Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・R2の5話後捏造
・ゼロ(ルル)は新妻属性
・ルルは総受け
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
やまないゼロコールを受けながら、ゼロことルルーシュは、ふと考え込んだ。
“・・・きっと、留置されていた間、こいつらはろくな物を食べていないに違いない。だから、あんなに怒りっぽくなっているんだ。(特に四聖剣の朝比奈と千葉)”
思い込んだら止まらないのが、ルルーシュである。そして、元来の世話好きの血が騒ぎ出したのを感じ、そのまま学園に戻るつもりだったが、それを延期することにした。
「・・・星刻・・・頼まれついでに、食材を分けて貰えないだろうか・・・。」
己の元にやって来たゼロが発した言葉に、星刻は何の疑問も感じずに頷いた。
「ああ。・・・あれだけの団員が戻ってきたのだから、食糧にも困るだろう。食糧庫から必要な分だけ持っていくと良い。」
「すまない。・・・お礼と言ってはなんだが、後で、こちらにも差し入れをしよう。」
殊勝なゼロの言葉に一瞬目を見開くが、星刻はフッと笑い頷いた。
「・・・期待しないで待っていよう。」
その言葉を後に撤回することになることを、未だ星刻は知らない。
中華連邦の軍の者達を使って食材を運び込んだゼロは、良し、と呟く。
「・・・おい、ゼロ、お前何をしている?」
ゼロの行動を察知したC.C.がやって来て、口元を引き攣らせながら問う。
「見ればわかるだろう、食材を確認しているんだ。・・・私は今、とても忙しい。用なら後にしてくれ。」
食材を見ながら、調味料の名前と、調理の手順を呟いているゼロは、C.C.の方を見ることも無く作業を続ける。
「・・・ル・・・じゃなくて、ゼロ、まさか・・・お、お料理、するつもりですか?」
ゼロの行動を傍観していた幹部達だったが、カレンが声をあげると、えっ、とかまさか、とかそんなことを呟きながら、ゼロの傍に寄ってくる。
「・・・そのまさかだが・・・何か問題でもあるのか、カレン。」
「いえ、そりゃ楽しみだなって・・・って、違くてっ!!さっき、あんた、表の方に帰るって言ってたでしょ!?」
思わず素で応対してしまうカレンに、幹部達が目を見開く。1年前はあんなに崇拝していたのに、なぜこんな言葉遣いになっているんだ?と。
そんな扇達を見て、自分の失態を悟ったカレンだが、ゼロことルルーシュが何も言わないので、まあいっか、と開き直った。
「大丈夫なの?・・・今だって、監視されてるんでしょ?」
またも、幹部達は驚く。ゼロが監視されているとはどういうことなのか、しかし、言葉にならずに、黙っていると、カレンやゼロは幹部達そっちのけで会話を続ける。
「そんなものはどうとでもなるさ。・・・1人味方に引き入れたからな。」
「・・・ああ、あのヴィンセントとかいうナイトメアのパイロット?」
「ああ。少し手間取ったせいで、処刑ギリギリまで準備の時間を取らざるを得なかった・・・すまなかったな、遅れてしまって。」
「それは良いんだけど・・・っていうか、たった一人でどうするのかと思ったら、ブラックリベリオンでの手を使うとはね。・・・危険な賭けだったわ、あれは。もし、ギルフォードの奴が一斉に軍を動かしてたらどうするつもりだったの?」
「奴はそうしないさ。・・・ブリタニア軍人とはいえ、騎士道に準じているからな。」
「騎士、か・・・。」
呟いたカレンに、ゼロはポン、と何かを放り投げた。
「・・・りんご?」
カレンが首を傾げる。
「りんごの皮くらいならむけるだろう?」
「・・・う。」
「ナイフを常備するくらいだ。扱いは慣れてるんじゃないのか?・・・カレンお嬢様?」
揶揄するような声に、カレンはカチンときて、りんごを握りしめた。
「やってやろうじゃないの!!!」
「・・・あいつら、こいつらのこと、忘れてないか・・・。」
呟いたC.C.の言葉に、幹部達は何とも言えない表情をうかべた。
そして、2時間後。テーブルに並べられた料理の数々に、幹部達が呆然としている中、平然と給仕をするゼロと、どんよりとしているカレンがいた。
「・・・りんごの皮むきすらできないとはな。・・・まったく、こんなに皮と一緒に実をむいてしまって勿体ない。・・・手伝わせようとしても、料理の基本すらなってないんじゃな・・・。」
ゼロがカレンがむいたりんごの皮を持ち上げて、溜め息をつく。
「うぅ・・・リンゴの皮むきはともかくとして、料理はあんたが上手すぎんのよ!プロ級の人間と比べられたくないわ!!」
カレンが言うと、ゼロはひょい、と肩を竦めた。
「これくらい簡単だ。ちょっと練習すれば作れるようになる。」
「何が簡単なのよ!!ベシャメルソースから作ったグラタンとか、ローストビーフとか、ミネストローネとか!!しかも、待ってる間にデザートまで作って!!どこの奥さんよ!!」
「奥さんではない!!俺は男だ!!」
「女よりも綺麗で料理もうまけりゃ、男だってなんだって、嫁に貰ってくれるわよ!!」
「はっ!誰が!?」
「スザクが!!」
カレンの言葉に、ゼロは黙り込んだ。カレンがしまったと思った時にはもう手遅れだ。不機嫌Maxになったゼロから、負のオーラが漂い始める。
「ほぅ・・・奴の嫁になるだと?この俺がか??・・・俺を売って出世したあの体力バカに・・・嫁に行けと?」
ブンブンと横に首を振るが、ゼロの負のオーラは漂い続ける。
「待て待て。・・・奴にやるくらいなら、私が嫁に貰ってやるから安心しろ、ゼロ。・・・それよりも、だ。」
クツクツと笑いながら、C.C.が仲裁に入る。
「ゼロもカレンも、もう少し、周りに気を使ってやれ、固まってるぞ。」
C.C.の視線を追い、幹部達を見たゼロとカレンはギョッとする。
「・・・うわ・・・どうしよう。」
「すっかり念頭から抜けていたな。・・・料理が冷える前に我に返ってくれると良いんだが・・・。」
「・・・心配はそっちなワケ?」
呆れた様子のカレンに、ゼロは当然とばかりに頷いた。
「当たり前だろう!・・・せっかくろくな物を食べてなかっただろうと思って、俺が腕を振るったんだぞ。」
「・・・まあ、確かに・・・。」
「仕方ない。叩き起こすか。」
そう言って、ゼロは近くに置いてあった雑誌を手に取り、1人1人、頭を叩いて回る。
「・・・いてぇ!何すんだよぉ!」
最後に叩かれた玉城が口を尖らせるが、ゼロは雑誌を元の場所に戻し、しれっと答えた。
「固まってるお前達が悪い。・・・料理が冷める前に食べろ。」
立食形式に設置された料理の数々を指差され、もう一度現実逃避をしたくなった幹部達だが、また叩かれることは必至なので、現実を受け止めることにする。
「・・・これ、本当にゼロが作ったんだよな?」
「当たり前だろう。お前達だって作ってるところを見ていたじゃないか。」
扇の確認に、ゼロは頷きながら溜息をついた。・・・そう、調理場に入ったゼロが、仮面をしたままエプロンをして、料理を作り始めた辺りから現実逃避をしたくなっていたのを思い出す。
「・・・随分と手際が良かったな・・・いつも作っているのか?」
ほんの少し目を泳がせながら藤堂が訊くと、ゼロはこくりと頷く。
「ああ。妹・・・いや、弟と2人で暮らしているんでな。」
言い直された言葉に引っかかるものがあったが、藤堂はそうか、と料理に手を伸ばした。
「と、藤堂さんっ・・・まずは俺が。」
毒見をしようと朝比奈が手をあげるが、藤堂は無言で制し料理を口に運んだ。
「・・・む。」
藤堂の目がこれでもかと見開かれる。不味いのか、美味いのか、と幹部達が固唾を呑んで見守る中、藤堂はもう一口料理を口に運ぶ。
「・・・むぅ。」
どんどんと口に運び、その度に唸る藤堂の様子を見て、幹部達もおずおずと手を伸ばす。
「・・・っ!うめぇ!マジうめぇ!」
素直に口に出したのは玉城。遠慮もなく料理をガバガバと口の中に放り込んでいく。
「こら!玉城!!1人で食うな1人で!!」
「ずるいよ、玉城!」
「玉城、独り占めするな。」
どんどんと減っていく料理を満足げに眺め、ゼロは呟いた。
「やはり、腹が減っていたんだな。だからあんなにイライラしていたんだ。」
その呟きで、どうやら平和な勘違いをしていると気付いたカレンとC.C.だが、ゼロの好意を無碍にするのも躊躇われて、勘違いをさせたままにしていた。
それが、あんな事態を引き起こすことになろうとは、2人は知る由もなかったのだった。
― 数ヶ月後
中華連邦と手を組んだ黒の騎士団だったが、エースパイロットの不在は、戦力に若干の不安を抱かせていた。
が、その緊張感も長くは続かなかった。それは、手を組んだ記念に、とゼロが料理を振る舞ったからだった。
「・・・おいしぃ!!」
目をまんまるくして、天子が頬を押さえる。
「・・・ゼロの手料理は本当にプロも顔負けだな・・・。」
エリア11にいた頃も、差し入れられた料理を食べていた星刻は、あのまま敵にならずに済んで良かった!!と、今更ながらに自身の短慮を猛反省した。
「ほ、本当に、ゼロが作ったのですか?」
「ううむ・・・こんなうまい料理を食べたのは初めてだ・・・。」
香凛と洪も、感動した様子で、料理を口に運んでいる。
「だろだろ!?・・・マジでゼロの手料理は最高だぜ!!・・・親友っていうより、嫁にしてぇよなぁ・・・。」
玉城はちらりとゼロを確認する。
「・・・気になるのは、ゼロの中身だよなぁ・・・カレンは女よりも綺麗って言ってたんだよなぁ。」
しっかりとゼロとカレンの言い合いを聞いていたらしい玉城は、いつかゼロの中身、というか、顔を見てやろうと思っていたのだが、なかなかそのチャンスは訪れなかった。というのも、カレン(とC.C.)ががっちりとガードしていたからで・・・。
「あー・・・そうか、カレンはブリタニアに捕まったんだよなぁ・・・。」
ぽつり、と玉城が呟くと、中華連邦組は気まずそうな表情をうかべるが、騎士団の面子は違った。ギギギィ、という音の鳴りそうなほどぎこちない動きで全員がゼロの方を向いたのだ。
「・・・な、なんだ?」
一種、異様な雰囲気の中、思わずゼロは後退った。
「・・・なぁ、ゼロ、俺らのこと、信頼してくれてるか?・・・カレンと同じくらいに。」
「・・・それは・・・。」
言葉を詰まらせたゼロに、玉城は情けないほど表情を歪めた。
「やっぱ、俺らじゃダメか?・・・カレンのいなくなった穴は埋められないか?」
ゼロが復活し、自分達が騎士団に復帰して以来、ずっとカレンとゼロの絆を見せつけられてきた。カレンが星刻に囚われた時も、必ず助けると必死に叫んだ声からも、ゼロのカレンへの信頼や好意がひしひしと感じられた。
すっかり餌付け、もとい、ゼロの料理に絆された騎士団の幹部達は、ゼロの心の状況を心配していたのだ。
「・・・お前達・・・。」
そんな幹部達の心に気づいたゼロことルルーシュは、思わず感動してしまって、声を震わせた。
「・・・なるほど・・・ゼロ、お前、料理だけでこれだけの人間を誑しこんだのか。」
ニヤニヤと笑いながら言ったC.C.に、ゼロは、ことりと首を傾げた。
「・・・は?」
「と、いうことはだ。・・・顔を見せれば、もっと誑しこめるということだな。」
「ちょ、ちょっと待て、C.C.!!誑しこむってなんだ!俺はそんなことはしてないぞ!!」
「いや。お前は、料理だけで世界を支配できるぞ。きっと。」
そう言って、C.C.は混乱中のゼロの仮面に手をかけ、抵抗させる間もなくあっさりと仮面を外してしまった。
「「「「「「・・・あ。」」」」」」
全員が固まる中、C.C.だけが面白そうにその様子を眺めている。
「・・・すごい、美人・・・。」
最初に言葉を発したのは天子だった。頬を紅潮させ、目をキラキラと輝かせている。
「まぁ・・・ゼロ様の中身が、このようにお綺麗な方だったなんて・・・。私、妻として鼻が高いですわ。」
天子の声で我に返った神楽耶がにっこりと笑う。
「女より綺麗で、料理がうまい・・・マジで、嫁にしてぇ。」
「バカ!玉城じゃ、不釣り合いだろうが!!」
玉城の呟きに、杉山がつっこむ。南はポーッとルルーシュを見つめ、扇もいくらか頬を赤く染めている。四聖剣の千葉や朝比奈もほぅ、と溜め息をついた。
「・・・な、な・・・。」
素顔を晒してしまったことで更に混乱してしまったルルーシュは、口をパクパクとさせて、C.C.に視線で必死に助けを求めるが、C.C.は素知らぬふりをし、そそくさと部屋を出ていく。
「ゼロ。」
「・・・は、はい!」
C.C.を追おうとしたルルーシュは、低音で呼ばれ、思わず素で返事をしてしまい、その相手が藤堂だと気付いて、しまったと表情を歪め、身構えた。
藤堂は、ルルーシュ達兄妹が日本に来たばかりの頃、ほぼ同時期に枢木の家に出入りしていた相手なのだ。資料くらいは渡されていたか、スザクから聞いて、知っているかもしれない。
「・・・ゼロ・・・俺の嫁になってくれ。」
ガシッと手を握られ、そう言われた瞬間、ルルーシュは気が遠くなった。いきなり何を言い出すのだこの人は、と思う。が、そういえば、この人はスザクの師匠だったな、と遠い目をした。
「ああ!!藤堂さん、ずるい!俺も~!俺もゼロを嫁にしたい!!」
「何言ってんだ、朝比奈!!ゼロは俺様の嫁になるんだよ!」
「あの、あの・・・ゼロ、お姉様と呼んでも良い・・・?」
朝比奈が駄々をこね始め、それに対してムキになって反論する玉城。果てには、藤堂に掴まれていない手を握って、目をキラキラとさせて見上げてくる天子・・・。
「娘っていうのも有りよねぇ・・・。」
キセルをくるくると回して、ラクシャータまでそんなことを言い出した。
「(なんなんだ、これは・・・。)」
混沌としてきたこの場をどうにかしなくてはと思うのだが、諸悪の根源(C.C.)はすでにこの場にはいない。
「ゼロ、私のことは姉と思ってくれて構わないぞ。」
四聖剣の紅一点、良心だと思っていた千葉までもがそんな調子なので、とうとうルルーシュは中華連邦組の方に視線を送った。だが、そんなルルーシュの視線を受けて、洪は、顔を真っ赤にして俯き、香凛は美しいッ!と叫ぶ。
「(・・・み、見なかったことにしよう。)」
ルルーシュはそう思って、最後の砦、星刻に(流し目で)視線を送った。
「・・・ゼロ・・・ぜひ、天子様の姉に。そして、私の嫁に!」
「(ああ、星刻までわけのわからないことを言い出してくれた・・・。)」
がっくりとした後、ルルーシュはとうとうキレた。
「間違っているぞ!!・・・さっきから、姉だの嫁だのと!俺は・・・俺はッ男だぁぁぁぁ!!!」
「知っておりますよ、ゼロ様・・・ゼロ様は、私の旦那様ですからv」
全員がびっくりして動きを止める中、そんな叫びにも臆さず、ニコニコと笑う神楽耶に癒しを得たルルーシュは思わずホッと息をついた。
「・・・神楽耶様、今、貴女が優秀で、本当に良かったと思っています・・・。」
そう言って、ついナナリーへの癖が発動してしまい、なでなでと神楽耶の頭を撫でてしまう。そのルルーシュの無意識の行動に、神楽耶は顔を真っ赤にして、その柔らかな表情を眺めた。
「・・・ぜ、ゼロ様///」
― 神楽耶様、良いなぁ・・・。
とは、全員の思いで。
「・・・ゼロ、私も撫でて欲しい・・・。」
そんなおねだりをした天子の可愛らしさに絆され、ルルーシュは優しくその頭を撫でる。その様子は微笑ましい、ハズなのだが・・・。
「ゼロ!!俺も撫でてくれ!!」
「俺も!」
「私も!!!」
「ほわぁぁ!!?」
次々と挙手して言い出した幹部達に、ルルーシュは素っ頓狂な叫び声をあげて、後退った。
「ゼロ!」
「ゼロ!!」
「ゼロ!!!」
幹部達が復帰した時のゼロコールとは違うゼロコールに、ルルーシュは気絶寸前。
「・・・・・・・・・もう・・・もう、駄目だ・・・か、カレン!帰ってきてくれぇぇぇッ!!!」
思わず、捕まってしまったカレンに助けを求めてしまった。
その頃、ブリタニアに捕まったカレンは・・・
「はぅ!!」
ルルーシュの叫びが聞こえたような気がして、カレンは思わず叫んだ。奇しくも、スザクの尋問を受けている最中で。
「・・・カレン?」
訝しげなスザクに、カレンは必死に訴えた。
「ちょ、マジで騎士団に帰して!!」
「駄目だ。・・・君は自分の立場をわかっているのかい?」
「ほ、本気で、帰らせて!!ホント!!後生だから!!・・・る、じゃなくて、ゼロの身が危ないの!!」
「今、ルルーシュって言おうとした?」
「・・・い、言ってないから!!・・・ゼロだから!!」
「・・・ゼロの身がどうなろうと、僕の知ったことじゃない。だから、僕にそんなことを訴えても仕方がないよ?」
スザクは厳しい表情を崩すことなく、カレンに応じる。その手に握られているのは、リフレイン。今まさに自白を強要しようとしているスザクに、カレンは懇願する。
「・・・そうじゃなくって・・・絶対、ヤバい!!本当にヤバいの!!お~ね~が~いぃぃぃ!」
もどかしそうにカレンは訴える。スザクにゼロがルルーシュだと口が裂けても言えないのだが、いっそのこと言ってしまえば、解放してくれるだろうかと思ってしまう。それ程に、騎士団に残してきたルルーシュが心配だった。
「(C.C.は絶対アテにならないし!)・・・す、スザク、お願い・・・!」
絶対に頭を下げてやるものかと思っていたのだが、死活問題だ。この際、どんなことをしてでもルルーシュの元に馳せ参じなければ!!
妙な使命感を抱いて、カレンは意を決した。
「マジで、マズイのよ!・・・ゼロ、ううん、この際良いわ!!ルルーシュの貞操の危機なのよ!!」
「・・・やっぱりゼロはルルー・・・シュ・・・って・・・ルルーシュの貞操の危機?・・・どういうコト?」
引っかかるべき所に引っかかってくれたスザクに、カレンはしめたとばかりにたたみかけた。
「ルルーシュの美人度がUPしたのは、あんただって知ってるでしょ!?しかも、あいつ、料理だけで黒の騎士団の皆を誑しこんだのよ!?・・・私がいた間はなんとか、素顔だけは死守してきたけど、こうやって捕まってしまった以上、ルルーシュの素顔が騎士団の皆にバレてる可能性の方が高いの!!・・・すでに皆、ルルーシュに誑かされてるんだから、素顔なんて見たら!!!」
「・・・貞操・・・ルルーシュの貞操・・・許さないよ、ルルーシュは僕のお嫁さんになるんだ。」
「は?」
カレンは思わず呆気にとられた。
「ルルーシュは、僕のお嫁さんになるまで、綺麗なままでいてもらわないと!!」
スザクはそう叫んで、手に持っていたリフレインを床に叩きつけた。
「君の相手をしている暇はなくなった。・・・じゃあ、またね、カレン。ルルーシュとの結婚式には呼ぶから。」
「はぁ!?何言ってんの!この勘違い男!!・・・って、ちょっと待ちなさいよ!!私を解放してよ!!」
「ルルーシュぅぅぅ!今行くよぉぉぉ!」
スザクが叫びながら走り出した。
こうして、ブリタニア対黒の騎士団の戦いは妙な方向へと発展していくことになった。
「・・・え、もしかしなくても・・・私のせい?」
独房に残されたカレンは、ぽつりと呟いたのだった。
おしまい
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・R2の5話後捏造
・ゼロ(ルル)は新妻属性
・ルルは総受け
・捏造満載
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
やまないゼロコールを受けながら、ゼロことルルーシュは、ふと考え込んだ。
“・・・きっと、留置されていた間、こいつらはろくな物を食べていないに違いない。だから、あんなに怒りっぽくなっているんだ。(特に四聖剣の朝比奈と千葉)”
思い込んだら止まらないのが、ルルーシュである。そして、元来の世話好きの血が騒ぎ出したのを感じ、そのまま学園に戻るつもりだったが、それを延期することにした。
「・・・星刻・・・頼まれついでに、食材を分けて貰えないだろうか・・・。」
己の元にやって来たゼロが発した言葉に、星刻は何の疑問も感じずに頷いた。
「ああ。・・・あれだけの団員が戻ってきたのだから、食糧にも困るだろう。食糧庫から必要な分だけ持っていくと良い。」
「すまない。・・・お礼と言ってはなんだが、後で、こちらにも差し入れをしよう。」
殊勝なゼロの言葉に一瞬目を見開くが、星刻はフッと笑い頷いた。
「・・・期待しないで待っていよう。」
その言葉を後に撤回することになることを、未だ星刻は知らない。
中華連邦の軍の者達を使って食材を運び込んだゼロは、良し、と呟く。
「・・・おい、ゼロ、お前何をしている?」
ゼロの行動を察知したC.C.がやって来て、口元を引き攣らせながら問う。
「見ればわかるだろう、食材を確認しているんだ。・・・私は今、とても忙しい。用なら後にしてくれ。」
食材を見ながら、調味料の名前と、調理の手順を呟いているゼロは、C.C.の方を見ることも無く作業を続ける。
「・・・ル・・・じゃなくて、ゼロ、まさか・・・お、お料理、するつもりですか?」
ゼロの行動を傍観していた幹部達だったが、カレンが声をあげると、えっ、とかまさか、とかそんなことを呟きながら、ゼロの傍に寄ってくる。
「・・・そのまさかだが・・・何か問題でもあるのか、カレン。」
「いえ、そりゃ楽しみだなって・・・って、違くてっ!!さっき、あんた、表の方に帰るって言ってたでしょ!?」
思わず素で応対してしまうカレンに、幹部達が目を見開く。1年前はあんなに崇拝していたのに、なぜこんな言葉遣いになっているんだ?と。
そんな扇達を見て、自分の失態を悟ったカレンだが、ゼロことルルーシュが何も言わないので、まあいっか、と開き直った。
「大丈夫なの?・・・今だって、監視されてるんでしょ?」
またも、幹部達は驚く。ゼロが監視されているとはどういうことなのか、しかし、言葉にならずに、黙っていると、カレンやゼロは幹部達そっちのけで会話を続ける。
「そんなものはどうとでもなるさ。・・・1人味方に引き入れたからな。」
「・・・ああ、あのヴィンセントとかいうナイトメアのパイロット?」
「ああ。少し手間取ったせいで、処刑ギリギリまで準備の時間を取らざるを得なかった・・・すまなかったな、遅れてしまって。」
「それは良いんだけど・・・っていうか、たった一人でどうするのかと思ったら、ブラックリベリオンでの手を使うとはね。・・・危険な賭けだったわ、あれは。もし、ギルフォードの奴が一斉に軍を動かしてたらどうするつもりだったの?」
「奴はそうしないさ。・・・ブリタニア軍人とはいえ、騎士道に準じているからな。」
「騎士、か・・・。」
呟いたカレンに、ゼロはポン、と何かを放り投げた。
「・・・りんご?」
カレンが首を傾げる。
「りんごの皮くらいならむけるだろう?」
「・・・う。」
「ナイフを常備するくらいだ。扱いは慣れてるんじゃないのか?・・・カレンお嬢様?」
揶揄するような声に、カレンはカチンときて、りんごを握りしめた。
「やってやろうじゃないの!!!」
「・・・あいつら、こいつらのこと、忘れてないか・・・。」
呟いたC.C.の言葉に、幹部達は何とも言えない表情をうかべた。
そして、2時間後。テーブルに並べられた料理の数々に、幹部達が呆然としている中、平然と給仕をするゼロと、どんよりとしているカレンがいた。
「・・・りんごの皮むきすらできないとはな。・・・まったく、こんなに皮と一緒に実をむいてしまって勿体ない。・・・手伝わせようとしても、料理の基本すらなってないんじゃな・・・。」
ゼロがカレンがむいたりんごの皮を持ち上げて、溜め息をつく。
「うぅ・・・リンゴの皮むきはともかくとして、料理はあんたが上手すぎんのよ!プロ級の人間と比べられたくないわ!!」
カレンが言うと、ゼロはひょい、と肩を竦めた。
「これくらい簡単だ。ちょっと練習すれば作れるようになる。」
「何が簡単なのよ!!ベシャメルソースから作ったグラタンとか、ローストビーフとか、ミネストローネとか!!しかも、待ってる間にデザートまで作って!!どこの奥さんよ!!」
「奥さんではない!!俺は男だ!!」
「女よりも綺麗で料理もうまけりゃ、男だってなんだって、嫁に貰ってくれるわよ!!」
「はっ!誰が!?」
「スザクが!!」
カレンの言葉に、ゼロは黙り込んだ。カレンがしまったと思った時にはもう手遅れだ。不機嫌Maxになったゼロから、負のオーラが漂い始める。
「ほぅ・・・奴の嫁になるだと?この俺がか??・・・俺を売って出世したあの体力バカに・・・嫁に行けと?」
ブンブンと横に首を振るが、ゼロの負のオーラは漂い続ける。
「待て待て。・・・奴にやるくらいなら、私が嫁に貰ってやるから安心しろ、ゼロ。・・・それよりも、だ。」
クツクツと笑いながら、C.C.が仲裁に入る。
「ゼロもカレンも、もう少し、周りに気を使ってやれ、固まってるぞ。」
C.C.の視線を追い、幹部達を見たゼロとカレンはギョッとする。
「・・・うわ・・・どうしよう。」
「すっかり念頭から抜けていたな。・・・料理が冷える前に我に返ってくれると良いんだが・・・。」
「・・・心配はそっちなワケ?」
呆れた様子のカレンに、ゼロは当然とばかりに頷いた。
「当たり前だろう!・・・せっかくろくな物を食べてなかっただろうと思って、俺が腕を振るったんだぞ。」
「・・・まあ、確かに・・・。」
「仕方ない。叩き起こすか。」
そう言って、ゼロは近くに置いてあった雑誌を手に取り、1人1人、頭を叩いて回る。
「・・・いてぇ!何すんだよぉ!」
最後に叩かれた玉城が口を尖らせるが、ゼロは雑誌を元の場所に戻し、しれっと答えた。
「固まってるお前達が悪い。・・・料理が冷める前に食べろ。」
立食形式に設置された料理の数々を指差され、もう一度現実逃避をしたくなった幹部達だが、また叩かれることは必至なので、現実を受け止めることにする。
「・・・これ、本当にゼロが作ったんだよな?」
「当たり前だろう。お前達だって作ってるところを見ていたじゃないか。」
扇の確認に、ゼロは頷きながら溜息をついた。・・・そう、調理場に入ったゼロが、仮面をしたままエプロンをして、料理を作り始めた辺りから現実逃避をしたくなっていたのを思い出す。
「・・・随分と手際が良かったな・・・いつも作っているのか?」
ほんの少し目を泳がせながら藤堂が訊くと、ゼロはこくりと頷く。
「ああ。妹・・・いや、弟と2人で暮らしているんでな。」
言い直された言葉に引っかかるものがあったが、藤堂はそうか、と料理に手を伸ばした。
「と、藤堂さんっ・・・まずは俺が。」
毒見をしようと朝比奈が手をあげるが、藤堂は無言で制し料理を口に運んだ。
「・・・む。」
藤堂の目がこれでもかと見開かれる。不味いのか、美味いのか、と幹部達が固唾を呑んで見守る中、藤堂はもう一口料理を口に運ぶ。
「・・・むぅ。」
どんどんと口に運び、その度に唸る藤堂の様子を見て、幹部達もおずおずと手を伸ばす。
「・・・っ!うめぇ!マジうめぇ!」
素直に口に出したのは玉城。遠慮もなく料理をガバガバと口の中に放り込んでいく。
「こら!玉城!!1人で食うな1人で!!」
「ずるいよ、玉城!」
「玉城、独り占めするな。」
どんどんと減っていく料理を満足げに眺め、ゼロは呟いた。
「やはり、腹が減っていたんだな。だからあんなにイライラしていたんだ。」
その呟きで、どうやら平和な勘違いをしていると気付いたカレンとC.C.だが、ゼロの好意を無碍にするのも躊躇われて、勘違いをさせたままにしていた。
それが、あんな事態を引き起こすことになろうとは、2人は知る由もなかったのだった。
― 数ヶ月後
中華連邦と手を組んだ黒の騎士団だったが、エースパイロットの不在は、戦力に若干の不安を抱かせていた。
が、その緊張感も長くは続かなかった。それは、手を組んだ記念に、とゼロが料理を振る舞ったからだった。
「・・・おいしぃ!!」
目をまんまるくして、天子が頬を押さえる。
「・・・ゼロの手料理は本当にプロも顔負けだな・・・。」
エリア11にいた頃も、差し入れられた料理を食べていた星刻は、あのまま敵にならずに済んで良かった!!と、今更ながらに自身の短慮を猛反省した。
「ほ、本当に、ゼロが作ったのですか?」
「ううむ・・・こんなうまい料理を食べたのは初めてだ・・・。」
香凛と洪も、感動した様子で、料理を口に運んでいる。
「だろだろ!?・・・マジでゼロの手料理は最高だぜ!!・・・親友っていうより、嫁にしてぇよなぁ・・・。」
玉城はちらりとゼロを確認する。
「・・・気になるのは、ゼロの中身だよなぁ・・・カレンは女よりも綺麗って言ってたんだよなぁ。」
しっかりとゼロとカレンの言い合いを聞いていたらしい玉城は、いつかゼロの中身、というか、顔を見てやろうと思っていたのだが、なかなかそのチャンスは訪れなかった。というのも、カレン(とC.C.)ががっちりとガードしていたからで・・・。
「あー・・・そうか、カレンはブリタニアに捕まったんだよなぁ・・・。」
ぽつり、と玉城が呟くと、中華連邦組は気まずそうな表情をうかべるが、騎士団の面子は違った。ギギギィ、という音の鳴りそうなほどぎこちない動きで全員がゼロの方を向いたのだ。
「・・・な、なんだ?」
一種、異様な雰囲気の中、思わずゼロは後退った。
「・・・なぁ、ゼロ、俺らのこと、信頼してくれてるか?・・・カレンと同じくらいに。」
「・・・それは・・・。」
言葉を詰まらせたゼロに、玉城は情けないほど表情を歪めた。
「やっぱ、俺らじゃダメか?・・・カレンのいなくなった穴は埋められないか?」
ゼロが復活し、自分達が騎士団に復帰して以来、ずっとカレンとゼロの絆を見せつけられてきた。カレンが星刻に囚われた時も、必ず助けると必死に叫んだ声からも、ゼロのカレンへの信頼や好意がひしひしと感じられた。
すっかり餌付け、もとい、ゼロの料理に絆された騎士団の幹部達は、ゼロの心の状況を心配していたのだ。
「・・・お前達・・・。」
そんな幹部達の心に気づいたゼロことルルーシュは、思わず感動してしまって、声を震わせた。
「・・・なるほど・・・ゼロ、お前、料理だけでこれだけの人間を誑しこんだのか。」
ニヤニヤと笑いながら言ったC.C.に、ゼロは、ことりと首を傾げた。
「・・・は?」
「と、いうことはだ。・・・顔を見せれば、もっと誑しこめるということだな。」
「ちょ、ちょっと待て、C.C.!!誑しこむってなんだ!俺はそんなことはしてないぞ!!」
「いや。お前は、料理だけで世界を支配できるぞ。きっと。」
そう言って、C.C.は混乱中のゼロの仮面に手をかけ、抵抗させる間もなくあっさりと仮面を外してしまった。
「「「「「「・・・あ。」」」」」」
全員が固まる中、C.C.だけが面白そうにその様子を眺めている。
「・・・すごい、美人・・・。」
最初に言葉を発したのは天子だった。頬を紅潮させ、目をキラキラと輝かせている。
「まぁ・・・ゼロ様の中身が、このようにお綺麗な方だったなんて・・・。私、妻として鼻が高いですわ。」
天子の声で我に返った神楽耶がにっこりと笑う。
「女より綺麗で、料理がうまい・・・マジで、嫁にしてぇ。」
「バカ!玉城じゃ、不釣り合いだろうが!!」
玉城の呟きに、杉山がつっこむ。南はポーッとルルーシュを見つめ、扇もいくらか頬を赤く染めている。四聖剣の千葉や朝比奈もほぅ、と溜め息をついた。
「・・・な、な・・・。」
素顔を晒してしまったことで更に混乱してしまったルルーシュは、口をパクパクとさせて、C.C.に視線で必死に助けを求めるが、C.C.は素知らぬふりをし、そそくさと部屋を出ていく。
「ゼロ。」
「・・・は、はい!」
C.C.を追おうとしたルルーシュは、低音で呼ばれ、思わず素で返事をしてしまい、その相手が藤堂だと気付いて、しまったと表情を歪め、身構えた。
藤堂は、ルルーシュ達兄妹が日本に来たばかりの頃、ほぼ同時期に枢木の家に出入りしていた相手なのだ。資料くらいは渡されていたか、スザクから聞いて、知っているかもしれない。
「・・・ゼロ・・・俺の嫁になってくれ。」
ガシッと手を握られ、そう言われた瞬間、ルルーシュは気が遠くなった。いきなり何を言い出すのだこの人は、と思う。が、そういえば、この人はスザクの師匠だったな、と遠い目をした。
「ああ!!藤堂さん、ずるい!俺も~!俺もゼロを嫁にしたい!!」
「何言ってんだ、朝比奈!!ゼロは俺様の嫁になるんだよ!」
「あの、あの・・・ゼロ、お姉様と呼んでも良い・・・?」
朝比奈が駄々をこね始め、それに対してムキになって反論する玉城。果てには、藤堂に掴まれていない手を握って、目をキラキラとさせて見上げてくる天子・・・。
「娘っていうのも有りよねぇ・・・。」
キセルをくるくると回して、ラクシャータまでそんなことを言い出した。
「(なんなんだ、これは・・・。)」
混沌としてきたこの場をどうにかしなくてはと思うのだが、諸悪の根源(C.C.)はすでにこの場にはいない。
「ゼロ、私のことは姉と思ってくれて構わないぞ。」
四聖剣の紅一点、良心だと思っていた千葉までもがそんな調子なので、とうとうルルーシュは中華連邦組の方に視線を送った。だが、そんなルルーシュの視線を受けて、洪は、顔を真っ赤にして俯き、香凛は美しいッ!と叫ぶ。
「(・・・み、見なかったことにしよう。)」
ルルーシュはそう思って、最後の砦、星刻に(流し目で)視線を送った。
「・・・ゼロ・・・ぜひ、天子様の姉に。そして、私の嫁に!」
「(ああ、星刻までわけのわからないことを言い出してくれた・・・。)」
がっくりとした後、ルルーシュはとうとうキレた。
「間違っているぞ!!・・・さっきから、姉だの嫁だのと!俺は・・・俺はッ男だぁぁぁぁ!!!」
「知っておりますよ、ゼロ様・・・ゼロ様は、私の旦那様ですからv」
全員がびっくりして動きを止める中、そんな叫びにも臆さず、ニコニコと笑う神楽耶に癒しを得たルルーシュは思わずホッと息をついた。
「・・・神楽耶様、今、貴女が優秀で、本当に良かったと思っています・・・。」
そう言って、ついナナリーへの癖が発動してしまい、なでなでと神楽耶の頭を撫でてしまう。そのルルーシュの無意識の行動に、神楽耶は顔を真っ赤にして、その柔らかな表情を眺めた。
「・・・ぜ、ゼロ様///」
― 神楽耶様、良いなぁ・・・。
とは、全員の思いで。
「・・・ゼロ、私も撫でて欲しい・・・。」
そんなおねだりをした天子の可愛らしさに絆され、ルルーシュは優しくその頭を撫でる。その様子は微笑ましい、ハズなのだが・・・。
「ゼロ!!俺も撫でてくれ!!」
「俺も!」
「私も!!!」
「ほわぁぁ!!?」
次々と挙手して言い出した幹部達に、ルルーシュは素っ頓狂な叫び声をあげて、後退った。
「ゼロ!」
「ゼロ!!」
「ゼロ!!!」
幹部達が復帰した時のゼロコールとは違うゼロコールに、ルルーシュは気絶寸前。
「・・・・・・・・・もう・・・もう、駄目だ・・・か、カレン!帰ってきてくれぇぇぇッ!!!」
思わず、捕まってしまったカレンに助けを求めてしまった。
その頃、ブリタニアに捕まったカレンは・・・
「はぅ!!」
ルルーシュの叫びが聞こえたような気がして、カレンは思わず叫んだ。奇しくも、スザクの尋問を受けている最中で。
「・・・カレン?」
訝しげなスザクに、カレンは必死に訴えた。
「ちょ、マジで騎士団に帰して!!」
「駄目だ。・・・君は自分の立場をわかっているのかい?」
「ほ、本気で、帰らせて!!ホント!!後生だから!!・・・る、じゃなくて、ゼロの身が危ないの!!」
「今、ルルーシュって言おうとした?」
「・・・い、言ってないから!!・・・ゼロだから!!」
「・・・ゼロの身がどうなろうと、僕の知ったことじゃない。だから、僕にそんなことを訴えても仕方がないよ?」
スザクは厳しい表情を崩すことなく、カレンに応じる。その手に握られているのは、リフレイン。今まさに自白を強要しようとしているスザクに、カレンは懇願する。
「・・・そうじゃなくって・・・絶対、ヤバい!!本当にヤバいの!!お~ね~が~いぃぃぃ!」
もどかしそうにカレンは訴える。スザクにゼロがルルーシュだと口が裂けても言えないのだが、いっそのこと言ってしまえば、解放してくれるだろうかと思ってしまう。それ程に、騎士団に残してきたルルーシュが心配だった。
「(C.C.は絶対アテにならないし!)・・・す、スザク、お願い・・・!」
絶対に頭を下げてやるものかと思っていたのだが、死活問題だ。この際、どんなことをしてでもルルーシュの元に馳せ参じなければ!!
妙な使命感を抱いて、カレンは意を決した。
「マジで、マズイのよ!・・・ゼロ、ううん、この際良いわ!!ルルーシュの貞操の危機なのよ!!」
「・・・やっぱりゼロはルルー・・・シュ・・・って・・・ルルーシュの貞操の危機?・・・どういうコト?」
引っかかるべき所に引っかかってくれたスザクに、カレンはしめたとばかりにたたみかけた。
「ルルーシュの美人度がUPしたのは、あんただって知ってるでしょ!?しかも、あいつ、料理だけで黒の騎士団の皆を誑しこんだのよ!?・・・私がいた間はなんとか、素顔だけは死守してきたけど、こうやって捕まってしまった以上、ルルーシュの素顔が騎士団の皆にバレてる可能性の方が高いの!!・・・すでに皆、ルルーシュに誑かされてるんだから、素顔なんて見たら!!!」
「・・・貞操・・・ルルーシュの貞操・・・許さないよ、ルルーシュは僕のお嫁さんになるんだ。」
「は?」
カレンは思わず呆気にとられた。
「ルルーシュは、僕のお嫁さんになるまで、綺麗なままでいてもらわないと!!」
スザクはそう叫んで、手に持っていたリフレインを床に叩きつけた。
「君の相手をしている暇はなくなった。・・・じゃあ、またね、カレン。ルルーシュとの結婚式には呼ぶから。」
「はぁ!?何言ってんの!この勘違い男!!・・・って、ちょっと待ちなさいよ!!私を解放してよ!!」
「ルルーシュぅぅぅ!今行くよぉぉぉ!」
スザクが叫びながら走り出した。
こうして、ブリタニア対黒の騎士団の戦いは妙な方向へと発展していくことになった。
「・・・え、もしかしなくても・・・私のせい?」
独房に残されたカレンは、ぽつりと呟いたのだった。
おしまい
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