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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・Cルル
・↑夫婦に娘がいます
・ゼロレクから10年後
・騎士団&ナナリー達の救済?
・捏造満載

以上、同意できる方のみ↓へ・・・









 悪逆皇帝が“ゼロ”に殺されてから、10年の節目を迎えた。世界は平和になり、争いも無くなった。

 それらが全て、悪逆皇帝だった彼の、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの思惑通りだったことを知る者は少ない。

 全てが終わった後に、その事実に気づいた面々は、その後、彼の意思を継ぐかのように世界を平和へと導いていった。

 合衆国日本の首相となった扇も、6年間在位した後、後継者へとその座を譲り渡し、政界からも身を引き、私塾を開いていた。やはり、教師の夢を捨てきれなかったのだ。妻であるヴィレッタも彼女との間に出来た子どもも、それには納得してくれている。

 藤堂は、未だに軍事に携わっているが、そろそろ引退か、とぼやくようになった。そんな藤堂に、唯一残った四聖剣の千葉は、黙して付き添っている。

 玉城や杉山、南といった面々も、自分の生活をしっかりと守っている。

 合衆国中華の天子はいまや立派な施政者となっている。その横に付き添う星刻は、一時は病に倒れ、あわやというところだったが、ブリタニアの国主となったナナリーの好意でブリタニアの最先端の技術力と優秀な医師のおかげで、一命を取り留めた。香凛や洪も軍の綱紀を粛正し、戦うための軍から救うための軍へとその意味合いを変革した。

 そして、アッシュフォードの面々は、それぞれの道で、以前と変わらない様子で暮らしている。

「・・・でも、貴方がいないのよね。」

 ぽつりと呟いたのはカレン。母と暮らす穏やかな日々。それにはとても満足していた。が、未だに心にぽっかりと穴が開いたような気持ちだった。

 つ、とコルクボードに張り付けた写真を指でなぞる。だんだん色褪せる写真とは違い、今でも鮮明に昔のことを思い出せる。

「・・・最後まで騙せとは言ったけど・・・ここまでする必要があったの?ねぇ・・・。」

 もう1人の実行犯は、けして口を開かない。以前、ナナリーと会話をする機会があって、話を聞いたが、完全に“彼”は“個”を捨てているらしい。それが、彼らの決めた己への罰だとしても、10年間、ただ、ひたすら黙し続けるという、その精神力は並外れている。

「・・・でも、もう、そろそろ良いんじゃないかしら。自分を許したって。だって、10年よ?・・・“あいつ”だって、きっとそう言う。」

 カレンは呟いて立ち上がる。

 今日は、世界が平和への一歩を踏み出した記念の日。世界中がお祝いムードの中で、真実を知るもの達だけが、喪に服する日。



 ブリタニア皇宮


 フレイヤにより消滅した皇宮跡に造られた宮殿。以前よりも規模は小さい。それは、国主となったナナリーの意思だった。華美な装飾は控え、あくまでも執政するための宮殿。それは、かつてエリアと呼ばれた地にあった政庁のようなもの。

「・・・もう、10年も経ったのですね。」

 ポツリ、とナナリーが呟く。その呟きを耳で拾ったコーネリアは、その異母妹の手を握る。

「ああ。・・・もう、10年・・・だな。」

「・・・今でも思うのです。もっと早く、お兄様の真実に気付いていれば・・・もっと早く、私の目が開いていたら、と。」

「・・・ああ、私もそう思う。・・・あいつが・・・ルルーシュが、好きであんなことをするわけがないと、そう思いながらも、ユフィのことが頭にチラついて・・・。」

 誰かを憎まなければやっていけなかった。溺愛していた妹の死は、それ程にコーネリアの心に影を落としていたのだ。

「コーネリア姉様。今日は、式典が終わったら、皆さんが集まって来てくれるんです。もちろん、コーネリア姉様も参加して下さいますよね?」

 尋ねるナナリーの目は、不安そうに揺れている。コーネリアは苦笑をうかべ、その頭を撫でた。

「もちろんだ。当たり前だろう?」

「・・・こ、コーネリア姉様ッ・・・わ、私は、もう、大人ですよ!そんな、子ども扱いなさらないで下さいッ///」

「はは、私にとっては、いつまでもお前は異母妹のナナリーだからな。・・・あいつが、異母弟であるように・・・。」

 最後は祈るように呟き、コーネリアは目を閉じる。決まって思い出すのは幸せだった幼少時の頃の光景だ。ナナリーが庭園を走り回り、体力のないルルーシュは、そのナナリーを追いかけるのに必死で。

 知らずの内に口元が緩んでしまっていて、コーネリアは、ドアのノックされる音にぎくりと身体を震わせた。

「・・・はい。どうぞ。」

 ナナリーが応じると“彼”が入って来た。

「・・・ゼロ・・・。」

「お時間です。ナナリー様。」

 唯一、全てを知っているだろう“彼”に何度問い質したことか。だが、明確な答えを示されたことは一度だってない。それ程に、彼は“ルルーシュ”の願いを忠実に実行していた。

 あの、ルルーシュが死んだ日。ナナリーが一瞬だけルルーシュから読み取った情報を、関係者にだけ話してくれた。

 それは、衝撃的な事実であり、目の前にいる“ゼロ”がその真相をすべて知りつつも口を閉ざしている理由でもあった。こんなことが世界中に知れれば、世界はまた混乱してしまう。

「・・・あの時、憎しみは全てあいつが持って逝った。私たちは一からブリタニアを築き上げてきた。・・・もう10年だ。そろそろ、全てを明かしてくれても良いのではないのか?」

 コーネリアの言葉に“彼”はしばし沈黙した後、毅然とした態度で言葉を紡いだ。

「・・・私は、一生を世界に捧げると、そう、決めたのです。」

 その言葉の重さに、コーネリアも、そして、ナナリーも二の句を告げなかった。







 式典が終わり、アリエスの離宮へとあの時の関係者達が集まる。

「お久しぶりです、皆さん。・・・ようこそ、アリエスの離宮へ。」

 にこやかに出迎えたナナリーに、皆が一様に笑みをうかべた。

「・・・ここが、ルルーシュとナナリーが幼少時に暮らした場所なのね。」

 スッと前に出てきたのは、黒いワンピースを着たカレン。

「・・・はい。そうです。私とお兄様と・・・お母様と。たまにコーネリア姉様やユフィ姉様、クロヴィス兄様やシュナイゼル兄様も遊びに来て下さって。・・・本当に幸せでした。」

 目を細めたナナリーは、ちらりと視線をシュナイゼルに向ける。

 シュナイゼルが“ギアス”にかかっていることは知っている。“ゼロ”に従え、という“ギアス”に。だから、彼は平和の為にその頭脳を駆使している。

 優しい異母兄があのようなことを考えていようとは、思いもしなかっただけに、その事実にナナリーはショックを受けていた。

「ナナリー様・・・その節は大変お世話になりました。」

 そんなナナリーの前に立ったのは、合衆国中華の天子とその補佐兼軍師の星刻。

「いいえ。もう、お身体の調子はよろしいのですか?」

「ええ。おかげさまで。」

「天子様も、お久しぶりです。」

「はい。ナナリー様。・・・もう、あれから10年経ったのですね。」

 天子の視線の先には黒ずくめの仮面の男“ゼロ”の姿。無理やりにナナリーが引っ張って来たのだが、輪の中に入る様子は見せない。

「ナナリー様、足はやはり・・・?」

 星刻の問いに、ナナリーは苦笑してみせる。

「神経系がすべてダメになってしまっていたので・・・ただ、アッシュフォードが医療技術に取り組んで、そういった身体障害に適応した義足を開発してくれているんですよ。・・・ナイトメアの技術がこういった場所に活かされるのは、とても良いことだと思います。」

「戦争の被害で、身体に重大な欠陥を抱えてしまった人は多いから。・・・こういう技術の進歩こそ、今の時代には必要だと思うの。」

 口を開いたのは、アッシュフォードに技術協力をしているニーナだった。ニーナは、フレイヤを生み出してしまったという責任をしっかりと背負いながら、自分の持つ技術を平和な方面へと活かせないかと努力してきた。間もなく、その技術も世界に向けて広く発信されるということだった。

「ニーナは・・・ルルーシュに、計画のことを聞いていたんでしょう?」

 カレンがニーナに問う。ニーナは一瞬口をつぐみ、ちらりと“ゼロ”を見る。そして、視線を揺らしながらも頷いた。

「・・・うん。ルルーシュ本人から知らされていたのは、私とロイド先生とセシルさんと咲世子さんと・・・ジェレミア卿とC.C.と・・・そして・・・スザク・・・。」

 その名に、全員の視線が“ゼロ”へと向く。

「それが“ゼロレクイエム”の計画の全てを知る人間全て。」

 その場の空気がどんよりと重くなる。あの時の自分達の行動は、全てルルーシュの計画通りで、結局、彼が全てを背負う形で締めくくられた。悔やまずにはいられないのだ。

 特に、元、黒の騎士団の面子の後悔は顕著だった。平和に暮らしていても、ふとした瞬間に思い出す。そうすると、自分達がどれだけ身勝手だったかを思い出して、苦悩に苛まれるのだ。

「あっは~。しょうがないよねぇ。だって、陛下ってば、お優しかったからぁ~。」

 その場の重い空気を吹き飛ばすような、明るい声に、全員が振り向く。そこには、ロイドとセシルとアーニャが立っていて。

「来て下さったんですね。」

 ナナリーがホッと息をつく。アーニャはジェレミアの元に行って以来、この集まりには一切参加しなかった。何故と問うても、オレンジ畑の世話が忙しいから、と答えるだけ。ロイドやセシルも研究が忙しいと毎回姿を現さなかった。

 怒っているのだ、と思っていた。自分達は許されていないのだと。だから、彼らが来たことで、ほんの少しだけ、許されたような気がした。

「・・・まぁねぇ~。ほら~、10年だしねぇ~・・・。」

 感慨深げにロイドが呟く。

「・・・10年は短いようで、長かったですね。」

 にこやかにそれに応じるセシル。

「・・・オレンジが、行って来いって言ったから。」

 むっつりと答えたアーニャに、ジノが苦笑した。

「変わってないな、アーニャ。・・・っていうか、ジェレミア卿は元気か?」

「元気。・・・たまに犬のスザクと戯れてる。」

 アーニャの答えに、皆がギョッとする。

「・・・い、犬の・・・す、スザク?」

「そう。飼い犬。オレンジ畑で飼ってる。」

 アーニャの目が優しげに細められる。そして“ゼロ”の方を向きながら続ける。

「犬のスザクはとってもいい子だけど、たまに体力馬鹿に似てて困るって、ルル様はよく言う。」

「「「「「!?」」」」」

 アーニャの言葉に、全員が目を見開く。

「・・・もう、許していいだろうって、○○○様が言うから、私とロイド博士とセシルが派遣された。・・・本当はもっと早く・・・5年くらいで良いだろうって、ルル様が言ったけど、○○○様が許さなかった。オレンジも許してなかったし、ロイド博士もセシルも許してなかったから、多数決で負けて、ルル様ちょっと悲しそうだった。」

 いつになく雄弁なアーニャの言葉に“ゼロ”が反応した。

「・・・どう、して?」

「・・・貴方には、すぐに言っても良いんじゃないかって思った。でも、逆に、苦しくなるだろうからって、黙ってた。・・・貴方にはシャルル陛下のコードのせいって言えばわかるだろうって、ルル様が言った。」

「コード!・・・そうか、あの時には・・・でも、その直前まで“ギアス”も使えてたのに・・・。」

 アーニャに歩み寄る“ゼロ”の口調は“彼”のもの。それに気づいたロイドが笑みを深める。

「あっは~。C.C.がね~2つ抱え込んでたんだよ~。・・・本当はあの場所で、シャルル陛下のコードがルルーシュ陛下に継がれるはずだったんだけど~。C.C.がねぇ、横取りしたんだってぇ~☆」

「・・・ロイドさん達は知ってたんですか。」

「あっは~。ごめ~んね~。スザク君とルルーシュ陛下の決意を聞いちゃったら、面と向かって反対意見を言い難くって~・・・ついつい、C.C.と結託しちゃった~。」

 へらへらと笑うロイドに“ゼロ”は深い溜め息を落とした。

「はぁ・・・知らないのは、俺だけですか。」

「私も、知らなかった・・・。」

 ニーナが呟けば、セシルが苦笑する。

「ごめんね、ニーナちゃんは複雑だろうなと思って、言わなかったの。」

「・・・いいえ。たぶん、今ほど落ち着いては受け入れられなかったと思うので。それで正解だったと思います。」

 ニーナの言葉に“ゼロ”も同意した。

「確かに。・・・じゃあ、ルルーシュも知らなかったんですか。」

「もっちろ~ん。・・・最初は呆然として、事情を説明したら、諦めたように笑ってたよ~。」

「でも、コードの解除の儀を行ったから、ルル様も○○○様も、もうコードを持ってない。」

「・・・そう。」

 アーニャの言葉に頷いた“ゼロ”は仮面に手をかける。

 その仮面の下から現れたその素顔に、全員が息を呑んだ。天パの茶色の髪の毛、最後に見た時よりも幾分か大人になったその顔つき。そして、翡翠色の瞳が、柔らかに笑む。

「・・・ルルーシュは、今、幸せなの?」

「うん。笑ってる。・・・皆の幸せを願いながら。」

 アーニャの答えに満足したのか、スザクはにっこりと笑って頷いた。

「なら良いや。・・・これで、俺も“ゼロ”の役割を今まで以上に頑張れる。」

 周りの者達の目にも涙が光っている。

「お兄様は・・・。」

 そんな中、ナナリーが口を開く。

「・・・お兄様は、今・・・ジェレミアさんのオレンジ畑に?」

「そう。一緒に暮らしてる。ルル様と○○○様と・・・×××様と。」

 新たに出た名前に、ナナリーが不思議そうに首を傾げる。

「×××・・・様?」

「・・・ねぇ、あのさ、アーニャ?・・・ルル様がルルーシュだっていうのはわかるよ?話の流れからして、○○○様がC.C.なんだよね?」

 スザクの笑顔が引き攣りだす。とんでもなく、嫌な予感が当たりそうな気がしてきた。周りの者達も涙を引っ込めて、アーニャを凝視する。

「そう。」

 アーニャが悪だくみをしているような、そんな笑みをうかべる。

「・・・・・・・・・じゃあ、×××様っていうのは?」

「・・・聞きたい?」

 もったいぶるアーニャに、スザクは一瞬迷ってから頷いた。

「・・・ルル様と○○○様の間に生まれたお嬢様。もう、9歳になる。」

 一瞬の間、

「「「「「なに~~~~っっっ!!!」」」」」

 全員の叫び声が揃った。その様子に、ロイドが爆笑し、セシルが肩を震わせながらもロイドを窘め、そして、アーニャは何やら携帯を操作する。

「・・・今、来る。」

 今度はなんだと身構える皆の前に、見覚えのある顔が現れる。

「・・・ジェレミア卿。」

「枢木、すまなかったな。」

「・・・いえ・・・これで、良かったんです。」

 そう言うスザクに、ジェレミアはホッとしたように笑う。

「・・・あの・・・で、抱えてる、その、女の子・・・。」

 スザクは視線をある一点で固定して、恐る恐ると言ったように訊ねる。

 可愛らしい紫のエプロンドレス。黒く艶やかな長い髪。スザクだけでなく、皆の視線がその少女に釘付けだった。

「・・・ああ、アーニャが説明しただろう?・・・×××様だ。」

 紹介されるのと同時に、くるんと皆を振り向いた少女は、そのアメジストの瞳を細めて、花のような笑みをうかべた。

「初めまして!×××・ランペルージです。・・・貴方が、スザクさん?・・・本当に、犬のスザクにそっくり!!」

「・・・・・・うわ~・・・ルルーシュ遺伝子強いなぁ。」

「枢木・・・棒読みだぞ。」

 ジェレミアにつっこまれるスザクというシュールな光景を面白そうに少女は見やり、ジェレミアの腕から飛び降りる。

「・・・っと。・・・ロイドさん!ナナリー様とコーネリア様は、この中のどなた?」

 ロイドに走り寄り、少女は紹介してくれるようにねだる。

「・・・えっとですねぇ、あの、車椅子に乗ってる方が、ナナリー様で、そのお隣に立っている勇ましそうな方がコーネリア様ですよぉ~。それから、あっちにいる人達が黒の騎士団の関係者ですよ~。」

 少女の目がキラキラと輝く。そして、ナナリーとコーネリアの元へと駆け寄ると、にっこりと笑った。

「・・・初めまして!お2人のことはお父様からよく聞かされているんですよ。あと、ユフィ様のことも!」

「そうなのですか・・・。」

「ユフィのことも・・・。」

 2人は曖昧にしか反応が返せず、それでも少女は気にした様子もなく、今度は元黒の騎士団の面子の方へと行く。

「・・・えっと、皆さんには、本当にすまないことをしたって、お父様が言ってました。本当は直接会って謝罪した方がいいとは言ってたんですが、お父様は亡くなったことになっているので、あの場所からは、出られないんです。」

 どうやら、娘には全てを説明したらしい。自分の代理として娘を寄越したのだろうことに気づいた扇は、しゃがみこんで、彼女と目を合わせる。自分の子どもとさほど年の変わらないその少女に、父親は死んだことになっているなどと言わせてしまった。それが辛かった。

「・・・いや・・・俺達も・・・短慮だった。会って謝りたい。・・・会いに行っても、良いんだろうか?」

「来て頂けるなら、歓迎します。・・・あの、それで、カレンさんってどなたですか?」

 きょろきょろとした少女に、カレンが前に進み出る。

「・・・私、だけど。」

「・・・貴女が・・・。カレンさんには、お父様がたくさん世話になったって、そう言ってました。本当にありがとうございました。」

「・・・私、何も、してないわ。・・・最後まで・・・信じてあげられなくて・・・。」

「いいえ。それでも、お父様はカレンさんには感謝してるって。そう言ってました。・・・それから、ミレイさんとリヴァルさん・・・。」

 名を呼ばれて、弾けるように顔をあげたミレイが、少女とバッチリ目が合う。

「・・・ホント・・・ルルちゃんそっくり。」

 涙で視界がぼやける。ルルーシュの普段の姿をよく知っていたはずなのに、彼の考えていることがわからなかった。あんな酷いことを平気で出来るような人間じゃないことくらい、わかっていたはずなのに。

 ずっと後悔していたことが、その少女の存在のおかげで、晴れたような気がした。

「・・・ハハッ、なんか、男女逆転祭りのこと、思い出しますね。」

 リヴァルが言うと、ミレイは懐かしげに目を細める。

「そうそう。ルルちゃんったら、本当にドレスが良く似合ってて・・・。」

「・・・ニュース、お父様とお母様といつも見てます。お祭り好きには似合ってる職業だなって、お父様が言ってました。・・・それから、もし、叶うなら、花火の約束を叶えたいって。」

 花火。その言葉に、ミレイとリヴァルの表情が歪む。また、皆で花火をしよう。涙ぐみながらそう言ったルルーシュ。花火の約束は守れそうにない、そう言ったルルーシュ。どれほどあの約束を大切に思っていたのか、今更ながらに思い知らされたのだ。

「・・・そっか。・・・じゃあ、たくさん花火買い込んで、ルルーシュんトコに行かなきゃ駄目っスね!」

「そうね。・・・その時は、ニーナもスザク君も・・・ナナちゃんも一緒よ?」

 未だに、シャルルにかけられた記憶操作は外れていないが、ナナリーに会った瞬間に懐かしく思ったことは本当で、写真まで見せられてしまえば、それが本当のことだったのだと思えた。

「・・・シャーリーやロロの分まで、派手にやらないとな。」

 リヴァルが鼻をすする。

「・・・そうね。」

 ミレイも頷いて、少女に視線を戻す。

「・・・ルルちゃんに伝えてね。近いうちにた~っくさん花火を買い込んで、押し掛けるからって。」

「はいっ。」

 満面の笑みをうかべた少女に、皆が思うことはただ1つ。“彼”がこの少女のように笑っていれば良い。それだけだった。



 そして・・・オレンジ畑に、季節外れの花火があがる。


 おしまい


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