Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・長編朝ルルの設定ですがR2仕様なので、話は繋がりませんw
・ルルちゃんにすべてが都合よく進みます
・花嫁強奪事件は実行しますが、星刻も納得済み!
・↑というわけで、カレンは捕まりません!!
・京都&ナナは全力でルルをバックアップしてます
・いろいろと本編の内容を切り張りしてますw
・シリアス色強め
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
天帝八十八陵
「さすがは、ディートハルトだ。」
ゼロに満足げに言われたディートハルトは、鼻を高くする。
「当然です!貴方の為でしたなら、情報操作の一つや二つ・・・いいえ、百は軽くやってみせます!!」
鼻息の荒いディートハルト(記憶改竄されなかった組なので、当然、ルルーシュに激甘)に、内心苦笑を洩らしたゼロは、斑鳩の甲板にやってきた星刻達に視線をやった。
大宦官の裏切りを中華連邦中に広め、人民達を蜂起させるゼロの作戦は見事に当たった。大宦官を見限ったブリタニア軍は撤退し、事実上、中華連邦の独立は守られた。
「ゼロ、感謝する。」
にこやかに手を差し出す星刻に、ゼロが応じる。
「これからだ。・・・ブリタニアも黙ってはいない。面子を潰されたのだからな。」
「承知している。・・・だが、ようやく主権を天子様に取り戻したのだ。そうそう簡単に明け渡したりはしない。」
「・・・頼もしいことだ。」
穏やかにゼロが答えるので、星刻は目を細めた。
「ゼロ、私はお前がどういう人間なのか、よくわからない。・・・が、天子様や中華連邦の人民を守ってくれたことには感謝している。」
「礼には及ばない。・・・星刻、お前には大きな借りがあった。今回はそれを返した。それだけだ。」
ゼロは踵を返し、斑鳩の中に戻ろうとする。そこに、藤堂が立ちはだかる。
「・・・ゼロ。少し、時間を作ってほしい。」
その真剣な表情に、ゼロは一瞬躊躇い、頷いた。
「神楽耶様、桐原公を。・・・カレン、C.C.、四聖剣達も同席しろ。」
藤堂の話が何かはわかっていたので、そう命じる。明らかにホッとした様子を見せた藤堂に、ルルーシュは内心で苦笑をうかべた。
「(藤堂さん、不安にさせて・・・ごめんなさい。)」
斑鳩・小会議室
「単刀直入だが、ゼロ、いろいろとはっきりさせたい。」
開口一発、藤堂がそう言えば、卜部が不機嫌そうに藤堂を見やった。
「将軍、いろいろと、って言いますがね、元々、はっきりはしてたんですよ?・・・ゼロ、良いな?情勢は大きく変わった。」
卜部の言葉に、ゼロは頷く。
「ああ・・・もう、頃合い、なんだろうな。」
ほんの少し、怯えの混じった声音に、藤堂達が首を傾げる。
「・・・ま、こういうことっスよ。」
卜部はそう言って立ちあがり、ゼロの後ろに立って、仮面に手をかける。
「「「「っ!?」」」」
ギョッとする藤堂達の前で、卜部がゼロの仮面を取り払う。
露わになったその黒髪と、伏せられてはいるがその憂いのこもった顔は藤堂達の良く知る人物のもので。
「うそ・・・ルルーシュ、君?」
朝比奈の声に、ビクリ、とルルーシュの肩が震える。
「卜部、知っていたのか・・・。」
愕然としながら藤堂が訊くので、卜部は苛立ったように答えた。
「将軍達だって、知ってたでしょう!?・・・これもそれも、皇帝のギアスのせいですよ!!ブリタニアに捕まった連中は、みんな、記憶を書き換えられちまったんです!!」
バンッ!と机を叩いた卜部に視線が集まる。
「裏切り者扱いされて、ルルーシュがどんな思いをしたか、わかってるか!?・・・俺達が送り出したんじゃねーか!ナナリーを助けに行けって!!・・・それなのにッ!」
「ギアスを解く方法が未だ見つかりません。・・・ですから、貴方方が思い出してくれることを期待していたのですが・・・無理だったようですね。」
神楽耶の言葉も厳しい。桐原もむっつりと黙ったままだ。
「卜部さん、神楽耶・・・この人達を責めないで。」
困ったようにルルーシュが卜部達を宥め、藤堂達に向き直る。その左目は閉じられていて、朝比奈がハッとする。
「・・・暴走、止まってないの?」
そこは覚えているのか、とルルーシュは苦笑をうかべた。
「はい。普段は、コンタクトレンズで力を抑えています。・・・発動したままだと、意図していなくても行動を促す言葉に反応するので。」
そう言って、ルルーシュは懐からコンタクトレンズを取り出し、左目につける。元のロイヤルパープルに戻った瞳を見つめ、朝比奈はくしゃりと表情を歪めた。
「ごめん・・・どう頑張っても、思い出せないんだ。ルルーシュ君がゼロだったって、俺達は知ってたんだよね?」
「はい。・・・でも、しょうがないですよ。俺も、1年間、自分がゼロであることを忘れていましたから。」
「ルルーシュ君も捕まったのか?」
千葉が確認すれば、ルルーシュは頷く。
「ええ、スザクに。・・・皇帝の前に突き出されて。」
「アイツっ!!」
過剰な反応を見せた朝比奈に、藤堂が落ち着くように言って、その腕を掴んだ。
「・・・ルルーシュ君、思い出せないのがもどかしいが、いろいろと理解した。・・・今までの態度を許してほしい。」
困ったように頭を下げた藤堂に、ルルーシュは泣きそうな表情で頷く。
「こちらこそ・・・っ。」
「ルルーシュく・・・。」
言葉を詰まらせたルルーシュに、朝比奈が手を伸ばそうとする。それをC.C.がパシン、と叩き落とした。
「っ・・・C.C.。」
「しばらく、お触りはお預けだ。・・・思い出すまで、そうしてろ。」
じろり、と睨まれて、それでも言い返すことができずに、朝比奈は項垂れる。
「C.C.。」
体勢的に上目遣いになっているルルーシュに一瞬絆されそうになるが、心を鬼にして、C.C.は告げる。
「ルルーシュ、お前、エリア11に戻れ。」
「でも。」
「良いから、戻れ。少し前に咲世子から連絡があった。かなりマズい状況らしい。」
「マズい状況?」
ルルーシュの問いに、C.C.は厳しい表情で告げた。
「ラウンズのスリーとシックスがアッシュフォード学園に転入してくる。先日、その手続きがあったそうだ。」
「っ!?」
ルルーシュは息を呑み、それから、フッと視線を落とした。
「いい加減、皇帝も気づいた・・・か。」
「ナナリーの補佐で手一杯なスザクが頼んだかもしれないぞ?」
「俺の監視を?」
「自分が行けない分、ラウンズで牽制しておこうというつもりだろう。」
「成程。」
溜息をついたルルーシュは、仮面を再び被る。
「では、しばらくはこちらを離れる。・・・実務は・・・卜部、お前が取り仕切れ。」
“ゼロ”としての言葉に、卜部は肩を竦め、酷く憔悴した様子の藤堂達を見やりながら頷いた。
「承知。」
アッシュフォード学園・クラブハウス
「(はっきり言わせて貰おう。拍子抜けだ!!)」
心の中で叫びながら、ルルーシュは生徒会室でラウンズも含め、和気藹藹とお茶を飲んでいるメンバーを見つめる。
「あ~あ、いよいよ、卒業かぁ。」
ミレイがぼやく。
「なんか、2年間、会長に振り回されっぱなしだった気がします;」
シャーリーが苦笑すると、ミレイも苦笑をうかべた。
「言ってくれるな、若人w」
「若人って;・・・まぁ、良いですけど。それなりに楽しかったし。」
「シャーリー、なんていい子なの!!・・・ルルちゃんも、こういうところを見習ってほしいわ!」
ミレイの意味ありげな視線に苦笑をうかべ、ルルーシュは肩を竦めた。
「なぁ、ルルーシュせーんぱいw・・・振り回すって、具体的にはどうだったんだ?」
わくわくとしながら聞いてきたのは、ナイト・オブ・スリー、ジノ・ヴァインベルグ。
「すみません、詳しくはちょっと。」
「あ~、また敬語!!ここでは、ラウンズとか関係ないって、言ったじゃん!」
むくれるジノに、ルルーシュは苦笑する。
「・・・記録。」
ポツリと呟いて、携帯のシャッターボタンを押す、ナイト・オブ・シックス、アーニャ・アールストレイム。
ルルーシュはなるべく2人に関わりあいにならないようにしているのだが、ジノの方から絡んできて、もれなくアーニャも付いてくるので、参ってしまう。
「あ~あ、なんか物足りないのよね。」
「卒業記念にでっかいイベントでもやります?」
「あら、良いわねぇw」
ミレイのぼやきに、リヴァルが提案する。その2人を見つめて、ルルーシュは物悲しくなる。
ミレイ達の記憶改竄は、黒の騎士団よりも徹底している。それに、機情を潰したとはいえ、ラウンズがうろついている中で、安心して暮らせない。それを知っているロロや咲世子が騎士団に帰るように言ってはくれている。
かと言って、今の騎士団も、居心地が良いわけではない。
「じゃあ、イベントの件、決まったら、連絡するから~。」
ラウンズも含めた生徒会のメンバーが帰ってしまうと、それを玄関で見送ったルルーシュはホッと息をついた。
「大丈夫?」
ロロが気遣うように見上げてくる。
「ああ。大丈夫だよ。」
ルルーシュは答え、もう一度外を見て、ビシリと固まる。
「兄さん?」
ロロが不思議そうに見上げてくる。
「・・・ジェ、レミア?」
思わず、言葉が詰まった。きっと恨まれている。憎んでいる。彼のブリタニアへの忠誠をを穢してしまったのは自分だから。
ロロが一瞬にして状況を把握し、ギアスを発動させてジェレミアに向かっていく。と、その瞬間、ジェレミアの目が青く光り、ロロのギアスを無効化する。
「っ!?・・・僕の絶対停止の結界が!!」
慌ててジェレミアから距離を取ったロロは、ルルーシュを庇うように、2人の間に立った。
「ルルーシュ・・・なぜ、祖国に反逆し・・・己の父を害そうとする?」
ゆっくりとした足取りで近づきながら、ジェレミアが問う。
「ナナリーと共に逃げ隠れせずとも安心して暮らせるようになるため、そして、弱者が強者に虐げられない優しい世界を作るためだ!!」
ルルーシュがはっきりと答えると、ジェレミアは更に近寄ってくる。
「それが、真意か。」
「そうだ!そのためには、ブリタニアが邪魔だ!!・・・それに、母のことを皇帝は守ろうともしなかった!そんな奴に――ッ!」
「知っています。」
叫ぶルルーシュに、ジェレミアが頷く。
「え?」
様子のおかしいジェレミアに、ルルーシュは眉を顰め、ロロと視線を合わせる。
「私は、あの時、アリエス宮にいました。」
「!?」
「あの場にいながら、お守りすることが叶わなかった。・・・私が真に忠誠を誓ったのはマリアンヌ様。」
極近くまでやって来たジェレミアは、その場に膝をついた。
「やはり、貴方は・・・あの方の御子だ。私は・・・。」
「ジェレミア?」
呆然と見つめてくるルルーシュに、親愛のこもった視線を向け、ジェレミアは告げた。
「私は、貴方にお味方するために、参りました。我が君―――。」
合衆国日本・蓬莱島
「なっ。」
「まさか。」
呆然と空を見上げる黒の騎士団の幹部達。その視線の先には、ハドロン砲の照準を蓬莱島の居住区に向けた、帝国宰相所有の浮遊航空艦アヴァロン。
百万の日本人を人質に取られた形の黒の騎士団は無抵抗のまま、彼等を迎え入れるしかなかった。
斑鳩・会議室
「ゼロは、不在なのかな?」
穏やかな笑みをうかべて目の前に座る帝国宰相に、藤堂は眉を顰めた。
「今頃は、日本を取り戻すために動いているはずだ。」
「お前達は、ゼロの正体を知っているのか?」
そう尋ねたのは、行方不明とされていた、元エリア11総督、コーネリア。
疲労の色が濃く表情に浮ぶ彼女は、ブラックリベリオン後、いろいろと調べ回り、真実を探り当て、すぐさま義兄に連絡し、こうして乗り込んで来たのだ。
扇達が黙りこんでいるのを横目で確認し、藤堂はキッとシュナイゼルを睨み据える。
「何が、言いたい。」
「ゼロは、君達の味方と言いきれるのかな?・・・彼は恐ろしい能力を使って、君達を騙しているのかもしれないんだよ?」
“恐ろしい能力”そう聞いて、朝比奈がハッとする。その言葉がギアスを指していることは明白。これが記憶改竄の前ならばフォローのしようもあるが、ルルーシュ=ゼロと知らない扇達にいくら言っても疑惑は残るだろう。
「恐ろしい能力?そ、それが何だってんだよ!」
立ち上がったのは、玉城だった。彼だけは、なぜか、以前以上にゼロに馴れ馴れしく接していた。
「おやおや・・・盲目に信じるというのは、良くないねぇ。」
クツクツと笑い、シュナイゼルは書類を差し出した。そこに乗っているのは、ユーフェミアや日本解放戦線のメンバー。
「彼等は、ゼロに操られてあのような行動を取った疑いがある。」
疑いどころではない。事実だ。それを聞かされていたキョウトや藤堂達はしまったと歯軋りをし、扇達の不信感が煽られてしまったことを悟る。
「証拠はあるのか?」
藤堂が口を出すと、シュナイゼルはクス、と笑う。
「確証はない。けれど、身に覚えはないかい?自分の意思とは別に行動してしまったというような過去は。」
質が悪い。
このように言われてしまうと、人間の心理として“もしかして、あの時のあれが”などと思い込んでしまうこともある。
「そんなものはございません。」
きっぱりと神楽耶が言ってのける。だが、余程自信があるのか、シュナイゼルは余裕の表情を崩さない。
「それこそが、操られている結果だったら、どうする?」
「ふざけないでくださいませ!ゼロ様が私達にそのようなことをするわけがありません!・・・第一、この者達が貴方の言葉で疑いの心を抱いている時点で、操られているわけではないということくらい、わかるではありませんか!!・・・私がもし、そのような力を持っていたら、疑いなど一切持たせないように操ります!!」
神楽耶の一喝に、扇達がハッとする。あのゼロが、こんな中途半端な真似をするだろうか。そう考えたら、神楽耶の言うことが尤もだと思えたのだ。
「・・・ふぅむ。」
シュナイゼルが手強いね、と小さく呟く。
じわじわと不安が心を占めていく。ゼロがルルーシュだと知っていても、記憶改竄を受けているせいなのか、ゼロを疑ってしまう自分がいる。朝比奈は思わずといったように背後のドアを見つめた。
「(ルルーシュ君、早く帰ってきて・・・不安で不安で、しょうがない。君は本当に、俺達を裏切ってなんか、いないよね?)」
そんな、朝比奈の思いが通じたのか、ドアがシュッと音を立てて開いた。シュナイゼル達は視線を上げ、黒の騎士団側は、全員が振り向いた。
そこに立っていたのは、ゼロとカレン、卜部、C.C.、そして・・・。
「お、オレンジ!?」
玉城が指をさす。それに、不快気に眉間にしわを寄せ、ジェレミアはゼロを振り返った。
「・・・よろしいですか?」
「ああ。構わない。」
許可を得たジェレミアは、仮面を装着している左目の“力”を発動する。青い結界が展開され、会議室全体を包み込む。
「「「「「っっつ!!?」」」」」
キョウトを除く黒の騎士団の者達と、コーネリアが同時に頭を抱える。ジェレミアの“力”は“ギアスキャンセラー”ギアスによる作用全てを無効とする力だった。それは、ずっとルルーシュ達が探し求めていた“力”。
「っ!・・・ルルーシュッ!!」
先に正気に返ったコーネリアが立ちあがり、ゼロを指差す。
「お久しぶりですね、姉上。兄上。」
仮面を外したルルーシュに、ブリタニア側の面子はギョッとする。こんなにもあっさりと仮面を外すとは思わなかったのだ。
「あんの、クソ皇帝がぁぁッッ!!」
「あの巻き舌親父!!ふっざけんな、こんちくしょう!!」
「っつーか、どうやって謝りゃ良いんだよ!!」
突如、玉城が叫んだ。すると、黒の騎士団の幹部達が口々に皇帝を罵り出し、ちらりちらりとルルーシュを確認しつつ、バツの悪い表情をうかべる。
「あ・・・でもよ~、俺らより、朝比奈達の方が、やばくね?」
「「「あ、確かに。」」」
玉城がふと朝比奈に視線を向ければ、幹部達も同様に朝比奈に視線を向けた。そして、その当人はというと、顔面蒼白になって、ガタガタと震えていた。
「信じらんない・・・何これ、ウソでしょ・・・俺、ルルーシュ君になんて言ったらッ!!」
「つ、突っ込み役が・・・突っ込み役がッ。」
「っ~~~情けないッ;」
朝比奈の隣にいた千葉もブツブツと呟き、藤堂は完全にテーブルに突っ伏している。そして、仙波が深々と溜息をついた。
「はぁ・・・これは、敵いませんな。」
「ようやく、思い出したみてぇだな。」
「卜部さんズルイ!!なんで、卜部さんは捕まってないのさッ?!」
「日頃の行いが良いんだよw・・・第一、俺を責めるのはお門違いだろうが。」
朝比奈が恨めしげに睨むと、卜部が呆れたように言う。
「恨むなら皇帝を恨めよ。お前らの記憶の改竄したのは、皇帝なんだからよ。」
「・・・皇帝陛下が?」
不審げな表情になったシュナイゼルに、卜部は冷笑をうかべた。
「そうそう。おたくらの皇帝がな、うちの幹部の記憶をそっちに都合よく書き換えてくれたんだよ。おかげで、こっちはどれだけ大変だったか。おたくらも、うちのリーダーを責める前に、自分とこのを何とかしたらどうだ?・・・なんか、怪しげな計画を立ててるみたいだぜ?」
「だがっ、ルルーシュはユフィを・・・あの虐殺は!!!」
コーネリアが叫ぶと、卜部はやれやれと首を振る。
「ありゃ事故だぜ。・・・あんたは、自分の弟が好き好んで、妹にあんなことをさせたって思うのか?」
「っ!?」
卜部の言葉にいつだって妹達には優しかったルルーシュを思い出して、コーネリアは息を呑む。
「・・・ふむ。これは、本国に帰って、皇帝陛下に確認する必要がありそうだ。君の言う計画とやらも気になるしね。」
シュナイゼルはそう言って、立ちあがるとルルーシュに視線を向けた。
「君がこんなことをしている理由は理解しているつもりだ。・・・でもね、君がこのまま敵であり続けるなら、私は容赦しないよ?」
「構いません。俺は、俺自身の望みのために、ブリタニアをぶっ壊します。」
はっきりと宣言したルルーシュに、シュナイゼルは一瞬、苦笑をうかべ、それからコーネリア達を引き連れ、会議室を出て行った。
そして、残された幹部達は、それぞれに視線を交わらせ、それから、おずおずとルルーシュを見つめた。
「る、ルルーシュ君。」
朝比奈が手を伸ばす。今度はC.C.も叩き落とすようなことはせず、その行動を見つめている。
「俺ッ・・・本当にごめん!ごめんなさい!!」
「いえ。省吾さん、皆も・・・思い出してくれて、よかった。」
皆を責めるようなことをせず、ふんわりと笑みをうかべたルルーシュに、朝比奈は目頭が熱くなる。
「責めたりして、ごめん・・・正体を教えて貰った時も、信じられなくて、ごめん・・・疑ってごめん・・・。」
ぐい、と腕を引き、朝比奈はルルーシュを腕の中に収める。ルルーシュはその温かさにうっとりと眼を細め、朝比奈の背に手を回す。
「省吾さん、おかえりなさい。」
その言葉に、朝比奈は息を呑み、それからルルーシュを抱きしめる腕に力を込めた。
「ただいま・・・ルルーシュ君。」
そんな久々の甘ったるい空気にイラッとした卜部が、訳もなく朝比奈の頭に拳骨をくらわせたのは、言うまでもないだろう。
おしまい
戻る→
・長編朝ルルの設定ですがR2仕様なので、話は繋がりませんw
・ルルちゃんにすべてが都合よく進みます
・花嫁強奪事件は実行しますが、星刻も納得済み!
・↑というわけで、カレンは捕まりません!!
・京都&ナナは全力でルルをバックアップしてます
・いろいろと本編の内容を切り張りしてますw
・シリアス色強め
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
天帝八十八陵
「さすがは、ディートハルトだ。」
ゼロに満足げに言われたディートハルトは、鼻を高くする。
「当然です!貴方の為でしたなら、情報操作の一つや二つ・・・いいえ、百は軽くやってみせます!!」
鼻息の荒いディートハルト(記憶改竄されなかった組なので、当然、ルルーシュに激甘)に、内心苦笑を洩らしたゼロは、斑鳩の甲板にやってきた星刻達に視線をやった。
大宦官の裏切りを中華連邦中に広め、人民達を蜂起させるゼロの作戦は見事に当たった。大宦官を見限ったブリタニア軍は撤退し、事実上、中華連邦の独立は守られた。
「ゼロ、感謝する。」
にこやかに手を差し出す星刻に、ゼロが応じる。
「これからだ。・・・ブリタニアも黙ってはいない。面子を潰されたのだからな。」
「承知している。・・・だが、ようやく主権を天子様に取り戻したのだ。そうそう簡単に明け渡したりはしない。」
「・・・頼もしいことだ。」
穏やかにゼロが答えるので、星刻は目を細めた。
「ゼロ、私はお前がどういう人間なのか、よくわからない。・・・が、天子様や中華連邦の人民を守ってくれたことには感謝している。」
「礼には及ばない。・・・星刻、お前には大きな借りがあった。今回はそれを返した。それだけだ。」
ゼロは踵を返し、斑鳩の中に戻ろうとする。そこに、藤堂が立ちはだかる。
「・・・ゼロ。少し、時間を作ってほしい。」
その真剣な表情に、ゼロは一瞬躊躇い、頷いた。
「神楽耶様、桐原公を。・・・カレン、C.C.、四聖剣達も同席しろ。」
藤堂の話が何かはわかっていたので、そう命じる。明らかにホッとした様子を見せた藤堂に、ルルーシュは内心で苦笑をうかべた。
「(藤堂さん、不安にさせて・・・ごめんなさい。)」
斑鳩・小会議室
「単刀直入だが、ゼロ、いろいろとはっきりさせたい。」
開口一発、藤堂がそう言えば、卜部が不機嫌そうに藤堂を見やった。
「将軍、いろいろと、って言いますがね、元々、はっきりはしてたんですよ?・・・ゼロ、良いな?情勢は大きく変わった。」
卜部の言葉に、ゼロは頷く。
「ああ・・・もう、頃合い、なんだろうな。」
ほんの少し、怯えの混じった声音に、藤堂達が首を傾げる。
「・・・ま、こういうことっスよ。」
卜部はそう言って立ちあがり、ゼロの後ろに立って、仮面に手をかける。
「「「「っ!?」」」」
ギョッとする藤堂達の前で、卜部がゼロの仮面を取り払う。
露わになったその黒髪と、伏せられてはいるがその憂いのこもった顔は藤堂達の良く知る人物のもので。
「うそ・・・ルルーシュ、君?」
朝比奈の声に、ビクリ、とルルーシュの肩が震える。
「卜部、知っていたのか・・・。」
愕然としながら藤堂が訊くので、卜部は苛立ったように答えた。
「将軍達だって、知ってたでしょう!?・・・これもそれも、皇帝のギアスのせいですよ!!ブリタニアに捕まった連中は、みんな、記憶を書き換えられちまったんです!!」
バンッ!と机を叩いた卜部に視線が集まる。
「裏切り者扱いされて、ルルーシュがどんな思いをしたか、わかってるか!?・・・俺達が送り出したんじゃねーか!ナナリーを助けに行けって!!・・・それなのにッ!」
「ギアスを解く方法が未だ見つかりません。・・・ですから、貴方方が思い出してくれることを期待していたのですが・・・無理だったようですね。」
神楽耶の言葉も厳しい。桐原もむっつりと黙ったままだ。
「卜部さん、神楽耶・・・この人達を責めないで。」
困ったようにルルーシュが卜部達を宥め、藤堂達に向き直る。その左目は閉じられていて、朝比奈がハッとする。
「・・・暴走、止まってないの?」
そこは覚えているのか、とルルーシュは苦笑をうかべた。
「はい。普段は、コンタクトレンズで力を抑えています。・・・発動したままだと、意図していなくても行動を促す言葉に反応するので。」
そう言って、ルルーシュは懐からコンタクトレンズを取り出し、左目につける。元のロイヤルパープルに戻った瞳を見つめ、朝比奈はくしゃりと表情を歪めた。
「ごめん・・・どう頑張っても、思い出せないんだ。ルルーシュ君がゼロだったって、俺達は知ってたんだよね?」
「はい。・・・でも、しょうがないですよ。俺も、1年間、自分がゼロであることを忘れていましたから。」
「ルルーシュ君も捕まったのか?」
千葉が確認すれば、ルルーシュは頷く。
「ええ、スザクに。・・・皇帝の前に突き出されて。」
「アイツっ!!」
過剰な反応を見せた朝比奈に、藤堂が落ち着くように言って、その腕を掴んだ。
「・・・ルルーシュ君、思い出せないのがもどかしいが、いろいろと理解した。・・・今までの態度を許してほしい。」
困ったように頭を下げた藤堂に、ルルーシュは泣きそうな表情で頷く。
「こちらこそ・・・っ。」
「ルルーシュく・・・。」
言葉を詰まらせたルルーシュに、朝比奈が手を伸ばそうとする。それをC.C.がパシン、と叩き落とした。
「っ・・・C.C.。」
「しばらく、お触りはお預けだ。・・・思い出すまで、そうしてろ。」
じろり、と睨まれて、それでも言い返すことができずに、朝比奈は項垂れる。
「C.C.。」
体勢的に上目遣いになっているルルーシュに一瞬絆されそうになるが、心を鬼にして、C.C.は告げる。
「ルルーシュ、お前、エリア11に戻れ。」
「でも。」
「良いから、戻れ。少し前に咲世子から連絡があった。かなりマズい状況らしい。」
「マズい状況?」
ルルーシュの問いに、C.C.は厳しい表情で告げた。
「ラウンズのスリーとシックスがアッシュフォード学園に転入してくる。先日、その手続きがあったそうだ。」
「っ!?」
ルルーシュは息を呑み、それから、フッと視線を落とした。
「いい加減、皇帝も気づいた・・・か。」
「ナナリーの補佐で手一杯なスザクが頼んだかもしれないぞ?」
「俺の監視を?」
「自分が行けない分、ラウンズで牽制しておこうというつもりだろう。」
「成程。」
溜息をついたルルーシュは、仮面を再び被る。
「では、しばらくはこちらを離れる。・・・実務は・・・卜部、お前が取り仕切れ。」
“ゼロ”としての言葉に、卜部は肩を竦め、酷く憔悴した様子の藤堂達を見やりながら頷いた。
「承知。」
アッシュフォード学園・クラブハウス
「(はっきり言わせて貰おう。拍子抜けだ!!)」
心の中で叫びながら、ルルーシュは生徒会室でラウンズも含め、和気藹藹とお茶を飲んでいるメンバーを見つめる。
「あ~あ、いよいよ、卒業かぁ。」
ミレイがぼやく。
「なんか、2年間、会長に振り回されっぱなしだった気がします;」
シャーリーが苦笑すると、ミレイも苦笑をうかべた。
「言ってくれるな、若人w」
「若人って;・・・まぁ、良いですけど。それなりに楽しかったし。」
「シャーリー、なんていい子なの!!・・・ルルちゃんも、こういうところを見習ってほしいわ!」
ミレイの意味ありげな視線に苦笑をうかべ、ルルーシュは肩を竦めた。
「なぁ、ルルーシュせーんぱいw・・・振り回すって、具体的にはどうだったんだ?」
わくわくとしながら聞いてきたのは、ナイト・オブ・スリー、ジノ・ヴァインベルグ。
「すみません、詳しくはちょっと。」
「あ~、また敬語!!ここでは、ラウンズとか関係ないって、言ったじゃん!」
むくれるジノに、ルルーシュは苦笑する。
「・・・記録。」
ポツリと呟いて、携帯のシャッターボタンを押す、ナイト・オブ・シックス、アーニャ・アールストレイム。
ルルーシュはなるべく2人に関わりあいにならないようにしているのだが、ジノの方から絡んできて、もれなくアーニャも付いてくるので、参ってしまう。
「あ~あ、なんか物足りないのよね。」
「卒業記念にでっかいイベントでもやります?」
「あら、良いわねぇw」
ミレイのぼやきに、リヴァルが提案する。その2人を見つめて、ルルーシュは物悲しくなる。
ミレイ達の記憶改竄は、黒の騎士団よりも徹底している。それに、機情を潰したとはいえ、ラウンズがうろついている中で、安心して暮らせない。それを知っているロロや咲世子が騎士団に帰るように言ってはくれている。
かと言って、今の騎士団も、居心地が良いわけではない。
「じゃあ、イベントの件、決まったら、連絡するから~。」
ラウンズも含めた生徒会のメンバーが帰ってしまうと、それを玄関で見送ったルルーシュはホッと息をついた。
「大丈夫?」
ロロが気遣うように見上げてくる。
「ああ。大丈夫だよ。」
ルルーシュは答え、もう一度外を見て、ビシリと固まる。
「兄さん?」
ロロが不思議そうに見上げてくる。
「・・・ジェ、レミア?」
思わず、言葉が詰まった。きっと恨まれている。憎んでいる。彼のブリタニアへの忠誠をを穢してしまったのは自分だから。
ロロが一瞬にして状況を把握し、ギアスを発動させてジェレミアに向かっていく。と、その瞬間、ジェレミアの目が青く光り、ロロのギアスを無効化する。
「っ!?・・・僕の絶対停止の結界が!!」
慌ててジェレミアから距離を取ったロロは、ルルーシュを庇うように、2人の間に立った。
「ルルーシュ・・・なぜ、祖国に反逆し・・・己の父を害そうとする?」
ゆっくりとした足取りで近づきながら、ジェレミアが問う。
「ナナリーと共に逃げ隠れせずとも安心して暮らせるようになるため、そして、弱者が強者に虐げられない優しい世界を作るためだ!!」
ルルーシュがはっきりと答えると、ジェレミアは更に近寄ってくる。
「それが、真意か。」
「そうだ!そのためには、ブリタニアが邪魔だ!!・・・それに、母のことを皇帝は守ろうともしなかった!そんな奴に――ッ!」
「知っています。」
叫ぶルルーシュに、ジェレミアが頷く。
「え?」
様子のおかしいジェレミアに、ルルーシュは眉を顰め、ロロと視線を合わせる。
「私は、あの時、アリエス宮にいました。」
「!?」
「あの場にいながら、お守りすることが叶わなかった。・・・私が真に忠誠を誓ったのはマリアンヌ様。」
極近くまでやって来たジェレミアは、その場に膝をついた。
「やはり、貴方は・・・あの方の御子だ。私は・・・。」
「ジェレミア?」
呆然と見つめてくるルルーシュに、親愛のこもった視線を向け、ジェレミアは告げた。
「私は、貴方にお味方するために、参りました。我が君―――。」
合衆国日本・蓬莱島
「なっ。」
「まさか。」
呆然と空を見上げる黒の騎士団の幹部達。その視線の先には、ハドロン砲の照準を蓬莱島の居住区に向けた、帝国宰相所有の浮遊航空艦アヴァロン。
百万の日本人を人質に取られた形の黒の騎士団は無抵抗のまま、彼等を迎え入れるしかなかった。
斑鳩・会議室
「ゼロは、不在なのかな?」
穏やかな笑みをうかべて目の前に座る帝国宰相に、藤堂は眉を顰めた。
「今頃は、日本を取り戻すために動いているはずだ。」
「お前達は、ゼロの正体を知っているのか?」
そう尋ねたのは、行方不明とされていた、元エリア11総督、コーネリア。
疲労の色が濃く表情に浮ぶ彼女は、ブラックリベリオン後、いろいろと調べ回り、真実を探り当て、すぐさま義兄に連絡し、こうして乗り込んで来たのだ。
扇達が黙りこんでいるのを横目で確認し、藤堂はキッとシュナイゼルを睨み据える。
「何が、言いたい。」
「ゼロは、君達の味方と言いきれるのかな?・・・彼は恐ろしい能力を使って、君達を騙しているのかもしれないんだよ?」
“恐ろしい能力”そう聞いて、朝比奈がハッとする。その言葉がギアスを指していることは明白。これが記憶改竄の前ならばフォローのしようもあるが、ルルーシュ=ゼロと知らない扇達にいくら言っても疑惑は残るだろう。
「恐ろしい能力?そ、それが何だってんだよ!」
立ち上がったのは、玉城だった。彼だけは、なぜか、以前以上にゼロに馴れ馴れしく接していた。
「おやおや・・・盲目に信じるというのは、良くないねぇ。」
クツクツと笑い、シュナイゼルは書類を差し出した。そこに乗っているのは、ユーフェミアや日本解放戦線のメンバー。
「彼等は、ゼロに操られてあのような行動を取った疑いがある。」
疑いどころではない。事実だ。それを聞かされていたキョウトや藤堂達はしまったと歯軋りをし、扇達の不信感が煽られてしまったことを悟る。
「証拠はあるのか?」
藤堂が口を出すと、シュナイゼルはクス、と笑う。
「確証はない。けれど、身に覚えはないかい?自分の意思とは別に行動してしまったというような過去は。」
質が悪い。
このように言われてしまうと、人間の心理として“もしかして、あの時のあれが”などと思い込んでしまうこともある。
「そんなものはございません。」
きっぱりと神楽耶が言ってのける。だが、余程自信があるのか、シュナイゼルは余裕の表情を崩さない。
「それこそが、操られている結果だったら、どうする?」
「ふざけないでくださいませ!ゼロ様が私達にそのようなことをするわけがありません!・・・第一、この者達が貴方の言葉で疑いの心を抱いている時点で、操られているわけではないということくらい、わかるではありませんか!!・・・私がもし、そのような力を持っていたら、疑いなど一切持たせないように操ります!!」
神楽耶の一喝に、扇達がハッとする。あのゼロが、こんな中途半端な真似をするだろうか。そう考えたら、神楽耶の言うことが尤もだと思えたのだ。
「・・・ふぅむ。」
シュナイゼルが手強いね、と小さく呟く。
じわじわと不安が心を占めていく。ゼロがルルーシュだと知っていても、記憶改竄を受けているせいなのか、ゼロを疑ってしまう自分がいる。朝比奈は思わずといったように背後のドアを見つめた。
「(ルルーシュ君、早く帰ってきて・・・不安で不安で、しょうがない。君は本当に、俺達を裏切ってなんか、いないよね?)」
そんな、朝比奈の思いが通じたのか、ドアがシュッと音を立てて開いた。シュナイゼル達は視線を上げ、黒の騎士団側は、全員が振り向いた。
そこに立っていたのは、ゼロとカレン、卜部、C.C.、そして・・・。
「お、オレンジ!?」
玉城が指をさす。それに、不快気に眉間にしわを寄せ、ジェレミアはゼロを振り返った。
「・・・よろしいですか?」
「ああ。構わない。」
許可を得たジェレミアは、仮面を装着している左目の“力”を発動する。青い結界が展開され、会議室全体を包み込む。
「「「「「っっつ!!?」」」」」
キョウトを除く黒の騎士団の者達と、コーネリアが同時に頭を抱える。ジェレミアの“力”は“ギアスキャンセラー”ギアスによる作用全てを無効とする力だった。それは、ずっとルルーシュ達が探し求めていた“力”。
「っ!・・・ルルーシュッ!!」
先に正気に返ったコーネリアが立ちあがり、ゼロを指差す。
「お久しぶりですね、姉上。兄上。」
仮面を外したルルーシュに、ブリタニア側の面子はギョッとする。こんなにもあっさりと仮面を外すとは思わなかったのだ。
「あんの、クソ皇帝がぁぁッッ!!」
「あの巻き舌親父!!ふっざけんな、こんちくしょう!!」
「っつーか、どうやって謝りゃ良いんだよ!!」
突如、玉城が叫んだ。すると、黒の騎士団の幹部達が口々に皇帝を罵り出し、ちらりちらりとルルーシュを確認しつつ、バツの悪い表情をうかべる。
「あ・・・でもよ~、俺らより、朝比奈達の方が、やばくね?」
「「「あ、確かに。」」」
玉城がふと朝比奈に視線を向ければ、幹部達も同様に朝比奈に視線を向けた。そして、その当人はというと、顔面蒼白になって、ガタガタと震えていた。
「信じらんない・・・何これ、ウソでしょ・・・俺、ルルーシュ君になんて言ったらッ!!」
「つ、突っ込み役が・・・突っ込み役がッ。」
「っ~~~情けないッ;」
朝比奈の隣にいた千葉もブツブツと呟き、藤堂は完全にテーブルに突っ伏している。そして、仙波が深々と溜息をついた。
「はぁ・・・これは、敵いませんな。」
「ようやく、思い出したみてぇだな。」
「卜部さんズルイ!!なんで、卜部さんは捕まってないのさッ?!」
「日頃の行いが良いんだよw・・・第一、俺を責めるのはお門違いだろうが。」
朝比奈が恨めしげに睨むと、卜部が呆れたように言う。
「恨むなら皇帝を恨めよ。お前らの記憶の改竄したのは、皇帝なんだからよ。」
「・・・皇帝陛下が?」
不審げな表情になったシュナイゼルに、卜部は冷笑をうかべた。
「そうそう。おたくらの皇帝がな、うちの幹部の記憶をそっちに都合よく書き換えてくれたんだよ。おかげで、こっちはどれだけ大変だったか。おたくらも、うちのリーダーを責める前に、自分とこのを何とかしたらどうだ?・・・なんか、怪しげな計画を立ててるみたいだぜ?」
「だがっ、ルルーシュはユフィを・・・あの虐殺は!!!」
コーネリアが叫ぶと、卜部はやれやれと首を振る。
「ありゃ事故だぜ。・・・あんたは、自分の弟が好き好んで、妹にあんなことをさせたって思うのか?」
「っ!?」
卜部の言葉にいつだって妹達には優しかったルルーシュを思い出して、コーネリアは息を呑む。
「・・・ふむ。これは、本国に帰って、皇帝陛下に確認する必要がありそうだ。君の言う計画とやらも気になるしね。」
シュナイゼルはそう言って、立ちあがるとルルーシュに視線を向けた。
「君がこんなことをしている理由は理解しているつもりだ。・・・でもね、君がこのまま敵であり続けるなら、私は容赦しないよ?」
「構いません。俺は、俺自身の望みのために、ブリタニアをぶっ壊します。」
はっきりと宣言したルルーシュに、シュナイゼルは一瞬、苦笑をうかべ、それからコーネリア達を引き連れ、会議室を出て行った。
そして、残された幹部達は、それぞれに視線を交わらせ、それから、おずおずとルルーシュを見つめた。
「る、ルルーシュ君。」
朝比奈が手を伸ばす。今度はC.C.も叩き落とすようなことはせず、その行動を見つめている。
「俺ッ・・・本当にごめん!ごめんなさい!!」
「いえ。省吾さん、皆も・・・思い出してくれて、よかった。」
皆を責めるようなことをせず、ふんわりと笑みをうかべたルルーシュに、朝比奈は目頭が熱くなる。
「責めたりして、ごめん・・・正体を教えて貰った時も、信じられなくて、ごめん・・・疑ってごめん・・・。」
ぐい、と腕を引き、朝比奈はルルーシュを腕の中に収める。ルルーシュはその温かさにうっとりと眼を細め、朝比奈の背に手を回す。
「省吾さん、おかえりなさい。」
その言葉に、朝比奈は息を呑み、それからルルーシュを抱きしめる腕に力を込めた。
「ただいま・・・ルルーシュ君。」
そんな久々の甘ったるい空気にイラッとした卜部が、訳もなく朝比奈の頭に拳骨をくらわせたのは、言うまでもないだろう。
おしまい
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