Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・既存の朝ルルとは違います
・朝ルル+生徒会
・河口湖+ナリタ事変は回避!
・シリアス&ギャグ
・生徒会メンバー(スザ除く)はルルの味方
・ルルが幸せならなんでもOK!
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
― 翌日
正午を過ぎた頃、アッシュフォード学園の制服を着たルルーシュが、幹部達のラウンジに入ってくる。
「・・・もう行くの?」
ソファーでくつろいでいたカレンが、パッと立ち上がり、訊ねる。
「ああ、そろそろな。・・・カレン、君も着替えておいてくれ。」
「わかったわ。・・・さすがに騎士団の格好じゃ目立つものね。」
「ああ・・・租界も歩くし、出来る限り目立たないようにしないとな。」
「朝比奈さんは?・・・軍服、着替えさせたんでしょ?」
「・・・ああ、俺の服・・・貸した。」
ボソ、と言ったルルーシュの苦々しい表情を見て、朝比奈の反応を一様に思い浮かべた面々は複雑な表情をうかべた。
「・・・そ、そう。」
カレンは思いっきり表情を引き攣らせ、きょろきょろとあたりを見回す。
「で、その、朝比奈さんは?」
「・・・省吾は、藤堂さんのとこに行った。・・・自慢してくるらしい。」
はぁ、と溜め息をつくルルーシュに、思わず同情してしまったカレンは、ポン、とルルーシュの肩に手を置いた。
「・・・あんた、随分と厄介な人を好きになったもんね。」
「・・・う。だって、一番、省吾が親身になって相談に乗ってくれてたんだ。」
「で、絆されちゃったワケねぇ・・・。」
生暖かい視線を向けながら、カレンは素直に感情を表すようになったルルーシュが見られることに満足感を得る。
朝比奈との関係がバレた瞬間、旧扇グループの中に漂っていた、遠慮というか、皇族だったというルルーシュに対する不信感といったものが全て吹き飛んでしまって、誰も気にしなくなってしまった。ルルーシュも、その雰囲気を感じ取ったのか、警戒する様子は見せていない。
「ねぇ、ルルーシュ。会長達に朝比奈さんを紹介するのって・・・やっぱり、もう、学園には戻らないつもりだからなの?」
「公に素顔を曝せば、学園には行けなくなる。・・・でも、いつか・・・全てが終わったら、学園に帰りたい。・・・カレン、君も。」
「ええ。一緒に、ね。・・・私も、結構、あの学園は気にいってるから。」
頷くカレンにホッとしたのか、ルルーシュが柔らかな笑みをうかべる。
その不意打ちのような笑みを見て、免疫のない幹部達がまたも魅了されてしまっていると、ご機嫌の良い朝比奈がラウンジにやって来た。
「ルルーシュ~v」
「・・・省吾、藤堂さん達は?」
朝比奈が1人でラウンジに入って来たのを見て、ルルーシュが不思議そうに訊ねると、朝比奈はにんまりと笑った。
「ん?部屋でぐったりしてる。」
ぐったりしている理由に思い至った幹部達は、藤堂達に同情する。相当、朝比奈に惚気られたに違いない。
「・・・省吾。」
呆れるルルーシュに、朝比奈はガバッと背後から抱きつく。
「へへ~。昨日のお返しってとこかな。ルルーシュの機嫌直すの、どれだけ大変か知ってるくせに、助けてくんなかったし。」
「・・・藤堂さんへの忠誠心はどこへ行った;」
ルルーシュがつっこめば、それとこれは別物~、と返されてしまう。
そして、そのままルルーシュの背中にひっついたままの朝比奈を、幹部達が羨ましげに見つめるが、ルルーシュがそれに気づくことは無い。
「・・・ルルーシュ、背中の朝比奈さんを引き剥がしなさい。」
見兼ねたカレンが言えば、ルルーシュはハッとして、朝比奈の手をペシッと叩く。
「省吾!・・・皆の前では止せと言っただろう!」
「イテッ・・・ちぇー。」
ムスッとした顔の朝比奈に、ルルーシュは苦笑いをうかべる。
「・・・まったく、省吾は、はしゃぎ過ぎだぞ。」
「だってさ~。嬉しかったんだよー。これで、ようやく、ルルーシュも腰を据えて戦えるし、こそこそと隠れて会ったりしなくても良いし。」
「・・・確かに、俺達もゼロの本音を聞けたっていうか、戦う理由を知れて、気持ちに余裕が出来たよな。」
「そうだな。やっぱり、信頼関係ができると、ちょっと、違うよな。」
朝比奈のはしゃぎように苦笑をうかべていた扇と南がそう言うと、ルルーシュは溜め息をついた。
「・・・それは、俺への厭味か?」
「・・・えっ?わ!い、いやいや!違う!違うから!!」
「す、すまん、そんなつもりじゃなくて!!」
その2人の慌てぶりに、ルルーシュは思わず吹き出して、肩を震わせる。
「・・・くっくっ。」
「やっぱり、性格悪いわね、ルルーシュは。」
はぁ、と溜め息をついたのはカレン。しょっちゅう学園でからかわれていた身であるから、扇と南がからかわれたのだとすぐにわかった。
そして、カレンのその言葉で、からかわれていることに気づいた2人は、ホッと胸を撫で下ろす。
「・・・お、怒ったわけじゃないんだな。」
「・・・ビックリした・・・。」
「・・・扇さん、南さん、そこは怒るところですってば・・・。」
がっくりと肩を落としたカレンを見て、ルルーシュは涙目になって腹を押さえる。
「くく、本当に・・・お人よしだな。」
「まったくよ~・・・。こんなんじゃ、あの学園で生き残れないわね。」
「・・・ああ、それは確かに。」
「え?アッシュフォード学園って、そんなに危険なとこなの?」
カレンの言葉に頷いたルルーシュを見て、朝比奈が首を傾げる。
「・・・危険っていうか・・・ねぇ?」
「・・・口にするのはちょっと、な。・・・まあ、行けばわかるさ。覚悟しておけよ?省吾。」
「え~・・・わかった。」
視線を交わし合い、微妙な空気を出す、ルルーシュとカレンの様子を見て、朝比奈は、ほんの少し不満そうにしながら、頷いた。
― 租界
「わかんないもんなんだねー・・・服装変えるだけでも。」
租界のど真ん中を歩きながら、辺りをきょろきょろと見ながら朝比奈が呟く。
「・・・俺とカレンで挟んでるし、名誉ブリタニア人もあちこちにいるから、皆、気にしないんだよ。・・・だからといって、そんなに挙動不審だと、視線を集めるぞ。」
「・・・はーい。」
ルルーシュに腕を引かれ、朝比奈は大人しくルルーシュの隣を歩く。
「どっちが大人かわかんないわね・・・。はぁ・・・。」
その2人の様子に、カレンが溜め息をつく。
「省吾は昔からこんなだからな。・・・子ども目線だとこっちに調子を合わせてくれる楽しい人って感じだが、今は・・・。」
ルルーシュの呆れたような視線に、朝比奈はにへら、と笑う。
「でも、こんな俺が、ルルーシュは好きなんだよねぇ?」
「・・・っ、バカがッ///」
「・・・いちゃつくのは余所でやってよ。もう。」
これをこれからずっと見せつけられるのかと思うと、げんなりとしてしまうカレンだった。
― アッシュフォード学園
授業中である為に、校舎内は静かだ。だが、正面から堂々と入るのは難しい。かといって、裏口にも守衛はいるので、朝比奈を連れ込むことは困難のように見えた。
「・・・で、どうするのよ。」
「こっちだ。」
学園の敷地を囲む壁の前で、カレンが首を傾げると、ルルーシュは迷いなくクラブハウスのある方へと歩いていく。
カレンと朝比奈が大人しくついていくと、ルルーシュは突如立ち止まった。
「・・・確か・・・。」
ルルーシュが壁に触れて、ある部分を押す。すると、壁がスライドして、エレベーターが現れる。
「うっそ・・・こんなのがこの学園にあったなんて・・・。」
「普段は使えないようにしてあるからな。それに、これを知ってるのは、俺とナナリーと咲世子さんと会長と理事長くらいだ。」
「さすがアッシュフォード学園ね、何でもアリだわ。」
妙な感心の仕方をして、カレンはルルーシュに促されてエレベーターに乗る。そして、朝比奈とルルーシュがそれに続いてエレベーターに乗り、地下1階のボタンを押した。
地下に着くと、ルルーシュは、エレベーターの電源を落とす。
「・・・万が一があるからな。」
「なるほどね。・・・ここって、学園の中からだとどこから入るの?」
「クラブハウスの俺達の生活スペースの処に入口がある。」
「成程、それなら、一般生徒は入れないわね。」
「・・・すっごいねー。こんなもの作っちゃうなんてぇ。」
地下通路はシーンとしていて、朝比奈の感心した声が通路内に響いた。
「まあ、万が一の際、俺とナナリーを本国から隠すためのものだからな。」
歩きながら、なんてことのないように説明するルルーシュだが、ここまでしないといけないくらいの立場なのだと、改めて思い知らせれて、朝比奈とカレンは思わず互いに視線を交わした。
「・・・着いたぞ。」
ルルーシュの言葉にハッとして前を向くと、何やら基地らしいドアのついた部屋の前に立っていた。ルルーシュがドアの傍にある機械に手をかざすと、そのドアがスライドして開く。
パァン!
「きゃ!」
「な、何!?」
突如、破裂するような音がして、カレンが短く叫び、朝比奈がルルーシュを背後に庇う。が、目の前をひらひらと落ちる紙吹雪を見て、2人は目を点にした。
「・・・会長、悪ふざけが過ぎますよ。」
さほど驚いていない様子でルルーシュが言えば、ひょこっと顔を出したミレイがぺろりと舌を出した。
「うふふ、歓迎のつもりなのよーん♪」
「・・・うわー。すっごいノリの良さ。相通じるものを感じるよ。」
朝比奈の呟きに、ミレイは視線をそちらに向け、笑みをうかべた。
「貴方が、ルルーシュの紹介したいって言う人?」
「そうだよ。朝比奈省吾っていうんだ。よろしく。」
「よろしく、朝比奈さん。・・・どうぞ、もう、中で皆待ってますから。」
ミレイに招き入れられて、ルルーシュ達が部屋に入ると、すでに生徒会メンバーとナナリーがそこに座っていた。
「お帰りなさい、お兄様。それから、いらっしゃい、朝比奈さん。」
ニコリと笑って出迎えたナナリーに、朝比奈の顔がパァっと明るくなる。
「うっわ~!!ナナリー!?すっごい美人さんになったね~vv」
ナナリーに駆け寄り、ガバッとその身体を抱きしめる。それを見た瞬間、生徒会メンバーが顔面蒼白になってルルーシュを見る。あのシスコンがこの行動を許容するとは思えなかったのだ。
「・・・省吾;」
が、生徒会メンバーの予想とは違って、ルルーシュは溜め息をつくだけで、不機嫌になったりもしないし、ナナリーから朝比奈を引き剥がそうともしない。
「・・・ふふ、朝比奈さんは、あんまりお変わりないようですね。」
「あはは、ルルーシュにも言われたv」
「・・・御無事なお姿を確認できて、安心しました。」
「うん、俺も。」
朝比奈は、ナナリーをぎゅう、と強く抱きしめる。そんな抱きつくようにしている朝比奈の背中をさすり、ナナリーは、ふぅ、と息をつく。
「・・・朝比奈さん。私とお兄様の大切な友人を紹介しますね。」
「あ、うん。そうだったね。・・・そのために来たんだったね。」
ニコリと笑って、朝比奈がナナリーから離れる。そして、ようやく生徒会メンバーをその視界に入れた。
「改めて、初めまして。朝比奈省吾です。」
「・・・あ!えっと、リヴァル・カルデモンドです!!」
「シャーリー・フェネットです。」
「ニーナ・アインシュタイン・・・です。」
「で、私が、ミレイ・アッシュフォードです!」
最後にビシッと手をあげたミレイを見て、朝比奈は目を細めた。
「そう、君が・・・。ルルーシュから、よく話は聞いてるよ。面白いイベントをたくさんやるんだってね。」
「うふふ。ええ。・・・今度、黒の騎士団でもやってみません?」
「却下だ!!」
ミレイの提案に、すかさずルルーシュがダメ出しをする。
「面白そうなのに・・・。」
ボソ、と呟いた朝比奈を睨み、ルルーシュが低い声を出す。
「省~吾~?」
「うっ・・・ごめんなさい。」
あっさりと降参した朝比奈を見て、ミレイは苦笑をうかべた。
「ルルちゃん、本当に朝比奈さんに気を許してるのね。表情がいつもより柔らかいわ。」
「まあ、それは。・・・で、会長。リヴァル達には、もう?」
「ええ。皇室のことも、マリアンヌ様のことも全部話しておいたわ。」
「そうですか・・・。」
ぐるっとリヴァル達の表情を見回して、いつもと変わらない生徒会メンバーの様子に、ルルーシュは柔らかな笑みをうかべる。
「会長達にはご迷惑をかけると思いますが・・・これからしばらくは、学園に戻ってこられなくなると思います。」
「ええ・・・覚悟はしているわ。」
ミレイが頷き、そして、ちらりとナナリーを見る。
「ナナちゃんは・・・私達に任せて。」
「はい。・・・よろしくお願いします。理事長にも・・・よろしくと。」
「もちろん。」
しっかりと頷いたミレイに、ルルーシュはホッと息をつく。
「ルルーシュ!・・・俺らが全力でナナリーを守るからさ!」
「そうそう。だから、ルルは安心して闘って良いよ!」
「・・・頑張ってね。ルルーシュ。応援くらいしか・・・私達には出来ないけど・・・。」
リヴァル、シャーリー、ニーナの言葉に、ルルーシュは思わず涙ぐむ。
「・・・貴方の帰ってくる場所は、私達が守るからね。・・・いつでも帰ってらっしゃい。ルルちゃん。」
いつになく落ち着いた様子でそう言ったミレイに、ルルーシュはこくん、と頷く。感極まり過ぎて、言葉が出てこなかったのだ。
「カレン、ルルのこと、よろしくね。」
シャーリーがカレンに笑みを向け、握手を求める。
「ええ。」
カレンはしっかりと頷いて、シャーリーの手を握る。
「朝比奈さんも・・・お願いします。」
カレンと握手をしたまま、シャーリーが朝比奈を見る。
「うん。・・・任せて。ルルーシュは絶対に守るから。」
― この命に代えても。
ルルーシュが嫌がるので口には出さなかったが、シャーリーには通じたようで、信頼のこもった視線を向けてくる。
「じゃあ、俺からも一言。・・・ナナリーのこと、よろしくね。ナナリーがルルーシュの生きる世界で、帰る場所だから。」
「「「「もちろん(です/っス)!!」」」」
そして、ルルーシュ達の本当の戦いが始まる・・・。
おしまい
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・既存の朝ルルとは違います
・朝ルル+生徒会
・河口湖+ナリタ事変は回避!
・シリアス&ギャグ
・生徒会メンバー(スザ除く)はルルの味方
・ルルが幸せならなんでもOK!
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
― 翌日
正午を過ぎた頃、アッシュフォード学園の制服を着たルルーシュが、幹部達のラウンジに入ってくる。
「・・・もう行くの?」
ソファーでくつろいでいたカレンが、パッと立ち上がり、訊ねる。
「ああ、そろそろな。・・・カレン、君も着替えておいてくれ。」
「わかったわ。・・・さすがに騎士団の格好じゃ目立つものね。」
「ああ・・・租界も歩くし、出来る限り目立たないようにしないとな。」
「朝比奈さんは?・・・軍服、着替えさせたんでしょ?」
「・・・ああ、俺の服・・・貸した。」
ボソ、と言ったルルーシュの苦々しい表情を見て、朝比奈の反応を一様に思い浮かべた面々は複雑な表情をうかべた。
「・・・そ、そう。」
カレンは思いっきり表情を引き攣らせ、きょろきょろとあたりを見回す。
「で、その、朝比奈さんは?」
「・・・省吾は、藤堂さんのとこに行った。・・・自慢してくるらしい。」
はぁ、と溜め息をつくルルーシュに、思わず同情してしまったカレンは、ポン、とルルーシュの肩に手を置いた。
「・・・あんた、随分と厄介な人を好きになったもんね。」
「・・・う。だって、一番、省吾が親身になって相談に乗ってくれてたんだ。」
「で、絆されちゃったワケねぇ・・・。」
生暖かい視線を向けながら、カレンは素直に感情を表すようになったルルーシュが見られることに満足感を得る。
朝比奈との関係がバレた瞬間、旧扇グループの中に漂っていた、遠慮というか、皇族だったというルルーシュに対する不信感といったものが全て吹き飛んでしまって、誰も気にしなくなってしまった。ルルーシュも、その雰囲気を感じ取ったのか、警戒する様子は見せていない。
「ねぇ、ルルーシュ。会長達に朝比奈さんを紹介するのって・・・やっぱり、もう、学園には戻らないつもりだからなの?」
「公に素顔を曝せば、学園には行けなくなる。・・・でも、いつか・・・全てが終わったら、学園に帰りたい。・・・カレン、君も。」
「ええ。一緒に、ね。・・・私も、結構、あの学園は気にいってるから。」
頷くカレンにホッとしたのか、ルルーシュが柔らかな笑みをうかべる。
その不意打ちのような笑みを見て、免疫のない幹部達がまたも魅了されてしまっていると、ご機嫌の良い朝比奈がラウンジにやって来た。
「ルルーシュ~v」
「・・・省吾、藤堂さん達は?」
朝比奈が1人でラウンジに入って来たのを見て、ルルーシュが不思議そうに訊ねると、朝比奈はにんまりと笑った。
「ん?部屋でぐったりしてる。」
ぐったりしている理由に思い至った幹部達は、藤堂達に同情する。相当、朝比奈に惚気られたに違いない。
「・・・省吾。」
呆れるルルーシュに、朝比奈はガバッと背後から抱きつく。
「へへ~。昨日のお返しってとこかな。ルルーシュの機嫌直すの、どれだけ大変か知ってるくせに、助けてくんなかったし。」
「・・・藤堂さんへの忠誠心はどこへ行った;」
ルルーシュがつっこめば、それとこれは別物~、と返されてしまう。
そして、そのままルルーシュの背中にひっついたままの朝比奈を、幹部達が羨ましげに見つめるが、ルルーシュがそれに気づくことは無い。
「・・・ルルーシュ、背中の朝比奈さんを引き剥がしなさい。」
見兼ねたカレンが言えば、ルルーシュはハッとして、朝比奈の手をペシッと叩く。
「省吾!・・・皆の前では止せと言っただろう!」
「イテッ・・・ちぇー。」
ムスッとした顔の朝比奈に、ルルーシュは苦笑いをうかべる。
「・・・まったく、省吾は、はしゃぎ過ぎだぞ。」
「だってさ~。嬉しかったんだよー。これで、ようやく、ルルーシュも腰を据えて戦えるし、こそこそと隠れて会ったりしなくても良いし。」
「・・・確かに、俺達もゼロの本音を聞けたっていうか、戦う理由を知れて、気持ちに余裕が出来たよな。」
「そうだな。やっぱり、信頼関係ができると、ちょっと、違うよな。」
朝比奈のはしゃぎように苦笑をうかべていた扇と南がそう言うと、ルルーシュは溜め息をついた。
「・・・それは、俺への厭味か?」
「・・・えっ?わ!い、いやいや!違う!違うから!!」
「す、すまん、そんなつもりじゃなくて!!」
その2人の慌てぶりに、ルルーシュは思わず吹き出して、肩を震わせる。
「・・・くっくっ。」
「やっぱり、性格悪いわね、ルルーシュは。」
はぁ、と溜め息をついたのはカレン。しょっちゅう学園でからかわれていた身であるから、扇と南がからかわれたのだとすぐにわかった。
そして、カレンのその言葉で、からかわれていることに気づいた2人は、ホッと胸を撫で下ろす。
「・・・お、怒ったわけじゃないんだな。」
「・・・ビックリした・・・。」
「・・・扇さん、南さん、そこは怒るところですってば・・・。」
がっくりと肩を落としたカレンを見て、ルルーシュは涙目になって腹を押さえる。
「くく、本当に・・・お人よしだな。」
「まったくよ~・・・。こんなんじゃ、あの学園で生き残れないわね。」
「・・・ああ、それは確かに。」
「え?アッシュフォード学園って、そんなに危険なとこなの?」
カレンの言葉に頷いたルルーシュを見て、朝比奈が首を傾げる。
「・・・危険っていうか・・・ねぇ?」
「・・・口にするのはちょっと、な。・・・まあ、行けばわかるさ。覚悟しておけよ?省吾。」
「え~・・・わかった。」
視線を交わし合い、微妙な空気を出す、ルルーシュとカレンの様子を見て、朝比奈は、ほんの少し不満そうにしながら、頷いた。
― 租界
「わかんないもんなんだねー・・・服装変えるだけでも。」
租界のど真ん中を歩きながら、辺りをきょろきょろと見ながら朝比奈が呟く。
「・・・俺とカレンで挟んでるし、名誉ブリタニア人もあちこちにいるから、皆、気にしないんだよ。・・・だからといって、そんなに挙動不審だと、視線を集めるぞ。」
「・・・はーい。」
ルルーシュに腕を引かれ、朝比奈は大人しくルルーシュの隣を歩く。
「どっちが大人かわかんないわね・・・。はぁ・・・。」
その2人の様子に、カレンが溜め息をつく。
「省吾は昔からこんなだからな。・・・子ども目線だとこっちに調子を合わせてくれる楽しい人って感じだが、今は・・・。」
ルルーシュの呆れたような視線に、朝比奈はにへら、と笑う。
「でも、こんな俺が、ルルーシュは好きなんだよねぇ?」
「・・・っ、バカがッ///」
「・・・いちゃつくのは余所でやってよ。もう。」
これをこれからずっと見せつけられるのかと思うと、げんなりとしてしまうカレンだった。
― アッシュフォード学園
授業中である為に、校舎内は静かだ。だが、正面から堂々と入るのは難しい。かといって、裏口にも守衛はいるので、朝比奈を連れ込むことは困難のように見えた。
「・・・で、どうするのよ。」
「こっちだ。」
学園の敷地を囲む壁の前で、カレンが首を傾げると、ルルーシュは迷いなくクラブハウスのある方へと歩いていく。
カレンと朝比奈が大人しくついていくと、ルルーシュは突如立ち止まった。
「・・・確か・・・。」
ルルーシュが壁に触れて、ある部分を押す。すると、壁がスライドして、エレベーターが現れる。
「うっそ・・・こんなのがこの学園にあったなんて・・・。」
「普段は使えないようにしてあるからな。それに、これを知ってるのは、俺とナナリーと咲世子さんと会長と理事長くらいだ。」
「さすがアッシュフォード学園ね、何でもアリだわ。」
妙な感心の仕方をして、カレンはルルーシュに促されてエレベーターに乗る。そして、朝比奈とルルーシュがそれに続いてエレベーターに乗り、地下1階のボタンを押した。
地下に着くと、ルルーシュは、エレベーターの電源を落とす。
「・・・万が一があるからな。」
「なるほどね。・・・ここって、学園の中からだとどこから入るの?」
「クラブハウスの俺達の生活スペースの処に入口がある。」
「成程、それなら、一般生徒は入れないわね。」
「・・・すっごいねー。こんなもの作っちゃうなんてぇ。」
地下通路はシーンとしていて、朝比奈の感心した声が通路内に響いた。
「まあ、万が一の際、俺とナナリーを本国から隠すためのものだからな。」
歩きながら、なんてことのないように説明するルルーシュだが、ここまでしないといけないくらいの立場なのだと、改めて思い知らせれて、朝比奈とカレンは思わず互いに視線を交わした。
「・・・着いたぞ。」
ルルーシュの言葉にハッとして前を向くと、何やら基地らしいドアのついた部屋の前に立っていた。ルルーシュがドアの傍にある機械に手をかざすと、そのドアがスライドして開く。
パァン!
「きゃ!」
「な、何!?」
突如、破裂するような音がして、カレンが短く叫び、朝比奈がルルーシュを背後に庇う。が、目の前をひらひらと落ちる紙吹雪を見て、2人は目を点にした。
「・・・会長、悪ふざけが過ぎますよ。」
さほど驚いていない様子でルルーシュが言えば、ひょこっと顔を出したミレイがぺろりと舌を出した。
「うふふ、歓迎のつもりなのよーん♪」
「・・・うわー。すっごいノリの良さ。相通じるものを感じるよ。」
朝比奈の呟きに、ミレイは視線をそちらに向け、笑みをうかべた。
「貴方が、ルルーシュの紹介したいって言う人?」
「そうだよ。朝比奈省吾っていうんだ。よろしく。」
「よろしく、朝比奈さん。・・・どうぞ、もう、中で皆待ってますから。」
ミレイに招き入れられて、ルルーシュ達が部屋に入ると、すでに生徒会メンバーとナナリーがそこに座っていた。
「お帰りなさい、お兄様。それから、いらっしゃい、朝比奈さん。」
ニコリと笑って出迎えたナナリーに、朝比奈の顔がパァっと明るくなる。
「うっわ~!!ナナリー!?すっごい美人さんになったね~vv」
ナナリーに駆け寄り、ガバッとその身体を抱きしめる。それを見た瞬間、生徒会メンバーが顔面蒼白になってルルーシュを見る。あのシスコンがこの行動を許容するとは思えなかったのだ。
「・・・省吾;」
が、生徒会メンバーの予想とは違って、ルルーシュは溜め息をつくだけで、不機嫌になったりもしないし、ナナリーから朝比奈を引き剥がそうともしない。
「・・・ふふ、朝比奈さんは、あんまりお変わりないようですね。」
「あはは、ルルーシュにも言われたv」
「・・・御無事なお姿を確認できて、安心しました。」
「うん、俺も。」
朝比奈は、ナナリーをぎゅう、と強く抱きしめる。そんな抱きつくようにしている朝比奈の背中をさすり、ナナリーは、ふぅ、と息をつく。
「・・・朝比奈さん。私とお兄様の大切な友人を紹介しますね。」
「あ、うん。そうだったね。・・・そのために来たんだったね。」
ニコリと笑って、朝比奈がナナリーから離れる。そして、ようやく生徒会メンバーをその視界に入れた。
「改めて、初めまして。朝比奈省吾です。」
「・・・あ!えっと、リヴァル・カルデモンドです!!」
「シャーリー・フェネットです。」
「ニーナ・アインシュタイン・・・です。」
「で、私が、ミレイ・アッシュフォードです!」
最後にビシッと手をあげたミレイを見て、朝比奈は目を細めた。
「そう、君が・・・。ルルーシュから、よく話は聞いてるよ。面白いイベントをたくさんやるんだってね。」
「うふふ。ええ。・・・今度、黒の騎士団でもやってみません?」
「却下だ!!」
ミレイの提案に、すかさずルルーシュがダメ出しをする。
「面白そうなのに・・・。」
ボソ、と呟いた朝比奈を睨み、ルルーシュが低い声を出す。
「省~吾~?」
「うっ・・・ごめんなさい。」
あっさりと降参した朝比奈を見て、ミレイは苦笑をうかべた。
「ルルちゃん、本当に朝比奈さんに気を許してるのね。表情がいつもより柔らかいわ。」
「まあ、それは。・・・で、会長。リヴァル達には、もう?」
「ええ。皇室のことも、マリアンヌ様のことも全部話しておいたわ。」
「そうですか・・・。」
ぐるっとリヴァル達の表情を見回して、いつもと変わらない生徒会メンバーの様子に、ルルーシュは柔らかな笑みをうかべる。
「会長達にはご迷惑をかけると思いますが・・・これからしばらくは、学園に戻ってこられなくなると思います。」
「ええ・・・覚悟はしているわ。」
ミレイが頷き、そして、ちらりとナナリーを見る。
「ナナちゃんは・・・私達に任せて。」
「はい。・・・よろしくお願いします。理事長にも・・・よろしくと。」
「もちろん。」
しっかりと頷いたミレイに、ルルーシュはホッと息をつく。
「ルルーシュ!・・・俺らが全力でナナリーを守るからさ!」
「そうそう。だから、ルルは安心して闘って良いよ!」
「・・・頑張ってね。ルルーシュ。応援くらいしか・・・私達には出来ないけど・・・。」
リヴァル、シャーリー、ニーナの言葉に、ルルーシュは思わず涙ぐむ。
「・・・貴方の帰ってくる場所は、私達が守るからね。・・・いつでも帰ってらっしゃい。ルルちゃん。」
いつになく落ち着いた様子でそう言ったミレイに、ルルーシュはこくん、と頷く。感極まり過ぎて、言葉が出てこなかったのだ。
「カレン、ルルのこと、よろしくね。」
シャーリーがカレンに笑みを向け、握手を求める。
「ええ。」
カレンはしっかりと頷いて、シャーリーの手を握る。
「朝比奈さんも・・・お願いします。」
カレンと握手をしたまま、シャーリーが朝比奈を見る。
「うん。・・・任せて。ルルーシュは絶対に守るから。」
― この命に代えても。
ルルーシュが嫌がるので口には出さなかったが、シャーリーには通じたようで、信頼のこもった視線を向けてくる。
「じゃあ、俺からも一言。・・・ナナリーのこと、よろしくね。ナナリーがルルーシュの生きる世界で、帰る場所だから。」
「「「「もちろん(です/っス)!!」」」」
そして、ルルーシュ達の本当の戦いが始まる・・・。
おしまい
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