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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・スレシカスレナルコ
・下忍4班+担当上忍へのバレネタ
・名家&旧家の当主達は全部知ってる設定
・二次創作であることをお忘れなく

以上、同意できる方のみ↓へ・・・









「ごめんね。・・・許して欲しいとは思わない。でも・・・どうか、幸せに。」

紅葉のような手を握りしめ、懺悔する。これから、この小さな身に降り注ぐだろう、様々な悪感情。

「・・・この子を、お願いします。」

振り返った先には、共に多くの修羅場を乗り越えてきた、友人達と師。

彼らに全てを託し、四代目火影、波風ミナトは九尾の狐に挑んだ。





あれから、13年後。


「あーあ。・・・またやってるよ。」

呆れた声を出したのは、窓の外をぼんやりと眺めていた奈良シカマル。今日は下忍講習会の日。だのに、彼の少女は校門の前でイルカに捉まり、説教を食らっていた。

遅刻を注意されているのだろうとは思うが、なぜ、ああも、イルカは彼女に構うのだろう。彼女に関わった処で、中忍に何ができるというのだ。

思考に事実とほんの少しの嫉妬を含め、シカマルは窓の外、彼の少女を注意しているイルカの背を睨みつける。

「どうしたの?シカマル。」

チョウジが声をかけてきて、シカマルは振り返る。

「何でもねー。」

「何でもないって顔じゃないけど。・・・ああ、ナルト、またイルカ先生に怒られてるんだ。」

シカマルが戻した視線の先・・・窓の外を見たチョウジが苦笑する。

「ナルトもわざと遅れてこなくてもいいのに。」

「え?」

ギクリとして、シカマルはチョウジの顔をじっと見つめる。

「あれ、シカマルは知らなかった?・・・ナルトって、寝坊とかして遅れてるわけじゃないみたいだよ?だって、朝早くにボクの家の前をよく通るんだ。たぶん、修行しに行ってるんだと思うんだけど?」

― 違う。

シカマルはホッとする。どうやら、チョウジは勘違いをしてくれているようだった。ナルトが朝早くにチョウジの家の前を通るのは、暗部として仕事をした帰りなのだ。

ナルトはいつも暗部の仕事が終わった後、奈良家へと寄る。そこで、シカマルの父シカクや母ヨシノに、無事に帰還した事を報告するのだ。それが、ナルトが暗部に入隊する時の約束事だった。

幼少時、ナルトは随分と酷い目に逢っている。旧家や名家の当主達が守っていてさえ、外を歩けば暴力を振るわれて帰ってきて、中にいても食事に毒を盛られたりする。

旧家や名家の当主達が、表だって後ろ盾になれないことを歯ぎしりして悔しがっていたことをシカマルは知っている。

「そう、か。・・・ったく、しょうがねぇな。」

「ねえ、シカマルはナルトの事が好きなんだよね。」

「・・・はぁっ!?」

「しらばっくれなくたっていいじゃない。・・・見てればわかるよ。」

チョウジが笑い、そして、こちらを見ていたその場の下忍達を見やる。

「ねえ?・・・みんなも気づいてるでしょ?」

シカマルは振り返って、その場にいた全員が頷いているのを見てしまった。

「・・・最悪だ。」

そう、最悪。

この場にいる下忍は、同期3班のメンバーと+一期上のガイ班。これからも絡みのある面子だ。

「片思いなの~?」

取り持ってあげようか?と幼馴染でもあるイノがニヤニヤと言う。完全に面白がっているのが分かる。ナルトと同じ班でもあるサクラも同意するように頷いている。

「いいや。・・・もう、付き合ってるから。」

「「「ええっ!?」」」

サスケ・キバ・ネジ、3人の声が揃う。いずれも、ナルトを密かに想っている者達だ。慌てて口を塞ぐも、この場の者達にはその想いがバレてしまう。

「へぇ~・・・。ナルトとシカマルがねぇ。」

イノはニヤニヤしたまま、ドアの方を向く。トタトタと軽い足音が響き、ガラリ、と教室の前のドアが開く。

「おっはよーだってばよ!」

キラキラとツインテールの長い金髪を揺らし、ニコリと笑ったナルト。

― 今朝もかっわいいなぁ・・・。

シカマルは思わずデレっとしてしまう。そんなシカマルの珍しい表情を見て、ナルトを除くその場の全員がピシリと固まる。

「・・・?・・・シカマルっ、おはよv」

そんな面子に首を傾げつつも、シカマルにだけ特別な笑みを向け、ナルトは走り寄る。

「ああ。おはよ、ナル。」

「し、シカマル!?」

二人きりの時しか使わない呼び名を呼ばれ、ナルトは赤面する。後ろの面子に聞かれてしまった事に焦る。

「あー・・・わり。付き合ってんのバレた。」

「・・・あ、そうなんだ。じゃあ、もう、堂々として良いんだってばね?」

「最初から良いって言ってんのに。・・・ったく、こっちは気が気じゃねーんだぞ。ナル、モテるし。」

「えぇ?・・・あたし、モテねーってばよ?」

まったくの自覚無し発言。シカマルの苦労がわかったような気がして、チョウジが苦笑する。

「あのさ、ボク達全然気付かなかったよ?2人が付き合ってたなんて。・・・いつから?」

「あ~・・・アカデミー入学前、か?」

「・・・ん。そうだね。その頃かなぁ?正式に付き合い始めたのって。」

「早っ!?」

イノが目を見開いて、叫ぶ。

「ちょ、ちょーッと待って?・・・ナルト、あんた、好きな人はいないって、アカデミーの時言ってなかった?」

サクラがあわあわとしながら、ナルトの肩を掴む。

「うん?・・・あ、その時、たぶん、シカとケンカした時だったかも。」

思い返しつつ、ナルトは二ヘラと笑う。それはもう、可愛らしい笑顔で。サクラはあてつけられた気分になって、深い溜め息をついた。

「もう、いいわ。・・・ごちそうさま。」

パッと肩を放し、サクラはくるりとナルトに背を向ける。そして、愕然としている(ナルトに思いを寄せる)男子達に、憐みの視線を向ける。

「ケンカとか、するのねー・・・。シカマルが一方的に怒らせてるんじゃないのー?」

シカマルがムキになったところを見た事が無いイノは、そう言ってシカマルをねめつける。

「・・・んー?そうでもないってばよ?ほとんど口ゲンカだし、ね?」

「そうそう、売り言葉に買い言葉でな?・・・ケンカした後は、俺が折れるまでナルは拗ねてっけど。」

すっかり惚気る二人の空気にあてられたイノは、サクラと同じように匙を投げる。

「はいはい。わかったわー。・・・とにかく、ラブラブなわけねー?」

「っつーわけだから、ナルに手ぇ出すなよ?」

恥ずかしがるナルトの腰を抱き寄せ、男子達に牽制をしたシカマルは、ニヤリと笑った。



その夜


火影の執務室で、2人は三代目火影の前に立っていた。

「今日の下忍講習会はどうであった?」

「・・・それこそ、今更でしょ?」

肩を竦め、ナルトは溜め息をついた。暗部の一員である以上、下忍講習会など退屈以外の何物でもない。

「内容では無いわい。・・・下忍達の様子じゃよ。」

「ああ、そっち。・・・シカ、どう?」

「そーだな・・・いつもと変わらず。まあ、数名、心ここに在らずって感じだったけどな。」

思いを寄せていた少女が、同期(後輩)とすでに幼い頃から付き合っていたなどと知れば、ああなるのもわかる気がする。

そう思いながら、シカマルは報告を続ける。

「ただ・・・。」

「ただ、なんじゃ?」

三代目に促されるまま、シカマルは疑問を口にする。

「・・・もう、あいつらに護衛は必要ないと思いますよ。そこらの中忍や上忍に引けをとらないほどの実力は持っています。なぜ、未だに、俺達があの中にいなけりゃならないんスか?」

「・・・うむ。・・・お前達は、現状に満足しておらん、ということか?」

「・・・下忍任務は退屈。それに、人手不足だというのに、あたし達を遊ばせておくなんて・・・。」

ナルトが眉を顰めると、三代目はふむ、と呟く。

「・・・お前達には、年相応の生活をして貰いたいだけなのじゃが。」

「ここは忍の里。・・・実力があるものは其れ相応の任に就くべきだと思うんスけど?」

シカマルが言えば、ナルトもこくりと頷く。要するに、気を使うなということらしいが、三代目にしてみれば、幼い頃から血濡れた生活をしてきた子ども達に相応の生活をさせてやりたいだけなのだ。

「・・・余計なお節介ということか。やれやれ。・・・では、お前達2人を現在の任務から外し、暗部の専任者とする。・・・同期やそれなりに親しい班の者達には、自分達から説明しなさい。」

「どこまで話して良いの?」

話す相手は、一応下忍。緘口令に縛られて、口にできる情報は少ない。

「・・・あの者達に関しては、緘口令を廃止し、特例として全てを知ることを認めよう。・・・ただし、受け止めきれぬようならば・・・。」

「記憶を書き換える?」

「そうじゃ。・・・まあ、どうせ、暗部専任になるのならばさほど影響は無いじゃろうが、の。」

シカマルの問いに、三代目ははっきりと頷いて見せ、ナルトに視線を向ける。

「お主が傷つくのは本意ではない。・・・当主達にも手伝ってもらえ。」

「・・・うん。わかった。」

ナルトは素直に頷き、シカマルと視線を交わらせる。

「シカ・・・企画会をしよう?おじ様達を交えて。」

「ああ。・・・そうだな。」

こうして、秘密裏に2人が下忍を抜ける為の話は進められていった。



数日後・・・


何も知らされぬまま、カカシ班・紅班・アスマ班・ガイ班は、日向の本家へと出向いていた。

「な、なあ。俺ら、何で呼ばれたんだ?」

キバが紅を見上げるが、紅も首を振るばかり。

「さぁ・・・ヒナタも何も聞いていないらしくて、ネジと一緒に先に準備を手伝っているって話だけど。」

「準備?・・・何の準備だ?」

「私が知るわけないでしょう?・・・アスマこそ、三代目から聞いてないの?」

紅に切り返されて、アスマは黙り込んで首を振る。

「ヒナタの家って、おっきーね、シカ。」

「だな。・・・さすが、名家。」

周りの困惑など知ったことかとばかりに、ナルトとシカマルは会話をしている。2人の周りの空気だけが妙に甘いのは、おそらく気のせいではないのだろう。がっくりと肩を落としている一部男子を除き、周りの下忍と担当上忍は呆れた視線を送る。

「ちょっとー、シカマルもナルトも、もうちょっと戸惑うとか無いの?」

イノが言えば、シカマルが首を傾げる。

「はぁ?・・・これから宴会すんだろ?戸惑うも何も、ねーじゃねぇか。」

「「「「はっ!?・・・宴会!?」」」」

見事にハモった皆を眺め、シカマルは肩を竦める。

「何だよ、ガイ班とカカシ班はともかくとして、お前ら、親達に聞いてねーのかよ。」

「親って・・・シカマルはお父さんとかに聞いたの?」

チョウジが首を傾げれば、シカマルは素直に頷く。

「おー。親父が今日は宴会だぞーって、言ってたぞ。旧家とか名家とかの当主達と将来有望な下忍を呼んでどうの、とかな。」

「おいおい・・・それが何で任務なんだ?」

「酔っぱらいの相手をしろってことだろ?・・・ったく、メンドクセー。」

シカマルはそう言って、玄関を見やる。カラカラと引き戸が開き、中から顔を出したのは、同期であり、日向本家の住人でもあるヒナタだった。

「い、いらっしゃい、皆。・・・準備は出来てるから、どうぞ。」

ヒナタに促され、ぞろぞろと屋敷の中へと入って行く。大きな広間に通された面々は、その光景に呆然とする。

「うは・・・すげぇ・・・。」

感嘆したのはキバ。所狭しと並べられた料理の数々。完全に宴会場のそれだ。

「ひ、ヒナタ、本気で、宴会なの?」

「・・・ち、父上が・・・そう、おっしゃっていましたから・・・。」

うつむき加減なのはいつものことだが、今回に限っては、違う意味合いに取れる。

「・・・来たか。」

背後から声がかかり、皆がギョッとして後ろを振り向くと、そこには日向ヒアシが立っていた。気配を絶っていたわけではなかったのだが、目の前の光景に呆然としていたために、上忍ですら、近づいてきた気配に気づかなかったのだ。

「好きなように座りなさい。今日は無礼講だ。」

「・・・あ、あの、今日は何かのお祝いなのですか?」

紅が意を決して問いかければ、ヒアシは何とも言えないような表情を浮かべる。

「祝いの意味合いもある。だが、我らにとってはあまり享受できる話ではないので、何とも言えん。」

「・・・あの、それはどういう・・・。」

「お~、さっすが、日向。厭味なくれぇ豪勢だな。」

「厭味は余計だ。奈良の。」

紅が更に尋ねようとした丁度その時、底抜けに明るい声が響き、ヒアシがそれにむっつりと反論する。

「親父・・・ちったぁ、礼儀っつーもんを知れよ。」

息子に苦々しく注意され、シカクはムッとする。

「っるせー。・・・お、ナルト。今日もかわいいなぁ。」

「こんちは!おじちゃん。」

ニコニコと頭を撫でるシカクに、ナルトも機嫌良く応じる。基本的に好意のある人間には素で懐くものだから、シカマルにしてみたら、気が気ではない。

「そろそろ、他の猪鹿蝶も、犬塚と油女も来るだろうし、おら、ガキども、適当に座れや。」

ほいほい、と手で払うようにして追われ、全員が膳の前に座る。その時を見計らったかのように他の当主達も集まって来て、皆、目を白黒させている。

「・・・ごめんごめん、遅れてしまったよ。」

そう言いながら用意されていた膳の前に座ったのは山中イノイチ。

「ちょっとーパパ?・・・今日の事知ってたなら、どうして教えてくれなかったのー?」

イノにちろっと睨まれ、イノイチは苦笑する。

「いやいや、ビックリさせようと思ってね。・・・てっきり、シカマルから聞いてるかと思ったよ?3日前からシカマルとナルトは手伝ってくれてたからね。」

さりげない暴露に、皆が一瞬固まる。

「・・・ちょ、ちょっと!シカマル!!!さっき言ってたことと違うじゃない!」

サクラがシカマルとナルトの方を見て叫ぶと、シカマルがさも面倒そうに応じる。

「別に、今日聞いたとは言ってねーし、関わってないとも言ってねー。」

だから、違わない、ということらしいが、納得のいかない面々は、ナルトに矛先を向ける。

「ナルトも知ってるなら、教えてくれたっていいじゃない。」

「そうよー。何で黙ってたのー?」

「・・・えっと・・・ちょっと、事情があってだってば。」

二コリ。

誤魔化しの笑みを浮かべると、ナルトは、ね?とシカマルに振る。

「あー・・・そうだな。事情が、な。」

「それって、今言えないことなの?」

サクラが不審げに眉根を寄せると、ナルトとシカマルは考えるそぶりを見せる。

「・・・話す予定では、いるんだけど。」

「もうチョイ、後でな。・・・まずは、宴会始めようぜ。」

2人の表情が笑顔なのに、どこか硬いと感じた同期達+αは、その言葉に大人しく従う事にした。

そして、宴も酣(たけなわ)という処で、ぽつり、と日向ヒアシが口にする。

「・・・もう、そろそろ良いだろう。・・・我々もきちんとした説明が欲しい。」

その一言がきっかけで、他の当主達も口々に思いを告げる。

「俺はよー・・・こいつらが決めた事なら、何でも応援するつもりだけどよ。・・・でも、説明は欲しいよな。」

「・・・まったくだよ。どうして僕達にまで黙って決めちゃうかね。」

ガシガシと頭の後ろを掻き、のんびりと奈良シカクが言うと、山中イノイチもこくりと同意するように頷き、避難たっぷりの視線をナルトとシカマルの2人に向ける。

「でも、いつもの事だしなぁ。」

そう呟いたのは秋道チョウザ。

「・・・最も、ショックを受けるのは、我らでは無く、彼らだろう。」

ちらりと子ども達を見やり、油女シビが溜め息をつけば、犬塚ツメが豪快に笑い飛ばす。

「ははっ!ショックを受ける?・・・その程度でこの子等を信じられなくなるような育て方はしてないよ!!」

当主達は然り、と頷く。

話についていけない同期達+αは、首を傾げるばかり。説明してくれとナルトとシカマルに視線を向ければ、明らかに呆れたような視線を当主達に向けていた2人が溜め息をついた。

「・・・あんたらの常套手段だよな。・・・こうやって、話さざるを得なくする。」

「ま、自業自得だな、ほらよ、きっかけは作ってやったんだ、話しちまえよ。」

からからとシカクに笑われ、シカマルはむっつりと顔を顰めながらも、ぽつりぽつりと話し始める。

「・・・とりあえず、落ち着いて聞いてくれ。」

確認すれば、是という返事。

「今日の、この宴会はな、俺とナルの送別会なんだよ。」

「・・・送別会って・・・。」

声を発したのはヒナタ。いつも、何かを感じ取っていた素振りを見せていただけに、その視線には確信の光が宿っている。

「ああ。・・・俺とナルは、今日限りで下忍をやめる。」

「「「「!!!!」」」」

全員が息を呑む中、シカマルは続ける。

「元々、俺達が下忍に、というか、表に姿を曝していたのは、期限付きの任務だったからだ。」

「・・・期限付き・・・任務?」

言葉を反芻したサクラが信じられないように2人を見つめる。

「俺達は、アカデミーに通う前から、忍だった。」

「「「「!?」」」」

担当上忍達が目を見開く。それは、取りも直さず、ナルトは5歳以前に、シカマルは7歳以前に、すでに忍であったという事で・・・。

カカシの例を取ればおかしくはないが、その当時と今では、時代が違う。あの時は、忍界大戦真っ只中の頃。一人でも多くの優秀な忍が必要であった時代だ。だからこそ、カカシのように幼いながら忍になった存在はあちこちにいた。しかしながら、生き延びた者は極少だ。

「それは、親父達・・・旧家や名家の当主達も存知の事だ。」

バッと子ども達は自身の父や友人の父を見る。

重々しく頷く面々に呆然とし、そして、再び、2人に視線を戻す。

「ただ、忍といっても・・・そんなガキが普通にうろちょろとできるわけがねーからな。・・・三代目の許可を得て、俺達2人は、暗部の戦略得務部隊に配属された。」

「戦略特務部隊って・・・。」

カカシが息を呑む。

唯一の暗部経験者で、そして、その部隊の事をよく知っている身としては、驚かずにはいられない。

「カカシ?」

ガイの訝しげな視線に、カカシは口元に手をやりながら、ぼそりと呟く。

「戦略特務部隊・・・通称“木ノ葉の双壁”・・・当代最強の暗部・綺羅と洞見(どうけん)の鋭裏の2人で構成される、火影直属の部隊。」

「綺羅と鋭裏だって!?おいおい!まさか、こいつらが!?」

ぎょっとして叫んだのはアスマ。紅とガイに至っては、言葉も出ない様子だ。

「俺が鋭裏だ。・・・ナルが、綺羅。」

木ノ葉で最も強いとされる2人。それが、この子ども達だというのか。それだけで、担当上忍達の頭はパンク寸前だ。

「ああ、でも・・・ナルトは、何となくわかる。」

いち早くその思考のループから脱したのは、カカシだった。

「・・・だって、先生の子だものね。・・・それに、アレもあるし。」

にこり。

「さっすが、カカシさん。・・・良くわかってんよな。」

ひょい、と肩を竦め、シカマルは肯定してみせる。それこそが、真実だ。

「先生って・・・カカシがそう呼ぶのは・・・まさか!うずまきは、四代目の遺児かッ!?」

ガイが叫べば、取り残されていた子ども達も仰天する。

「ええっ!ナルトって、四代目の娘なの!?」

「マジかよ!!」

「ガイ、先生が何の関係もないそこら辺の赤ん坊に、アレを押しつけるような人だと思う?」

カカシが真剣に問えば、ガイはああ、そうか。と呟く。それは、アスマや紅も同じ。

「そうか。・・・四代目は、ご自分の・・・。」

「お辛かったでしょうに。」

器となった者の運命は決まっていた。理屈で心は変えられない。

「ナルに関しては理解してもらえたみてーだな。・・・ちなみに、俺はナルと似たような感じで、黒神っていう神獣と契約してる。」

「黒神!?」

反応したのは、意外にもキバ。

「ああ、犬塚にも深い関わりがあったな。」

「キバ?」

チョウジが固まるキバの肩をゆする。

「あ、ああ。・・・黒神てのは、赤い瞳の黒い狼で・・・偏屈で人嫌いで・・・ただ、忍犬達の加護をしてくれてる関係で、俺達犬塚の人間は、黒神を主神として崇めてるっつーか、奉ってるっつーか・・・。」

「それが、なんで・・・。」

「ああ、なんか、ちょうど波長が合ったんだかで、気に入られたんだよ。だから、ナルを守る力を貸してくれって頼んだ。」

「ナルトと似たような、と言ったな?・・・カカシも押しつけるだのなんだのと言っていたし。つまり、ナルトも何かと契約しているってことか?」

落ち着き払った様子でサスケが尋ねれば、シカマルはあっさりと肯定する。

「ああ。そうだ。・・・それがそもそも問題なんだよ。」

「問題だと?」

ネジの言葉に棘が含まれる。

「ああ。・・・もともと、そのせいで、ナルはあまり実力を出せなかったんだ。俺は、それに合わせてただけ。」

本当は強いのに、と言ったシカマルの声が怒りを押し殺したものだったから、部屋がしん、と静まり返る。

「どうして、実力を出しちゃいけないの?」

ヒナタが問うと、シカマルはちらりとナルトを確認する。すると、ナルトは観念したように苦笑し、頷く。

「・・・ナルは契約したんじゃない。・・・さっき、カカシさんもそれとなく言ってたが、四代目がナルの中にあるモノを封じ込めた。それは、木ノ葉の人間にとっちゃ、最も憎むべき存在で、最も恐れている存在だ。この事は、13年前を知っている大人なら、誰でも知ってる。」

「・・・13年前、四代目・・・そうか。ナルトの中に封じられたというのは、九尾か。」

はじき出された答えに、シノが唸る。

「・・・倒したんじゃ、ないんですか。」

リーが呆然と言うと、ナルトは首を振る。

「・・・倒せなかったの。天才と呼ばれた、あの人でも。」

「それで、九尾のチャクラを二分割し、陽の力をナルに封じて、陰の力を自分の命を代償に滅ぼした。」

「わざとだったのか、それとも、どうしようもなく、そうしたのか。・・・それはわからずじまいだったねぇ。」

シカマルの答えに、カカシがぼやくと、当主達も頷く。

「最後までナルトの事を気にかけていた。・・・でも、どうして、二分割する必要があったのか・・・俺達にすら、あいつは言わなかった。」

シカクが溜め息をつく。

「・・・いつか、必要になる。」

「え?」

ナルトがぽそ、と呟く。それに皆が視線を向けると、ナルトは苦笑を浮かべる。

「九尾が言うの。・・・いつか、必要になる。・・・だから、全てを受け入れろ、と。」

「いつか、か。・・・四代目はそれを知っていたという事か。」

シノが呟けば、ナルトは頷く。

「・・・九尾って、ナルトの中で暴れたりしないの?」

テンテンがナルトを見つめる。怯えているのではなく、それは、純粋に、ナルトを心配する視線だ。

「うん。・・・大丈夫。あの時は操られていただけだったから。」

「「「「操られてた!?」」」」

同期の声がハモる。担当上忍達も首を傾げるばかりで、当主達も不思議そうにしている。

「・・・シカにしか話してなかったんだけど・・・九尾が暴れだした理由は、封印を解かれ、操られた結果だって。」

「尾獣を操るなんて・・・そんな事が出来るの?」

「出来る。・・・ある一族秘伝の瞳術なら。」

紅の問いに答え、ナルトはサスケを見る。

「・・・できるな。・・・うちはの写輪眼なら。その為にあるような瞳術だからな。」

同意して、はぁ、と溜め息をつく様子は、完全に理解した者のそれだ。

「うちの一族の誰かが、九尾を暴走させたんだな?」

「そういうこった。・・・だから、お前の監視と護衛の為に、ナルがお前と同じ班になったんだよ。」

シカマルが肩を竦める。

「サスケ・・・お前。」

カカシの何かを言いたげな視線に、サスケは眉根を寄せた。

「・・・イタチが、言い残していった。写輪眼の真実を知りたければ、集会場へ行けと。そこで知ったんだ。・・・写輪眼とは、本来、九尾を操るための能力だという事。ある特殊な写輪眼を手に入れると、その威力は格段に増す、と。」

そこまで言って、サスケはナルトに視線を向ける。

「ナルトは、何で知ってた?」

「・・・イタチから聞いた。」

「・・・なるほどな。あいつも、暗部、だったな。」

サスケは理解すると同時に、体から力を抜く。

「もう、いい。俺はわかった。・・・里の連中の機微など知るか。お前達は暗部に戻るっていうのに、俺は止める権利などない。」

下忍をやめる=暗部に戻る、そのイコールで結ばれた事象に、サスケは何も言うまいと決めたらしい。クールと言えば聞こえがいいが、要するに自分の一族のせいでナルトが苦しんだと知り、身を引いたのだ。

「もう、ボク達と会わないつもり?」

チョウジが顔を顰める。

「・・・表でこうやって会う事はなくなるだろう。」

シカマルが渋々といった感じで認めると、同期達は、なぜ、どうして、とシカマルに詰め寄る。イノに至っては、シカマルの服の襟を掴み上げて、がくがくと揺すっていた。

「~っ・・・し、死んだ事にするんだッ・・・この姿では無理だろーがっ!」

「でも、綺羅と鋭裏としてなら会えるし、シカは、表で、と言ったでしょ?」

淡白なシカマルの物言いにさりげなくフォローを入れて、ナルトがクツクツと笑う。

「・・・あ、そういう事か、もー、驚かせないでよー。」

パッとシカマルを放し、イノはおほほ、と笑う。

「・・・けほっ・・・あのな;・・・ったく、今生の分かれってわけじゃねーんだし、そんなに騒ぐな。・・・今、里が忍不足だってのは知ってるだろ?これ以上、貴重な戦力を遊ばせておく事はできねーんだよ。」

シカマルが言えば、皆も納得したのか、こくりと頷いた。

「じゃあ、ちゃんと会えるのね?」

サクラの確認に、ナルトははっきりと頷く。

「うん。もちろんだよ、サクラちゃん。」

「・・・いつかぜってー追いつくからな。」

ギロ、とシカマルを睨み、キバが低く呟く。それに同意するのは、サスケとネジだ。

「おー。頑張れよ。」

対するシカマルは余裕の笑みを浮かべる。いくら才能に恵まれた同期達でも、1年やそこらで、年もかけて今の地位を築いた自分に追いつけるはずもない。

「おいおい、余裕かましてる場合じゃねーと思うぜぇ、シカマル。」

「あ?」

「・・・お前だって、今の力を手に入れるのに、さほど時間を要したわけじゃねぇだろ?・・・ナルちゃんの為だってな。」

シカクに言われ、シカマルはむっつりと黙りこむ。

「・・・シカ?」

キョトンとするナルトを抱きしめ、キッと同期達を見つめる。

「ナルはやらねー。・・・追いついたら、蹴落としてやっから、覚悟しとけ、てめーら。」

「「「「望むところだ!!!」」」」

バチバチと火花を散らしにらみ合う少年たちを見やり、シカマルに抱かれたままのナルトはふんわりと幸せそうに笑った。



― シカ、私、幸せだよ。



「・・・みんな。」

ナルトの声に、皆が視線を向けた。それを確認したナルトは大切そうにその言葉を紡いだ。



“またね”



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