Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・『貴方と出会った日から』設定・番外編
・あまあまなので、砂と砂糖のご準備を
・卜部さん+千葉さんはツッコミ担当
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
ミレイは固まっていた。
ルルーシュが騎士団へ居を移して以来、久しぶりに訪れたこの場所で、よもや、こんな場面に出くわすとは思わなかったのだ。
「(ルルちゃん・・・ダメよダメ・・・それはダメ・・・。)」
こんなことなら、リヴァルも連れてくれば良かったと思う。彼ならば、容赦なくルルーシュに突っ込めたハズなのに・・・と。
助けを求めるようにその場にいた騎士団の幹部達へ視線を向けるが、皆が皆、見ないふり聞かないふりを決め込んでいるのを見て、ああ、日常の光景なのか。と嘆息する。
「・・・また、やってるのか。」
いつの間にか、固まっていたミレイの脇にやってきていた四聖剣の紅一点、千葉が呆れたように呟く。
「いつも、ああなんですか?」
ミレイが問うと、千葉はむっつりと頷く。
「・・・これに加えて朝比奈が時々暴走する。」
2人の視線の先。騎士団の幹部のラウンジにある、ソファーに座るルルーシュ。そこまでは至って普通なのだが、その脇にぴったりとくっついて朝比奈が座っていて、ルルーシュの肩に腕を回し、サラサラの黒髪を撫でている。
「「・・・あ。」」
ミレイと千葉の声が同時に発せられる。朝比奈の行動が徐々にエスカレートしてきたのだ。肩に回っていた腕が下にスルスルと落ち、ルルーシュの細腰を撫で始める。流石のルルーシュも頬を赤く染めて抵抗を始める。
「・・・。」
千葉が無言でどこかからか雑誌を取り出す。ミレイは会議の時もそういえばこんな場面をよく見たな、と遠い目をする。
スタスタといちゃつく朝比奈とルルーシュに近づく千葉に、2人が気づく間もなく、彼女は雑誌を振り上げ、勢いよく振り下ろした。
スッパーン!!!
「いったぁ~!!・・・何すんのさ!!」
非難の視線を向ける朝比奈を睥睨し、千葉は振り下ろした雑誌で己の肩を叩く。
「いちゃつくのは構わないが、少しくらい周りを気にしろ。」
「・・・見なきゃイイことでしょうが。」
「しょ、省吾さん;」
朝比奈と千葉が火花を散らし合うので、さすがにルルーシュも居心地が悪くなったのか、朝比奈の服の裾を引っ張る。
「今まで甘えられなかった分、たっぷり甘えさせようって決めたんだ。だから、良いじゃない。」
ルルーシュに微笑みながらも、千葉に不満たっぷりと言った様子で朝比奈は告げる。
「・・・だったら・・・。」
千葉がワナワナと震える。その視線の先には、未だにルルーシュの細腰を撫でる朝比奈の手。
「なんだその手はッ!明らかにその手は甘えさせる以外の目的だろうが!!」
ベシベシと雑誌で朝比奈の頭を叩く千葉。自分の手で殴らないのは、(自分の手が)痛くなるから、らしい。
「痛っ・・・いたたッ、ちょっと、千葉さん!痛いって。」
朝比奈が頭を抱え、千葉から逃げるために、仕方無しにルルーシュから離れ、ソファーから立ち上がる。
「・・・えーと・・・。」
困惑したままのルルーシュは、ラウンジを見回す。
「ルルちゃん・・・さすがにあれはダメよ・・・。」
視線の合ったミレイが近寄ってきながらそう告げる。
「・・・ミレイ・・・やっぱりそう思うよな。でもさ・・・心地が良いんだよ。」
「ルルちゃん・・・本当に、朝比奈さんに陥落しちゃったのねぇ・・・。まあ、大事にしてくれてるようだから良いんだけど。あんまり甘やかされすぎるのもねぇ・・・。」
ミレイがこめかみに指をあてると、ルルーシュはウッと詰まる。
「ルルちゃんのことだから、ゼロとして対応する時はちゃんとできてたりするんじゃないの?」
「・・・ああ。自分でも意外だった。・・・カレンやC.C.にも呆れられてしまったよ。」
自嘲するルルーシュに、ミレイはやれやれと肩を竦めた。
「長年、自分を偽ってきたからよ。・・・仮面を被れば自分はゼロ。そういう意識が働くんでしょうね。・・・学園で生徒会副会長のルルーシュ・ランペルージを演じてきたように。」
「そう、か。」
「でも、良かったわ。意外とリラックスできてるみたいね。・・・学園にいる時より顔色が良いわ。安心した。」
「・・・ありがとう、ミレイ。・・・学園は?」
「うん。無事に学園祭も済んで、平和そのものよ~。一部(スザク)を除いて♪」
一瞬、ミレイが黒い笑みを浮かべるが、ルルーシュは首を傾げるだけ。
「一部?」
「そ、一部v・・・大丈夫よ。ルルちゃんが気にすることじゃないから♪」
「るっるぅ~しゅ君ッv」
「ほぅあっっっ!?」
ミレイの言葉に被せるように、朝比奈が背後からルルーシュに抱きつく。どうやら、千葉を撒いてきたらしい。
「・・・こんにちは~、ミレイさん。」
「こんにちは。朝比奈さん。・・・お約束は守っていただけてますよね?」
「もっちろん。・・・ルルーシュ君が可愛過ぎて危ない時もあるけどね。でも、大丈夫。こう見えて、我慢強いから♪」
どこがだ!!と心の中で叫んだのは、日々甘い空気にあてられている騎士団幹部の面々だ。
「全く、我慢してる反動がこのベタベタだからな。嫌でも目に入るこっちの身にもなれ。」
呆れた声を出したのは、卜部。
「良いじゃないですか。作戦中はちゃんとしてるし。・・・藤堂さんだって、それさえ守っていればイイって言ってましたよ。」
「お前が言わせたんだろが。」
ガコンッ
懐から取り出した雑誌で朝比奈の頭を叩く卜部。ありえない音と衝撃に、朝比奈は目から火が出た。
「い、痛い。これ、なんですか!!マジで痛いですよ!!?」
「ラクシャータの特製雑誌だ。特別に開発してもらった。丸められる金属でな。」
「金属っ!?・・・ちょっと、勘弁して下さいよ!」
朝比奈の抗議に、卜部はにやりと笑った。
「お前が行動をエスカレートさせなきゃいい話だ。そうだろう?・・・俺達は甘い空気を漂わせてるだけなら黙ってるだろうが。」
「う・・・そうですけどぉ・・・頭の形がおかしくなるじゃないですかッ・・・なんで、そんなもん常備してるんですッ!」
「仕様だ。我慢しろ。」
「仕様って・・・;」
朝比奈が言葉を詰まらせると、ルルーシュがクン、と袖を引っ張る。そして、黙ったまま朝比奈の頭を抱え込んでヨシヨシと撫で始める。
「・・・ちょ・・・ルルーシュ君///」
朝比奈が珍しく頬を赤く染める。さすがに、立場が逆転すると照れるものだと実感する。
「あらあら・・・。」
ミレイはクスクスと笑い、卜部は肩を竦め、2人から離れる。
「・・・痛かったでしょう?」
ルルーシュの声には労わりが含まれている。優しく撫でられて、朝比奈はうっとりと目を細めた。
「うん。イタかった。・・・ルルーシュ君って、撫でるの上手だね。」
そう言いつつ、ルルーシュの腰に腕を回し、本格的に顔を胸に埋めた。
「(結構この態勢も良いかも~v)」
撫で撫でと頭を撫でられている朝比奈はご満悦だ。ルルーシュ自身、甘い空気を醸し出していることには気づいていないのだろうと思う。これは間違いなく素でやっている。元々お兄ちゃん気質のルルーシュだ。甘えるよりも甘えさせる方が得意に違いない。
「省吾さんの髪って猫っ毛なんですね。柔らかい。・・・アーサーを撫でてるみたいだ。」
ルルーシュの眼差しはいつになく柔らかい。顔をあげ、それを間近で見た朝比奈はますます頬を赤らめる。
「アーサーって・・・ああ、生徒会で飼ってたっていう猫?」
「ええ。」
「ルルーシュ君って、猫好きだっけ?」
「猫好きなのはスザクですよ。・・・まあ、俺も嫌いじゃないですし、猫にはよく懐かれますが。」
「へぇ~。」
朝比奈はすりすりとルルーシュの胸に頬を擦り寄せて、目を細める。
「猫が懐く理由、わかるかも~v」
「ふふ・・・そうですか?」
先程よりよほど密着しているというのに、ルルーシュに照れた様子はない。しかも、さっきよりも甘い空気が漂い始めている。
「・・・こりゃ、駄目だな。ルルーシュを叩くわけにもいかねーし。退散退散・・・。」
あっさりと匙を投げた卜部がラウンジから出ていくと、他の幹部達も釣られる様にして、ぞろぞろとラウンジから退散していく。
「あ~あ。完っ璧に2人の世界ねぇ・・・私も帰ろっと。」
ミレイも呟いてラウンジから出て行く。
残されたのは、ルルーシュと朝比奈の2人。
「・・・気持ちいぃなぁ~。ルルーシュ君に撫でて貰ったら、痛いのなんか全部吹き飛んじゃうよ。」
「そうですか?」
小首を傾げ、ルルーシュは撫でる手を止め、朝比奈の頭を抱き込む。
「・・・省吾さん・・・。」
「ん?」
「俺、省吾さんがいないとダメなんです。・・・昔から、省吾さんに依存してた。スザクといてもどこかで省吾さんが来ないかなって思って。・・・忙しいからなかなか来れないことわかってるのに・・・でも、いつだって会いたくて。」
「うん。・・・でもさ、今は、ずっと一緒にいられるよ?」
朝比奈がルルーシュの手に自分の手を添え、顔をあげる。
「昔とは違う。・・・今は、いつだって、ルルーシュ君が寂しいと思えば傍にいてあげられるし、ルルーシュ君が悲しいと思えば慰めてあげられる。・・・俺はルルーシュ君のものだよ。」
「・・・省吾さんは藤堂さんの為の四聖剣でしょう?そんなコト、言ったらダメですよ。」
「大丈夫。わかってるから。・・・でもね、こうしている時だけは、ルルーシュ君のものだよ。だから、安心して良いんだよ。・・・俺はどこにもいかないから。」
いつも抱える不安を見抜かれて、ルルーシュは苦笑する。
「・・・省吾さんにはバレバレですね。」
「当たり前だよ。俺はルルーシュ君のコト、ちゃんと見てるからね。・・・だから、戦場で迷っちゃ駄目だよ。君は、ゼロとして、やるべきことをやればイイ。俺はちゃんと君の元に帰ってくるから。」
コクン、とルルーシュは頷いて、今度は朝比奈の胸に自分が顔を埋めた。
「・・・酷い作戦を考え付くかもしれない。・・・難しい局面を迎えた時に、厳しい判断をするかもしれない・・・それでも、省吾さんはちゃんと俺の元に帰ってきてくれるんですよね?」
「うん。大丈夫だよ。」
朝比奈は先ほど自分がして貰ったように、ルルーシュの頭を抱え込んでゆっくりとその頭を撫でる。
「大丈夫。・・・君の元に帰る為なら、どんな局面だって乗り越えてみせるよ。・・・愛してる、ルルーシュ君。」
脈絡もなく愛の言葉を吐いて、朝比奈はルルーシュの顎に手をかける。
「省吾・・・さん・・・。」
重なる唇。角度を変えて、何度も何度も口づけを交わす。それだけで、ルルーシュの息が上がり、やっと解放されると、トン、と朝比奈の肩に額をあてた。
「・・・はぁ///」
「可愛いなぁ。(・・・ホント、押し倒しちゃいたくなるけど。我慢、我慢。)」
「男に言うセリフじゃないです・・・。」
「いや、一番合ってるセリフだと思うけどなぁ。・・・昨日、作戦考えててあんまり寝てないでしょ?このまま寝ちゃいなよ。ほら、ラウンジはもう、誰もいないしさ。」
朝比奈に言われて初めてラウンジに2人きりだと気づいたルルーシュは、ホッと息を吐く。
「・・・じゃあ、そうします。」
ルルーシュはそう言って、朝比奈の胸に擦り寄る。
「(ルルーシュ君こそ猫みたいだ。)」
口には出さず、そう思って、朝比奈は微笑む。
「おやすみ。ルルーシュ君。」
「・・・おやすみなさい・・・。」
すぅ、と目を閉じて、ルルーシュが寝入ると、朝比奈もその温もりのせいか、うつらうつらとし始める。
「・・・俺も、ちょっとだけ・・・。」
朝比奈は小さく呟いて、目を閉じた。
カレンは固まっていた。
紅蓮の調整がようやく終わって、ラウンジに顔を出すと、中はガランとしていて、誰もいないのかと見回すと、ソファーのあたりで視線を止め、ビシリと固まった。
「(ど、どどどど、どうしよう。・・・これって、ほっといた方がイイのよね?っていうか、他の皆はどこ行ったのよ・・・。)」
途方に暮れるカレン。その時、シュッとラウンジの扉が開いて、藤堂が入ってくる。
「紅月君?」
声をかけられて、カレンは慌てて振り返って、しぃーッと口の前で人差し指を立てる。
「・・・?」
首を傾げた藤堂が近寄ってきて、その光景を目にし、ふ、と口元を緩める。
「・・・疲れているんだ。そっとしておいてやろう。」
小声でそう言うと、藤堂はカレンを促し、ラウンジを出て行く。
ソファーには、抱き合って眠るルルーシュと朝比奈の姿。
夕方になって痺れを切らせたC.C.に叩き起こされるまで、その光景は続いた。
おわり
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・『貴方と出会った日から』設定・番外編
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ミレイは固まっていた。
ルルーシュが騎士団へ居を移して以来、久しぶりに訪れたこの場所で、よもや、こんな場面に出くわすとは思わなかったのだ。
「(ルルちゃん・・・ダメよダメ・・・それはダメ・・・。)」
こんなことなら、リヴァルも連れてくれば良かったと思う。彼ならば、容赦なくルルーシュに突っ込めたハズなのに・・・と。
助けを求めるようにその場にいた騎士団の幹部達へ視線を向けるが、皆が皆、見ないふり聞かないふりを決め込んでいるのを見て、ああ、日常の光景なのか。と嘆息する。
「・・・また、やってるのか。」
いつの間にか、固まっていたミレイの脇にやってきていた四聖剣の紅一点、千葉が呆れたように呟く。
「いつも、ああなんですか?」
ミレイが問うと、千葉はむっつりと頷く。
「・・・これに加えて朝比奈が時々暴走する。」
2人の視線の先。騎士団の幹部のラウンジにある、ソファーに座るルルーシュ。そこまでは至って普通なのだが、その脇にぴったりとくっついて朝比奈が座っていて、ルルーシュの肩に腕を回し、サラサラの黒髪を撫でている。
「「・・・あ。」」
ミレイと千葉の声が同時に発せられる。朝比奈の行動が徐々にエスカレートしてきたのだ。肩に回っていた腕が下にスルスルと落ち、ルルーシュの細腰を撫で始める。流石のルルーシュも頬を赤く染めて抵抗を始める。
「・・・。」
千葉が無言でどこかからか雑誌を取り出す。ミレイは会議の時もそういえばこんな場面をよく見たな、と遠い目をする。
スタスタといちゃつく朝比奈とルルーシュに近づく千葉に、2人が気づく間もなく、彼女は雑誌を振り上げ、勢いよく振り下ろした。
スッパーン!!!
「いったぁ~!!・・・何すんのさ!!」
非難の視線を向ける朝比奈を睥睨し、千葉は振り下ろした雑誌で己の肩を叩く。
「いちゃつくのは構わないが、少しくらい周りを気にしろ。」
「・・・見なきゃイイことでしょうが。」
「しょ、省吾さん;」
朝比奈と千葉が火花を散らし合うので、さすがにルルーシュも居心地が悪くなったのか、朝比奈の服の裾を引っ張る。
「今まで甘えられなかった分、たっぷり甘えさせようって決めたんだ。だから、良いじゃない。」
ルルーシュに微笑みながらも、千葉に不満たっぷりと言った様子で朝比奈は告げる。
「・・・だったら・・・。」
千葉がワナワナと震える。その視線の先には、未だにルルーシュの細腰を撫でる朝比奈の手。
「なんだその手はッ!明らかにその手は甘えさせる以外の目的だろうが!!」
ベシベシと雑誌で朝比奈の頭を叩く千葉。自分の手で殴らないのは、(自分の手が)痛くなるから、らしい。
「痛っ・・・いたたッ、ちょっと、千葉さん!痛いって。」
朝比奈が頭を抱え、千葉から逃げるために、仕方無しにルルーシュから離れ、ソファーから立ち上がる。
「・・・えーと・・・。」
困惑したままのルルーシュは、ラウンジを見回す。
「ルルちゃん・・・さすがにあれはダメよ・・・。」
視線の合ったミレイが近寄ってきながらそう告げる。
「・・・ミレイ・・・やっぱりそう思うよな。でもさ・・・心地が良いんだよ。」
「ルルちゃん・・・本当に、朝比奈さんに陥落しちゃったのねぇ・・・。まあ、大事にしてくれてるようだから良いんだけど。あんまり甘やかされすぎるのもねぇ・・・。」
ミレイがこめかみに指をあてると、ルルーシュはウッと詰まる。
「ルルちゃんのことだから、ゼロとして対応する時はちゃんとできてたりするんじゃないの?」
「・・・ああ。自分でも意外だった。・・・カレンやC.C.にも呆れられてしまったよ。」
自嘲するルルーシュに、ミレイはやれやれと肩を竦めた。
「長年、自分を偽ってきたからよ。・・・仮面を被れば自分はゼロ。そういう意識が働くんでしょうね。・・・学園で生徒会副会長のルルーシュ・ランペルージを演じてきたように。」
「そう、か。」
「でも、良かったわ。意外とリラックスできてるみたいね。・・・学園にいる時より顔色が良いわ。安心した。」
「・・・ありがとう、ミレイ。・・・学園は?」
「うん。無事に学園祭も済んで、平和そのものよ~。一部(スザク)を除いて♪」
一瞬、ミレイが黒い笑みを浮かべるが、ルルーシュは首を傾げるだけ。
「一部?」
「そ、一部v・・・大丈夫よ。ルルちゃんが気にすることじゃないから♪」
「るっるぅ~しゅ君ッv」
「ほぅあっっっ!?」
ミレイの言葉に被せるように、朝比奈が背後からルルーシュに抱きつく。どうやら、千葉を撒いてきたらしい。
「・・・こんにちは~、ミレイさん。」
「こんにちは。朝比奈さん。・・・お約束は守っていただけてますよね?」
「もっちろん。・・・ルルーシュ君が可愛過ぎて危ない時もあるけどね。でも、大丈夫。こう見えて、我慢強いから♪」
どこがだ!!と心の中で叫んだのは、日々甘い空気にあてられている騎士団幹部の面々だ。
「全く、我慢してる反動がこのベタベタだからな。嫌でも目に入るこっちの身にもなれ。」
呆れた声を出したのは、卜部。
「良いじゃないですか。作戦中はちゃんとしてるし。・・・藤堂さんだって、それさえ守っていればイイって言ってましたよ。」
「お前が言わせたんだろが。」
ガコンッ
懐から取り出した雑誌で朝比奈の頭を叩く卜部。ありえない音と衝撃に、朝比奈は目から火が出た。
「い、痛い。これ、なんですか!!マジで痛いですよ!!?」
「ラクシャータの特製雑誌だ。特別に開発してもらった。丸められる金属でな。」
「金属っ!?・・・ちょっと、勘弁して下さいよ!」
朝比奈の抗議に、卜部はにやりと笑った。
「お前が行動をエスカレートさせなきゃいい話だ。そうだろう?・・・俺達は甘い空気を漂わせてるだけなら黙ってるだろうが。」
「う・・・そうですけどぉ・・・頭の形がおかしくなるじゃないですかッ・・・なんで、そんなもん常備してるんですッ!」
「仕様だ。我慢しろ。」
「仕様って・・・;」
朝比奈が言葉を詰まらせると、ルルーシュがクン、と袖を引っ張る。そして、黙ったまま朝比奈の頭を抱え込んでヨシヨシと撫で始める。
「・・・ちょ・・・ルルーシュ君///」
朝比奈が珍しく頬を赤く染める。さすがに、立場が逆転すると照れるものだと実感する。
「あらあら・・・。」
ミレイはクスクスと笑い、卜部は肩を竦め、2人から離れる。
「・・・痛かったでしょう?」
ルルーシュの声には労わりが含まれている。優しく撫でられて、朝比奈はうっとりと目を細めた。
「うん。イタかった。・・・ルルーシュ君って、撫でるの上手だね。」
そう言いつつ、ルルーシュの腰に腕を回し、本格的に顔を胸に埋めた。
「(結構この態勢も良いかも~v)」
撫で撫でと頭を撫でられている朝比奈はご満悦だ。ルルーシュ自身、甘い空気を醸し出していることには気づいていないのだろうと思う。これは間違いなく素でやっている。元々お兄ちゃん気質のルルーシュだ。甘えるよりも甘えさせる方が得意に違いない。
「省吾さんの髪って猫っ毛なんですね。柔らかい。・・・アーサーを撫でてるみたいだ。」
ルルーシュの眼差しはいつになく柔らかい。顔をあげ、それを間近で見た朝比奈はますます頬を赤らめる。
「アーサーって・・・ああ、生徒会で飼ってたっていう猫?」
「ええ。」
「ルルーシュ君って、猫好きだっけ?」
「猫好きなのはスザクですよ。・・・まあ、俺も嫌いじゃないですし、猫にはよく懐かれますが。」
「へぇ~。」
朝比奈はすりすりとルルーシュの胸に頬を擦り寄せて、目を細める。
「猫が懐く理由、わかるかも~v」
「ふふ・・・そうですか?」
先程よりよほど密着しているというのに、ルルーシュに照れた様子はない。しかも、さっきよりも甘い空気が漂い始めている。
「・・・こりゃ、駄目だな。ルルーシュを叩くわけにもいかねーし。退散退散・・・。」
あっさりと匙を投げた卜部がラウンジから出ていくと、他の幹部達も釣られる様にして、ぞろぞろとラウンジから退散していく。
「あ~あ。完っ璧に2人の世界ねぇ・・・私も帰ろっと。」
ミレイも呟いてラウンジから出て行く。
残されたのは、ルルーシュと朝比奈の2人。
「・・・気持ちいぃなぁ~。ルルーシュ君に撫でて貰ったら、痛いのなんか全部吹き飛んじゃうよ。」
「そうですか?」
小首を傾げ、ルルーシュは撫でる手を止め、朝比奈の頭を抱き込む。
「・・・省吾さん・・・。」
「ん?」
「俺、省吾さんがいないとダメなんです。・・・昔から、省吾さんに依存してた。スザクといてもどこかで省吾さんが来ないかなって思って。・・・忙しいからなかなか来れないことわかってるのに・・・でも、いつだって会いたくて。」
「うん。・・・でもさ、今は、ずっと一緒にいられるよ?」
朝比奈がルルーシュの手に自分の手を添え、顔をあげる。
「昔とは違う。・・・今は、いつだって、ルルーシュ君が寂しいと思えば傍にいてあげられるし、ルルーシュ君が悲しいと思えば慰めてあげられる。・・・俺はルルーシュ君のものだよ。」
「・・・省吾さんは藤堂さんの為の四聖剣でしょう?そんなコト、言ったらダメですよ。」
「大丈夫。わかってるから。・・・でもね、こうしている時だけは、ルルーシュ君のものだよ。だから、安心して良いんだよ。・・・俺はどこにもいかないから。」
いつも抱える不安を見抜かれて、ルルーシュは苦笑する。
「・・・省吾さんにはバレバレですね。」
「当たり前だよ。俺はルルーシュ君のコト、ちゃんと見てるからね。・・・だから、戦場で迷っちゃ駄目だよ。君は、ゼロとして、やるべきことをやればイイ。俺はちゃんと君の元に帰ってくるから。」
コクン、とルルーシュは頷いて、今度は朝比奈の胸に自分が顔を埋めた。
「・・・酷い作戦を考え付くかもしれない。・・・難しい局面を迎えた時に、厳しい判断をするかもしれない・・・それでも、省吾さんはちゃんと俺の元に帰ってきてくれるんですよね?」
「うん。大丈夫だよ。」
朝比奈は先ほど自分がして貰ったように、ルルーシュの頭を抱え込んでゆっくりとその頭を撫でる。
「大丈夫。・・・君の元に帰る為なら、どんな局面だって乗り越えてみせるよ。・・・愛してる、ルルーシュ君。」
脈絡もなく愛の言葉を吐いて、朝比奈はルルーシュの顎に手をかける。
「省吾・・・さん・・・。」
重なる唇。角度を変えて、何度も何度も口づけを交わす。それだけで、ルルーシュの息が上がり、やっと解放されると、トン、と朝比奈の肩に額をあてた。
「・・・はぁ///」
「可愛いなぁ。(・・・ホント、押し倒しちゃいたくなるけど。我慢、我慢。)」
「男に言うセリフじゃないです・・・。」
「いや、一番合ってるセリフだと思うけどなぁ。・・・昨日、作戦考えててあんまり寝てないでしょ?このまま寝ちゃいなよ。ほら、ラウンジはもう、誰もいないしさ。」
朝比奈に言われて初めてラウンジに2人きりだと気づいたルルーシュは、ホッと息を吐く。
「・・・じゃあ、そうします。」
ルルーシュはそう言って、朝比奈の胸に擦り寄る。
「(ルルーシュ君こそ猫みたいだ。)」
口には出さず、そう思って、朝比奈は微笑む。
「おやすみ。ルルーシュ君。」
「・・・おやすみなさい・・・。」
すぅ、と目を閉じて、ルルーシュが寝入ると、朝比奈もその温もりのせいか、うつらうつらとし始める。
「・・・俺も、ちょっとだけ・・・。」
朝比奈は小さく呟いて、目を閉じた。
カレンは固まっていた。
紅蓮の調整がようやく終わって、ラウンジに顔を出すと、中はガランとしていて、誰もいないのかと見回すと、ソファーのあたりで視線を止め、ビシリと固まった。
「(ど、どどどど、どうしよう。・・・これって、ほっといた方がイイのよね?っていうか、他の皆はどこ行ったのよ・・・。)」
途方に暮れるカレン。その時、シュッとラウンジの扉が開いて、藤堂が入ってくる。
「紅月君?」
声をかけられて、カレンは慌てて振り返って、しぃーッと口の前で人差し指を立てる。
「・・・?」
首を傾げた藤堂が近寄ってきて、その光景を目にし、ふ、と口元を緩める。
「・・・疲れているんだ。そっとしておいてやろう。」
小声でそう言うと、藤堂はカレンを促し、ラウンジを出て行く。
ソファーには、抱き合って眠るルルーシュと朝比奈の姿。
夕方になって痺れを切らせたC.C.に叩き起こされるまで、その光景は続いた。
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