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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・『貴方と出会った日から』設定・番外編
・ルルは天然たらし
・卜部さん+千葉さんはツッコミ担当

以上、同意できる方のみ↓へ・・・










「・・・省吾さん?」

「なーに?ルルーシュ君。」

「・・・えっと・・・これ、何ですか?」

 ルルーシュがちょこん、と首を傾げる。可愛らしい仕草に、思わず朝比奈は抱きしめたくなったが、そんなことをすれば、ルルーシュに今後警戒されてしまう恐れがあるから、止めておく。

 幹部達に自分達の仲の良さを見せびらかしたいのは山々なのだが、ルルーシュがそれを嫌がる、というか、ものすごく恥ずかしがっているので、自身の自制心を総動員して我慢しているのだ。

「・・・うーん。俺も、ミレイさんに渡されただけだから。」

 朝比奈はそう答えて、大きな箱の中身を取り出していた。その中には色々な物が入っていて、広げるだけでも一苦労だった。

「手伝います。」

「うん。ありがとう。」

 ルルーシュは、ミレイの名を聞いた瞬間、なぜか一瞬渋い顔をしたが、すぐに朝比奈の隣にしゃがみ込んで中身を取り出す手伝いを始める。

 2人で協力して箱の中身を出していると、ぞろぞろと騎士団の幹部達がやってくる。

「うを!・・・何やってんだよ、こんなとこで荷物広げて・・・。」

 玉城が真っ先に口を開けると、朝比奈は苦笑をうかべた。

「いや・・・ミレイさんが持ってきたんだ。当の本人はまだ準備があるからって、また租界に帰っちゃって。・・・一応、広げておいてくれって言われたから、広げてるんだけど。」

「な、なるほど。・・・で、これは何に使う物なんだ?」

 扇は微妙な表情をうかべて首を傾げる。ミレイの名を聞いて、少し怯えているのは、カレンと四聖剣が協力して、散々恐ろしいイメージを植え付けたせいでもある。

「さぁ、俺は聞いてないよ。・・・ルルーシュ君は?」

「俺も聞いてないですよ。・・・まあ、大方、何かイベントを持ち込むつもりなんでしょうけど。」

「ああ、イベントね。・・・でも、さすがに追いかけっことか、逆転とかは、無いでしょ?」

 朝比奈は散々ルルーシュに愚痴を聞かされていたので、ミレイの企画するイベントの恐ろしさを知っている。だから、すぐにピンと来る。それはカレンも同じだったようで、箱から出された物を眺めながら、唸る。

「う~・・・逆転は無いでしょ。会長だって、大の大人のそんな姿見たくないって言ってたし。・・・追いかけっこは・・・どうかしら?・・・でも、こんな道具は使わないと思うけど。」

「カレン、ミレイを甘く見ない方が良い・・・一体、今度は何を思いついたんだか・・・俺でさえも考えが及ばないことをやり出すからな、彼女は。」

「う。・・・で、でも、ほら!学校でやる時みたいなノリにはならないでしょ?」

「・・・幹部だけならな。一般団員まで巻き込めば、相当な人数になるだろう?」

「・・・あぅ。」

 半眼のルルーシュに指摘され、カレンは黙り込む。元々、2人は散々にミレイに振り回されてきた生徒会メンバーである。カレンは今も生徒会には所属しているが、ルルーシュがいないために仕事を疎かにしていると、ミレイ1人が苦労すること間違い無しなので、最近はまっとうな活動をしているため、油断していたのだ。

「その様子だと、カレンは聞いてないんだな?」

 改めてルルーシュに確認され、カレンはこくりと頷いた。

「当たり前でしょ?・・・聞いてたら、とっくの昔にルルーシュ連れて逃げてるわよ。」

 1人で逃げると言わないあたりは、さすが親衛隊長である。そんな感心をしながら、朝比奈は首を傾げた。

「ねえ、そんなに嫌そうにしてるけどさ・・・今までに一度も楽しいイベントは無かったの?」

「・・・私は、猫と逆転は別に・・・。」

「逆転はとんでもない。・・・猫は・・・まあ、開き直れば・・・。他は殆ど追いかけ回されていたから・・・嫌とか嫌じゃないとか考える余裕が無かった・・・。」

 答える2人に、朝比奈だけが納得する。が、幹部達はそうはいかない。

「猫?逆転?・・・なんだそれ。」

 案の定、玉城が訊ねてくるので、朝比奈はルルーシュの表情を窺いながら答えてやる。

「猫っていうのは、生徒会で飼ってる猫のアーサーのために開いたイベントで、皆で猫の仮装をやったんだよね?」

「ええ。・・・あの時も無理やり椅子に括りつけられて猫の格好をさせられたんです。」

「・・・腹いせに私のことをからかって楽しんでたけどね。」

「・・・悪かったって・・・。」

 カレンの突っ込みに、ルルーシュは苦笑いをうかべる。

「ま、いいわ。・・・でも、逆転祭りは、ホントにすごかったわよね。・・・スザクなんかノリノリで。」

「ああ、ノリノリだったな。・・・思わず、そっちに目覚めてしまったのかと思った。」

「・・・そう言うルルーシュだって、ナナリーちゃんのためって腹くくった瞬間から、すっごいノリ具合だったと思うけど・・・。」

「あれは、不可抗力だ。・・・というか、カレンだって、随分楽しんでいただろ?素でいられて。」

「・・・ま、まぁ、確かに。」

「・・・で、逆転祭りって、何なんだ?」

 杉山がとうとう当事者だけで進められる話に痺れを切らして、口を出す。すると、ルルーシュは可哀想なくらい青ざめて石化したように固まり、それを見たカレンもハッとして口を押さえ、ぶんぶんと首を振る。

「・・・え?なに?この反応・・・。」

 大したことは聞いていないつもりの杉山が、あまりの反応に口元を引き攣らせる。

「あ~・・・逆転祭りのことは聞かない方が良いよ。主にルルーシュ君には禁句とさえ言えるから。」

 唯一わかった風の朝比奈が言うと、玉城がムッとした顔で突っかかる。

「じゃあ、何でお前は知ってるんだよ!?」

「そりゃ、“ルルちゃんを逃がそうの会”で話題に上ったから。・・・だから、そこに参加してた藤堂さんとか、他の四聖剣とか、桐原翁とか、皇とか・・・まあ、そのあたりの人は知ってるんだけどね。」

 “ルルちゃんを逃がそうの会”と聞いた瞬間、何人かが口元を引き攣らせる。藤堂がそれを口にした瞬間の衝撃を思い出しているのだろう。

「と、いうわけで、詳しいことは聞かないように。・・・ほら、ルルーシュ君、しっかりして。」

 ゆさゆさと朝比奈に軽く揺すられ、ルルーシュはようやく正気に返る。

「あ・・・思わず、現実逃避を・・・。」

 はぁ、と溜め息をつく。それを見て、カレンもホッと息をついた。自分の発言が境界線ギリギリだったということを今更ながらに気づいたのだ。ルルーシュのために黙っていようと決めたのだから、それは守らなくてはならないのだ。

「・・・ごめんなさい、ルルーシュ。つい。」

「いや、俺も、つい話に乗ってしまって・・・知らない人間がいたことを忘れていた。それにしても、ミレイはこれを何に使うつもりなんだ?」

 全てを出し終えて、改めて箱の中に入っていた物を確認する。

「・・・えっと、白い大きな布、油性のマジックペン一式、あと、これは、カフスボタン、かしら?」

 カレンが手に取ったのは、大量にカフスボタンが入った袋だった。そのカフスボタンには紫色の石がはめ込まれていた。

「綺麗ねぇ。まさか、本物のアメジストじゃないわよね?」

 カレンにカフスボタンを目の前に差し出されたルルーシュは首を傾げる。

「・・・見分けろって言うのか?」

「見分けられるなら見分けて欲しいけど、違うわ。・・・ルルーシュの瞳の色と見比べてるの。」

 首を傾げたままのルルーシュがあまりにも可愛らしいので、幹部達は揃って頬を赤らめている。その様子を見て、ムッとした朝比奈がルルーシュの腕を引っ張り、自分の腕の中に抱き込む。

「しょ、省吾さん!?」

 後ろから抱き竦められる形になったルルーシュは顔を真っ赤にして、朝比奈を見上げる。

「気にしないで。ちょっとした独占欲だから。」

 いや、気にするだろう、とは幹部達全員の思いだが、口には出さない。あれでも朝比奈にとっては譲歩なのだろうから。事実、殺気を飛ばしているわけでもなければ、睨まれているわけでもない。ただ単に、ルルーシュを抱きしめているだけなのだ。

「・・・省吾さん・・・。」

 困ったように笑い、ルルーシュは自由になる腕を伸ばし、朝比奈の頭を撫でる。

「・・・っ!?」

「省吾さん、独占したいって思ってくれるのは嬉しいですけど、突然、行動で示されても困ります。・・・それに、“ただのルルーシュ”は省吾さんのものですから。・・・ね?」

 弛んだ朝比奈の腕の中から身体を起こし、朝比奈に向かってふわりと、本当に幸せそうに笑ったルルーシュを見て、朝比奈の顔がみるみると赤くなって、今にも沸騰しそうなくらいになる。

「・・・けっ、ごちそうさまってヤツかぁ?」

 騎士団一空気の読めない男、玉城が悪態をつくが、そんなことは耳にも入っていない様子で、朝比奈は呆然とルルーシュを見つめていた。

「・・・省吾さん?」

 とどめとばかりに(本人自覚無し)その表情のまま首を傾げたルルーシュに、昇天寸前になりながら、朝比奈はボソリと呟いた。

「・・・逆転なんかしなくても、ぜんっぜん、可愛いよ・・・うん・・・。」

 いつもと違う反応の朝比奈に、ルルーシュは不思議そうにしているが、幹部達は何故かその心情を察してしまった。

「・・・ルルーシュ、あなたって人は・・・。」

 額を指で押さえつつ、カレンは思わず呻いてしまった。





 その後、藤堂や他の四聖剣がやって来て、ルルーシュの可愛さに中てられた面々が、何とか正気を取り戻すと、再びミレイが持ち込んだという荷物を確認し始めた。

「・・・ん~・・・これ、なんだぁ?」

 卜部が巻物のような物を手に取り、首を傾げる。

「・・・どれどれ・・・っ!?」

 そして、その巻物を広げ、息を呑んでビシリと固まる。

「卜部さ~ん?・・・何で固まってるんですかぁ~・・・っっつ!?」

 それをひょい、と覗きこんだ朝比奈までもが息を呑んで、身を仰け反らせる。

 不審に思った藤堂が、固まっている卜部の手からその巻物のような物を取り上げる。

「・・・“ルルーシュを愛し隊 血判状”・・・またか、ミレイ君・・・。」

 ぼそりとそこに書かれている言葉を読み上げ、藤堂はがっくりと肩を落とした。

「血判状?・・・またこんな組織を作って・・・何かをやらかすつもりなんでしょうか、ミレイは。」

 藤堂から巻物を受け取り、それを眺めながら、ルルーシュも溜め息をつく。

「・・・しかも、何なんだ、この“ルルーシュを愛し隊”っていうのは・・・。」

 以前“ルルちゃんを逃がそうの会”で作った血判状の意味を後で知ったルルーシュは、さすがにミレイに抗議をしたのだが、懲りていないらしい。

「会長・・・前にあんなにルルーシュに怒られたのに、懲りてないのね・・・はぁ。というか、何をするつもりでこんなのを組織しようとしてるのかしら?」

 カレンもその内容に口元を引き攣らせながら、首を傾げる。血判状と聞いた瞬間に固まってしまった幹部達もその呟きにはうんうん、と頷く。どうにか巻き込まれずにすむ方法は無いものかと考えを巡らせる。

「こーんにちはぁ~!!」

「どーもー!」

 無言のラウンジに、明るい声が響く。全員がバッとラウンジの入口に顔を向けると、さすがに怖かったのか、ミレイの表情が引き攣った。

「・・・ど、どうかしました?」

「ミレイ・・・これはなんだ?」

 ルルーシュが巻物をずいっとミレイの前に突き付ける。

「あぁ、これですか?これは“ルルーシュを愛し隊 血判状”ですね。」

 けろりとして答えるので、ルルーシュは頭を抱えたくなりながら、そうじゃないと呟く。

「それは見ればわかる。・・・俺が訊きたいのは、これは、どういう意図で作ったのかということだ。」

「う~む・・・はいっ、リヴァル、説明よろしくぅ!」

「うぇぇっ!俺っすか!?」

 いきなり話を振られて、動転するリヴァルに、幹部達は憐みの視線を向ける。すでに、リヴァルがミレイに思いを寄せていて、その関係で絶対的に逆らえないということは、騎士団幹部のみならず、技術班のメンバーにもしっかりバレてしまっているのだ。

「・・・リヴァル・・・。」

 ルルーシュの視線が自分に向けられると、リヴァルは観念したように肩を落とした。

「んーと、俺らってさ、カレンと違って、こっちになかなか来れねーじゃん?」

「・・・ああ。」

「・・・だからさ・・・その・・・。」

 ちらり、とリヴァルが見たのは、朝比奈。その視線には恨めしげなものが含まれている。

「・・・もしかして~・・・俺への牽制、ってこと?」

 朝比奈が半眼になる。

「あのさぁ、約束は守ってるけど?」

「ち、違いますって。俺も会長も、もう、朝比奈さんがルルーシュを守ってくれてるってことで、安心してるんで、今更、邪魔しようなんて思ってませんって。・・・ただ、ちょっと、あっちの方が・・・。」

「あっち?」

 リヴァルの言葉に、ルルーシュが首を傾げると、ミレイが姿勢を正し、真面目な表情をうかべ、口を開いた。

「ブリタニア政庁、です。・・・アスプルンド伯の呟きから想像しただけなんですけど、なんだか、今、政庁が慌ただしいそうなんです。」

「慌ただしい?」

「ええ。コーネリア総督とユーフェミア副総督、それから、シュナイゼル宰相閣下が執務室に籠って、何かを打ち合わせているらしいんです。」

「なにそれ、どういうコト?」

 ルルーシュの問いに答えたミレイに、朝比奈が首を傾げる。

「・・・アスプルンド伯が言うには、スザクの身辺調査を行っていた者の報告を受けた時からずっとあの調子だって・・・もしかしたら、殿下の存在が知れてしまった可能性が。」

 その言葉には、ルルーシュだけでなく、藤堂や四聖剣、そして、扇達幹部もギョッとする。

「心配していたことが、現実となったか。・・・ミレイ、アッシュフォードは・・・ルーベンは何と言っている?」

 眉を潜めたルルーシュが訊ねると、ミレイは俯いた。

「・・・匿っていたことまでは認めるつもりのようです。ですが、その先・・・現在の居場所は知らぬ存ぜぬで通しきる、と。」

「・・・そうか。すまない・・・そう伝えてくれるか?」

「殿下、祖父は謝罪は受け取らないと思います。」

 困ったようにミレイが言えば、ルルーシュは苦笑して肩を竦める。

「そう、だろうな。・・・なら、ありがとう、と。」

「・・・承りました。」

 ようやく笑みを見せたミレイに、ルルーシュもホッと笑みをうかべた。


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