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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・最年少暗部シリーズをお読みになりましたか?(大前提ですよ?)
・スレシカスレナルです!
・二次創作であることをお忘れなく

以上、同意できる方のみ↓へ・・・










翌日


霧が出ることもなく、天気も上々。

波の国から火の国の海岸に向かう橋の工事現場で、タズナを護衛していたサクラは、ぼんやりと海を眺めていた。

「ん?サクラじゃないか。・・・ナルトとサスケはどうした?」

「修行中。・・・私は優秀だから、タズナさんの護衛のほうに回れって先生が。」

「ほ~。なるほどなぁ。」

あまり信じてない様子のタズナにムッとするが、実際、カカシに言われたことは確かだし、タズナの護衛が一人もいないのはマズいのだ。

いや、実際は、木ノ葉の双璧と言われる暗部、鋭裏がその辺りにいるはずなのだが、サクラには全く居場所がつかめない。

「タズナ・・・ちょっといいか?」

「ギイチ?」

タズナと年恰好の似た男が声をかけてくる。タズナの傍にいたサクラは、波の国の人々の現状をまざまざと見ることとなる。

もう、工事を中止にしようとタズナを宥めるギイチに、タズナはつらそうにしながらも、その言葉を撥ねつけて、こう言った。

「もういい・・・わかった。ギイチ、明日からは来なくていい。・・・すまなかったな。」

「タズナ!!」

「もう昼だ。・・・今日はここまでにしよう。サクラ・・・行くぞ。」

「・・・あ、ええ。」

呆然と見守るしかなかったサクラは、寂しそうなタズナの背を追いかける。

繁華街と思われる場所も異様な雰囲気で、まるで活気というものがなかった。あちこちに物乞いがいて、サクラの半分も生きてないだろう年頃の子供が食べ物をねだってきたりもした。

思わず飴玉を渡してやったサクラは、それでも、何の足しにもなっていないのだろうということがひしひしとわかって、眉を顰めた。

「ガトーが来てからこのざまじゃ。・・・ここの人間はそろいもそろって皆、腑抜けになってしまった。」

タズナの嘆きに、サクラは何も言えず、なにがなんでも橋を完成させようとしているタズナを絶対に守らなければと心に誓った。

「(・・・この任務はサクラを成長させてくれそうだ。)」

そんなサクラの様子を見守っていた、鋭裏ことシカマルは、穏やかな笑みをうかべる。

「(いろんなことを学べ、サクラ・・・そして、いつか・・・ナルの真実を知った時に、受け入れてやってくれ。)」



森の奥


ガッ!

サスケが幹に印をつけ、地面へと降りてくる。それを見て、ナルトはパチパチと手を打つ。

「チャクラが安定してきたな、サスケ。」

「・・・ああ。こんな地道に修行するのも久しぶりだな・・・木ノ葉じゃ監視の目があって、あんまり術の修行はできねぇからな。」

「俺も、サスケも・・・里にしてみれば“危険分子”だからなー。」

「そういうこった。・・・しかし、チャクラってのは、こんなに扱い難いものだったか?」

「サスケは基本無視して大技ばっかりだもんなぁ。」

「うるせぇ・・・しょうがねぇだろ?」

「まぁね~・・・でもさ・・・よく、ここで辛抱してるな。」

ナルトの言葉に、サスケは首を傾げた。

「何がだ?」

「・・・普通さ、上層部のやり口に腹立てたりして、里抜けとか考えるんじゃない?」

「・・・・・・兄貴から聞かされた時は一瞬、そうしようと思ったぜ。でも、兄貴から、お前を任されたからな。・・・とは言っても、今はシカマルもいるし、そんなに俺の出番もないんだろうが。」

「・・・いや、同じ班にお前がいて心強いよ。・・・いつも助かってる。ありがとう。」

殊勝にナルトが礼を言うと、サスケはあたりをキョロキョロと見回す。

「・・・シカマル、いないよな?」

「ん?サクラちゃんとタズナさんに付いてるけど・・・なんで?」

「嫉妬されたら、敵わねぇからな。」

シカマルの嫉妬深さは、ナルトよりも知っているつもりである。アカデミーでは共犯関係にあったサスケだが、同じ班になったということで、こっそりとシカマルから釘を刺されているのである。

「(・・・ナルトに手を出してるわけじゃねぇが・・・シカマルがそう断じたら半殺しは必至だな・・・。)」

「・・・なんだそれ・・・。」

呆れるナルトだが、サスケにしてみれば死活問題である。とにかく、鈍感なナルトに一線だけは引いておこうと心に決めた。

「・・・あ、そうだ、サスケ。」

「なんだ?」

ふと思いついた様子のナルトに、サスケは首を傾げる。

「・・・カカシ君にお仕置きしなきゃじゃない?」

「・・・あ~・・・そうだな。」

「・・・というわけで、ちょっと協力してくれな?」

にっこりと笑ったナルトを見て、ほんの少し、カカシに同情したサスケだった。



夕刻・タズナの家


タズナの家にナルトとサスケが戻ってくると、夕食が待っていた。

「・・・鋭裏さんも、ここで食べればいいのに。」

この場にいない暗部のことを話題に出したサクラに、カカシは苦笑する。

「いや、暗部だからね、彼。・・・忍だってそんなに目立ってはいけないけど、暗部はもっとだからね?・・・一般的な人達の忍のイメージは、むしろ、暗部の方なんじゃないかな。」

「・・・確かに。私達下忍なんか、子守りとか、お遣いとか、どう考えても便利屋だもんね。」

サクラの言葉に、ナルトは心中で苦笑した。確かにその通りなのだからフォローのしようがない。

「・・・ま、暗部は人前で滅多に面をはずさないし、ましてや、ご飯なんて食べたりしないから。諦めてね、サクラ。」

「む~、暗部のこととか、いろいろ聞こうと思ったのに。」

― だと思った。

ナルト達が一斉にそう思ったのも知らずに、サクラはカカシにターゲットを移す。

「カカシ先生もよくわからない人よね。」

「ん~?どこが?」

「顔、思想、私生活、遅刻してくる理由!全部よ!!」

キッとサクラに睨まれて、カカシは眉を顰めた。

「う~ん、そう言われてもねぇ・・・答えられることはないなぁ。」

「・・・カカシ、お前も暗部経験者なんだろ?」

サスケがしれっと言うと、カカシがギクリとし、表情を引き攣らせる。

「そうなの!?カカシ先生!!」

案の定サクラが食いつくので、カカシが恨めしげにサスケに視線を送ると、サスケはフイッとそっぽを向く。

「え~・・・カカシ先生が暗部っていうの、信じらんねーってばよ。・・・だって、再不斬にアッサリ捕まったりしたってばよ?」

サクラに詰め寄られているカカシを、さすがに哀れに思ってか、ナルトがフォロー?を入れる。

「・・・む。ナルトの言うことも一理あるわね。・・・サスケ君、本当にカカシ先生って暗部なの?」

サクラがカカシの胸ぐらを掴みながら、サスケに視線を向ける。

「暗部経験者であることは間違いねぇよ。印があるからな。・・・だから、下っ端なんじゃねぇか?下っ端なら、そんなに実力も情報も持ってねぇだろ。」

「「あ~、なるほど。」」

ナルトとサクラが納得の声を上げると、カカシがガクッと肩を落とす。

「(何?この扱い;;)・・・そりゃないでしょ。っていうか、いつ見たの。印なんて。」

「・・・ナルトが見たってよ。」

「(まさか、コレ、お仕置き!?)・・・あ、あああ、あ、そ、そう。そ、そうなんだぁ。」

思いっきり動揺したカカシに、ナルトが眉を顰める。

「修行中にサスケに言ったら、それは暗部の印だって言われたってばよ。・・・ホントに本物だってば??」

訝しげに言うナルトに、カカシは泣きそうになる。

「(今回のお仕置き、軽くイジメだよ!?)・・・本物だよぉ・・・い、一応。」

「ふーん。まぁ、いいや。どっちでも。」

「どっちでもって・・・(泣)」

ナルトのつれない言葉にカカシが撃沈すると、サクラの興味がカカシから逸れる。

「・・・そういえば、あの写真はどうしたんですか?・・・なんだか、故意に破ったようにも見えるんですけど。」

何気ない問いかけに、タズナとツナミそして、イナリの表情が曇った。

「・・・夫よ。」

単調な声音で津波が答える。

「・・・この街の英雄と呼ばれた男じゃよ。」

タズナが硬い表情で言うと、突然、終始無言を貫いていたイナリが立ち上がり、戸口へと向かい、そのまま部屋を出て行ってしまう。

「父さん!あの話は、イナリの前でしないでって言ったじゃない!!」

ツナミがそう言ってイナリを追うようにして出て行くと、カカシはタズナに視線を向けた。

「・・・なにか、訳ありのようですね。」

「・・・はぁ・・・3年前のことじゃよ。」

タズナは大きく溜息をついて、静かに語り始めた。

それは、1人の英雄の悲しい物語。

「・・・イナリは、父親の生きていた証をすべて捨ててしまった。写真もそうじゃ。・・・そうすることでしか、父親を失った悲しみから、逃れられんかったのじゃろう。」

ガトーに逆らい殺された父親。そんな記憶がイナリから、いや、イナリだけではない。この街の人々から、すべての気力を奪ってしまったのだろう。

その人々にもう一度立ち上がらせる勇気を与えるかもしれない“橋”も、タズナ1人では限界がある。

ナルトはスクッと立ち上がり、カカシに目くばせする。

「・・・修行ならやめとけ。ナルト。」

ナルトの意図を理解していたカカシがそう言えば、ナルトは強い意志を宿した視線をその場の全員に向け、祈るように言った。

「この世に、ちゃんと英雄がいるってことを、俺が証明してやる。」

ナルトが部屋を出て行くと、カカシがポツリと呟いた。

「・・・重ねてるのかな。」

英雄と呼ばれる父。憎まれる自分。もう、未来など決まっていて、どんなに足掻いても無駄。そう思っていた頃のナルトは、今のイナリと同じような目をしていたのを思い出す。

どんなに愛情を注いでも、里の者達の視線は冷たいもの。本人が事情をわかっているだけに、簡単に言い含めることも出来ず、三代目やカカシ、千坐が何度ナルトの将来を危ぶんだかしれない。

「(ま、今は、シカマルがいるからねぇ・・・。)」

シカマルに出会ってからのナルトは、とても明るくなった。再び、暗部の詰め所に居座ることも多くなった。だから、安心していたのだ。

「あ、そうか。」

思わず声に出していて、サクラとサスケが訝しげな視線を送ってくる。

「・・・あ、いやいや。こっちの話。」

笑顔で誤魔化し、カカシは松葉杖をついて、席を立ち、部屋を出る。

「(イタチは、それを知らないんだったねぇ・・・。)」

イタチの相手を己に任せたナルトの心情がわかってしまって、カカシは思わず苦笑をうかべてしまった。

「イタチも心配性だから・・・自分で言うより効果ありってとこか。・・・さて、そろそろ、俺ものんびりはしてられないかな。」

うんっと背伸びをしたカカシは、松葉杖を壁に立てかける。

「・・・ナルトには実力を偽ってたのがバレてたみたいだけど・・・再不斬達にはバレなかったみたいだし、警戒されることもないでしょ。」

そう呟いた瞬間、カカシは瞬身の術をつかって、虚空へと消えた。



数日後


「・・・ナルト君は?」

朝食の席でツナミが問うと、サクラが肩をすくめる。

「修行です。最近、こっちには戻ってきてないみたいです。」

「心配だわ、子どもが何日も外で過ごすなんて。」

「・・・あんなのでも忍だ。心配はいらない。」

たいして心配した様子も見せずにサスケが答えると、ツナミは首を傾げた。

「そう言えば、カカシ先生もいないようだけど。」

「カカシについては、もっと心配はいらない。ああ見えて、上忍だからな。・・・それに、偵察に行くと言っていたから・・・。」

咄嗟にサスケが言うと、サクラが首を傾げた。

「そうだったの?さすが、サスケ君、信用されてるのねっ。・・・私にはなんにも言ってなかったのに。」

― 部下をほったらかしにするなんて!!しゃーんなろーーーー!!!!

笑顔の裏のサクラが見えた気がして、サスケは一瞬表情を引き攣らせるが、興味なさげに視線を伏せ、出された湯呑に口を付けた。



森の中


ナルトは、朝日が差し込む森の中で、草原にごろりと横になり、人を待っていた。

約束をしたわけではない。鋭裏から、いつもこの時間にこの辺りで“彼”が薬草を取っていると教えて貰ったから、ここで待っているのだ。

チャクラは通常以下に抑えて、警戒されないように、自然と一体になるように気持ちを落ちつける。

仙人になる素質がある、と以前、自来也に修行を勧められたが、そんな暇はなかったので、修行の方法だけを教えて貰った。

自然エネルギーを取り込むのは、簡単にできたが、自来也のように仙人モードになって戦うとなると、専門の修行が必要なので、回復用として利用している。それを知った自来也が、それだけの才能を持っていながら、と嘆いていたが、そんなことは知ったことではない。

あまりにも自然に溶け込んでいるものだから、警戒心の強いはずの小鳥が、ナルトの傍で草の芽をついばんでいる。

「――こんなところで寝ていると、風邪をひきますよ?」

肩を掴まれる感覚に、ナルトはふ、と目を開けた。

己の顔を覗き込んで、ニコニコと笑っている少女のような顔立ちの“彼”に、目をこすりながらナルトは尋ねた。

「ん~。あんた、誰?ここで、なにしてんの?」

つややかな黒髪に、白い肌。どこからどう見ても美少女な“彼”は、穏やかな笑みをうかべて、籠を示した。

「ここで、薬草を。・・・知り合いが病気なもので。」

「ふぅん、朝から大変だな。」

「・・・君こそ、ここでなにを?」

「俺ってば、修行中だってばよ。」

にか、と笑ってナルトは答える。警戒されてない今、余計な発言はしない方がいいとふんだのだ。

「修行?・・・額当てもしてるし・・・君、もしかしなくても、忍者?」

「そう!俺ってば忍者!」

ナルトが機嫌良く答えると、“彼”はクスクスと笑った。

「君って面白い人ですね。・・・それで、どうして修行なんてしてるんです?」

「・・・あることを、あるヤツに証明するため!」

“彼”の表情から一瞬、笑みが消える。

「それは、自分のためですか?それとも、自分以外の誰かのため?」

ナルトが眉を顰め、首を傾げると、再び“彼”は笑みをうかべた。

「・・・君には誰か大切な人はいますか?」

「いる。」

即答したナルトに“彼”は笑みを深める。

「人は、大切ななにかを守りたいと思った時、本当に強くなれるものなんです。」

「・・・うん。わかる。」

ナルトの脳裏に、己を大事に思ってくれる人々の顔が次々とうかぶ。

ナルトの答えに満足したのか“彼”は籠を持って、立ちあがる。

「修行の邪魔をしてごめんなさい。・・・君はもっと強くなる。きっと。また、どこかで会いましょう。」

言いながら背を向けた“彼”に、ナルトはポツリと呟くように言った。

「・・・霧隠れの抜け忍。鬼人再不斬の相棒。血継限界を持つ天才少年“白”」

「!?」

ギョッとした様子でこちらを振り返った“彼”に、ナルトはニッと笑みをうかべた。

「お前にも、再不斬にも・・・悪い話じゃないと思う。・・・少し、付き合わないか?」

「・・・君は・・・一体、誰・・・?」

抑えていたチャクラを開放し、静かに一歩足を踏み出す。それだけで、実力差を思い知られた白がその場に立ち尽くす。

「俺は、木ノ葉の忍、うずまきナルト。・・・ああ、でも、もうひとつの方が有名かな?・・・“木ノ葉の双璧”の“銀の月”だ。よろしく。」

ひゅっ、と白が息を呑んだ。“木ノ葉の双璧”の名は各国に知れ渡っている。それ以上に“銀の月”は有名だ。

「まさか・・・こんな、若いなんて・・・。」

「良く言われる。」

クツリと笑って、ナルトは白に近寄る。

「“銀の月”がどうして下忍に・・・?」

「う~ん、まぁ、里の事情かな?・・・この表の姿は、血継限界ではないんだけど、問題があってね。」

「・・・里人に良く思われてない?」

「良く、というか・・・まぁ、それは置いといて、ちょっと再不斬と話がしたいんだ。・・・良い?」

白は一瞬躊躇い、それから、まっすぐナルトに視線を向ける。

「・・・明朝、もう一度ここで。・・・再不斬さんには話をしてみます。」

「わかった。・・・待ってる。」

背を向けた白を見送り、その背が見えなくなるとナルトはもう一度、草原に寝転んだ。

「さぁ、どんな目が出る・・・?」


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