Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・ 時美・小夢・珠羅・秀華・白輝・藍・蒼夜・千坐がメインのオリジナルキャラクターになります
・ 渦の国は滅んでいません。したがってすべてがオリジナルの設定となります
・ よろしいですね?注意はしましたよ?
・ では、どうぞ・・・↓
「さ、さぁ~て、この国の様子を視てこようかなぁ!」
「時美、守り手は必要か?」
「うん、必要。・・・お願い、イタチ」
立ちあがった時美を見上げて訊ねるイタチに、こくりと時美は頷く。
「(・・・話逸らしたわね、時美)・・・まぁ良いわ。時美の眼はそのためにあるんだし」
話を逸らしたことについては言及《げんきゅう》せず、肩を竦めた白輝に一同はホッと息をつき、それから時美に視線を集中させた。
「そうですね、この国全体の状況や対象がどこにいるのかっていうのを押さえておかないと」
「でも、無理はダメよ。・・・貴女の眼は・・・」
頷く時美に、蒼夜が言う。
「わかってます。・・・私の瞳術は・・・万華鏡のような反作用は無くても、眼を酷使することには変わりない」
時美が言えば、その場の全員が沈痛な表情をうかべる。
「・・・安心しなさい、時美の眼が見えなくなったら代わりの眼を私が用意してあげる」
白輝が唐突に言う。
「え?」
時美が首を傾げた。
「時美にその術を叩きこんだのは私。だから、その責任をとるのも私。・・・でしょ?」
何を不思議がっているのか、と白輝が言えば、時美は苦笑した。
「・・・それはどうもありがとうございます。師匠」
「私はリスクを知っていて時美を鍛えた。当然のことよ」
無表情で告げる白輝を見て時美は気付いた。これは無事で済みそうにはないと。そう白輝が判断したのだ、と。
「・・・まぁ、せいぜい、頑張ります」
ただ、気付かぬふりをして、時美は皆にそう告げたのだった。
***
そうして別室に移った時美は、神経を集中させる。
「イタチ、私はこれから“飛ぶ”から誰か来たら、知らせてね」
「・・・わかった」
頷くイタチの瞳の奥に、不安と心配の色が宿っている。時美は苦笑をうかべた。
「命まで取られるわけじゃない。今回の敵は触れれば命を落とす。だから私の力が必要なの。わかるよね?」
「・・・ああ。俺も忍だ。わかる。・・・ただ、見えなくなる恐怖は知っているから・・・」
イタチもまた万華鏡を持つが故の反作用に苦しんでいる。だからなのか時美の眼に頼ることを嫌う。
「うん。私だって、怖い。・・・でも、仲間が命を落とすかもしれない方がもっと―――怖い」
「・・・時美・・・」
「さ、始めるよ」
どんよりとした空気を吹き払うように時美が言うと、イタチは無言で頷いた。
「・・・“紅眼《こうがん》”」
時美が唱えるのと同時に、眼が薄紅色に染まった。
その瞬間、まるで薄い膜の中に入ったような感覚が感じられる。もちろん一般人ならば全く感じないほどの、ごくわずかな感覚だ。
だが、“死を振りまく獣”や暉莉姫達は気付いただろう。
「・・・時美・・・」
意識を集中させ、この国中を“飛びまわっている”従姉兼婚約者を見つめ、イタチはその名を心配そうに呟いた。
しかし“死を振りまく獣”という存在は、未だ謎に包まれている。あの封印の書には何が書かれているのか。
せめて皆が命を落とさずにすむ方法が書かれていれば良い。そう思いつつも、この時ばかりはさすがに自分を無力に感じ、イタチはゴツッ、と床に拳を振り下ろした。
***
国中を飛び回る時美は、あることに気付く。
「(・・・この国・・・いや、戦姫の住まいである神殿を中心とした、半径1km・・・これは、封印の術式になっている?)」
つまりは、この周辺の建物や外灯自体が“死を振りまく獣”を抑え込むように建てられているのだ。
「(なるほどね・・・だから、国民は外に出て来ないんだ)」
建物内にいれば安心ということは“死を振りまく獣”は建物の中には入れないということか。もしくは建物内に入ると活動を停止してしまうのか。
「(対象を絞った方が良さそうね)」
おそらくこの半径1km以内に“死を振りまく獣”がいる。あれはこの封印の術式と化している街並みのために、勝手には外に出られないようになっている。
「(外にいるのは・・・千坐と玖々流っていうクシナ様の影・・・それから・・・暉莉姫?)」
建物のベランダに出て、遠くを見つめる暉莉。その眼は虚ろだった。
「(まさか・・・!)」
時美が暉莉に近づこうとしたその時、ギョロリとその眼がこちらを向き、その瞬間電光のようなものが走り、時美は弾き飛ばされる。
「っ!!?」
時美は悲鳴を呑み込み、堪らず陣を解いた。
「っはぁっ、はあっ・・・」
荒く息をつく時美に、イタチが駆け寄る。
「時美!」
「イタチ・・・私達は、とんでもない勘違いをしてた・・・!」
「時美・・・どういうことだ?」
「“死を振りまく獣”は、私達が思っている以上に狡猾で・・・身近にいる!!」
その言葉に顔色を変えたイタチは、動けずにいる時美を抱え上げて皆のいる部屋へと向かった。
***
「白輝さんっ!」
ぐったりとした時美を抱えて部屋に入って来たイタチに、一同は騒然となる。
「兄さん!時美は・・・時美はどうしたんだよ!?」
サスケが真っ先にイタチに駆け寄る。
「・・・わからない。ただ“死を振りまく獣”は俺達が思っている以上に狡猾で、身近にいるんだって、そう言って・・・」
冷静なように見えて、どうやらイタチも動揺しているらしいと悟ると、蒼夜はてきぱきと指示を飛ばした。
「珠羅、布団しいて。小夢は桶に水入れてタオル絞って。ナルト、シカマル、サスケ、貴方達3人は外で誰も来ないように見張っててね」
「「「「「了解」」」」」
「・・・時美・・・」
「・・・白輝の勘、当たったわね」
蒼夜が言えば、白輝は眉根を寄せる。
「・・・当たってほしくない時に限って、当たるのよ」
そう言って、静かに布団に横たえられた時美の額に手をあてる。深呼吸して、気を静める。
「・・・・・・・・・やっぱり、少し“喰われてる”わね」
ふぅ、と溜息をついて白輝は顔をあげる。
「“喰われてる”って?」
「時美の“眼”はチャクラを喰うわ。だけどそれは許容範囲内のことであって、尾獣クラスのチャクラとなると逆に喰われる可能性があるの。・・・ましてや、相手は“死を振りまく獣”と呼ばれるくらいだから、人の生命力を喰らってるんでしょうしね。チャクラなんて大好物に違いないわ」
難しい表情の白輝を見て、イタチが時美の手をぎゅう、と握り締める。
「・・・時美」
「ただ、時美が完全に捕らわれる前に自分から陣を解いたから。命までは喰われなかったみたい」
ただ、それだけが救いだ。とその場の全員が思わずにはいられなかった。
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・ 時美・小夢・珠羅・秀華・白輝・藍・蒼夜・千坐がメインのオリジナルキャラクターになります
・ 渦の国は滅んでいません。したがってすべてがオリジナルの設定となります
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「時美、守り手は必要か?」
「うん、必要。・・・お願い、イタチ」
立ちあがった時美を見上げて訊ねるイタチに、こくりと時美は頷く。
「(・・・話逸らしたわね、時美)・・・まぁ良いわ。時美の眼はそのためにあるんだし」
話を逸らしたことについては言及《げんきゅう》せず、肩を竦めた白輝に一同はホッと息をつき、それから時美に視線を集中させた。
「そうですね、この国全体の状況や対象がどこにいるのかっていうのを押さえておかないと」
「でも、無理はダメよ。・・・貴女の眼は・・・」
頷く時美に、蒼夜が言う。
「わかってます。・・・私の瞳術は・・・万華鏡のような反作用は無くても、眼を酷使することには変わりない」
時美が言えば、その場の全員が沈痛な表情をうかべる。
「・・・安心しなさい、時美の眼が見えなくなったら代わりの眼を私が用意してあげる」
白輝が唐突に言う。
「え?」
時美が首を傾げた。
「時美にその術を叩きこんだのは私。だから、その責任をとるのも私。・・・でしょ?」
何を不思議がっているのか、と白輝が言えば、時美は苦笑した。
「・・・それはどうもありがとうございます。師匠」
「私はリスクを知っていて時美を鍛えた。当然のことよ」
無表情で告げる白輝を見て時美は気付いた。これは無事で済みそうにはないと。そう白輝が判断したのだ、と。
「・・・まぁ、せいぜい、頑張ります」
ただ、気付かぬふりをして、時美は皆にそう告げたのだった。
***
そうして別室に移った時美は、神経を集中させる。
「イタチ、私はこれから“飛ぶ”から誰か来たら、知らせてね」
「・・・わかった」
頷くイタチの瞳の奥に、不安と心配の色が宿っている。時美は苦笑をうかべた。
「命まで取られるわけじゃない。今回の敵は触れれば命を落とす。だから私の力が必要なの。わかるよね?」
「・・・ああ。俺も忍だ。わかる。・・・ただ、見えなくなる恐怖は知っているから・・・」
イタチもまた万華鏡を持つが故の反作用に苦しんでいる。だからなのか時美の眼に頼ることを嫌う。
「うん。私だって、怖い。・・・でも、仲間が命を落とすかもしれない方がもっと―――怖い」
「・・・時美・・・」
「さ、始めるよ」
どんよりとした空気を吹き払うように時美が言うと、イタチは無言で頷いた。
「・・・“紅眼《こうがん》”」
時美が唱えるのと同時に、眼が薄紅色に染まった。
その瞬間、まるで薄い膜の中に入ったような感覚が感じられる。もちろん一般人ならば全く感じないほどの、ごくわずかな感覚だ。
だが、“死を振りまく獣”や暉莉姫達は気付いただろう。
「・・・時美・・・」
意識を集中させ、この国中を“飛びまわっている”従姉兼婚約者を見つめ、イタチはその名を心配そうに呟いた。
しかし“死を振りまく獣”という存在は、未だ謎に包まれている。あの封印の書には何が書かれているのか。
せめて皆が命を落とさずにすむ方法が書かれていれば良い。そう思いつつも、この時ばかりはさすがに自分を無力に感じ、イタチはゴツッ、と床に拳を振り下ろした。
***
国中を飛び回る時美は、あることに気付く。
「(・・・この国・・・いや、戦姫の住まいである神殿を中心とした、半径1km・・・これは、封印の術式になっている?)」
つまりは、この周辺の建物や外灯自体が“死を振りまく獣”を抑え込むように建てられているのだ。
「(なるほどね・・・だから、国民は外に出て来ないんだ)」
建物内にいれば安心ということは“死を振りまく獣”は建物の中には入れないということか。もしくは建物内に入ると活動を停止してしまうのか。
「(対象を絞った方が良さそうね)」
おそらくこの半径1km以内に“死を振りまく獣”がいる。あれはこの封印の術式と化している街並みのために、勝手には外に出られないようになっている。
「(外にいるのは・・・千坐と玖々流っていうクシナ様の影・・・それから・・・暉莉姫?)」
建物のベランダに出て、遠くを見つめる暉莉。その眼は虚ろだった。
「(まさか・・・!)」
時美が暉莉に近づこうとしたその時、ギョロリとその眼がこちらを向き、その瞬間電光のようなものが走り、時美は弾き飛ばされる。
「っ!!?」
時美は悲鳴を呑み込み、堪らず陣を解いた。
「っはぁっ、はあっ・・・」
荒く息をつく時美に、イタチが駆け寄る。
「時美!」
「イタチ・・・私達は、とんでもない勘違いをしてた・・・!」
「時美・・・どういうことだ?」
「“死を振りまく獣”は、私達が思っている以上に狡猾で・・・身近にいる!!」
その言葉に顔色を変えたイタチは、動けずにいる時美を抱え上げて皆のいる部屋へと向かった。
***
「白輝さんっ!」
ぐったりとした時美を抱えて部屋に入って来たイタチに、一同は騒然となる。
「兄さん!時美は・・・時美はどうしたんだよ!?」
サスケが真っ先にイタチに駆け寄る。
「・・・わからない。ただ“死を振りまく獣”は俺達が思っている以上に狡猾で、身近にいるんだって、そう言って・・・」
冷静なように見えて、どうやらイタチも動揺しているらしいと悟ると、蒼夜はてきぱきと指示を飛ばした。
「珠羅、布団しいて。小夢は桶に水入れてタオル絞って。ナルト、シカマル、サスケ、貴方達3人は外で誰も来ないように見張っててね」
「「「「「了解」」」」」
「・・・時美・・・」
「・・・白輝の勘、当たったわね」
蒼夜が言えば、白輝は眉根を寄せる。
「・・・当たってほしくない時に限って、当たるのよ」
そう言って、静かに布団に横たえられた時美の額に手をあてる。深呼吸して、気を静める。
「・・・・・・・・・やっぱり、少し“喰われてる”わね」
ふぅ、と溜息をついて白輝は顔をあげる。
「“喰われてる”って?」
「時美の“眼”はチャクラを喰うわ。だけどそれは許容範囲内のことであって、尾獣クラスのチャクラとなると逆に喰われる可能性があるの。・・・ましてや、相手は“死を振りまく獣”と呼ばれるくらいだから、人の生命力を喰らってるんでしょうしね。チャクラなんて大好物に違いないわ」
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