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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・ 時美・小夢・珠羅・秀華・白輝・藍・蒼夜・千坐がメインのオリジナルキャラクターになります
・ 渦の国は滅んでいません。したがってすべてがオリジナルの設定となります
・ よろしいですね?注意はしましたよ?
・ では、どうぞ・・・↓








「封印術“巻の参”」

藍の声が響き“死を振りまく獣”を縛る結界が更に強固なものになる。最早身動きすら取れない状態だ。

「すげーってばよ・・・」

呆気にとられていたナルトの脇から、ぬぅ、と珠羅が顔を出す。

「・・・封印術は、ただの結界とは違う」

「うを!珠羅・・・そこにいたんだ」

さすがに気付けなかったらしいナルトが、目を丸くする。

「さっき、戻った。・・・時美を見て気になることがあったから、調べものをちょっと」

「・・・で、封印術とだたの結界はどこが違うんだよ?」

サスケが問うと、珠羅は目を細める。

「ただの結界は自分のチャクラのみで相手の術を弾き飛ばす。でも、封印術は相手のチャクラも利用するから、相手のチャクラが強ければ強いほど、術の強度もあがる」

「ナルホド・・・つまり強敵であればある程、その術が効くってことだな?」

シカマルが頷き、それから、ん?と首を傾げる。

「さっき気になって調べものに行ったって、言ったよな珠羅」

「うん。言った」

頷く珠羅に、シカマルは眉根を寄せる。

「・・・もしかして、暉莉姫を見に行ったのか?」

「・・・うん。中継役になってるとしたらその自覚があるのか、ないのか、確認するために。でも先客がいたから帰って来た。こっちの方が心配だったし」

「・・・先客?」

千坐が問う。

「うん。蒼夜先生がいた。だから問題ないと思って」

出された名前に、千坐は一瞬口元を引き攣らせ、それから深い溜息をついた。

「・・・まぁ、蒼夜なら大丈夫だろうなぁ・・・確実に」

「蒼夜先生が暉莉姫のトコに?・・・1人で大丈夫なのか?」

サスケが呟く。

「全然平気。蒼夜先生はあちこちの里に行って、尾獣の調査をしてる人だから“こういうの”に対しての免疫と対処法はよく知ってる」

珠羅が答えれば、ナルホド、と皆が納得する。

「・・・まぁ、蒼夜はそれでなくても、ほとんど術が効かない体質してるから・・・忍者としてはすっごい有利な体質よねぇ」

白輝が肩を竦めると、それに同意するように頷いて小夢がぼやく。

「確かにぃ・・・卒業試験とか、ホントなんで術が効かないのかって、本気で焦ったし」

「さすがに大技は効くけどな。・・・後は、四代目の飛雷神の術とか」

千坐が補足すれば、シカマルが感嘆の声をあげた。

「ふぅん、そうだったのか・・・。俺達はあんまり蒼夜先生には習ってねぇしな・・・」

そう言えば、ナルトがキョトン、とする。

「あ、そうだったってば?・・・俺、皆より1年早くアカデミーに入ってるから、蒼夜先生に無茶苦茶習ってるってば。ま、それ以前に千坐君とかカカシ君とかに術を叩きこまれてるから・・・あんましアカデミーでの授業が役立ってるとは言えないけど」

「あれは基礎中の基礎。あれだけで忍者になれると思ってるお子様たちは、まず下忍試験に落ちる」

珠羅がそっけなく言えば、白輝が苦笑をうかべた。

「まぁ、そうなんだけど。・・・そう言ったら、ほとんどの子どもがそう思ってるわけだし。それを敢えて教えないのもアカデミーの方針でしょうに」

「白輝の言う通りだぞ。そうやって、ふるい落とされても忍になることを目指し、たゆまぬ努力を続けてこれる者こそ、真の忍者といえるだろう」

千坐が言うと、ナルトが口元を歪めた。

「それ、エロ仙人のセリフだってばよ」

「まぁ受け売りだが、俺もそう思うんでな」

ニヤリと笑った千坐に、その場の全員が同意を示した。

「・・・白輝さん・・・相談、なんですけど・・・」

藍の声が響く。ハッとそちらの方を向けば、既に何重にもかけられた結界により“死を振りまく獣”は能力を抑え込まれ、指ひとつ動かせる状態ではなくなっていた。

「どうか、した?」

白輝は嫌な予感を覚えて訊ねる。それは他にも伝播《でんぱ》して小夢や珠羅、千坐の表情も自然と硬くなる。

「・・・このまま、時美さんの中に“死を振りまく獣”を封じ込めてしまった方が良いと思うんですけど、どうしますか?」

「藍!・・・どういうことだ!!」

サスケが声を荒げる。

「・・・やられたよ。“死を振りまく獣”は時美さんに定着しつつあるの。“誰か”が“それ”を補助する術をかけたとしか思えない。・・・無理やり引きはがせば、重大な後遺症が時美さんに残る」

「後遺症って・・・」

小夢の顔が青ざめる。

「たぶん・・・忍者としては、もう。でも、ナルト君と同じ状態かそれよりも強固に封じ込めるかすれば、忍者を続けることもできるし生活にも支障はない」

「・・・白輝・・・」

珠羅が白輝に視線を向ける。

「決定権は、私にあるわけ?」

白輝が溜息をつけば、珠羅は頷いた。

「蒼夜先生と白輝、2人が今回の任務の隊長と副隊長。・・・蒼夜先生がいない今、白輝が決めるべき」

「まぁ、時美は私の弟子なわけだし、時美に対しての責任は私にあるから、蒼夜がいても私が任されたでしょうね・・・」

肩を竦めて、白輝は藍に視線を向けた。

「藍、責任は全て私がとる。だから“死を振りまく獣”を時美の中に封じて。八卦四象封印と同系列の封印でお願い」

白輝がそう決定する。時美をなるべく傷つけないという方法は、それしかなかった。

「わかりました。・・・“死を振りまく獣”の力を時美さんのチャクラに還元できるように封じます」

藍は頷いて、パンッ!と手を打った。

「封印術“巻の弐拾五 護封の印”」

“死を振りまく獣”を囲む結界がドンドンと縮まっていく。

「・・・時美さん・・・絶対、助けてあげますからね」

藍は優しくそう言って、そっと“死を振りまく獣”に乗っ取られている、時美の胸に手を当てた。

「・・・封印術“巻の参拾 封呪”」

『あ゛あ゛あ゛ぁ゛ッ!!!!』

“死を振りまく獣”が苦しそうな叫びをあげ、胸を押さえる。

「・・・時美ッ!」

サスケがギリッと手を握り締める。最強の写輪眼使いと呼ばれながらも、大切な家族のために何もできない自分に怒りを覚える。

「サスケ、自分を責めるなよ。・・・人には得手不得手があるんだ。たまたまお前はこういったことは不得手で、藍が得意だったってだけのことだ」

千坐がポンポンとサスケの肩を叩く。そのおかげかサスケの肩から力が抜けた。

「・・・・・・ああ」

そうしている間に藍の封印が完成する。

「ふぅ・・・終わったよ」

疲労の見える表情で笑い、藍は皆を振り返った。

その瞬間ふらりと倒れた時美を、慌てて駆け寄ったサスケが抱き止める。

「時美!!・・・時美ィ!!」

必死に呼びかけるが、応答はない。

「強力な封印術だから・・・時美さんはしばらくは目を覚まさないと思う。でも、大丈夫だから。・・・ちゃんと“死を振りまく獣”は封じたよ」

藍が言えばサスケはホッと息をついて、時美を抱きしめたままその場にへたり込んだ。



***



時は遡り、白輝が氷遁を放った直後。蒼夜はとある場所からそれを見ていた。

「・・・アレは、白輝の術・・・“死を振りまく獣”を誘き出すことにしたみたいね。・・・これも全て、貴女の計画通りなのかしら?―――暉莉姫」

「何のことでしょうか・・・と、しらを切っても、通じないのでしょうね?」

クス、と笑った暉莉は立ちあがった。

「妾は戦姫としては力が弱い。玖々流から、聞いているのでしょう?」

「・・・玖々流さんがこちらに情報を流すことすら、予測済みってことね?」

「ふふ・・・最初のターゲットはナルトだったのですけれど、それよりももっと器に相応しい方がいらしてびっくりしましたわ」

「!」

蒼夜が目を丸くする。

「あら、気付いてはいらっしゃらなかったのですね?あのうちはの女性、チャクラを喰らう力をお持ちなのでしょう?“死を振りまく獣”の器に最も相応しい方だと思いませんか?」

「まさか!・・・時美に“死を振りまく獣”を・・・!!」

「クシナ様を奪ったのは木ノ葉。・・・ならば、木ノ葉にこの責任をとって頂く。その発想のどこが悪いのです?・・・この国は疲弊している。民も恐怖に支配され、もはや一刻の猶予もないのです。・・・国を安《やす》んずるため・・・妾は心を鬼にせざるを得なかったのです」

おわかりでしょう?そう訊ねられた蒼夜は、苦虫を噛み潰したような表情をうかべた。

「迂闊だったわ。ナルトばかりに気を取られ過ぎていたわね」

「もう、彼女から“死を振りまく獣”が出て行くことはない。・・・代々の戦姫に伝わる封印の術で出口を閉ざしてしまいましたから。妾を殺しても彼女は戻って来ない。・・・ふふふ・・・そちらにも結界術や封印術は多くあるのでしょう?試してみては、いかが?」

「・・・言われずとも。・・・うちの封じ手は優秀だからちゃんと時美を取り戻す。・・・暉莉姫、貴女を殺して全てが収まるならばと思っていたけれど、止めたわ」

「あら・・・どうしてです?」

「気付いてないでしょうから教えてあげる。・・・貴女、泣いてるわよ」

蒼夜の言葉に、暉莉の顔から表情がストン、と抜け落ちた。

己の目からこぼれ落ちる涙に気付き、暉莉は目を丸くした。

「・・・どうして・・・」

「貴女が、悪い人間じゃないということは、クシナ様から聞いているわ」

「・・・ッ!」

息を呑んだ暉莉に、蒼夜は苦笑をうかべた。

「・・・妹のように可愛がっていた貴女に全てを押しつけてしまっていたことを、クシナ様は後悔していらっしゃったわ」

「そんな・・・そんなっ・・・クシナ姉様ッッ・・・!」

がくりと膝をついた暉莉の傍に寄り、蒼夜はその背を撫でた。

「許してほしいとは言わないって・・・恨んでくれて構わないと、そう伝えてくれと言われている。・・・でもこれだけは知っていて。クシナ様の力はナルトにも継がれていて、ナルトは既に木ノ葉のためにその力を使っている。クシナ様はそのことに心を痛め、里人から憎悪されるナルトを全力で守っているの。・・・ただのうのうと幸せに暮らしているわけじゃないわ」

「っ・・・姉様っ・・・ごめんなさい!・・・ごめんなさいっ!・・・弱い妾を、許してッ・・・!」

泣き崩れた暉莉に、蒼夜はもう大丈夫だと判断して息をついた。

「・・・頼むわよ、藍」

封印術のスペシャリストとして、白輝が育てた藍に全てを託すしかない。

クシナや秀華がこんなこともあるのでは、と判断して藍を送ってきたことは、まさに天《てん》の配剤《はいざい》といえる。

そしてその期待に応えた藍が、時美の中に“死を振りまく獣”を封じることに成功したのは、それから数分もしない後のことだった。

こうして渦の国の任務は、皆の心に大きな傷を残して終了した。

第三章・完



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