、ご許可を。」
そっと身体を己に引き寄せて、ロイドがルルーシュの耳元に口を近づけ、柔らかい声で許しを請う。
「・・・っ///・・・わ、わかった。・・・お前は一生僕のモノで、僕は一生お前のモノだっ///」
この体勢を早く解いて欲しくて、ルルーシュはコクコクと頷く。
「あっはぁ、ありがとうございます~vV・・・愛してますよぉ、殿下v」
完全に舞い上がったロイドが、がばぁッと抱きついてきたので、思わずルルーシュは素っ頓狂な悲鳴を上げた。
「ほわぁぁぁっ!?」
「ルルーシュッ!?」
バタン!
ルルーシュの悲鳴を聞き届けた(実際は部屋の前に張り付いていた)シュナイゼルが部屋の中に乱入する。
ロイドがルルーシュを抱きしめている光景を目にしたシュナイゼルは、フルフルと震え、ブチ、とキレた。
「・・・ロイド・・・何をやってるのかな?」
ふふふ、と笑うその表情は、引き攣っているうえにこめかみに血管が浮き出ている。
「・・・え~と~、愛情表現?」
へらり、と笑って答えた学友(兼大事な大事な(×∞)弟の騎士)に、シュナイゼルは絶対零度の視線を向けた。
「ほぉう・・・最近の愛情表現はそうやるんだねぇ・・・私も、混ぜて貰おうかなぁ?」
遠慮しておきます。
と言いかけたロイドだったが、ルルーシュが嬉しそうな表情をうかべた瞬間諦めた。何があろうと、ルルーシュ第一である。ルルーシュがよしとするなら何でも良いのだ。
ルルーシュがカラスは白!と言ったら、世界中のカラスを白く塗りたくるだけの覚悟がロイドにはある。(実際そんなことは言わないだろうが)
「ルルーシュ、愛してるよ。」
「僕も、兄上のことを、愛してます!」
だから、愛を囁き(違う)抱擁し合う兄弟を寛大な心を持って見守ることにした。
それを不審に思ったシュナイゼルは、ルルーシュがお茶を入れてきます、と席を外した後、ロイドに訊ねた。
「・・・騎士になったというだけで、随分と余裕だねぇ。」
「・・・あっはぁ、僕は一生ルルーシュ様のモノで、ルルーシュ様は一生僕のモノって、誓い合いましたからぁw」
「・・・っ!!?」
シュナイゼルはロイドの自信の根拠に目を丸くし、そして、次の瞬間、瞬間湯沸かし器の如く頭を沸騰させた。
「ろぉぉぉいぃぃぃぃどぉぉぉおおおおおおおっっっっ!!!」
唸るようにその名を叫んだ後、シュナイゼルは盛大にぶっ倒れた。
後に、貧血発作という医者の診断を聞いて、ルルーシュが大量に鉄分のある食物をシュナイゼルの部屋に持ち込み、そんなルルーシュに、ロイドのせいだとは言えないシュナイゼルと面白おかしく状況を見守るロイドの姿が度々見られたのだった。
おしまい
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・ロイルル←シュナ
・皇子様なルル
・ルルは無茶苦茶皆から愛されています(笑)
・ギャグ?
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
― 貴方に一生の忠誠を
誓いの言葉を紡ぐ口元が、弧を描いた。
***
「あの~、シュナイゼル殿下ぁ?」
変わり者の学友の声に、シュナイゼルはフッと執務机から顔をあげる。
「なんだい?ロイド。」
「僕、ちょっと、欲しいものがあるんですよ~。」
「・・・私は君のお財布じゃないんだけれどねぇ?」
ヘラヘラと笑う学友に、シュナイゼルはそれでもにこやかに応じる。
「わかってますよぅ~、今回は、口利きだけで結構です~、後は、自分でやるんでぇ~。」
「・・・口利き?」
「良いですよねぇ~それくらい。僕、一応、貴方に無茶苦茶貢献してるつもりなんですけど~?」
確かに、この学友はとても優秀で、シュナイゼルがここまでのぼりつめるのに、随分と貢献してくれた。
「わかったわかった。・・・口利きくらいなら、いくらでもやってあげるよ。」
だから、シュナイゼルは、詳しい内容を聞きもせず、二つ返事で了承した。策略家として、とても優秀なハズのシュナイゼルにしては、とてもうっかりさんな発言だった。
「やったぁ~~~。ありがと~ございます~~~。」
ニヤリとロイドが笑ったのを見た瞬間、シュナイゼルはしまったと思ったが、時既に遅し。しっかり言質を取ったロイドに“撤回はナシですよ~”とダメ押しをされてしまった。
「・・・それで、何を口利きすれば良いんだい?」
諦めて訊ねたシュナイゼルに、ロイドは核弾頭的な発言をかましてくれた。
「・・・“紫電の君”の騎士に推薦してください。」
“紫電の君”その名を聞いた瞬間、シュナイゼルは、ガタン!とイスを蹴倒してその場から立ち上がった。
「ろ、ろろろろろっ、ろろろ、ろいど・・・?」
舌を噛みそうな勢いでどもり、シュナイゼルは学友の両肩をガシッと掴む。
「・・・もっももも、もう1回言ってくれるかな?」
「ですからぁ~・・・“紫電の君”の騎士に推薦してください。」
ロイドの真顔に、本気と悟ったシュナイゼルは、フッと気を飛ばして、そのまま後ろへと倒れた。
「「「「わぁぁぁッ!シュナイゼル殿下!!?」」」」
シュナイゼルの側近達が慌てて駆け寄り、シュナイゼルを抱き起こすと、完全に彼は白目を剥いてしまっていた。
「アスプルンド伯爵・・・オイタが過ぎますわ。」
じろり、とシュナイゼルの側近中の側近であるカノンに睨まれるが、ロイドは飄々と笑った。
「あはぁ~、だって、シュナイゼル殿下が良いって仰ったんだしぃ~?」
「・・・貴方だって、ご存知でしょ?殿下があの方を目の中に入れても痛くないほど可愛がっていらっしゃるの。」
「うん、知ってるよ~。だから、推薦してくださいって~、お願いしたんだよ~ぉ。」
どうやら、確信犯らしいとわかったカノンは、はぁ、と溜め息をついてシュナイゼルを自室へ運ぶように指示する。
「お可哀想な殿下。・・・最も愛していらっしゃるあの方の騎士に、アスプルンド伯を推薦しなければならないなんて。」
「ま、殿下が復活されるまでは、我慢だよねぇ~・・・うん。それまでに、根回しくらいはしとかないとねぇ。」
ヘラヘラと笑いながらシュナイゼルの執務室から出て行ったロイドを見送り、カノンは肩を落とした。
「一応、彼も爵位を持つ、ブリタニアの貴族だったのよね・・・すっかり、忘れていたわ。」
“能ある鷹は爪を隠す”遙か東の島国の言葉が脳裏を過る。が、カノンはとにかくシュナイゼルを復活させなければと、彼の離宮へと足を向けたのだった。
***
「・・・シュナイゼル兄上がお倒れになった?」
アリエス離宮の自室で読書をしていた美貌の少年が、カノンの言葉に眉を顰める。
「ええ。ショックな事を聞いてしまわれて。・・・申し訳ありませんが、殿下のお力をお借りしたくて。よろしいでしょうか?」
「私で良いなら・・・兄上がお倒れになるなんて、余程のことなのだろう?」
読んでいた本にしおりを挟み、少年は立ち上がる。
「よろしくお願い致しますね。ルルーシュ殿下。」
「わかったよ。マルディーニ伯爵。」
そう、今、カノンが対峙している少年こそ、シュナイゼルがこよなく愛し、ロイドが“紫電の君”と呼ぶ皇子、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア(御歳16)である。
ルルーシュは、とにかく皇室中のアイドルだった。父親や母親、その他大勢の皇妃達、そして、兄姉、弟妹、皇族全てがルルーシュを愛し、その、ブリタニア皇族の最も濃い血筋を受け継いだ純紫の瞳から“紫電の君”と呼ばれ、更に、数多くいる皇子達の中で、プリンス・オブ・ブリタニアと呼ばれるのもルルーシュだけの特権となっている。
そんなルルーシュの騎士に、あのお茶らけた人物を推さなければならなくなったシュナイゼルに、カノンは自分までも胸が痛くなる思いだった。
***
ルルーシュと雑談を交わしながらシュナイゼルの自室までやって来たカノンは、早速ルルーシュをその中に通し、周りに控えていた者達を全て下がらせる。
「・・・では、よろしくお願い致します。」
「ああ。」
頷くルルーシュに全てを任せ、カノンはシュナイゼルが残した仕事を片付けるために、執務室へと向かった。
そして、シュナイゼルが横たわるベットのサイドチェアーに座ったルルーシュは、溜め息をついて異母兄の手を握る。
「兄上、また、無茶な仕事の仕方をなさったのではありませんか?こんな風にお倒れになるなんて、滅多になかったでしょう?」
「・・・ルルーシュかい?」
のろのろと目を開け、その顔を見たシュナイゼルはホッと笑んで、それから、すぐに表情を歪ませた。
「・・・兄上?お加減が悪いのなら、医者を・・・。」
「いいや、大丈夫だよ。・・・体調が悪いんじゃない。」
心配するルルーシュに微笑んで見せ、シュナイゼルは律儀にも約束を守る為、嫌々ながらも倒れるきっかけとなった、ロイドの願いを口にした。
「・・・ルルーシュの騎士候補を、推薦したいんだけれどね。」
「・・・また、随分と唐突ですね?・・・僕はまだ騎士はいりませんよ?」
首を傾げるルルーシュに、シュナイゼルは最後まで聞きなさい、と窘める。
「・・・私の学友で、ロイドという男がいるんだけれどね。彼が是非、君の騎士に推薦してくれと、私に頼み込んで来てね。」
「それって・・・ロイド・アスプルンド伯爵ですか?」
ルルーシュの純紫の瞳がキラキラと輝くのを見て、シュナイゼルは嫌な予感に駆られる。
「・・・あ、ああ。そうだよ。」
「本当ですか!?・・・僕、アスプルンド伯のファンなんです!あの人の書いた論文はとても面白くて!1度会ってみたいと思っていたんです。そんな人が、僕の騎士だなんて!!なんて僕は幸せ者なんだろう!・・・兄上、ありがとうございます!!まさか、アスプルンド伯が兄上の学友だったなんて知らなかったから・・・僕の方こそお願いします!アスプルンド伯に紹介して下さい!」
ルルーシュの異常なまでのナイトメアへの興味は、ロイドの論文のせいらしい。
しかもファンだとか、幸せ者だとか。シュナイゼルはショックの為に気を遠くに飛ばしかけて、それでも、ルルーシュに感謝されているという幸せをかみしめながら、複雑な思いで、笑みをうかべた。
「もちろん・・・近日中に、ロイドを紹介するよ・・・。」
「ありがとうございます、兄上!愛してます!!」
ルルーシュが感極まってシュナイゼルに抱きつき、シュナイゼルはだらしないほど表情筋を緩めた。
誰かに見られたら、今まで作り上げてきたイメージがガラガラと崩れてしまうはずだ。
が、肝心のルルーシュは抱きついているし、カノンが気を利かせ、側近達も部屋の外に出されている。というわけで、いつもの凛々しさの欠片もない表情は誰にも見咎められずに済んだのだった。
***
― 1ヶ月後
「ロイド・アスプルンド。汝、ここに騎士の誓約を立て、ブリタニアの騎士として戦うことを願うか」
「イエス、ユア・ハイネス」
壇上のルルーシュの頬は興奮で紅潮し、それでも、作法に則ってかける言葉は落ち着いている。
そして、そのルルーシュの前に跪き、頭を垂れているロイドも、黒の布地に金の縁取りの騎士服を身にまとい、別人と見紛う程に堂々とし、落ち着いた態度で答えている。
「汝、我欲を捨て、大いなる正義のため、剣となり盾となることを望むか」
「イエス、ユア・ハイネス」
厳かな儀式。淡々と行われるそれを、誰もが納得できない、という思いで見つめていた。
「「・・・兄上・・・。」」
恨めしげなクロヴィスの視線と、コーネリアの射殺すような視線。その2つが言葉とともに同時にシュナイゼルに向けられる。
「・・・なんで、ロイド伯爵なんですか。」
「そうです、もっと、あの子にふさわしい人間がいたでしょうに。」
「・・・まったくだねぇ。」
すぐ下の弟と妹の言葉に被さるように、長兄の言葉が降ってくる。
「・・・我々に相談も無しに、さっさと決めてしまって・・・どういうことか、説明してくれるんだよねぇ、シュナイゼル?」
にこにこにこにこにこにこ・・・。
笑顔が非常に黒い。第一皇子は凡庸。そう言ったのは誰だったか。・・・とりあえず一発殴らせろ、とシュナイゼルは意識を違う方へと飛ばす。
と、その時、ざわりと周りの空気が揺れる。
視線をルルーシュ達の方へと向けると、ルルーシュがロイドを抱擁している姿が目に飛び込んできた。
「っ!?・・・ろ、ろいど・・・儀式のやり方は・・・剣を捧げる方でと言ったのに!!!!!」
あんぐりと口を開けている周囲など目には入らず、シュナイゼルは地団太を踏んで悔しがる。すわ、殿下御乱心、といったところだが、誰もそんなものは気にしていない。心の中でそれぞれが大絶叫しながら、ルルーシュがロイドを抱擁する光景を見ていたのだから。
「「「「「(ロイド・アスプルンド・・・後で絶対にシメる!!!!!)」」」」」
この場にいる全員が、気持ちを同じくした時、ルルーシュがロイドから離れ、凛とした姿でその言葉を口にした。
「私、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは汝、ロイド・アスプルンドを騎士として認める。」
「「「「「(認めたくねぇぇぇぇぇ!!!!!)」」」」」
またも、この場にいる全員が、気持ちを同じく、心の中で大絶叫した時、ロイドがすくりと立ち上がり、ルルーシュに背を向け、皆に向かって一礼し、
ニヤリ
と、笑った。
その場の人間を一斉に敵にまわしたロイドだったが、ルルーシュがその背後で、いつまでたっても起こらない拍手喝采を待っていることに気づいていたので、口元に笑みをうかべ、心にもないことを口にした。
「・・・たった今、ルルーシュ殿下の専任騎士を拝命仕りました、ロイド・アスプルンドです。ご列席の皆様におかれましても、ご承認戴ければと存じます。」
その言葉で、ハッと我に返ったのはシュナイゼルだった。ロイドが拍手を要求している、と理解したからだ。
拍手をするのは(もちろん)ロイドのためではない。愛しい、愛しい、愛しい、愛しい(×∞)ルルーシュのためである。(ついでに言うと、推薦した手前、承認の拍手をしなければ、ルルーシュに訝しまれるだろうから)
パチパチパチ・・・
表面上、にこやかな表情を作り、ルルーシュを祝福する拍手を送るシュナイゼル。その場の人間は渋々、そのシュナイゼルに倣い、拍手を送る。
それを確認したルルーシュがホッと安堵の表情をうかべたのを見て、ルルーシュが皆の拍手を待っていたのだと今更ながらに気づいた面々が、負けじと拍手を大きくしたので、騎士叙任式の場に拍手大喝采が響き渡ったのだった。
ルルーシュの自室
「殿下、ちょっと、緊張してましたぁ?」
にっこりと笑うロイドに、ルルーシュは苦笑をうかべた。
「・・・ちょっとだけ、な。・・・でも、さすが、アスプルンド伯は落ち着いていたな。」
「・・・あ~、殿下ぁ?」
「うん?」
「・・・その呼び方、改めません~?」
「呼び方・・・?」
ことり、と首を傾げたルルーシュに、ロイドは苦笑した。
「僕は、殿下の騎士になったんですから~、ロイド、と名前で呼んで頂きたいんですけど。・・・アスプルンド伯、じゃぁ、他人行儀じゃないですか~。」
「・・・それも・・・そうか。じゃあ、ロイド。」
「はいは~い。」
「これから、よろしく頼むな?」
「イエス、ユア・ハイネス・・・ルルーシュ様、貴方に一生の忠誠を。」
誓いの言葉を紡ぎ、ロイドはルルーシュの前に跪く。
「・・・ロイド?」
「御手を・・・。」
ロイドに乞われるまま、ルルーシュはロイドに手を差し出す。その手を恭しく掴んだロイドの口元が弧を描く。
あ、とルルーシュが思った瞬間、ロイドはルルーシュの手に口づけをしていた。
「ろ・・・ロイ、ド///」
「僕は一生貴方のモノ。・・・そして、貴方も、一生、僕のモノです。」
皇族に対しての発言ではない。無礼と言われてもおかしくないのだが、純情なルルーシュはその言葉に、真っ赤になってしまった。
「・・・殿下、ご許可を。」
そっと身体を己に引き寄せて、ロイドがルルーシュの耳元に口を近づけ、柔らかい声で許しを請う。
「・・・っ///・・・わ、わかった。・・・お前は一生僕のモノで、僕は一生お前のモノだっ///」
この体勢を早く解いて欲しくて、ルルーシュはコクコクと頷く。
「あっはぁ、ありがとうございます~vV・・・愛してますよぉ、殿下v」
完全に舞い上がったロイドが、がばぁッと抱きついてきたので、思わずルルーシュは素っ頓狂な悲鳴を上げた。
「ほわぁぁぁっ!?」
「ルルーシュッ!?」
バタン!
ルルーシュの悲鳴を聞き届けた(実際は部屋の前に張り付いていた)シュナイゼルが部屋の中に乱入する。
ロイドがルルーシュを抱きしめている光景を目にしたシュナイゼルは、フルフルと震え、ブチ、とキレた。
「・・・ロイド・・・何をやってるのかな?」
ふふふ、と笑うその表情は、引き攣っているうえにこめかみに血管が浮き出ている。
「・・・え~と~、愛情表現?」
へらり、と笑って答えた学友(兼大事な大事な(×∞)弟の騎士)に、シュナイゼルは絶対零度の視線を向けた。
「ほぉう・・・最近の愛情表現はそうやるんだねぇ・・・私も、混ぜて貰おうかなぁ?」
遠慮しておきます。
と言いかけたロイドだったが、ルルーシュが嬉しそうな表情をうかべた瞬間諦めた。何があろうと、ルルーシュ第一である。ルルーシュがよしとするなら何でも良いのだ。
ルルーシュがカラスは白!と言ったら、世界中のカラスを白く塗りたくるだけの覚悟がロイドにはある。(実際そんなことは言わないだろうが)
「ルルーシュ、愛してるよ。」
「僕も、兄上のことを、愛してます!」
だから、愛を囁き(違う)抱擁し合う兄弟を寛大な心を持って見守ることにした。
それを不審に思ったシュナイゼルは、ルルーシュがお茶を入れてきます、と席を外した後、ロイドに訊ねた。
「・・・騎士になったというだけで、随分と余裕だねぇ。」
「・・・あっはぁ、僕は一生ルルーシュ様のモノで、ルルーシュ様は一生僕のモノって、誓い合いましたからぁw」
「・・・っ!!?」
シュナイゼルはロイドの自信の根拠に目を丸くし、そして、次の瞬間、瞬間湯沸かし器の如く頭を沸騰させた。
「ろぉぉぉいぃぃぃぃどぉぉぉおおおおおおおっっっっ!!!」
唸るようにその名を叫んだ後、シュナイゼルは盛大にぶっ倒れた。
後に、貧血発作という医者の診断を聞いて、ルルーシュが大量に鉄分のある食物をシュナイゼルの部屋に持ち込み、そんなルルーシュに、ロイドのせいだとは言えないシュナイゼルと面白おかしく状況を見守るロイドの姿が度々見られたのだった。
おしまい
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