Refused Reality(元・現実を拒絶した夢の中)
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注意
・朝ルル
・行政特区の辺りまではほぼ本編通りに進んでいる設定です
・朝ルルは完全に出来上ってますv
・ナナリーが黒いです
・騎士団にはゼロバレ、皇族バレ、恋人バレ済み
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
そして、行政特区日本の式典当日。
黒の騎士団も招いての式典だったために、会場の雰囲気は幾分かピリピリとしていた。
姉に賛同してもらえなかったことに幾分か気落ちしていたユーフェミアは、ゼロこと、ルルーシュの到着を今か今かと待っていた。
「ゼロは、まだでしょうか。」
待ちかねて口にすれば、己の騎士が硬い表情で首を振る。
「まだ・・・到着はしていないようです。」
「そう。・・・でも、絶対に来て下さるはずです。」
自信たっぷりに言うユーフェミアに、否定の言葉をかけることが出来ず、スザクは口をつぐみ、曖昧な笑みをうかべた。
会場に集まった“日本人”達が、式典はまだ始らないのか、ゼロはまだか、とざわめき始める。
「ユーフェミア様。」
ダールトンが傍に立ち、眉根を寄せる。
「式典だけでも始めませんと・・・。」
「・・・そう、ですね。」
困ったように笑んでみせ、ユーフェミアは立ちあがった。
と、その時、会場に設置された巨大モニターに、黒の騎士団の文様が映し出される。
騒然となる会場だったが、次の瞬間、ゼロが映り、皆が黙り込む。
「諸君、我々、黒の騎士団は・・・ユーフェミア副総督の申し出をお断りすることにした。」
ユーフェミアが顔を強張らせる。
「な、なぜですか!?・・・ゼロ!」
信じられない、といった様子のユーフェミアに、ゼロは首を振った。
「それは、貴女が皇位継承権を賭けるどころか、皇籍奉還をしてまで、私を許したということが原因です。」
「なっ!?」
初耳だった者達が、一斉にユーフェミアに視線を向ける。
「確かに、強引な手だったとは思っています。でも、この、行政特区には貴方の力が必要なんです!」
ユーフェミアが言い募るが、ゼロは首を振るばかり。
「いいえ・・・この特区に必要なのは、むしろ、貴女の力ですよ、ユーフェミア副総督。・・・わかりますか?これは、貴女の名で作られた政策です。つまり、貴女自身の力が無くなれば、いつ、崩壊してもおかしくない、ということです。」
「・・・え。」
ユーフェミアが目を丸くするのを見て、ゼロは深い溜息をついた。
「貴女は確かに皇族で無くなったとしても、実姉も実母も存命で、本国に太いパイプがある。でも、それらの人々が、この行政特区がどうにもいかなくなった時に、救ってくれると、思っていますか?」
「思います!お姉様も、お母様も・・・いざとなったら、私に力を貸して下さるはずです!」
「・・なら、コーネリア総督はどうしました?どうして、こちらにいらっしゃらないんです?・・・この政策に理解を示して下さったんですか?・・・ダメだったんじゃありませんか?あの方は、きちんと“区別”される方ですから。」
「・・・っ!」
息を呑んだユーフェミアに、ゼロは肩を竦めた。
「やはり、そうでしたか。・・・では、もう一度お訊ねします。この行政特区の失敗を望んでいるだろう方が、“日本人”を助けて下さいますか?」
今度は無言が返ってくる。ユーフェミアもようやく気付いたのだ。これは危ない橋を渡る、どころではない。1本の蜘蛛の糸にぶら下がっている状態なのだ。ほんの些細な問題が起こってしまえば、プツリと切れてしまう・・・。
「確かに、コーネリア総督は、貴女のことは助けるでしょう。・・・でも、“日本人”は助けてはくれない。・・・私は、断言できますよ。・・・この行政特区日本は、いつ沈んでもおかしくない、泥船だと。」
「・・・貴方が協力して下さるなら・・・きっと・・・きっと、沈んだりは・・・。」
「ユフィ・・・俺は、万能ではないよ。」
はぁ、と深い溜息をついたゼロが、ユーフェミアの愛称を口にしたことで、ダールトンがハッとしてユーフェミアに視線を向けた。
おかしいと思い続けてきたことだ。ユーフェミアがここまでゼロに信頼を寄せるのには、理由があってしかるべきだと。
いくら、天真爛漫、人を疑うことを知らない姫だったとしても、異母兄を殺害した男をここまで信用することなどあり得ない。
「ユーフェミア姫様・・・もしや、貴女は、ゼロの正体をご存知なのでは?!」
こそりと問うダールトンの言葉を耳にして、スザクも眼を丸くしてユーフェミアを見つめる。
「・・・知って・・・いました・・・でも・・・。」
ショックを隠しきれないユーフェミアは、ゼロの映る大画面に向かって、叫んだ。
「お願いです、ゼロ・・・私に協力して下さい!」
「ユフィ、さすがに無理だよ・・・これ以上“日本”から国力と気力を奪わせるわけにはいかない。仮令、今は支配されていようと、まだ“日本”は立ち上がることができる。“日本人”の名に誇りを持つ者がいる。・・・だから、君の安易な政策に乗せて、沈没させるわけにはいかないんだ。・・・それに、この政策、なぜ本国の宰相府が許したか、君はわかっているのか?」
「それは・・・シュナイゼルお兄様が・・・素晴らしい政策だと褒めて下さって・・。」
「それだけで、許可するような人だと思っているなら、君はまだ、シュナイゼル第2皇子のことを理解していない。これは、飴と鞭でいう、飴だ。・・・不満を持ち、テロを続ける者達が多いこのエリア11の平定のために、敢えて、柔軟な態度をとって、懐柔する。そういう政治をするのが、シュナイゼル第2皇子だ。」
シュナイゼルの本質まで知っているようなその発言に、ダールトンだけでなく、式典に出席していた貴族達もざわめき始める。
一体、ゼロは何者なのか。ただのテロリストでは有り得ない。
「・・・そんな・・・ゼロ・・・。」
ユーフェミアは呟き、その場にへたり込んだ。そんなユーフェミアを支えながら、スザクがゼロを睨む。
「ゼロ!お前は・・・そんなことを言って、行政特区日本への不参加を正当化するつもりか!!」
「・・・正当化、なるほど。そうともとれたか。だが、違う。俺は本当のことを言っただけ。それに、正当化なんてするつもりはない。・・・これ以上、日本人に辛い思いをさせたくないだけだよ。」
ゼロはそう言ってから、チラリと後ろを振り返る。そして、微かに後ろに向かって頷いてみせると、前を向く。
「・・・さて、そろそろ、時間だ。」
そう言いながら、ゼロが仮面に手をかけるのを見て、皆がギョッとする。
カシュン、という音が響いて、サラリ、と黒髪が流れるように、美しいと形容できる顔にかかる。
一部の者は、その正体に気付いて息を呑んだ。そう、ネット放送や、テレビで見ていたアッシュフォード学園の面々だ。
「・・・っ!・・・る、ルルー・・・シュ。」
驚愕して目を見開き、スザクが呻くようにその名を呟く。
「ルルーシュ?・・・もしや・・・ルルーシュ殿下!?」
ダールトンが叫び、貴族達がギョッとする。それは、既に鬼籍に載った、妃将軍と呼ばれた彼の皇妃の忘れ形見の名。
「・・・なぜ、ブリタニア皇族の貴方が・・・ッ!」
呻いたダールトンに、ルルーシュは艶やかに微笑んだ。
「なぜ?・・・お前達は知っているだろう?俺が鬼籍に載ることになったいきさつを。・・・俺は、母を見殺しにし、妹から光と自由に動く足を奪ったブリタニアが憎い。だから、ぶっ壊そうと思った。・・・そんな俺に手を貸してくれたのは、兄弟でもなく、旧友でもなく、ブリタニアの支配を良しとしない“日本人”だった。だからこそ、俺は、日本のために動く。」
最初は、ブリタニア憎し、の一念だった。だが、黒の騎士団を結成し、藤堂達と出会い、そして、朝比奈と思いを通わせて、ルルーシュの心は変わった。
復讐の闇へとひたすら突き進もうとするルルーシュの重石となり、その心を守って来たのは、朝比奈だった。だからこそ、朝比奈が取り戻そうとしている日本を守りたかったのだ。いざ、取り戻してみて、国力も国民もなにもありませんでは、話にならない。
「・・・俺の大切な人も、日本人だ。個人的に日本贔屓になっていると言われても、その通りだというしかないが、権力を持ってして行っているわけではないのだから、文句を言われる筋合いはないな?」
ルルーシュの言葉に、ダールトンは二の句が継げず、呆然と画面を見つめるユーフェミアに視線を向けた。
「ユーフェミア姫様・・・。」
「ルルーシュ!・・・考え直してください!・・・貴方の力があれば、きっと!!!」
ユーフェミアが叫んだその時、ルルーシュが引っ張られるようにして画面から消え、代わりに、朝比奈が現れた。
「あのさぁ・・・話聞いてた?お姫様?・・・悪いんだけど、ルルはブリタニアに協力する気はさらさらないんだよねー。・・・というか、今まで散々、ルルの邪魔しておいて、協力しろって言う方がおかしいんじゃない?」
「あ・・・貴方は、ルルーシュの何なんですか!?」
キッと睨み据えたのは、スザク。ユーフェミアのことを全否定されたように感じて、忠犬よろしく、噛みついたのだ。
「あ~・・・俺はねぇ、ルルの大切な恋人、だよ。裏切り者の枢木スザク君?」
「っ!?」
目を丸くしたスザクに、朝比奈は冷笑を向けた。
「・・・ルルが最も支えを必要としていた時に、ルルを見捨てた裏切り者。」
「それ・・・は・・・、ゼロが、ルルーシュ、だなんて・・・。」
「うん、そうだね。気付きもしなかった?・・・彼の主義主張と、ゼロの主義主張。似てると思わなかった?」
朝比奈の言葉に、思い当たる節があったのか、スザクは絶句した。
「・・・はい、ダメ~。残念でした~。・・・君はルルよりそのお姫様を取った。その時点で、アウト~!・・・ルルは俺が幸せにするから。あ、ついでに、日本もちゃんと取り返してみせるから、そこのところ、よろしく♪」
ブツッと通信が切られ、ブリタニア勢が呆然としていると、月下(藤堂機)が現れる。
色めき立つブリタニア軍だが、攻撃の命が下らない以上動けず、その場に立ち往生する。
「日本人に告ぐ!」
藤堂の威厳に満ちた声が会場内に響き渡る。
「ゼロの想いはわかって貰えたことと思う。我等黒の騎士団は、決して、我が同朋を見捨てないことを誓おう!・・・この想いを信じてみようと思う者には、我々が新たに設立する合衆国日本へと参加することを勧める。」
藤堂の言葉に、特区参加を希望していた日本人達は月下に殺到した。
「(結果は出たな)・・・我等は君達を歓迎しよう。」
藤堂は一言そう言って、ス、と式典会場の外に控えていた黒の騎士団が用意したトレーラー群を指し示した。
「収容人数は充分に足りている。落ち着いて移動を始めろ。」
落ち着きを取り戻した日本人達は、トレーラーへと向かい出す。
「あ・・・待って・・・待ってください・・・。」
力の無いユーフェミアの声に振り向く者はいない。
こうして、行政特区日本は式典当日に事実上廃止の憂き目を見ることとなったのだった。
数日後、黒の騎士団のラウンジで各局の報道をチェックしていた玉城は、シュッと開いたラウンジのドアになんとなく視線を向けて、入って来た人物を見て、ギョッとして目を丸くした。
パクパクと口を開閉させ、視線でその姿を追う。
そんな視線をものともせずにツカツカとラウンジのど真ん中までやって来たその人物は、指示のチェックをしていた扇の背後に立ち、口を開いた。
「・・・ゼロは、いるかな?」
「え、ゼロなら朝比奈と・・・~~~~~~ッ!?」
軽い調子で問われた扇は、振り返りながら答え、質問者の姿を視界に収めて、声にならない悲鳴をあげた。
「朝比奈、というのは、式典の時にルルーシュの後に顔を見せた、眼鏡の彼のことかな?」
ニコニコと問うその人物を凝視しながら、扇はパクパクと口を開閉させるのみで、声が出せない。
「困ったな。答えてくれないと、わからないのだけれど。」
さほど困っていない様子で首を傾げるその人物。扇はひゅ、と息を呑み、叫んだ。
「シュナイゼル皇子!!!」
その名に幹部達が反応して振り返り、ピシリ、と固まる。
「やぁ、異母弟がお世話になってるね。」
ス、と手をあげたシュナイゼルに、扇はあんぐりと口を開けた。
なんで、ブリタニアの宰相がここにいるんだとか、見回りと警備の連中は何してるんだとか、いろんなことが頭に浮かぶが、そんなことは、この際、どうでもいい。
とにかく、この事をルルーシュに伝えなければ、と扇はワタワタとラウンジに備え付けてあった内線電話に飛びついた。
「ルルーシュ!大変だ!シュナイゼル皇子が!!!」
「まぁ・・・シュナイゼル異母兄様?そろそろいらっしゃる頃だと思いましたわ。」
扇の叫びの直後に、鈴の音のような声が、ラウンジに響く。
「・・・おや、ナナリーもいたのかい?」
振り返ってその姿を目にしたシュナイゼルの表情は凪いでいて読めない。
「あら、まるで、私がいては迷惑なような言い草ですわ、シュナイゼル異母兄様ったら。ウフフ。」
「ハハハ。そう聞こえるように言ったんだけれどねェ・・・。」
「・・・ウフフ。」
「・・・ハハハ。」
どす黒い空気がラウンジに満ちて、幹部達は顔を青くする。
「・・・ちょ・・・誰か・・・あの2人、止めろって。」
「いや、無理無理無理!!!」
幹部達が誰が止めるかで責任をなすりつけ合っていたその時・・・
「・・・シュナイゼル異母兄上!?」
まさに天の助け。
乱入してきたルルーシュに、さっきまでのどす黒い空気が一瞬にして消え失せる。
「やぁ、ルルーシュ。・・・あ、はじめに言っておくけど、私は敵じゃないよ?」
「・・・ナルホド、ナナちゃんの話通りの人物ってとこか。」
ルルーシュと共にやって来た朝比奈が納得したように呟く。どうやら、事前にシュナイゼルの人となりをナナリーから聞かされていたようである。
「・・・朝比奈君、だったね。・・・もちろん、ルルーシュとは、清いお付き合いなんだろうね?」
ニコニコニコ。
「うっわ。うさんくっさ・・・まぁ、ルルがその辺り疎いから、まだ、手ぇ出してないけど・・・そのうち、ちゃんと教え込むつもりだから。それが何か?」
にっこり。
朝比奈の切り返しに、シュナイゼルの口元がヒクリ、と引き攣った。
「・・・ハハハ、言葉が過ぎるんじゃないかな?そんなこと、許すわけないだろう?」
「あはは、何言ってんの?今までルルをほったらかしにしておいたクセに。」
「・・・不可抗力だよ。」
「・・・嘘つけっての。」
「「・・・・・・・・・・・・(こいつ、気に入らない!!!!)」」
無言で睨みあう朝比奈とシュナイゼルを見て、ルルーシュは首を傾げた。
「なぁ、ナナリー・・・シュナイゼル異母兄上は、一体、何をしに来たんだ?」
「・・・さぁ?世間話じゃありませんか?」
「・・・そうだったのか・・・。」
ナナリーの言葉に納得してしまったルルーシュに、突っ込みたいのに突っ込めない黒の騎士団幹部達は、これから忙しくなるというのに、余計なものが来たと深々と溜息をついたのだった。
おしまい♪
戻る→
・朝ルル
・行政特区の辺りまではほぼ本編通りに進んでいる設定です
・朝ルルは完全に出来上ってますv
・ナナリーが黒いです
・騎士団にはゼロバレ、皇族バレ、恋人バレ済み
・捏造満載w
以上、同意できる方のみ↓へ・・・
そして、行政特区日本の式典当日。
黒の騎士団も招いての式典だったために、会場の雰囲気は幾分かピリピリとしていた。
姉に賛同してもらえなかったことに幾分か気落ちしていたユーフェミアは、ゼロこと、ルルーシュの到着を今か今かと待っていた。
「ゼロは、まだでしょうか。」
待ちかねて口にすれば、己の騎士が硬い表情で首を振る。
「まだ・・・到着はしていないようです。」
「そう。・・・でも、絶対に来て下さるはずです。」
自信たっぷりに言うユーフェミアに、否定の言葉をかけることが出来ず、スザクは口をつぐみ、曖昧な笑みをうかべた。
会場に集まった“日本人”達が、式典はまだ始らないのか、ゼロはまだか、とざわめき始める。
「ユーフェミア様。」
ダールトンが傍に立ち、眉根を寄せる。
「式典だけでも始めませんと・・・。」
「・・・そう、ですね。」
困ったように笑んでみせ、ユーフェミアは立ちあがった。
と、その時、会場に設置された巨大モニターに、黒の騎士団の文様が映し出される。
騒然となる会場だったが、次の瞬間、ゼロが映り、皆が黙り込む。
「諸君、我々、黒の騎士団は・・・ユーフェミア副総督の申し出をお断りすることにした。」
ユーフェミアが顔を強張らせる。
「な、なぜですか!?・・・ゼロ!」
信じられない、といった様子のユーフェミアに、ゼロは首を振った。
「それは、貴女が皇位継承権を賭けるどころか、皇籍奉還をしてまで、私を許したということが原因です。」
「なっ!?」
初耳だった者達が、一斉にユーフェミアに視線を向ける。
「確かに、強引な手だったとは思っています。でも、この、行政特区には貴方の力が必要なんです!」
ユーフェミアが言い募るが、ゼロは首を振るばかり。
「いいえ・・・この特区に必要なのは、むしろ、貴女の力ですよ、ユーフェミア副総督。・・・わかりますか?これは、貴女の名で作られた政策です。つまり、貴女自身の力が無くなれば、いつ、崩壊してもおかしくない、ということです。」
「・・・え。」
ユーフェミアが目を丸くするのを見て、ゼロは深い溜息をついた。
「貴女は確かに皇族で無くなったとしても、実姉も実母も存命で、本国に太いパイプがある。でも、それらの人々が、この行政特区がどうにもいかなくなった時に、救ってくれると、思っていますか?」
「思います!お姉様も、お母様も・・・いざとなったら、私に力を貸して下さるはずです!」
「・・なら、コーネリア総督はどうしました?どうして、こちらにいらっしゃらないんです?・・・この政策に理解を示して下さったんですか?・・・ダメだったんじゃありませんか?あの方は、きちんと“区別”される方ですから。」
「・・・っ!」
息を呑んだユーフェミアに、ゼロは肩を竦めた。
「やはり、そうでしたか。・・・では、もう一度お訊ねします。この行政特区の失敗を望んでいるだろう方が、“日本人”を助けて下さいますか?」
今度は無言が返ってくる。ユーフェミアもようやく気付いたのだ。これは危ない橋を渡る、どころではない。1本の蜘蛛の糸にぶら下がっている状態なのだ。ほんの些細な問題が起こってしまえば、プツリと切れてしまう・・・。
「確かに、コーネリア総督は、貴女のことは助けるでしょう。・・・でも、“日本人”は助けてはくれない。・・・私は、断言できますよ。・・・この行政特区日本は、いつ沈んでもおかしくない、泥船だと。」
「・・・貴方が協力して下さるなら・・・きっと・・・きっと、沈んだりは・・・。」
「ユフィ・・・俺は、万能ではないよ。」
はぁ、と深い溜息をついたゼロが、ユーフェミアの愛称を口にしたことで、ダールトンがハッとしてユーフェミアに視線を向けた。
おかしいと思い続けてきたことだ。ユーフェミアがここまでゼロに信頼を寄せるのには、理由があってしかるべきだと。
いくら、天真爛漫、人を疑うことを知らない姫だったとしても、異母兄を殺害した男をここまで信用することなどあり得ない。
「ユーフェミア姫様・・・もしや、貴女は、ゼロの正体をご存知なのでは?!」
こそりと問うダールトンの言葉を耳にして、スザクも眼を丸くしてユーフェミアを見つめる。
「・・・知って・・・いました・・・でも・・・。」
ショックを隠しきれないユーフェミアは、ゼロの映る大画面に向かって、叫んだ。
「お願いです、ゼロ・・・私に協力して下さい!」
「ユフィ、さすがに無理だよ・・・これ以上“日本”から国力と気力を奪わせるわけにはいかない。仮令、今は支配されていようと、まだ“日本”は立ち上がることができる。“日本人”の名に誇りを持つ者がいる。・・・だから、君の安易な政策に乗せて、沈没させるわけにはいかないんだ。・・・それに、この政策、なぜ本国の宰相府が許したか、君はわかっているのか?」
「それは・・・シュナイゼルお兄様が・・・素晴らしい政策だと褒めて下さって・・。」
「それだけで、許可するような人だと思っているなら、君はまだ、シュナイゼル第2皇子のことを理解していない。これは、飴と鞭でいう、飴だ。・・・不満を持ち、テロを続ける者達が多いこのエリア11の平定のために、敢えて、柔軟な態度をとって、懐柔する。そういう政治をするのが、シュナイゼル第2皇子だ。」
シュナイゼルの本質まで知っているようなその発言に、ダールトンだけでなく、式典に出席していた貴族達もざわめき始める。
一体、ゼロは何者なのか。ただのテロリストでは有り得ない。
「・・・そんな・・・ゼロ・・・。」
ユーフェミアは呟き、その場にへたり込んだ。そんなユーフェミアを支えながら、スザクがゼロを睨む。
「ゼロ!お前は・・・そんなことを言って、行政特区日本への不参加を正当化するつもりか!!」
「・・・正当化、なるほど。そうともとれたか。だが、違う。俺は本当のことを言っただけ。それに、正当化なんてするつもりはない。・・・これ以上、日本人に辛い思いをさせたくないだけだよ。」
ゼロはそう言ってから、チラリと後ろを振り返る。そして、微かに後ろに向かって頷いてみせると、前を向く。
「・・・さて、そろそろ、時間だ。」
そう言いながら、ゼロが仮面に手をかけるのを見て、皆がギョッとする。
カシュン、という音が響いて、サラリ、と黒髪が流れるように、美しいと形容できる顔にかかる。
一部の者は、その正体に気付いて息を呑んだ。そう、ネット放送や、テレビで見ていたアッシュフォード学園の面々だ。
「・・・っ!・・・る、ルルー・・・シュ。」
驚愕して目を見開き、スザクが呻くようにその名を呟く。
「ルルーシュ?・・・もしや・・・ルルーシュ殿下!?」
ダールトンが叫び、貴族達がギョッとする。それは、既に鬼籍に載った、妃将軍と呼ばれた彼の皇妃の忘れ形見の名。
「・・・なぜ、ブリタニア皇族の貴方が・・・ッ!」
呻いたダールトンに、ルルーシュは艶やかに微笑んだ。
「なぜ?・・・お前達は知っているだろう?俺が鬼籍に載ることになったいきさつを。・・・俺は、母を見殺しにし、妹から光と自由に動く足を奪ったブリタニアが憎い。だから、ぶっ壊そうと思った。・・・そんな俺に手を貸してくれたのは、兄弟でもなく、旧友でもなく、ブリタニアの支配を良しとしない“日本人”だった。だからこそ、俺は、日本のために動く。」
最初は、ブリタニア憎し、の一念だった。だが、黒の騎士団を結成し、藤堂達と出会い、そして、朝比奈と思いを通わせて、ルルーシュの心は変わった。
復讐の闇へとひたすら突き進もうとするルルーシュの重石となり、その心を守って来たのは、朝比奈だった。だからこそ、朝比奈が取り戻そうとしている日本を守りたかったのだ。いざ、取り戻してみて、国力も国民もなにもありませんでは、話にならない。
「・・・俺の大切な人も、日本人だ。個人的に日本贔屓になっていると言われても、その通りだというしかないが、権力を持ってして行っているわけではないのだから、文句を言われる筋合いはないな?」
ルルーシュの言葉に、ダールトンは二の句が継げず、呆然と画面を見つめるユーフェミアに視線を向けた。
「ユーフェミア姫様・・・。」
「ルルーシュ!・・・考え直してください!・・・貴方の力があれば、きっと!!!」
ユーフェミアが叫んだその時、ルルーシュが引っ張られるようにして画面から消え、代わりに、朝比奈が現れた。
「あのさぁ・・・話聞いてた?お姫様?・・・悪いんだけど、ルルはブリタニアに協力する気はさらさらないんだよねー。・・・というか、今まで散々、ルルの邪魔しておいて、協力しろって言う方がおかしいんじゃない?」
「あ・・・貴方は、ルルーシュの何なんですか!?」
キッと睨み据えたのは、スザク。ユーフェミアのことを全否定されたように感じて、忠犬よろしく、噛みついたのだ。
「あ~・・・俺はねぇ、ルルの大切な恋人、だよ。裏切り者の枢木スザク君?」
「っ!?」
目を丸くしたスザクに、朝比奈は冷笑を向けた。
「・・・ルルが最も支えを必要としていた時に、ルルを見捨てた裏切り者。」
「それ・・・は・・・、ゼロが、ルルーシュ、だなんて・・・。」
「うん、そうだね。気付きもしなかった?・・・彼の主義主張と、ゼロの主義主張。似てると思わなかった?」
朝比奈の言葉に、思い当たる節があったのか、スザクは絶句した。
「・・・はい、ダメ~。残念でした~。・・・君はルルよりそのお姫様を取った。その時点で、アウト~!・・・ルルは俺が幸せにするから。あ、ついでに、日本もちゃんと取り返してみせるから、そこのところ、よろしく♪」
ブツッと通信が切られ、ブリタニア勢が呆然としていると、月下(藤堂機)が現れる。
色めき立つブリタニア軍だが、攻撃の命が下らない以上動けず、その場に立ち往生する。
「日本人に告ぐ!」
藤堂の威厳に満ちた声が会場内に響き渡る。
「ゼロの想いはわかって貰えたことと思う。我等黒の騎士団は、決して、我が同朋を見捨てないことを誓おう!・・・この想いを信じてみようと思う者には、我々が新たに設立する合衆国日本へと参加することを勧める。」
藤堂の言葉に、特区参加を希望していた日本人達は月下に殺到した。
「(結果は出たな)・・・我等は君達を歓迎しよう。」
藤堂は一言そう言って、ス、と式典会場の外に控えていた黒の騎士団が用意したトレーラー群を指し示した。
「収容人数は充分に足りている。落ち着いて移動を始めろ。」
落ち着きを取り戻した日本人達は、トレーラーへと向かい出す。
「あ・・・待って・・・待ってください・・・。」
力の無いユーフェミアの声に振り向く者はいない。
こうして、行政特区日本は式典当日に事実上廃止の憂き目を見ることとなったのだった。
数日後、黒の騎士団のラウンジで各局の報道をチェックしていた玉城は、シュッと開いたラウンジのドアになんとなく視線を向けて、入って来た人物を見て、ギョッとして目を丸くした。
パクパクと口を開閉させ、視線でその姿を追う。
そんな視線をものともせずにツカツカとラウンジのど真ん中までやって来たその人物は、指示のチェックをしていた扇の背後に立ち、口を開いた。
「・・・ゼロは、いるかな?」
「え、ゼロなら朝比奈と・・・~~~~~~ッ!?」
軽い調子で問われた扇は、振り返りながら答え、質問者の姿を視界に収めて、声にならない悲鳴をあげた。
「朝比奈、というのは、式典の時にルルーシュの後に顔を見せた、眼鏡の彼のことかな?」
ニコニコと問うその人物を凝視しながら、扇はパクパクと口を開閉させるのみで、声が出せない。
「困ったな。答えてくれないと、わからないのだけれど。」
さほど困っていない様子で首を傾げるその人物。扇はひゅ、と息を呑み、叫んだ。
「シュナイゼル皇子!!!」
その名に幹部達が反応して振り返り、ピシリ、と固まる。
「やぁ、異母弟がお世話になってるね。」
ス、と手をあげたシュナイゼルに、扇はあんぐりと口を開けた。
なんで、ブリタニアの宰相がここにいるんだとか、見回りと警備の連中は何してるんだとか、いろんなことが頭に浮かぶが、そんなことは、この際、どうでもいい。
とにかく、この事をルルーシュに伝えなければ、と扇はワタワタとラウンジに備え付けてあった内線電話に飛びついた。
「ルルーシュ!大変だ!シュナイゼル皇子が!!!」
「まぁ・・・シュナイゼル異母兄様?そろそろいらっしゃる頃だと思いましたわ。」
扇の叫びの直後に、鈴の音のような声が、ラウンジに響く。
「・・・おや、ナナリーもいたのかい?」
振り返ってその姿を目にしたシュナイゼルの表情は凪いでいて読めない。
「あら、まるで、私がいては迷惑なような言い草ですわ、シュナイゼル異母兄様ったら。ウフフ。」
「ハハハ。そう聞こえるように言ったんだけれどねェ・・・。」
「・・・ウフフ。」
「・・・ハハハ。」
どす黒い空気がラウンジに満ちて、幹部達は顔を青くする。
「・・・ちょ・・・誰か・・・あの2人、止めろって。」
「いや、無理無理無理!!!」
幹部達が誰が止めるかで責任をなすりつけ合っていたその時・・・
「・・・シュナイゼル異母兄上!?」
まさに天の助け。
乱入してきたルルーシュに、さっきまでのどす黒い空気が一瞬にして消え失せる。
「やぁ、ルルーシュ。・・・あ、はじめに言っておくけど、私は敵じゃないよ?」
「・・・ナルホド、ナナちゃんの話通りの人物ってとこか。」
ルルーシュと共にやって来た朝比奈が納得したように呟く。どうやら、事前にシュナイゼルの人となりをナナリーから聞かされていたようである。
「・・・朝比奈君、だったね。・・・もちろん、ルルーシュとは、清いお付き合いなんだろうね?」
ニコニコニコ。
「うっわ。うさんくっさ・・・まぁ、ルルがその辺り疎いから、まだ、手ぇ出してないけど・・・そのうち、ちゃんと教え込むつもりだから。それが何か?」
にっこり。
朝比奈の切り返しに、シュナイゼルの口元がヒクリ、と引き攣った。
「・・・ハハハ、言葉が過ぎるんじゃないかな?そんなこと、許すわけないだろう?」
「あはは、何言ってんの?今までルルをほったらかしにしておいたクセに。」
「・・・不可抗力だよ。」
「・・・嘘つけっての。」
「「・・・・・・・・・・・・(こいつ、気に入らない!!!!)」」
無言で睨みあう朝比奈とシュナイゼルを見て、ルルーシュは首を傾げた。
「なぁ、ナナリー・・・シュナイゼル異母兄上は、一体、何をしに来たんだ?」
「・・・さぁ?世間話じゃありませんか?」
「・・・そうだったのか・・・。」
ナナリーの言葉に納得してしまったルルーシュに、突っ込みたいのに突っ込めない黒の騎士団幹部達は、これから忙しくなるというのに、余計なものが来たと深々と溜息をついたのだった。
おしまい♪
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*長編(シリーズもの)*
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★ただいまの拍手★
にょたルル(時間軸R2で皇族復帰ver)前提、第17話
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