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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・『貴方と出会った日から』設定・番外編
・ミレイさんのモラトリアム
・ルル愛されてます
・捏造満載!

以上、同意できる方のみ↓へ・・・










「・・・で、でもよ、それと、これってどう関係があるんだよ?」

「関係大アリ!!」

 戸惑ったように言う玉城に、ミレイがキツイ視線を向ける。

「今まで以上に、殿下の居場所を探ろうとする者達が増えるかもしれないのよ?つまり、今まで以上に私達が結束して殿下をお守りしなければいけないの。・・・だ、か、ら、この血判状に名前を書いてもらおうと思ってv」

「・・・それは良いけどさぁ、この名前はどうかと思うんだけど。」

 さすがの朝比奈も、このネーミングセンスはどうかと思ったらしい。そう言ってミレイを見れば、ミレイも苦笑いをうかべた。

「これで良いんです~。ストレートに表現すれば、こうなるんですから。」

「・・・まだ、モラトリアムの癖が抜けてないんだな、ミレイ。」

「だぁって~、ルルちゃんがいなくなって、格段に(私の)仕事の量が増えちゃって~モラトリアムに浸る時間がないから、つい~~v」

 うふ。と笑って誤魔化すミレイに、ルルーシュは呆れたような視線を向けて、深い溜め息を吐いた。

「カレンから話は聞いてるけどな。・・・スザクに嫌がらせをする時間を少し減らせば、仕事もはかどるんじゃないのか?」

「駄目です~。まだまだ、気分は晴れてませんから。・・・今回の件もスザクのせいなんですし。」

「・・・スザクのせいって・・・まあ、そうなんだが。・・・ほどほどにな?」

「はぁ~い。」

 ミレイは軽い調子で返事をして、それから、血判状をルルーシュから取り上げる。

「さ~、キリキリと書いてもらいましょうか?」

 ニッコリ。

 笑顔が怖い。完全に圧されてしまっている面子を見やり、ルルーシュは再び深い溜息を吐いた。

「ミレイ・・・無理矢理書かせようとするな・・・。」

「じゃあ、殿下はキョウトに行って下さい。ここなんかよりよっぽど安全です。」

 ぴしゃりとミレイに言われて、ルルーシュはがくりと肩を落とす。

「・・・なんでそうなるんだ・・・。」

「だって、これに名前を書けないってことは、殿下を守る気は無いってことでしょう?だったら、危険なことはお辞めになって、キョウトの桐原さんや神楽耶様を頼って下さい。」

 ハッキリと言い切ったミレイの手から、朝比奈が血判状を奪うようにして取り、テーブルに置いた。

「ま、ミレイさんの言うことも尤もだけど、俺は書かせてもらうね。」

 そう言って、しっかりと名前を書いた朝比奈は、ミレイを見上げる。

「で?今回は本当の血判状にするの?それとも、ただの拇印にする?」

「拇印の方でいきます。朱肉はここにありますから。」

 朝比奈は、ミレイが差し出した朱肉を受け取り、迷わず親指につけて、自分の名前の下に押す。

「・・・俺も書こう。」

 藤堂もそう言って、名前を書き始めたので、他の四聖剣もそれに倣う。

「・・・お、俺も書くぞ!!ルルーシュは仲間だ!守る気が無いなんて言われて、黙ってられっかよ!!」

 良くも悪くも、その場の空気を変える(というか、読まないで悪化させる方が多い)男、玉城が叫ぶ。それにつられる様にぞろぞろと他の幹部達も血判状に名を書くために列を作った。

「・・・そうでなくっちゃねぇ~♪」

 してやったりの表情のミレイを見て、朝比奈は苦笑をうかべた。

「うまく乗せられちゃったねぇ・・・。で、他の道具は何に使うの?」

「あ、白い布は、ルルーシュを愛し隊の旗を作ろうと思って。で、カフスボタンは、隊員全員に配るんです。イミテーションですけど、アメジストに似せた石をはめてあるでしょう?」

「なるほど、やっぱりこれは、ルルーシュ君の瞳の色をイメージしてたんだ。・・・紅月さんの行動は正解、だったね。」

 朝比奈がクツクツと笑う。その時の状況を話すと、ミレイもああ、と笑った。

「もう、ルルちゃんってば、相変わらず天然たらしなんだから。・・・朝比奈さんも大変ね~?」

「まったくだよ~。でも、ま。・・・そっちはそっちで大変みたいだけど、絶対ルルーシュ君は守るから、心配しないで。」

「・・・はい。状況次第では、しばらくはこちらに来れなくなると思うので・・・殿下のこと、よろしくお願い致します。」

 つまりは、ミレイ自身が直接的に様子を見に来れなくなった時を想定して、改めて、騎士団幹部の気持ちを確認するためにこんなことを言い出したのだと、皆が気付く。

「ミレイ・・・ありがとう。」

 ルルーシュが満面の笑みを見せると、ミレイはほんのりと頬を染めて頷いた。

「いいえ。こちらのことは、私達にお任せを。・・・それから、暫くは外出もお控えください。」

「わかった。」

 しっかりと頷いたルルーシュを見て、ミレイはホッと胸を撫で下ろした。





「ホント、アッシュフォードってすごいねぇ。」

 幹部全員が署名拇印をした“ルルーシュを愛し隊”の血判状を満足げに持ち、リヴァルと共に黒の騎士団を後にしたミレイを思い出し、朝比奈はほう、と息をついた。

「・・・ミレイやルーベンには本当に世話になってます。・・・今回の件もそうだけれど、終戦後、いち早く日本に来て、速やかに死亡の処理をして、様々な経歴の偽造にも手を回してくれて・・・アッシュフォードがいなければ、俺は、もう、この世にはいなかったかもしれない。」

 呟くルルーシュに、朝比奈だけでなく、その場にいた全員が神妙な面持ちをうかべた。

「・・・ルルーシュ君・・・。」

「あの頃の俺は、素直に人の好意に甘えることが出来なかった。・・・そういう立場だったから、というのもあるけれど・・・アッシュフォードが迎えに来てくれて、心の底から安心したのに、それでも、それを言葉に出して言うことは出来なかった。」

「でも、今は言えるでしょ?・・・それだけで、ミレイさんを含めアッシュフォードの人達は充分嬉しいって思ってると思うよ?」

 朝比奈がそっと肩に手を置き、ニコリと笑う。それにつられる様にしてルルーシュも笑みをうかべる。

「そうですね。・・・これからは、ちゃんと、口に出して伝えようって思ってます。・・・もちろん、キョウトの桐原さんや神楽耶にも、ちゃんとお礼を言わないといけませんしね。」

「うんうん。・・・きっと、ミレイさん、あの血判状、キョウトに送るんだと思うよ、多分。」

「・・・発案がミレイ、監修がキョウトということでしょうか・・・。」

 額を指で押さえたルルーシュに、朝比奈は苦笑をうかべる。

「桐原公もノリの良い人だからねぇ。・・・というか、ナナリーちゃんを安心させる意味もあると思うんだけどね。」

「・・・ああ、そうか、そうですよね。きっと、ナナリーは俺なんかよりもっと不安なんだろうな・・・。キョウトに行ってやりたいけど、それはそれで危険だしな・・・。」

「じゃあ、ゼロで行けば?・・・だってさ、キョウトがゼロとつながりがあるのは、周知の事実でしょ?」

 朝比奈に言われて、ルルーシュは目を丸くした。

「・・・すっかり、ルルーシュでいることに慣れてしまってたらしいですね・・・そのことを忘れてました。」

「あはは、やだなぁ、ルルーシュ君ってば。・・・まあ、皆、ルルーシュ君の名前を呼んでて、ゼロって呼ぶ人いなくなっちゃったしね。」

 そうなのだ。素性を知って以来、幹部達は、呼び捨てや君付けをしてルルーシュを呼ぶし、ラクシャータを始めとした技術班の面子とディートハルトは殿下と呼ぶ。一般団員達もルルーシュ=ゼロと知っているので、ルルーシュ総司令、と名前で呼ぶようになっていて“ゼロ”という記号で呼ぶ人間は騎士団の中にはいない。

「ゼロとして仮面をかぶっている時まで、ルルーシュと呼ばれた時には、どうしようかと思いましたけどね。」

 だから、作戦の時はきつく言い聞かせる。間違っても、オープンチャンネルで名前を連呼されるわけにはいかないのだ。最初の頃は戸惑っていた団員達も、段々と慣れてきたのか、きっちりと区別をつけられるようになってきている。

「ホント、作戦の時でなくて良かったよねぇ。」

 くつくつと笑う朝比奈に、ルルーシュは憮然とする。

「笑い事じゃないですよ、省吾さん。・・・ユフィやリア姉様、シュナイゼル兄上が動き出したら、冗談じゃすまされないんですから。」

「そうだねぇ・・・今まで以上に気を張らなきゃだね。・・・アッシュフォードが粘れるだけ粘ってくれるとしても、やっぱり、キツイものがあるものねぇ。」

「・・・ねぇ、私も、どっちか一方にいた方が良いわよね?」

 突如、ぽつりとカレンが訊いてくるので、ルルーシュは一瞬首を傾げ、そして、ああ、と声をあげた。

「そうだな。・・・紅蓮がいないのはきつい。だから、カレンには、学園に行くのをしばらく控えてもらいたい。」

 ルルーシュの答えで、カレンの質問の意味を把握した幹部達も、揃って納得顔をした。

「カレン、本当は学校を優先しろって言いたいんだが・・・すまないな。」

 扇がすまなそうに言えば、カレンは首を横に振った。

「良いんです。・・・ルルーシュだって、学校を諦めたんです。私だって、周りの目がなければ、すぐにだって学校をやめるつもりですから。」

「カレン、それはダメだ。」

 カレンの決意に、非難の声をあげたのは、他でもないルルーシュだった。

「行ける時は行った方が良い。・・・今は意味の無いことって思うかもしれない。でも、学校に行くことで得られるものもあるんだ。」

 行けなくなって、初めて気付くこともある。とルルーシュは告げて、淋しそうな笑顔をうかべる。

「・・・ルルーシュ。・・・ええ。わかった。・・・今回の件が落ち着いて、また、学校に通えるようになったら、ちゃんと、学校の様子とか、ルルーシュに教えるから!」

 カレンは手を握りしめて、懸命に告げる。ルルーシュに悲しい顔などさせるつもりは無かった。なのに、自分の一言が、彼にこんな顔をさせてしまったのかと思ったら、後悔ばかりが頭を占めた。

「・・・ああ。ありがとう、カレン。」

 カレンの必死な姿に、クスリと笑みを漏らし、ルルーシュは頷く。しんみりとした空気が払拭されたことに安堵し、カレンはホッと息をついた。

「愛されてるね~。ホント。」

 微笑ましい、その2人の様子を見て、朝比奈はクスクスと笑う。ルルーシュが騎士団の皆に大切にされ、そして、ルルーシュが騎士団の皆を大切にしている。

 それは、朝比奈が望んでいたものだった。ルルーシュが本当は誰よりも優しくて、そして、誰にでも惜しみなく愛情を捧げられる人間だと知っているからこそ、それに応えうる、信頼できる人間が増えて欲しかった。

 ルルーシュには、猜疑心に苛まれ懸命に自分を押し殺し、作られた自分像を無理して演じて欲しくは無かった。そんなのは悲しすぎる。だからこそ、今のルルーシュと騎士団の関係はとても好ましい。

 時々、酷く妬けてしまって、苛立つ時もあるけれど、それは朝比奈がルルーシュを愛している証拠だから、騎士団の面々もその辺りは諦めてくれていると思うし、受け入れてくれていると思っている。

「妬けるか?」

 案の定、卜部が苦笑するので、朝比奈は首を横に振った。

「いいえ~?・・・あの程度で嫉妬してたら、ルルーシュ君に愛想尽かされちゃいますよぅ。そ、れ、に、紅月さんは別格なんですよ。」

 そう言った朝比奈に、言われた本人が目を丸くした。

「・・・私、別格ですか?」

「うん。別格。・・・紅月さんは“ゼロ”の騎士だからね。ルルーシュ君に信頼されて、大切にされるのは当たり前。・・・もっと言わせてもらえば、藤堂さんは小さい頃からの知り合いで、俺よりも先にルルーシュ君から信頼されてるから、文句無しだし、C.C.は共犯者っていう関係だから、俺が入り込むものでも無い。それから、ミレイさんやリヴァル君も庇護者であり悪友であるから、別格扱いだね。」

 指折りであげられた名前に、皆が納得したように頷く。

「大人になったなぁ、朝比奈。」

 そして、ニヤリと笑った卜部が、朝比奈の頭をぐしゃぐしゃとかき回す。

「うわ!・・・止めて下さいってば、卜部さん!!」

 慌てて、その手から逃れようとする朝比奈に、加虐心が煽られたのか、卜部は朝比奈を執拗に追う。

「・・・卜部さんが楽しそう。」

 ボソ、とカレンが呟くと、幹部達は失笑した。

「最近、懐にしまってある雑誌の使いどころが無くなったからなぁ。」

 最初のうちは、過激な朝比奈のルルーシュに対するスキンシップに、それはもう、良い笑顔でつっこんでいた卜部だが、最近はめっきりとその機会が減ったために、どうも手持無沙汰だったらしい。

「まったくだ。せっかくボロボロになった雑誌を買い換えたというのに、朝比奈の奴がまともな行動ばかりするから、出番が全く無くなってしまった。」

 恨めしげに言ったのは、四聖剣の紅一点の千葉だ。

 そういえば、この人もつっこみ役だったな、と幹部達は思い出す。楽しそうだった卜部と違って、真剣に怒っていたイメージしか無かったが、それは、表面上だけで、結構楽しんでいたらしいと、今ので悟ってしまう。

「・・・習慣になってしまって、今でも、雑誌を懐にしまってしまうんだ。・・・それもこれも、あの頃の朝比奈のせいだ・・・。」

 意外なところで、意外な被害が出ていたらしい。

 ブツブツと呟く千葉を申し訳なさげにルルーシュは見て、卜部に追いかけられている朝比奈を見つめる。

「・・・この生活が、いつまでも続けばいいのに。」

 呟きは存外大きく響き、言った本人であるルルーシュがギョッとして口を塞ぐ。

「ルルーシュ君。」

 ポン、と頭に大きな手が載せられる。

「・・・藤堂、さん。」

「続けばいいと思うなら、そうなるように努力をしよう。・・・君が幸せに笑っていられるように、我々も努力をするから。」

 藤堂の言葉に、ルルーシュははにかんだ笑みを見せて、こくりと頷いた。

「そうですね・・・そうしたら、まずは、ブリタニアからの探りを、どうやって解消させるか、考えなければいけませんね。」

「ああ、俺達も微力ながら、協力しよう。」

 そう言った藤堂が、視線を向けると、幹部達はしっかりと頷いてみせた。

「もっちろん!あったり前じゃねーか!・・・俺らは“ルルーシュを愛し隊”だぜ!?」

 玉城がしっかりと着けたカフスボタンを掲げながら言うと、卜部に追いかけられていた朝比奈が遠くから叫んだ。

「それ!!!俺のセリフ~~~~!!!」

 あまりにも情けない声での叫びに、ドッとその場の全員が笑い、その笑い声は、騎士団アジトに響き渡ったのだった。


おしまい ☆


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