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Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)

このサイトは、コードギアス・NARUTO・銀魂の二次創作サイトです。原作者様とは一切関係ありません。各ページの注意事項をよく読んでから閲覧してください。

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注意
・完全捏造設定です!
・原作かなり無視しています!
・オリジナルキャラクターがわんさか出ます
・二次創作だということをご理解したうえでお読みください!

以上、同意できる方のみ↓へ・・・








「(そろそろ良いかしら)・・・みんな、頃合いでありんす」

氷柱が手を叩いて遊女達に合図を送ると遊女達はコクリと頷いて部屋の外に出て行く。

虚ろな目をした天導衆が氷柱に視線を集めるが、それには一切反応を示さず氷柱は部屋の真ん中に立ち、懐に手を入れて微笑んだ。

「これから催し物をお見せしんす、どうぞお楽しみくんなまし」

そう言うのと同時に懐から取り出したクナイを天井に向けて投げ放つ。と同時に仕掛けが発動し、カラクリが天井からカラカラと降りてくる。

氷柱が平賀源外に頼んで作ってもらったクナイ発射機だ。

ダダダダダ・・・

凄まじい音と共にクナイが室内に降り注ぎ、部屋の真ん中に立っていた氷柱以外の天導衆の腕や足、肩などにクナイが突き刺さる。

致命傷を受けた者は居ない。その辺りはきちんと計算して天導衆を座らせたのだ。

「・・・さぁ、お楽しみはこれからよ?」

クスクスと笑う氷柱に恐怖を抱いたのか、天導衆の1人が何事かを叫びながら室外に出ようとする。が―――。

ゴトリ、とその首が床に転がる。大量の血飛沫があがり、そのまま倒れ伏す。

「・・・ああ、言い忘れていたわ。先程のクナイと一緒にワイヤーも発射されているの。ヘタに動くと・・・あんな風にバラバラになっちゃうわよ?」

「この・・・小娘がァ!!」

懐に忍ばせているらしい武器を天導衆の“頭”が取り出そうとし、身体の自由が利かないことに気付く。

「フフ。もう毒は全身に回っているわ。・・・普段通りに動こうっていう方が無理なのよ」

とは言っても、命を奪うような毒ではない。中枢神経をマヒさせることができる毒だ。

「むしろ毒で死ねた方が貴方達にとっては幸せだったかもしれないわね・・・?」

氷柱は着物の裾をたくし上げて太腿を露わにする。そこにはクナイホルダーが巻かれていて一本のクナイが装着されていた。

そのクナイを引き抜くのと同時に手前にうっすらと光って見えるワイヤーを断つ。

ビィン!とワイヤーが跳ね、再びクナイ発射機が作動する。

「・・・がぁッ!?」

「ヒッ・・・」

氷柱の背後にいた天導衆の1人が倒れる。額に突き刺さったクナイがその命を奪ったのだと知ると、隣に座っていたもう1人が引き攣った声をあげる。

「・・・まずは1人」

恐怖を煽るように微笑みをうかべたまま告げる。

「どのワイヤーを切ればどこにクナイが飛ぶか、私でもわからないわ。・・・さぁ、次は誰かしら?」

「ほ、保科!!保科はどこにいる!!!賊だ!!賊を早く始末しろ!!」

天導衆の“頭”が声を張り上げる。

それと同時にス、と障子戸が開く。

「どうなさいました?」

「どうなさいましたではない!!見ればわかるだろう!!早くあの鬼女を始末するのだ!!」

「・・・おや、私どものご用意した催し物はお気に召さなかったご様子・・・氷柱、ワイヤーの“遊び”はお仕舞いだ」

「あらあら、ワガママな方々ね」

クスクスと笑いながら“保科”に応じる“鬼女”を見て、天導衆はようやく首謀者が“保科”であることに気付いた。

「保科!!貴様・・・我らから受けた恩を忘れたか!!」

「恩?・・・そんなモノ、受けた覚えはありませんよ」

「なっ!?」

冷たい笑みをうかべた“保科”は腰に佩いた刀を抜き放つ。

「・・・ああ、申し遅れました。俺は攘夷志士“白夜叉”配下が部隊【六花】所属、夏霧と申します。以後・・・よろしくしていただかなくて結構ですよ?」

その場にいた天導衆に衝撃が走った。

愕然とする天導衆を前に、夏霧はコトリと首を傾げた。

「なにを驚いていらっしゃるんです?」

「・・・“白夜叉”配下だと!?」

「ええ、そうですよ?」

「ば・・・馬鹿な・・・保科家は代々幕府官僚で・・・」

ありえない、と呟く天導衆に夏霧はクスリと笑った。

「俺は養子ですよ。・・・実父と養父は又従兄でしたし、顔も見知っていたので特に検めもせず受け入れて頂きましたし、攘夷戦争に参加していたことはひた隠しにしてきましたからね」

しかも当時は本来戦争に参加できようはずもない元服前の子どもだった。

「俺が貴方達にどんな思いで頭を下げてきたかわかりますか?・・・まぁ、あの方のためならばどんな屈辱も受け入れる覚悟はできていましたから、別に構いませんけど」

夏霧の言葉に天導衆は最早何も言えなくなってしまう。それ程に夏霧の演技は完璧だったということだろう。

天導衆に気に入られるように、怪しまれないように、心にもない言葉を口にして懸命に自分を偽って。

「ようやくその苦労が報われる・・・あの方のために消えてください。この世から」

夏霧は持っていた刀を振り上げて、一気に目の前のワイヤーを断ち切る。

次は誰が―――怯えて辺りを見回す天導衆だが、誰も倒れていないことに思わず笑みを漏らす。

「はっ・・・不発だったようだな・・・」

「何をおっしゃっているんです?・・・ワイヤーの“遊び”は終わりだと俺が氷柱に言ったのをお聞きにならなかったんですか?」

言葉は丁寧でもその声音は見下した者のそれだ。

「ここからは、虐殺の時間ですよ」

酷薄な笑みをうかべて夏霧は優しい声音で告げる。それがより恐怖を煽りたてていることは充分に承知している。

「おーい、夏霧。あっちは終わったぞ」

夏霧が天導衆へと一歩踏み出すのとほぼ同時に、音もなく彼の背後に現れた青年に、天導衆はビクリと身体を震わせる。

「水澄?意外と早かったな・・・」

「そりゃもう、百華の姐さん達と次郎長さん達が大暴れで。いやァ、逃げ惑う天導衆の姿をお前等にも見せてやりたかったよ」

「クク、そりゃ見たかったな・・・春霞は?」

「後片付けしてから来るってさ。『私の分も残しておいてくださいね』だと」

「・・・残しておかなかったら一生文句を言われ続けそうだな・・・」

夏霧が思わず苦笑すれば、水澄はフルフルと首を振った。

「文句だけで済めば儲けもん。かなり黒い空気を醸し出して脅してきてたから・・・」

「これはぜひともやりがいのある相手を残しておかないとだな・・・」

「じゃあ、下っ端からね」

美しい笑みをうかべ、氷柱は下座にいた天導衆の方を向く。その手に握られているのはクナイだ。

「ひ・・・ヒィッ・・・」

自由に動かない身体を引き摺りながら、氷柱と距離を置こうとする天導衆。

「・・・フフッ、逃げないで?逃げると余計に痛いわよ」

とは言うものの、優しく殺してやるつもりなど毛頭ない。

苦しんで苦しんで、苦しみ抜いて死ねばいいと思っている。

「さぁ、跪いて見苦しく命乞いしてみなさいな」

蔑みの視線で天導衆を見下ろして笑みをうかべる。

「・・・おぉ、女王様だ・・・」

ボソリ、と水澄の呟く声に思わず反応しかけたが、なんとか意識の外に追いやる。

「た、助けてくれ!!頼む!!・・・ほ、欲しいものがあるのなら言えば良い!!何でもくれてやる!!だから!!」

「・・・欲しいもの?そんなのただ一つよ」

形振り構わず命乞いを始めた天導衆に、氷柱は笑みを消して答えた。

「お前達天導衆の命、それだけ」

天導衆の絶望に染まった表情に、夏霧も水澄も呆れたような表情をうかべた。

「バカだなァ・・・この状態で助かると思ってたわけ?」

「天導衆から貰いたいものなど、命以外で有り得ないな」

「確かに~。地位とか名誉とか高価な品々貰ったって、ぜんっぜん嬉しくないよな~」

ポンポンと脇で交わされる言葉に氷柱は同意の意味で頷いた。

「そういうことよ。私達が欲しいのはお前達の命・・・ひいては、銀時様の平穏な時間なの」

それ以外に欲しいものなど無い。

あの時、銀時に会わなければ確実に命を落としていただろう4人。命と生きる意味を与えてくれた銀時が平穏に暮らしてくれることが彼らの一番の望み。

「バカな・・・」

地位も名誉も高価な品々も彼らの心を一寸たりとも動かしたりはしないのだと知ると、天導衆は理解できないと首を振る。

「理解できなくて当然よ・・・だってお前達と私達の考えは180度違うのだもの」

己の利益を追求し地球の資源を食い潰そうとしている天導衆と、己を捨ててただ1人のために尽くす六花―――当然、わかりあえるはずもない。

一瞬の沈黙の後、裏庭の方から春霞が駆けてくるのを確認する。

「・・・どうやら、間に合いましたね」

「残しておかないと、後で何を言われるかわからないからな」

「・・・夏霧、一言余計ですよ」

夏霧の気安い言葉に春霞は溜息をつく。夏霧に対してだとどういうわけか素に戻ってしまう自分がいる。

「ま、良いんじゃないの。本当のことだし」

水澄にまでそう言われ、春霞は肩を竦める。

「ま、自覚はありますがね・・・ああ、遅れてすみません。もうイイですよ」

氷柱からの視線に気付いた春霞が頷いて見せる。

「これで・・・やっと六花が揃ったわ」

氷柱が艶やかな笑みをうかべた。

「さぁ、ここからが本当の意味での恐怖の時間よ・・・?」

天導衆に残された時間は―――もう、無い。



― 江戸郊外

先程までの殺気ダダ漏れの状態での戦いとは違った恐ろしさがあった。

銀時の表情も感情も全て凪いでいた。

じっくりと、黒夜叉を嬲るように追い詰めて行く銀時。

「・・・おいおい、アレが“白夜叉”なのか?」

全ての天人を片付け終わった土方が、高杉達の元へとやって来て訊ねる。

「・・・いや、その前の段階が“白夜叉”だ。アレは何でもない・・・あそこまでキレた銀時は初めて見る・・・」

そう、幼馴染達でさえあの状態の銀時を見るのは初めてだった。驚きと悲しみがない交ぜになったような表情で銀時を見つめている。

「まさか“白夜叉”の上があるとはな・・・」

はァ、と桂が溜息をつく。

殺気ダダ漏れ状態の方がまだ可愛げがある。そう思ったのは土方だけではないようだ。

「攻撃が全く見えやせんねィ・・・俺もキレたらアレくらい出来やすかねィ?」

少し悔しそうに呟いた沖田の頭を土方は小突く。

「ふざけんな。テメェがキレたら誰が止めると思ってんだ。めんどくせェ」

「イテェな・・・しねひじかたみじんこになるまでぶんれつさせてやらぁ」

「・・・・・・ひらがなで言うな!!ひらがなで!!一瞬何言われたか、わかんなかっただろうが!!!」

ボソボソと棒読みで呟いた沖田の頭に、土方の鉄拳が降る。

「まったく、煩いアルヨ。・・・騒ぐならあっち行けヨ、税金泥棒が」

「そうですよ!シリアスがシリアスじゃ無くなっちゃいますよ。シリアス担当の高杉さん、なんとかしてくださいよ」

「・・・・・・シリアス担当とかあるのか・・・?」

新八にいきなりふられた高杉は思わず首を傾げ、小さくツッコミを入れたのだった。



***



抜刀の音など皆無。気付いた時には目の前に刃が迫っている。

「これがッ・・・リミッターを、外し、た・・・白、夜叉かッ」

避けるのが精一杯で、反撃などできるわけもない。

先程の右腕を落とされた時の早さが最速なのか、もっと上があるのか。

「なァ、次はどこが良い?」

ヒュ、と黒夜叉は息を呑んだ。

―――いつの間に!

銀時の顔が目の前にある。

「どこが良い?・・・好きなトコを落としてやる」

律儀に問い続けている銀時。どうやら次に落とされたい箇所を聞いているらしいと悟ると、ぞわり、と鳥肌が立つ。

遊ばれている。完全に、この場は銀時の支配下に置かれた。

部下は高杉達が片付けてしまい、船からかかるはしごも落とされ、残るは己ただ1人。

ほんの気まぐれで遊んでやるつもりが、こちらが遊ばれる側になってしまった。

「ふ・・・くくっ・・・ハハハハハッ!!」

狂ったように笑い、残った左腕で刀を振るう。

遊ぶのはいつだってこちらだった。遊ばれるなど論外だ。目の前の子鬼はもう子鬼ではない。

“白夜叉”

コレは危険だ。生かしておくべきではなかった。

「まだだ!!まだ俺の全力はこんなものでは―――!」

ゴトリ。

振り上げたはずの左腕が見えない。

下に視線を向ける。そこには、刀を握った己の腕。

「あ゛ッ、ああ゛あぁああ゛ああ゛ぁあ゛ッ!!!?」

「どこが良い?って聞いてるのに、答えないお前が悪い」

咆哮をあげる黒夜叉を感情の無い目で見つめて呟く。

「“俺の全力”ってヤツ?・・・早く見せてくれよ。じゃないと―――」

―――次はどこを落とすかわからないよ?

両腕を落とされた状態で、全力も何もない。

黒夜叉に僅かにだが残された反撃のチャンスは消えた。

「・・・う、ぐ・・・」

呻く黒夜叉に、銀時が一歩ずつ近づいていく。

「ほら・・・全力はこんなものではないんだろ?」

わかっているだろうに、銀時が訊ねる。

「白、夜叉ぁ・・・!!」

体当たりをくらわそうとした瞬間、ひょい、と避けられて足を引っ掛けられる。

どう、と倒れた体。両腕のない黒夜叉に起き上がる術はなかった。

「・・・お前の全力ってこんなものなのか。案外つまらないな」

見下ろしてくる銀時の表情がよく見えない。

じわじわと恐怖が黒夜叉の心を蝕んでいく。

―――怖い。

今までこんな思いを抱いたことはない。目の前の夜叉に心の底から恐怖している。

「先生の仇だ・・・死んでくれ」

――――――目の前が、真っ赤に染まった。



***



黒夜叉の首がごろり、と甲板に転がる。

銀時がいつ刀を振るったのかさえ見えなかった土方達は、その手に持つ刀から滴り落ちる血と転がる首を見て、ようやく決着がついたのを知った。

「・・・もう、終わったアルか?」

神楽が桂を見上げる。

「・・・ああ、終わった」

頷く桂の表情が未だに緊張しているのに気付いた神楽は首を傾げる。

「じゃあ、なんでまだ緊張してるネ?」

「・・・決まってんだろ?これからアイツを元の状態に戻さなきゃなんねェからだよ」

桂の代わりに高杉が答える。

“白夜叉”状態の銀時を元に戻すのも大変だったのだ。それ以上にキレている銀時をどうやったら戻せるのか皆目見当もつかない。

「そ、そんなに大変なんですか?」

新八が心配そうに銀時を見つめながら訊ねる。

「大丈夫、銀はちゃんと戻って来るよ。今までだってそうだった」

久坂が言えば、入江も古田もそうだと頷く。

銀時は戻って来る。必ず。そう己に言い聞かせて、高杉達は銀時に近付いて行った。


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